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スクラムマスターとは?やることや認定資格などをわかりやすく解説!

公開日:2024/09/09最終更新日:2024/09/10

近年の開発プロジェクトにおいては、変化する状況に対応できる柔軟さや迅速な対応力などが重視されています。そこで国内でも広まりつつある開発スタンスが「スクラム開発」です。そしてスクラム開発を円滑に進めるための重要な役割である「スクラムマスター」について、気になっている方もいるのではないでしょうか。


本記事では、スクラムマスターの概要や責務、求められるスキル、スクラムマスターの資格などについてお伝えします。特に以下の方には、この記事をご一読していただきたいです。

  • 今後スクラムマスターを検討している方

  • 既にスクラムマスターとして活躍されている方

  • スクラムマスターとしての知識を学びたい方

  • スクラムマスターの資格について知りたい方

1.スクラムマスターとは

スクラムマスターとは、「スクラム開発」と呼ばれる開発フレームワークにおいて中心となり、プロジェクトを円滑に進めるためにチームのサポートやマネージメントを行う責任者のことです。プロジェクトを成功に導くためには、スクラムマスターのサポートのもとにチームメンバーそれぞれが自律的にタスクをこなし、最大限のパフォーマンスを発揮することが重要です。


スクラムマスターには、プロジェクトを前に進める役割だけでなく、中長期的視点に立ってチーム全体を成長させる役割も求められます。また、問題が発生した際の対処についても、スクラムマスターが中心となって進める必要があるでしょう。


スクラムには、「プロダクトオーナー」と呼ばれる人もいます。プロダクトオーナーとは開発中のプロダクトに関する責任者であり、最終決定権も持つ存在です。スクラムマスターとプロダクトオーナーは混同されやすいのですが、スクラムマスターと違ってプロダクトオーナーはチームマネジメントを行いません。

スクラム開発とは

スクラムマスターについて理解を深めるうえではまず、その前提として「スクラム開発」についても知っておくことが重要でしょう。


スクラム開発とは、アジャイル開発(プロジェクトを機能単位で分けて進める手法)の一種です。「スクラム」とは、特定の役割をこなすメンバーで構成されるチームのことを指します。

数人程度でチームを作り、数週間程度をひと区切りとして計画を立てて、プロジェクトを進めていくことが一般的です。


スクラム開発ではプロジェクトを「上流・下流」と分けず、優先度をつけて進めます。また、スクラムの中にポジションは設けず、メンバー同士で話し合い・確認をしながら進めていくことが一般的だと言えるでしょう。

2.スクラムマスターの仕事内容(役割と責任)

この章では、スクラムマスターの責務や仕事内容などについてお伝えします。

スプリント計画会議の進行

スクラムマスターの役割としてまず挙げられるのが、スプリント計画会議の進行です。スプリント計画会議とは、各スプリント(一定のタスクをこなすための短い期間のこと)で行うことを決めるための会議を指します。


スプリント計画会議の参加者は、スクラムマスター、プロジェクトマネージャー、開発チームメンバーです。スプリント計画会議で決められたスプリントゴールを元にして、開発者は技術的な計画(「スプリントバックログ」と呼びます)を立てます。


スプリント計画会議では、スプリントのゴールや作業の進め方などを決めていきます。会議がスムーズに進むように進行役を務めるだけでなく、議事進行に必要なデータの準備を行うこともスクラムマスターの重要な役割です。

スタンドアップミーティングの実施

スタンドアップミーティングの実施も、スクラムマスターの重要な役割です。スタンドアップミーティングとは、毎日実施するミーティングのことを指します。


スクラムのフレームワークにとっては、スタンドアップミーティングは非常に重要です。前日までの進捗を確認し、当日のタスクについて話し合います。


また、プロジェクトを進めていくうえで発生しているトラブルや障害についても報告・共有することも、会議での重要な目的です。スクラムマスターには、スタンドアップミーティングを進行して進捗状況を日々評価することが求められます。

プロダクトバックログの支援

スクラムマスターの仕事としては、プロダクトバックログの支援も挙げられます。プロダクトバックログとは、開発チームが行う作業に優先順位をつけたリストのことです。


スクラムマスターはバックログアイテムを改善し、プロダクトバックログの用件の更新も行います。そのため、スクラムマスターにはプロダクト開発について豊富な知識が求められるでしょう。

チームメンバーのコーチング・ティーチング

チームメンバーのコーチングは、スクラムマスターに求められる重要な役割の1つです。スクラムには仕事を指示する存在がいないことから、それぞれのメンバーが自立的に活動して行く必要があります。


そして各チームメンバーが自分のタスクを自律的にこなせるようになるためには、スクラムマスターによるコーチング・ティーチングが重要です。


コーチングは、問題解決の方法を相手が自ら気付くように導く手法のことです。答えを明示してしまうのではなく、応えに対する道筋を相手に築かせることで成長を促します。


一方で、直接的にノウハウや知識を直接教える「ティーチング」も、必要に応じて行うことが重要です。

トラブル・障害の解消

スクラムマスターの仕事としては、トラブルや障害の解消も挙げられます。チームメンバーが各スプリントにおける自分のタスクに集中するためには、進捗に対する障害を特定し排除することが必要です。


スタンドアップミーティングにおいて共有されたトラブルはもちろん、その他にもプロジェクトの進行を妨げるような事象があれば、できるだけ早期に発見し、取り除くことが求められます。たとえ小さな障害であっても、放置しておけば今後大きな問題になってしまう可能性もあるでしょう。

3.スクラムマスターに必要なスキル・能力

この章では、スクラムマスターに必要なスキルや能力についてお伝えします。

コミュニケーション力

スクラムマスターに必要なスキル・能力としてまず挙げられるのが、コミュニケーション力です。プロダクトオーナーや開発メンバーとの日々のやりとりを行うことはもちろん、スクラム外のステークホルダーに対してはスクラムの窓口としての役割を果たさなくてはいけません。


ここでは求められるコミュニケーション能力には、直接対面しての口頭でのコミュニケーション能力だけでなく、書面でのやりとりを行う力も含まれます。コミュニケーションツールを活用して関係者と円滑なやりとりをする能力がなければ、スクラムマスターは務まらないでしょう。

スケジュール管理力

スクラムマスターに求められるスキルとしてまず挙げられるのが、スケジュール管理能力です。スクラムマスターはスクラムのタスク消化において責任があり、スケジュールを決めて逐次進捗確認していく必要があります。


タイトすぎるスケジュールでは無理が出てしまう恐れがあり、現実的に進められるスケジュールを考えたうえで遅れが生じないように常にコントロールしていくことが大切です。毎日のスタンドアップミーティングにおいて進捗を確認することはもちろん、各メンバーの進捗状況を確認して適宜スケジュール修正していく必要があります。

開発に関する知識・技術力

開発に関する知識と技術力についても、スクラムマスターに求められるスキル・能力だと言えます。スクラムメンバーのサポートやコーチングを適切に行うためには、スクラムマスター自身にも開発に関する能力が十分に備わっていることが必要です。


実際にスクラムマスターには学士号以上のレベルが求められ、一定以上の職務経験があることも重視されます。プレイヤーとして充分な能力を持ち、そのうえでチームとしてプロジェクトを進めていける人材こそが、スクラムマスターにふさわしいと考えられるでしょう。

問題解決能力

スクラムマスターに大切な能力としては、問題解決能力も挙げられます。スクラムが持つ課題を発見し、さらに優先順位をつけて1つずつ対処していく能力が重要です。


ただし、課題を見つけたとしても、スクラムマスター自身が解決するわけではありません。解決すべき課題をチームメンバーと共有し、チームで解決に向かっていくことが重要です。


課題を乗り越えることでチームの経験値は増えていき、より強固なチームに近づいていけることでしょう。

向上心

スクラムマスターに求められる資質としては、向上心も欠かせません。チームをサポートして課題を解決していくためには、スクラムマスター自身もレベルアップしていく必要があります。


自分で学び情報を得ていくことで、より幅広い課題に対して対応できるスクラムマスターに近づけるでしょう。まだスクラムマスターとしての経験が少ないようであれば、セミナーをはじめとする集まりに参加することも1つの手です。


セミナーは勉強をする場としてもちろん重要ですが、他の参加者と交流して情報交換をする場としても非常に有意義だと言えます。

4.スクラムマスターとPM(プロジェクトマネージャー)の違い

スクラムマスターと混同されやすい存在として、「PM(プロジェクトマネージャー)」が挙げられます。両者の特徴を整理すると、以下の通りです。

スクラムマスター

スクラムメンバーを支援し、実務面で導く

PM(プロジェクトマネージャー)

タスクの配分や調整などをメンバーに対して行う

スクラムマスターはスクラムのメンバーに対して実務面でサポートを行う一方で、PM(プロジェクトマネージャー)は直接チームの実務には関与しないと言えます。またスクラムマスターにはマネジメントの役割はなく、スクラムメンバーのサポートや成長促進などが主な責務だと言えるでしょう。

5.スクラムマスターはいらない?

スクラムマスターについて整理している中で、「スクラムマスターがいなくてもあまり問題ないのではないか」と考えた方もいるのではないでしょうか。スクラムマスターの役割は、マネジメントではありません。


スクラムの各メンバーが自律してタスクを進めていけるなら、スクラムマスターが不在でもプロジェクトの進捗に影響が出ない可能性は確かにあります。

しかし、実際の開発の現場においては、プロダクトバックログに基づいたプロジェクトの分割と優先タスクの判断がスムーズにできないことは多々あるものです。


優先タスクを判断してチームメンバーが実力を発揮できるように導く存在として、スクラムマスターの存在は重要だと言えます。

6.スクラムマスターの代表的な認定資格

この章では、スクラムマスターの代表的な認定資格をお伝えします。

CertifiedScrumMaster(CSM:認定スクラムマスター)

運営主体

Scrum Alliance®

試験時間

60分

問題数・合格基準

50問中37問以上

資格の有効期限

2年

対応言語

日本語可

CertifiedScrumMaster(認定スクラムマスター)は、スクラムマスターの認定試験の中でも最もポピュラーなものだと言えます。取得するためには、講義やグループワークが含まれる研修を受講したうえで認定試験に合格することが必要です。


スクラムマスターとしてのキャリアを考えるならまずCertifiedScrumMasterを取得し、経験を積んでいくことを検討すると良いでしょう。

A-CSM(アドバンスド認定スクラムマスター)

運営主体

Scrum Alliance®

資格の有効期限

2年

対応言語

日本語可

A-CSM(アドバンスド認定スクラムマスター)は、CertifiedScrumMaster(認定スクラムマスター)の上位資格です。受験をするためにはCSMの資格を持っているだけでなく、過去5年以内にスクラムマスターに特化した職務を12ヵ月以上経験している必要があります。


実務経験が必要な資格試験であることからも、内容もより実践的なものになっていると言えるでしょう。

CSP-SM(認定スクラムプロフェッショナルスクラムマスター)

運営主体

Scrum Alliance®

資格の有効期限

2年

対応言語

日本語可

CSP-SM(認定スクラムプロフェッショナルスクラムマスター)は、A-CSM(アドバンスド認定スクラムマスター)よりもさらに上位の資格試験です。A-CSMの資格を保有し、過去5年以内にスクラムマスターとしての職務に24ヶ月以上ついた経験がないと、試験を受けることができません。

ProfessionalScrumMaster(PSM)

運営主体

Scrum.org

試験時間

60分

問題数・合格基準

80問中85%以上

資格の有効期限

期限なし

対応言語

英語のみ

ProfessionalScrumMaster(PSM)は、Scrum.orgが運営しているスクラムマスターの認定資格です。3段階のレベルが用意されており、講義を受けたうえで試験に挑戦します(試験だけを受けることも可能)。

Registered Scrum Master(RSM)

運営主体

Scrum Inc.

試験時間

制限なし

問題数・合格基準

30問中70%以上

資格の有効期限

1年

対応言語

日本語可

Registered Scrum Master(RSM)は、Scrum Inc.が運営している認定資格です。スクラム経験が無くても受講できるコースであり、資格取得目的はもちろん勉強したいと考えている方が利用することももちろんできます。

7.スクラムマスターの資格・研修に挑戦するメリット

この章では、スクラムマスターの資格や研修に挑戦するメリットについてお伝えします。

スクラム開発への理解が深まる

資格や研修に挑戦するメリットとしてはまず、スクラム開発への理解が深まることが挙げられます。資格取得に向けて勉強を続けることで、スクラム自体への理解が深まることが考えられます。


スクラムをチーム・組織に広めることは、スクラムマスターの重要な役割の1つです。そしてスクラムマスターの資格取得に挑戦することで、スクラム開発の原理原則や正しいフレームワークなどの基本を体系的に学べます。


スクラム開発に関する理解が深まればスクラムマスターとして自信を持って仕事ができるだけでなく、周囲からの信頼を勝ち取ることにもつながるでしょう。

スキルが身に付く

スキルや知識を身に着けられることも、資格取得や研修に挑戦する大きな利点だと言えます。スクラムメンバーをサポートして成長を促すためには、スクラムマスター自身もしっかりとした知識やスキルを包括的に身に着けていなくてはいけません。


自分にとって不足している知識や必要なスキルを特定して学ぶにつれて、周囲から信頼されるスクラムマスターに近づけるでしょう。

自信を持って業務にあたれる

資格を取得することで、スクラムマスターとしての自信を持って業務にあたることにもつながります。資格によって自分の実力を客観的に示すことができ、周囲からの信頼もより強く得ることが可能でしょう。

8.スクラムマスターの年収

スクラムマスターの年収は500〜1,000万円程度、案件によっては1,500万円程度になることもあるとされています。フリーランススタートが扱っている中では、スクラムマスターの経験が望ましい案件では年収750〜1,350万円程度相当の報酬帯が中心です。


正社員としては1,000万円以上の求人が多数あり、全体的には600〜1,200万円の求人が中心だと言えるでしょう。国内ではまだアジャイル開発が浸透しているとは言えないことから、スクラムマスターに対する需要も今後高まっていくことが十分に考えられます。


スクラム開発を導入したい企業にとっては、スクラムマスターの経験や知識を持った人材は重宝されると考えられるでしょう。

9.まとめ

スクラムマスターとは、アジャイル開発の一種であるスクラム開発においてメンバーをサポートし、成功に導く責務を負った専門職です。会議や日常の業務では他のメンバーをリードすることが期待されます。


そのためスクラムマスターには高いコミュニケーション能力やスケジュール管理力、そして周囲をサポートするために自らを進んで成長させていくための向上心などが求められるでしょう。

スクラムマスターにはいくつかの専門資格が用意されていることから、キャリアアップだけでなくスキルアップにも大いにご活用ください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.スクラムマスターとは

スクラム開発とは

2.スクラムマスターの仕事内容(役割と責任)

スプリント計画会議の進行

スタンドアップミーティングの実施

プロダクトバックログの支援

チームメンバーのコーチング・ティーチング

トラブル・障害の解消

3.スクラムマスターに必要なスキル・能力

コミュニケーション力

スケジュール管理力

開発に関する知識・技術力

問題解決能力

向上心

4.スクラムマスターとPM(プロジェクトマネージャー)の違い

5.スクラムマスターはいらない?

6.スクラムマスターの代表的な認定資格

CertifiedScrumMaster(CSM:認定スクラムマスター)

A-CSM(アドバンスド認定スクラムマスター)

CSP-SM(認定スクラムプロフェッショナルスクラムマスター)

ProfessionalScrumMaster(PSM)

Registered Scrum Master(RSM)

7.スクラムマスターの資格・研修に挑戦するメリット

スクラム開発への理解が深まる

スキルが身に付く

自信を持って業務にあたれる

8.スクラムマスターの年収

9.まとめ