G検定とは、一般社団法人 日本ディープラーニング協会より提供されているディープラーニングの基礎知識があり、それを事業に活用する能力があるかどうかを測る資格検定です。
ディープラーニングを含むAI(人工知能)分野は近年注目されており、かつ多くの分野で活用が加速しています。
ディープラーニングと聞くと難しいイメージがありますが、多くの方が利用しているGoogle検索にはRankBrain、Neural matching、BERT、MUMなどの検索アルゴリズムが使われており、これにはディープラーニングが利用されています。
そんな注目されている分野に関連しているG検定だからこそ、将来への投資と考え個人や企業ごとで受験している人も少なくありません。
そんな注目されている分野の知識を体系的に学習できるのがG検定です。
本記事ではG検定について解説します。
具体的にはG検定の試験時間や試験範囲、合格率、難易度などの試験詳細からG検定を習得するメリットやデメリット、G検定に合格するためのおすすめのテキストを解説します。
G検定を現在勉強している/今後勉強する予定の方はぜひご一読ください。
特に記事をご一読していただきたい方
G検定とは何かについて
G検定の出題範囲や合格率など試験詳細について
G検定に合格するメリットについて
G検定の資格取得におけるデメリットについて
G検定合格のためのおすすめ参考書や問題集
2023年4月のG検定の改定箇所を知りたい方
将来的にIT業界やエンジニアとして働く方
目次
1.G検定とは
G検定は一般社団法人 日本ディープラーニング協会より提供されているデジタル時代である現代に社会人としてAIやディープラーニングの活⽤リテラシーを⾝につけるための資格検定です。
G検定を通して以下6つのことが学習できます。
AIとは
AI領域における様々な技術手法
ディープラーニングとは
産業活用事例
活用のために知っておきべきこと
数理・統計、基礎知識
G検定には、合格者だけが参加できるコミュニティCDLEがあり、ディープラーニングを使っている方や開発している方が多く参加しています。様々な情報交換や交流が日常的に開催されていますので、そこから継続的な学習ができるだけでなく、繋がれることもできます。
なお、経済産業省がオブザーバーを務めるデジタルリテラシー協議会は、社会人が持つべきデジタルリテラシー(Di-Lite)のうち、AI・ディープラーニング領域に関してはG検定の受験をすすめています。
G検定とE資格の違い
G検定とE資格の違いについて解説します。
一般社団法人 日本ディープラーニング協会は、G検定のほかに「E資格」という資格検定も行っています。
E資格もディープラーニングに関する資格ですが、E資格は「実装する人材、エンジニア向け」の資格であり、より専門性の高い知識を持ち、適切な手段を選択して実装ができる人材を認定するのが特徴です。
深層学習や機械学習、開発・運用環境などが出題範囲となっており、かつ職種別の合格者を見ても「研究・開発」や「情報システム・システム企画」の方が約70%を占めていることからエンジニア向けということがわかります。
機械学習や深層学習(ディープラーニング)などを開発したい側の方はE資格を受験すると良いでしょう。それ以外の方はG検定の資格取得をおすすめします。
2.G検定試験
この章ではG検定の概要について詳しく解説します。
G検定について理解したい/受験を検討している方は特に目を通してみてください。
G検定の詳細
G検定の詳細について以下にてまとめています。
試験会場 | オンライン実施(自宅受験) Windows、MacOSによるPC環境での受験を推奨 |
試験日時 | 原則として年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)開催 試験の開催日情報はG検定公式サイトで確認可能 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 こちらで例題を確認可能 |
問題数 | 200問程度 |
合格点 | 非公開 |
受験料(税込) | 一般:13,200円 学生:5,500円 受験日から2年以内は半額(一般:6,600円、学生:2,750円)で受験可能 Courseraの受講修了証を提示すると、30%引き(一般:9,240円、学生:3,850円)で受験可能 |
受験資格 | 制限なし |
試験結果 | 試験の2~3週間後、G検定受験サイトに登録したメールアドレス宛に届く |
再受験対象者の方は半額で受験できますが、過去受験した際のIDでログインし受験申込することで対象者として割引が適用されるため、IDを残しておくと良いでしょう。
G検定の出題範囲
G検定の出題範囲について解説します。
G検定試験の出題範囲は、公式サイトの「G検定の試験範囲(シラバス)と例題」から確認できます。
人工知能とは | 人工知能の定義、人工知能分野で議論される問題 |
---|---|
人工知能をめぐる動向 | 探索・推論、知識表現とエキスパートシステム、機械学習、ディープラーニング |
機械学習の概要 | 教師あり学習、教師なし学習、強化学習、モデルの選択・評価 |
ディープラーニングの概要 | ニューラルネットワークとディープラーニング、活性化関数、誤差関数、正則化、誤差逆伝播法、最適化手法 |
ディープラーニングの要素技術 | 全結合層、畳み込み層、正規化層、プーリング層、スキップ結合、回帰結合層、Attention、オートエンコーダ、データ拡張 |
ディープラーニングの応用例 | 画像認識、自然言語処理、音声処理、深層強化学習、データ生成、転移学習・ファインチューニング、マルチモーダル、モデルの解釈性、モデルの軽量化 |
AI の社会実装に向けて | AIプロジェクトの進め方、データの収集・加工・分析・学習 |
AI に必要な数理・統計知識 | AI に必要な数理・統計知識、 |
AIに関する法律と契約 | 個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法、独占禁止法、AI開発委託契約、AIサービス提供契約 |
AI倫理・AIガバナンス | 国内外のガイドライン、プライバシー、公平性、安全性とセキュリティ、悪用、透明性、民主主義、環境保護、労働政策、その他の重要な価値、AIガバナンス |
(引用:https://www.jdla.org/certificate/general/#general_No02)
G検定出題範囲の詳細を確認したい方はこちらよりシラバスをダウンロードしましょう。
G検定を受験するのであれば、効率的な勉強ができるように試験範囲は事前に把握しておきましょう。
G検定の受験者数と合格率
G検定の受験者数は2017年の開催以降、累計受験者数は133,224名、累計合格者数は89,092名、平均合格率は66.8%です。
過去5年間の受験者数と合格率に関しては、以下の数値になっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2020年度 | 26,100名 | 17,172名 | 65.1% |
2021年度 | 20,911名 | 13,217名 | 63.2% |
2022年度 | 20,660名 | 13,079名 | 63.2% |
2023年度 | 23,359名 | 15,938名 | 68.7% |
2024年度 | 20,919名 | 15,163名 | 72.8% |
※2024年9月時点のデータ
G検定の難易度
G検定の難易度を見ていきましょう。直近5年のG検定の平均合格率は66.8%です。
G検の難易度は、AIやディープラーニングに関する他の資格と比較して低いです。例えば、AI関連の資格である「E資格」の合格率は、毎回40%前後で推移しており、より高度な技術的知識を求められるため難易度が高いと言われています。
これに対し、G検はAIやディープラーニングの基礎知識を評価する資格であり、技術者のみならずビジネスパーソンやマネージャーも対象としているため、実装スキルよりも理論や応用に重点が置かれています。累計133,224名の受験者のうち89,092名が合格していることからも、適切な学習を行えば合格が可能な試験です。
ディープラーニングの初学者にとっては挑戦的ではあるものの、他の技術者向け試験に比べると手が届きやすい資格と言えるでしょう。
G検定の申し込み手順
G検定の申し込み手順は以下の通りです。
はじめての場合、こちらから新規アカウント作成可能
受験チケットを購入
※支払い方法はクレジットカードかコンビニ決済
受験日程を選択
受験
申込期限内に完了させなければ受験ができないため、余裕をもってG検定の申し込みを行いましょう。
試験1か月前より、申し込み開始日の詳細がホームページやFacebookページに掲載されます。
決済手続きが完了してしまうと、キャンセルや返金は受け付けられないので、確実に受験ができるタイミングで申し込みを行いましょう。
G検定の受験当日までにこちらの操作マニュアルに目を通しておきましょう。
試験の途中で一時停止はできないため、万全の体制で試験に臨むことをおすすめします。
G検定の有効期限
G検定の資格には、有効期限が設定されていません。
そのため1度受験に合格すれば、そのまま資格を使い続けることができます。
G検定の試験範囲であるディープラーニングは最先端技術の中の1分野であるため、日々開発が行われています。
資格取得後も最新情報を定期的にチェックしたり、積極的な学習を行うとよりG検定が活きるでしょう。
G検定の勉強時間
G検定に合格するために必要な勉強時間は、だいたい30〜50時間程度でしょう。
1日1時間の勉強を確保できる場合、1ヶ月間集中できれば合格の確率を高められるでしょう。
もちろんG検定合格までの勉強時間には個人差があり、IT知識が少ない方はより長い勉強時間が必要です。
一方でディープラーニングなどIT知識がある方はもっと短い勉強時間で済むケースもあるでしょう。
上記時間はあくまでも目安であるため、基礎知識や学習効率、理解度により個人差が大きく生じるため参考としてお考えください。
3.G検定の資格取得メリット
この章ではG検定の資格取得メリットについて解説します。
G検定を含む試験勉強を本格的に行う前にその試験を受験する目的を改めて考えましょう。
もしかしたらその試験勉強自体が不要な場合も大いにあり得ますので、少しの時間でも良いので受験する目的を考えてから受験するようにしましょう。
ディープラーニングやAI(人工知能)の基礎が体系的に学習できる
G検定の資格取得メリットとしてディープラーニングやAI(人工知能)の基礎が体系的に学習できることが挙げられます。
AI(人工知能)の概要や機械学習の代表的な手法、ディープラーニングの概要や手法、ディープラーニングやAI(人工知能)の社会実装など、大枠の部分から深い知識まで一貫した知識を身につけられます。
ディープラーニングやAI(人工知能)分野は、将来的に大きく躍進する分野の1つとなり得るでしょう。
G検定を習得しておくことで多くのシーンで活躍できる人材として重宝されるでしょう。
転職・就職に有利に働く可能性がある
G検定の資格取得メリットとして転職・就職に有利に働く可能性があることが挙げられます。
G検定を取得しても即戦力として採用されるケースはないですが、AI・ディープラーニングの活⽤リテラシーを⾝につけることによりIT業界をはじめとする転職や就職に有利に働きやすくなるでしょう。
業界によっては就職や転職に有利にならない場合もありますので、適当な業界で働く方はG検定の資格取得を検討してみましょう。
資格手当や報奨金を貰える可能性がある
G検定の資格取得メリットとして資格手当や報奨金を貰えることが挙げられます。
ある企業ではG検定に合格すると、10,000円の報奨金がもらえる制度や資格手当で年間60,000円の増収する制度もあります。
例えば、ソフトバンクではG検定合格者に20,000円と受験料を付与しています。
知識を証明でき、かつ年収の増加も記載できるためG検定の受験を検討してみましょう。
4.G検定の資格取得デメリット
この章ではG検定の資格取得デメリットについて解説します。
G検定を含む資格取得はメリットに目が行きやすいですが、しっかりデメリットも考慮した上で試験勉強を始めましょう。
勉強する時間が必要
G検定の資格取得デメリットとして勉強する時間が必要ということが挙げられます。
つまりある程度の時間を犠牲にする必要があるということです。先述した学習時間では約30〜50時間です。
仮にG検定が自分の目的において不必要な資格であるなら時間を無駄にしてしまいます。
自分の時間を削り勉強時間に費やす可能性があることを念頭に改めてG検定の受験が必要なのかを考えましょう。
5.G検定合格のためのおすすめのテキスト
この章ではG検定合格のためのおすすめテキストについて解説します。
ぜひ参考にしてみましょう。
深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第3版
この本はディープラーニング G検定 公式テキストの改訂版であり、ディープラーニングに関する入門書としても最適なテキストです。
試験運営団体である「日本ディープラーニング協会」が監修であり、改訂された新シラバスに完全準拠しています。
章末問題を増量しておりかつ分かりやすい解説付きとなっていますので、G検定を受験する方にとっては必須のテキストです。
ディープラーニング活用の教科書 実践編
「ディープラーニング活用の教科書 実践編」は、日本ディープラーニング協会監修のもと、ディープラーニング技術のビジネス応用に特化した実践的なガイドです。企業のAI導入事例や技術的な詳細を解説し、初心者から中級者向けに、どのようにしてディープラーニングを活用できるかを具体的に紹介しています。
特に、実際のビジネスや産業での活用事例に焦点を当て、技術の実務的な適用に役立つ情報を提供しています。専門家やディープラーニング初心者におすすめの一冊です。
ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 法律・倫理テキスト
「ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 法律・倫理テキスト」は、AIの資格試験である「G検定」に向けた学習テキストです。2023年に発行され、AIやディープラーニングの技術に関する法的・倫理的側面に焦点を当てています。
著者は法律やAI分野の専門家であり、日本ディープラーニング協会が監修しています。受験者が法律や倫理に関する知識を深め、G検定合格を目指すための実践的な内容が含まれています。
過去問もしっかり解こう
G検定の合格を目指すのなら、過去問を解くことも重要です。
模擬テストが無料で受けられるサイトや日本ディープラーニング協会で公開されている例題やシラバスの試験範囲を確認し、具体的にどのような問題が出題されるのかを傾向を把握しておきましょう。
6.G検定はカンニングして問題ないの?
G検定と検索すると、「G検定カンニング」という検索結果が出てきます。
G検定はWebで受験するため、試験中はテキストや問題集、Webでの検索が可能です。
しかし、試験時間(120分)に対して問題数(200問程度)と膨大な量があるため、勉強せずに当日検索などカンニングしながら合格することは困難です。
カンニングペーパーを作成しての受験はおすすめはしませんが、それでもカンニングペーパーが必要という方は自己判断で作成を行いましょう。
7.まとめ
本記事ではG検定について解説します。
具体的にはG検定の試験時間や試験範囲、合格率、難易度などの試験詳細からG検定を習得するメリットやデメリット、G検定に合格するためのおすすめのテキストを解説しました。
G検定はAI(人工知能)やディープラーニングの活⽤リテラシーを⾝につけるための資格検定です。
IT未経験者や知識があまりなくても、しっかりと勉強することで資格合格できる試験です。
G検定を取得することによって、AI(人工知能)やディープラーニングの基礎を体系的に学習できたり、就職や転職に有利になり得るなどのメリットも多いです。しかし、G検定が自分の目的に対して必要かどうかを見極めることがまず重要ですので試験の情報収集と合わせて考えてみましょう。