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基本情報技術者試験とは?合格率や出題範囲を含む試験詳細や合格のための参考書を解説

公開日:2024/08/13最終更新日:2024/08/13

基本情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、情報処理の促進に関する法律に基づいて実施する試験です。

基本情報技術者試験は出題される内容はエンジニアとしてのベースとなっている部分が多く「新人エンジニアの登竜門」としても知られています。しかし、出題範囲が幅広いこともあり実務経験を十分に積んでいる方でも「出題内容が難しい」や「試験時間が足りなかった」などの意見が多く難しいという意見の方が多いです。


本記事では基本情報技術者試験について解説します。

具体的には基本情報技術者試験の試験対象者や試験時間や出題範囲などの試験詳細から基本情報技術者試験を習得するメリットやデメリット、基本情報技術者試験に合格するためのおすすめの参考書やサイトを解説します。


基本情報技術者試験を現在勉強している/今後勉強する予定の方はぜひご一読ください。


特に記事をご一読していただきたい方

  • 基本情報技術者試験とは何かについて

  • 基本情報技術者試験の出題範囲や合格率など試験詳細について

  • 基本情報技術者試験に合格するメリットについて

  • 基本情報技術者試験の資格取得におけるデメリットについて

  • 基本情報処理技術者試験合格のためのおすすめ参考書や問題集

  • 将来的にIT業界やエンジニアとして働く方


1.基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験はFundamental Information Technology Engineer Examination(FE)とも略される、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するITに関する基本的な知識・技能を評価する国家試験です。


2024年8月時点で応募者総数は約452万人、合格者総数は約60万人の国家試験であり、情報処理技術者試験の中で累計応募者数が最も多い試験区分です。ITエンジニアの登竜門という位置付けの試験であり、応募者数の約70%が社会人、約30%が学生です。

ITパスポート試験との違い

基本情報技術者試験とITパスポートの違いについて解説します。

基本情報技術者試験はITに関する基本的な知識・技能を評価する国家試験であり、ITパスポート試験はITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。


上記は公式で説明されている各試験の概要ですが、どちらも類似しています。

しかし、試験範囲など細かい箇所は異なりますが、大きく異なる点は難易度です。


ITパスポート試験はIT系の知識が必要な仕事につく人全般に向けた資格です。「IT技術についての基本的なところはよく知っている」と証明できる資格であるため、合格率も令和5年度で50.3%です。

一方、基本情報技術者試験はよりエンジニアに関連する専門的知識が多く出題されます。また難易度はITパスポートよりも高く、合格率も令和5年度で47.1%とやや低い水準です。

2.基本情報技術者試験

この章では基本情報技術者試験の概要について詳しく解説します。

基本情報技術者試験について理解したい/受験を検討している方は特に目を通してみてください。

基本情報技術者の詳細

基本情報技術者試験 科目A試験

基本情報技術者試験 科目B試験

試験会場

全国試験会場

試験会場はこちらから確認できます。

試験日時

CBT方式のため随時受験可能

試験時間

90分

100分

出題方式

多肢選択式(四肢択一)

多肢選択式

出題数

60問

20問

解答数

60問

20問

合格基準

1000点満点中600点

1000点満点中600点

受験料(税込)

7,500円

受験資格

特になし

試験結果

受験月の翌月中旬に、合格者の受験番号を情報処理推進機構ホームページから確認できます。


基本情報技術者試験を受験する場合、試験に関する情報は定期的にキャッチアップすることをおすすめします。

基本情報技術者試験の試験概要についてより詳しく知りたい方はこちらから確認できます。

基本情報技術者試験の出題範囲

基本情報技術者試験の出題範囲について解説します。

今回は2023年4月に改定になる出題範囲も解説するため、今後基本情報技術者試験の受験を検討している方もご参考ください。


【午前(科目A試験)】

・基礎理論(基礎理論、アルゴリズムとプログラミング)

・コンピュータシステム(コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア)

・技術要素(ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ)

・開発技術(システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)

・プロジェクトマネジメント(プロジェクトマネジメント)

・サービスマネジメント(サービスマネジメント、システム監査)

・システム戦略(システム戦略、システム企画)

・経営戦略(経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ)

・企業と法務(企業活動、法務)


上記が午前の出題範囲であり、特にセキュリティが重点分野となっています。


【科目B試験】

・プログラミング全般に関すること

実装するプログラムの要求仕様(入出力,処理,データ構造,アルゴリズムほか)の把握,

使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装,既存のプログラムの解読及び変

更,処理の流れや変数の変化の想定,プログラムのテスト,処理の誤りの特定(デバッグ)

及び修正方法の検討 など


・プログラムの処理の基本要素に関すること

型,変数,配列,代入,算術演算,比較演算,論理演算,選択処理,繰返し処理,手続・関

数の呼出し など


・データ構造及びアルゴリズムに関すること

再帰,スタック,キュー,木構造,グラフ,連結リスト,整列,文字列処理 など


・プログラミングの諸分野への適用に関すること

数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など


・情報セキュリティの確保に関すること

情報セキュリティ要求事項の提示(物理的管理策,技術的管理策及び組織的管理策),マルウ

ェアからの保護,バックアップ,ログ取得及び監視,情報の転送における情報セキュリティ

の維持,脆弱性管理,利用者アクセスの管理,運用状況の点検 など

(参照:https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014lt-att/youkou_ver5_3.pdf)

基本情報技術者試験の受験者数・受験者層・合格率

基本情報技術者試験の受験者数や受験者層、合格率をみていきましょう。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公式に掲載している「統計情報」をもとに、令和元年〜令和5年までの過去5年間の数値を表した表が以下です。


【基本情報技術者試験】

受験者数(人)

合格者数 (人)

合格率 (%)

令和元年度

121,556

31,224

25.7

令和2年度

52,993

25,499

48.1

令和3年度

85,428

34,734

40.7

令和4年度

46,072

18,235

39.6

令和5年度

121,611

57,278

47.1

※令和2,3年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で1回のみの実施となっています。


過去5年間において、基本情報技術者試験の平均合格率は40.2%という結果です。

添付画像の基本情報技術者試験の過去5年間のデータを見ると、受験者数が大きく変動している一方で、合格率は徐々に上昇しています。


令和元年度には受験者数が約12万人と多く、合格率は25.7%と低かったのに対し、令和5年度では受験者数がほぼ同数ながら合格率が47.1%に達しています。これは、試験の難易度が低下したというよりも、受験者層が変化し、より効果的な学習法が普及したことや受験範囲が変化したことが要因だと考えられます。


令和元年(2019年)以降、合格率が上昇している理由として受験者の母数が少ないことに加え、外出自粛期間中やリモートワーク(在宅勤務)を導入する企業が増加したことにより、自宅での勉強時間を確保できた方が多いためだと推測します。過去5年分の数値を元に受験者層別の合格率を割り出すと、社会人より学生の受験者の方が合格率がやや高くなっています。


学習できるツールや参考書はたくさんあるため、社会人に比べると学生の方が勉強時間を長く確保できたり調整しやすいためでしょう。

基本情報技術者試験の難易度

基本情報技術者試験の難易度はエンジニア経験者でもしっかりと学習時間を確保しないと試験合格は難しく、未経験者の合格はより難しくなるでしょう。

先述したとおり、過去5年間における基本情報技術者試験の平均合格率は40.2%です。


報処理技術者試験の中ではレベル1〜4まである中、レベル2に位置していますが基本情報技術者試験は誰でも簡単に合格できる試験とは言い難いでしょう。

令和5年4月以降の基本情報技術者試験は出題範囲がより狭められかつ、いつでも受験可能であるため、合格率が高くなっていることがわかるでしょう。

基本情報技術者試験の申し込み手順

基本情報技術者試験の申し込み手順は以下の通りです。

  1. 受験者登録

    ※初めての方は利用者IDの作成を行いましょう。こちらから作成可能です。

    一度登録したことがある方はこちらからログインできます。

  2. マイページより基本情報技術者試験を選択し「CBT試験申込」をクリック

  3. 「試験の選択」「アンケート」「エリア・日程」を選択

    ※住所や登録情報を入力できていない方は入力を行いましょう。

  4. 受験料支払い

    ※クレジットカード、コンビニ/銀行ATM(Pay-easy)、バウチャーチケットでの支払いが可能

  5. 予約完了

  6. 試験

  7. 合格発表


なお、基本情報技術者試験の受験申込後のキャンセル・返金はできません。

また、下記対応が必要な場合は申込前にハンディキャップWEB申請が必要です。

  • イヤーマフ(雑音遮断)※会場備品を使用可

  • 筆談対応

  • 車いす(電動車いすを含む)

  • 座席配慮(出入り口の近くなど)

  • 義手・義足(装具) (配慮が必要な方)

  • 試験中の薬の服用

基本情報技術者試験の有効期限

基本情報技術者試験の有効期限はありません。

しかし基本情報技術者試験の改定により今後変更になる場合もあり得ますので、定期的に情報はキャッチアップしましょう。

基本情報技術者試験の勉強時間

基本情報技術者試験の勉強時間についてエンジニア経験者や情報処理に知識がある方は50時間程度(1日3時間の勉強で約16日)、一方でエンジニア未経験や情報処理の知識がない方は200時間程度(1日3時間の勉強で約2ヶ月ちょっと)の勉強が必要だといわれています。

上記時間はあくまでも目安であるため、学習効率や理解度により個人差が大きく生じるため参考としてお考えください。

3.基本情報技術者試験の資格取得メリット

この章では基本情報技術者試験の資格取得メリットについて解説します。

基本情報技術者試験を含む試験勉強を本格的に行う前にその試験を受験する目的を改めて考えましょう。

もしかしたらその試験勉強自体が不要な場合も大いにあり得ますので、少しの時間でも良いので受験する目的を考えてから受験するようにしましょう。

情報処理の基礎知識を体系的に身に付けられる

基本情報技術者試験の資格取得メリットとして情報処理の基礎知識を体系的に身に付けられることが挙げられます。

試験対策の学習ではシステム設計や開発の知識を幅広く、勉強します。

そのため、エンジニアとして既に就業しているけど自己流で開発を行なっている方やエンジニアとしてシステム設計や開発知識を幅広く身につけたい方は基本情報技術者試験の受験をおすすめします。

IT系企業に就職/転職する際に有利になる可能性がある

基本情報技術者試験の資格取得メリットとしてIT系企業に就職/転職する際に有利になる可能性があることが挙げられます。

基本情報処理技術者資格を取得することで、即戦力にはなりませんが、基本的ITスキルを有する客観的な証明になります。

そのため、IT系企業への就職や転職する際、有利に働く可能性がありますので、時間に余裕のある方は取得を検討してみましょう。

資格手当や報奨金を貰える

基本情報技術者試験の資格取得メリットとして資格手当や報奨金を貰えることが挙げられます。

例えば、ある企業では基本情報技術者試験に合格すると、30,000円の報奨金がもらえる制度や資格手当で月額10,000円の増収する制度もあります。

知識を証明でき、かつ年収の増加も記載できるため基本情報技術者試験の受験を検討してみましょう。

上位資格取得の基礎となる

基本情報技術者試験の資格取得メリットとして上位資格取得の基礎となることが挙げられます。

基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の共通キャリアフレームワークの中でレベル2です。


基本情報技術者試験に合格すると上位資格であるレベル3の応用情報技術者試験、レベル4のネットワークスペシャリスト試験など各種高度試験への受験も行いやすくなるでしょう。

上位試験の合格はより専門的な知識が必要であり、基本情報技術者試験の範囲を深くしたものも多く出題されます。


基本情報技術者試験に合格することで上位資格への基礎を身につけましょう。

4.基本情報技術者試験の資格取得デメリット

この章では基本情報技術者試験の資格取得デメリットについて解説します。

基本情報技術者試験を含む資格取得はメリットに目が行きやすいですが、しっかりデメリットも考慮した上で試験勉強を始めましょう。

学習時間を確保する必要がある

基本情報技術者試験の資格取得デメリットとして学習時間を確保する必要があることが挙げられます。

つまりある程度の時間を犠牲にする必要があるということです。先述した学習時間ではエンジニア未経験者は約200時間の学習が必要です。


仮に基本情報技術者試験が自分の目的において不必要な資格であるなら時間を無駄にしてしまいます。

自分の時間を削り勉強時間に費やす可能性があることを念頭に改めて基本情報技術者試験の受験が必要なのかを考えましょう。

企業によっては評価されないこともあり得る

基本情報技術者試験の資格取得デメリットとして企業によっては評価されないこともあり得ることが挙げられます。

国家試験であるため、日本のIT企業であれば多くの方に認知されている資格ですが、特に外資系企業ではあまり認知されていない可能性があります。


自分の目的を把握し、基本情報技術者試験が本当に必要な資格かどうかを確認しましょう。

5.基本情報処理技術者試験合格のためのおすすめ参考書や問題集

この章では基本情報処理技術者試験合格のためのおすすめ参考書や問題集について解説します。

ぜひ参考にしてみましょう。

令和06年 イメージ&クレバー方式でよくわかる かやのき先生の基本情報技術者教室

この本は基本情報技術者試験を受験する方のためのやさしいオールインワンタイプの参考書&問題集です。

最新の傾向を分析し、出題頻度の高い分野を中心に、イラストや豊富な図解・例え話を駆使して理解しやすく・記憶に残りや


出題頻度の高い分野を中心にイラストを交えた説明や関連の本試験問題もしっかり掲載されています。

スマホで読める「厳選英略語100 暗記カード」もダウンロード可能であり、ぜひ基本情報技術者試験を受験する方は解いておきたい参考書の1つです。

令和06年 基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集

この本は合計22回分の演習ができる基本情報技術者試験の対策問題集です。

2023年4月から開始された新制度試験に完全対応しており、科目A・科目Bの両方について万全の対策ができます。


多くの模擬試験をこなすことで傾向を掴みやすく、時間を計りながら行うとより本番に近い環境で行えます。

300語以上の「おさえておきたい頻出用語・重要用語」をダウンロードできますので、基本情報技術者試験の傾向を

掴みたい方やとにかく問題を解きながら学習していく方におすすめの問題集です。

過去問を解こう!

基本情報技術者過去問道場というサイトがあり、このサイトは基本情報技術者試験過去問題の中からランダムに出題される解説付きのWeb問題集となっています。

無料で活用できるだけでなく、解説がしっかりついているため力試しやどんな試験かを確認したいかたはぜひチャレンジすることをおすすめします。

6.まとめ

本記事では基本情報技術者試験について解説します。

具体的には基本情報技術者試験の試験対象者や試験時間や出題範囲などの試験詳細から基本情報技術者試験を習得するメリットやデメリット、基本情報技術者試験に合格するためのおすすめの参考書やサイトを解説しました。


基本情報技術者試験は、IT技術者を目指す方であれば、合格したい試験です。

難易度はレベル2ですが、出題範囲が幅広く現職のエンジニアでもある程度勉強をしなければ合格が難しい試験です。


基本情報技術者試験を取得することによって、就職や転職に有利になる、ITの基礎知識を習得できるなどのメリットも多いです。しかし、基本情報技術者試験が自分の目的に対して必要かどうかを見極めることがまず重要ですので試験の情報収集と合わせて考えてみましょう。