Swiftは2014年にAppleが発表したオープンソースのプログラミング言語です。
Swiftはゲームアプリや業務アプリをはじめとしSNSアプリなど、各種ネイティブアプリ開発ができ様々な企業や業界で幅広く活用されています。
そんなSwift開発においてSwiftフレームワークの種類が多く、どの開発にどのフレームワークを活用するのが良いのか、どのフレームワークを習得すべきなのか、フリーランスエンジニアでも迷っている方は多いかと思います。
特定のフレームワークを募集条件にしている開発案件も多くあり、Swift開発においてフレームワークの習得は必須と言えるでしょう。
また、IT業界はトレンドが早く仮にトレンドではないSwiftフレームワークを習得した場合、それに費やした労力が無駄になってしまうことも。
今回はSwiftのフレームワークについてわかりやすく解説していきます。
具体的にはフレームワークの説明やライブラリとの違い、Swiftフレームワークのメリットやデメリット、Swiftフレームワークの市場動向、おすすめのSwiftフレームワークについて見ていきましょう。
しっかりと開発に適したSwiftフレームワークを把握し、フリーランスエンジニアとして第一線で活躍しましょう。
特にSwiftフレームワークの記事をご一読していただきたい方
Swiftエンジニアとして活躍をしている方
Swiftエンジニアを今後検討している方
Swiftやエンジニア自体に興味/関心がある方
Swiftフレームワークの知識/理解を学習したい方
Swiftフレームワークの市場動向を把握したい方
どのSwiftフレームワークを習得するか迷っている方
目次
1.フレームワークとは？
まず、Swiftフレームワークを解説する前にフレームワークについて解説していきます。
フレームワークとは、全体処理の流れがある程度決められているソフトウェアです。
もともと、フレームワークは枠組みや骨組みといった意味がありますが、エンジニアが使用するフレームワークの意味はソフトウェア開発の土台となるプログラム部品を指します。つまりプログラムのひな形です。
フレームワークには複数の種類があり、Webアプリケーション開発で活用する「Webアプリケーションフレームワーク」やデータのソートや文字列操作、テスト、数学関数などアプリケーション機能や性能、操作性向上のための「ユーティリティ系フレームワーク」などがあります。
フレームワークを活用することにより、システムやアプリケーション開発の工程を向上させることができます。
しかし、フレームワーク特有のコードがありプログラミング言語の習得に加え、一定のコードを習得する必要があります。
2.フレームワークとライブラリの違い
フレームワークについて理解できたところで、フレームワークと混同しやすいのがライブラリです。
この章ではフレームワークとライブラリの違いについて解説します。
フレームワーク：全体処理の流れがある程度決められているソフトウェア、つまりプログラムのひな形のことです。
ライブラリ：関数やクラスという再利用できる部品をまとめたコードの集まり。特にクラスを集めたものをクラスライブラリと呼びます。
フレームワークとライブラリの違いとはフレームワークはアプリケーションの設計レベルの再利用を目的としていることに対して、ライブラリは単にコードの再利用を目的としていることです。
3.Swiftフレームワーク活用のメリット
この章ではSwiftフレームワーク活用のメリットを解説していきます。
Swiftフレームワークのメリットをしっかり理解し習得するかどうかの判断材料にしましょう。
開発効率の向上
Swiftフレームワーク活用のメリットは開発効率の向上が挙げられます。
フレームワークは、原形で利用できるテンプレート、再利用可能なクラス、ライブラリ、API等で構成されています。
例えば多くのシステムやアプリケーション開発に利用されているつまり信頼できるSwiftフレームワークを導入することで、コーディングの大部分の用意が不必要になり、開発効率の向上に繋がります。
機能やデザインのカスタマイズも簡単に出来るため、短期間で質の高いシステムやアプリケーションを開発することが可能です。
近年MVP開発やリーンスタートアップという言葉が出てきているように、IT/Web業界ではシステムやアプリなどのサービスを最小工数で開発し、短期間でリリースすることが大切です。
バグの減少
Swiftフレームワーク活用のメリットはバグの減少が挙げられます。
Swift開発において、フレームワークを使わず開発を行うと、多くの箇所でバグが発生する可能性が高くなります。
これは単純に開発の力量が足りなかったこともあり得ますが、フレークワークを使用することで自力で書く際よりもバグが出にくくなる傾向にあります。
また、Swiftフレームワークは世界中多くのエンジニアに活用されており、ある程度のバグは解決されているということもSwiftフレームワークを活用するメリットです。
コードの統一性を保持
Swiftフレームワーク活用のメリットはコードの統一性を保持が挙げられます。
チームを含む1人以上でSwift開発を行う際、フレームワークを活用することでコードの統一性を保てます。
コーディングなどのスキルはフリーランスエンジニアごとで異なり、その人の個性やクセが出ます。
そのため開発効率が落ちたり、バグが多くなったり、エラー時の対応やコードを引き継ぐ際に時間がかかったりなどコードに統一性が無いことのデメリットは多いです。
Swiftフレームワークという共通ルールを使うことにより、フリーランスエンジニア毎のコーディングの違いを減らし、多人数開発にも対応しやすくなります。
4.Swiftフレームワーク活用のデメリット
この章ではSwiftフレームワーク活用のデメリットを解説していきます。
Swiftフレームワークのデメリットをしっかり理解し習得するかどうかの判断材料にしましょう。
フレームワーク習得時間が必要
Swiftフレームワーク活用のデメリットはSwiftフレームワーク習得に時間が必要ということです。
特に経験が浅い方や今後Swiftエンジニアを目指している方はSwift自体のプログラミング言語習得以外にSwiftフレームワークの習得にも時間を使う必要があります。
そのため、Swiftスキルのために素早いキャッチアップが必要です。
ドキュメントは英語で作成されていることも多くかつ、マイナーなSwiftフレームワークの場合、情報があまりないことなども有り得ます。
フレームワーク活用で処理が重くなる
Swiftフレームワーク活用のデメリットはフレームワーク活用で処理が重くなることが挙げられます。
Swiftフレームワークは汎用化されており、処理が重かったりさらにファイルサイズも大きいこともあります。
つまり、フレームワークの機能の一部しか使用しなくても同じ仕組みを利用するため、その分負荷がかかります。
Swiftフレームワークを活用する際は、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。
Swiftフレームワークの脆弱性
Swiftフレームワーク活用のデメリットはSwiftフレームワークの脆弱性が挙げられます。
Swiftフレームワークの中には脆弱性が報告されるものもあります。
フレームワークに脆弱性が発見されると、開発したシステムやアプリケーションなどサービスのセキュリティにも脆弱性があるということに繋がるので、最悪の場合信頼性が失われる恐れがあります。
主流Swiftフレームワークになるにつれて多くエンジニアやサービスに活用されているため、脆弱性が発見されることは稀ですが、事前に精査した上でSwiftフレームワームを活用しましょう。
5.Swiftフレームワークの選び方
この章ではSwiftフレームワークの選び方を解説していきます。
どのSwiftフレームワークを習得するか迷っているフリーランスエンジニアの方はどの選び方が最適なのかしっかり考えましょう。
目的別で選択
Swiftフレームワークの選び方として、目的別で選ぶ方法があります。
Swiftフレームワークは開発規模の大きさやどのようなものを開発するかなど、得意な部分がそれぞれ異なります。
一定数の学習時間がかかる多機能なフレームワークや最低限の知識があれば活用できる軽量なフレームワークなど様々です。
また、開発者の知識や開発を担当する機能に応じて、考えると良い場合もあります。
自分の環境で選択
Swiftフレームワークの選び方として、自分の環境で選ぶ方法があります。
Swiftフレームワークには様々なものがありますが、「いざとなったら質問や相談を周りにできるエンジニアはいるのか？」や「プログラミングスクールや社内研修で取り扱っているのか？」などフレームワークの習得に対して、自分の周りの環境に目を向けてみましょう。
もし詳しい人や学習環境が整っているSwiftフレームワークが身近にある場合は、そのSwiftフレームワークから始めるのも良いでしょう。
トレンドや将来性で選択
Swiftフレームワークの選び方として、トレンドや将来性で選ぶ方法があります。
上記解説した2点以外に特別な要件がなければ主流のSwiftフレームワークや世界中で注目されているSwiftフレームワークを選びましょう。
トレンドや将来性もあるフレームワークは、コードが記述やテストが簡単であるなど、何かしら注目されている理由が存在します。
また、トレンドや将来性のあるSwiftフレームワークはドキュメントや参考になる記事などの情報も豊富に公開されているので習得しやすいでしょう。
6.フレームワーク案件数から見るSwiftフレームワーク市場動向
この章ではフレームワーク案件数から見るSwiftフレームワーク市場動向を解説していきます。
フリーランスエージェントで公開されている案件を参考に、Swiftフレームワーク案件数を見ていきましょう。
Swiftフレームワーク案件数はReact Nativeが712件でExpressが305件です。
上記Swiftフレームワーク案件数を見ても、Swiftを用いたアプリ開発では特にReact Nativeが中心的なフレームワークとして採用されていることがわかります。
React Nativeの案件数が多いことから、企業がクロスプラットフォーム開発による効率化を重視している傾向が見られます。一方、Expressはバックエンド開発で広く使用されているNode.jsフレームワークであり、フロントエンドやモバイル開発が中心のSwiftとは性質が異なるため、単純な比較は適切ではありません。
このような状況から、現在のSwiftフレームワーク市場ではReact Nativeが優勢である一方で、Swiftを用いたネイティブ開発にも継続的な需要があると考えられます。
また、React Native案件の多さを考慮すると、クロスプラットフォーム開発のスキルが市場で重視されていることが分かります。そのため、これからSwiftフレームワークの学習を検討している方には、React Nativeも併せて習得することをおすすめします。
なお、SwiftはiOSアプリ開発の事実上の標準となっているため、iOS開発に特化したキャリアを目指す場合は、UIKitやSwiftUIなどのフレームワークの習得が不可欠です。一方で、モバイルアプリ開発全般での活躍を目指すのであれば、React Nativeのスキルを身につけることが有利な選択となるでしょう。
7.Swiftフレームワークのトレンド
この章ではSwiftフレームワークのトレンドについてやトレンドから見えてくる市場動向を解説していきます。
どのSwiftフレームワークが頻繁に検索されているのかGoogleトレンドで見ていきましょう。
Swiftフレームワークのトレンドの結果はExpress、React Native、Vapor、Slimane、Swiftonの順となりました。
Swiftフレームワークでは、Expressが一番のトレンドとなります。
Expressが最も検索されている理由として、バックエンド開発に広く採用されているNode.jsフレームワークとしての地位が挙げられます。一方、React Nativeが2位である点は、モバイルアプリ開発のクロスプラットフォーム需要の高さを反映していると考えられます。VaporやSlimane、SwiftonはSwiftネイティブのフレームワークであり、これらは主にiOSアプリやサーバーサイドSwiftの開発に特化した用途で検索されていると推測されます。
また、Swiftフレームワーク案件数とトレンドの間に相関関係があまりないこともわかりました。このことから、検索トレンドが高いフレームワークが必ずしも市場で多く利用されているとは限らないこともわかりました。
Swiftフレームワークを活用する開発者にとって、トレンドを把握することは重要です。特に、新しい技術やツールの導入を検討する際には、Swift開発に密接に関連するVaporのようなフレームワークを注目するだけでなく、React Nativeのようなクロスプラットフォーム対応フレームワークの習得も視野に入れるべきです。
SwiftはiOS開発において必要不可欠なプログラミング言語であり、そのフレームワークもIT市場やモバイル端末市場を牽引してきた重要な開発技術の1つです。これらのフレームワークは安定した需要を持つだけでなく、モダンな開発要件に対応するための選択肢として引き続き注目されています。
市場動向を捉えるためには、検索トレンドだけでなく、具体的な案件情報や企業の採用動向にも目を向けることが重要です。これにより、より正確にSwiftフレームワークの需要や技術トレンドを把握することができるでしょう。
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8.おすすめのSwiftフレームワーク8選
この章では、Swift開発の際に活用されるSwiftフレームワーク8選を紹介します。
Swift開発に携わるフリーランスエンジニアの方は、ぜひ興味/関心のあるSwiftフレームワークを探してみましょう。
React Native
React NativeはMeta（旧Facebook）が開発したオープンソースのモバイルアプリケーションフレームワークです。
React Nativeはモバイルアプリ開発において代表的なフレームワークであり、かつ代表的なiOSフレームワークでもあります。
React Nativeは2015年にリリースされ、2024年11月時点では最新バージョンは0.76です。
React NativeはFacebookやUberEatsなど多くの企業に活用されています。
React NativeはJavaScriptで開発することができるため、JavaやSwiftが書けないエンジニアでもアプリ開発ができます。
React Nativeと混同しやすいReactについて簡単に違いを説明します。
ReactはUIとサーバー上で実行されるWebアプリケーションを構築するために使われるライブラリです。
React NativeはMeta（旧Facebook）が開発したオープンソースのモバイルアプリケーションフレームワークです。
ReactとReact Nativeは異なりますので注意しましょう。
React Nativeの特徴としてクロスプラットフォームアプリ開発が可能であること、ホットリロードで簡単に修正可能であること、迅速な開発ができること、ドキュメントが豊富で学習コストが低いことなどが挙げられます。
また、アップデートへの対応が大変だったり、エラー箇所が分かりにくいという特徴もあります。
React Nativeは小〜大規模のアプリ開発まで幅広く活用できるiOSフレームワークです。
Sinatra
SinatraはSwiftに活用されるオープンソースWebアプリケーションフレームワークです。
SinatraはSwift3に対応しているWEBフレームワークであり、2024年11月時点では0.5.0が最新バージョンとなっています。
Sinatraの特徴として高速で開発できることやSlimane自身がHTTP Serverとして機能することなどが挙げられます。
Perfect
PerfectはSwift製のサーバーサイドフレームワークです。
Perfectは2015年にWebアプリケーションとREST APIを開発するためリリースされ、2021年6月時点では4.0.1が最新バージョンとなっています。
Perfectの特徴として、Swiftでフロントエンドとバックエンドの両方を開発できるようになったことや自身で用意したサーバー環境で使うことができることなどが挙げられます。
Swifton
SwiftonはSwiftに活用されるRuby on Railsを参考に開発されたオープンソースWebアプリケーションフレームワークです。
Swiftonの特徴としてコード記述がシンプルであることやMySQLやPostgreSQLをサポートしているなどが挙げられます。
SwiftonはRuby on Railsに慣れている方は活用しやすいでしょう。
Kitura
Kituraは2016年にIBM社が開発したWebフレームワークです。
Kituraは2016年にリリースされ2024年11月時点では2.9.1が最新バージョンとなっています。
KituraはBluemixというPaaS環境で動作するWebアプリケーションやWebサーバー開発ができることなどが挙げられます。
なお、2020年1月Kituraはサーバー側のSwiftでの作業はIBMで中止され、2020年9月にコミュニティが運営するプロジェクトに移行しています。
Express(Swift Express)
ExpressはSwiftに活用されるMVCによる開発サポートがされたオープンソースWebアプリケーションフレームワークです。
Expressの特徴として軽量かつシンプルであること、MVCを採用していること、Web APIサーバーなどの開発に適していることなどが挙げられます。
Expressは軽量かつシンプルであるため、小〜中規模のアプリ開発やWeb APIサーバー開発に適したSwiftフレームワークです。
Vapor
VaporはSwiftで記述されたオープンソースのWebフレームワークです。
Vaporは2016年にリリースされており、2024年11月時点では4.106.4が最新バージョンとなっています。
VaporはRESTful API、Webアプリ、リアルタイムアプリケーションなどの開発に適したSwiftフレームワークです。
HTTPSwiftServer
HTTPSwiftServerはSwiftでMacOSアプリを開発するためのフレームワークです。
HTTPSwiftServerは2024年11月時点では2.0.0が最新バージョンとなっています。
HANAMIの特徴としてシンプルな設計であることやCocoaフレームワークを拡張するために活用されHTTPをiOSアプリと連携できることなどが挙げられます。
9.まとめ
今回はSwiftに焦点を当ててフレームワークの説明やライブラリとの違い、Swiftフレームワークのメリットデメリット、フレームワーク案件数から見たSwiftフレームワーク市場動向、おすすめのSwiftフレームワークについて解説していきました。
Swiftフレームワークの活用によって、セキュリティ面の確保やバグの減少など開発効率の向上を図ることができます。
また、Swiftフレームワークはそれぞれ特徴があります。
例えばReact NativeやPerfectなど開発目的や規模、環境によって使用するフレームワークは異なります。
Swiftフレームワークをはじめとし、開発スキルには流行り廃りがあり、日々新しいものが開発され、消えていっています。
そのためSwiftやSwift周辺知識に関する最新情報を常に確認し、アップデートしましょう。
フリーランスエンジニアとして自分の開発スキルや習得環境に適したSwiftフレームワークを選択し、IT業界で常に活躍していきましょう。
