テックリードを目指すことで、エンジニアとしての成長につながるだけでなく、実績を増やしやすくなり、キャリアアップや新たなポジションへの挑戦ができるようになります。
テックリードがどのような役割を持っているのか理解し、キャリアパスや将来的なキャリアプランを計画的に立てていきましょう。
今回はテックリードに関する基礎知識、テックリードと各種ポジションの違い、テックリードに必要なスキル、テックリードを目指す方法やキャリアパスについてお話しします。
目次
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1.テックリードに関する基礎知識
はじめにテックリードに関する基礎知識について解説します。
テックリードとは
テックリードとは、プロジェクトやエンジニアチーム内の技術的なリーダーを担う役割のポジションを指します。海外で普及してきた新しいポジションの一つであり、日本でも徐々に認知と普及が進んできました。
エンジニア部門の技術的な牽引と成長の促進
エンジニア部門と他の部門のスムーズな連携
チームとしての目標や進捗の達成
効率化や最適化、自動化の推進
新しい技術の導入や運用の成功をサポート
上記がテックリードの主な役割です。基本的にはエンジニア部門を基軸として、技術面での牽引及びリードをするのが役割であり、必要に応じて他の部門の技術的な底上げを行うこともあります。
例えば、業務効率化に役立つツールやサービスを導入し、導入の成果を出すといったようなことも担うことで、チームやプロジェクト全体の最適化や効率化にも寄与するということです。
新しい技術を受け入れたり、改善を繰り返したりしながら、プロジェクトメンバーやチームメンバーの成長を促し、全体の生産性を向上させるといったような見方もできるでしょう。
テックリードエンジニアとは
テックリードエンジニアとは、テックリードを担うエンジニアを指します。ただし、テックリードとの大きな違いはなく、エンジニア部門や技術チームのリーダーとして、テックリードの役割を兼任しながら、自分自身でもエンジニアリングを行うポジションと言えるでしょう。
また、テックリードは年齢関係なくIT技術やデジタル技術に精通していることが前提条件でもあるため、エンジニア職のチームリーダーやベテランの人材から選任することもあります。
エンジニアとしてテックリードを目指すことは自然な流れであり、キャリアアップにつながるキャリアパスということです。
テックリードスペシャリストとは
テックリードスペシャリストとは、テックリードやテックリードエンジニアを育成したり、統括して牽引していく役割を担うポジションです。部門や部署を問わずテックリードを育てていくことで、部門ごとのIT格差を生じさせないことが期待できるため、企業や組織全体の技術的な成長が期待できるようになります。
また、いくつかのプロジェクトが同時進行をしているような場合において必要なポジションでもあり、プロジェクトチームごとの技術的なばらつきやクオリティの違いを生じさせないためにも必須です。
同じく全体のプロジェクトチームの技術的な底上げを行うことで、企業組織として継続的な成長を実現していくためにも必要な存在と言えるでしょう。
なお、テックリードスペシャリストには適正な年齢はなく、実力やスキルがあればなることは可能です。
2.テックリードと各種ポジションの違い
次にテックリードと各種ポジションの違いについて解説します。
テックリードとリードエンジニアの違い
リードエンジニアとは、プロジェクトチームや開発部門において、技術的なスキルの底上げを担うポジションを指します。リードエンジニアとテックリードとの違いとして、リードエンジニアがどちらかといえば技術やスキルの向上に重点を置いていることです。
また、テックリードの場合は技術面での底上げを担うという点において、リードエンジニアよりも責任が重いということも違いと言えるでしょう。
ただし、企業や組織、もしくはプロジェクト単位で解釈が異なることもあるため、結果的に両方を兼任しているといったようなことも考えられます。
テックリードとシニアエンジニアの違い
シニアエンジニアとは、エンジニアとしてのスキルや知識が豊富であり、実績や経験のあるベテランエンジニアです。ベテランエンジニアと言っても必ずしも老齢であるという意味ではなく、技術的に習熟していれば若い方でもシニアエンジニアと呼ばれることがあります。
どちらかと言えばリードエンジニアとしてのポジションに近い存在でもあり、テックリードとの違いは、リーダーとしての役割を持っているかどうかという部分です。
そのため、状況によっては結果としてテックリードとシニアエンジニアを兼任しているというような状況も考えられるでしょう。
テックリードとプロジェクトリーダーの違い
プロジェクトリーダーはプロジェクト全体の総括を担う存在です。テックリードはどちらかといえば技術面での統括を行う存在であるため、担当する領域外には大きく責任が伴うことがないといったことに違いがあると言えます。
プロジェクトリーダーとテックリードの共通点は、プロジェクトを成功させることです。そのためプロジェクトリーダーと協力しながら、他部門との調整や必要に応じて新しい技術の導入なども進めていくことが求められるでしょう。
3.テックリードに必要なスキル
次にテックリードに必要なスキルについて解説します。
デジタルやテクノロジーに関するスキル
テックリードはデジタルやテクノロジーに関する知識やスキルが必須です。
そのため、知識やスキルの習得に前向きであること、古い技術についても深い知見を持ちながら、新しい技術を積極的に受け入れられる姿勢が必要になります。
例えば、昨今においては生成AIによる技術革新が非常に高まりました。法的なリスクなどを理解しながら、適切に利用できるようにした企業や組織は生産性が向上しています。
もちろん、業界や業種によっては要不要の判断は必要ではありますが、新しい技術を受け入れられる体制と、実務で運用レベルに引き上げると言ったスキルはテックリードとして必要不可欠と言えるでしょう。
リーダーシップ
テックリードは技術的に牽引するためのリーダーシップも必要になります。新しい技術の導入とともに、既存の技術への深い理解を求めていくことで、技術的な基盤を底上げしていくためにも必要なスキルということです。
特に新しい技術の導入などにおいて、根拠のあるデータに基づいて理解を深めた上で導入しないと、運用段階で具体的な成果を上げられないこともあります。
実際に実務に携わるプロジェクトメンバーやチームメンバーがテックリードをリーダーとして信じて、技術的なスキルや知識の習得に前向きになってもらうためにも必須のスキルと言えるでしょう。
コミュニケーション能力
テックリードとしてコミュニケーション能力も必須です。単にツールやサービスの使い方を教えて終わりということではなく、コミュニケーションしていきながらみんながスムーズにツールなどに慣れて行けるようにしていくためにも必要と言えます。
また、状況によっては技術面に疎い部門や部署、もしくはメンバーに技術的な指南を行う必要も出てくるため、理解をしてもらうための伝え方、理解ができているかどうか把握するための聞き方なども含めて、技術を活用できる体制を整えることも意識すべきと言えるでしょう。
マネジメント能力
テックリードはマネジメント能力も必須と言えます。エンジニア部門のチームのリーダーとして、もしくは技術チームのリーダーとして時系列的な目標達成の把握、進捗状況の管理、人材の把握、機材の調達など、プロジェクトを成功させるために必要な情報をマネジメントする必要があるということです。
ただ単に新しい技術や効率的なツールを導入するといったような役割ではないということ、部門や部署の課題・問題を解決できる技術、ツールの選定も行うことも必要であり、ソフトウェアやツールによっては課金が必要なこともあるため、コストにあったパフォーマンスが得られるかを精査できる能力も必要になるでしょう。
課題や問題の発見と解決ができる能力
テックリードは課題や問題の発見と解決ができる能力も必要になります。特に課題や問題が発見できなければ解決及び改善につながりませんし、技術的な底上げや成長ができなくなってしまうため、何が課題や問題なのか、どうすればもっと状況を良くできるのかといった視点を持つ必要があるのです。
何がボトルネックになっているのか、どこに負担がかかり属人化しているのか、作業配分は適正にされているのかなども含めて、他のスキルと組み合わせながら様々な視点から課題や問題の発見と解決をしていくことが求められます。
4.テックリードを目指す方法やキャリアパス
次にテックリードを目指す方法やキャリアパスについて解説します。
最新の情報やアップデートなど情報収集を怠らない
テックリードを目指す場合、まずは最新の情報やアップデートなど情報収集を怠らないことから始めましょう。新しい技術が実用段階になってきたのか、これから実用段階に向けて利用していくべきかなども含めて、様々な情報収集を行うべきということです。
同じく既存の技術やツールおよびサービスにおいても、アップデートによってさらに効率化が実現できるようになる場合もありますし、場合によっては他の技術やツールに切り替えた方がコストパフォーマンスに繋がったりするようなこともあるため、幅広く情報収集を行っていくと良いでしょう。
様々な技術を身につけられるよう柔軟になる
テックリードを目指すのであれば、必要に応じて様々な技術を身につけられるよう柔軟になっておくこともおすすめです。
もちろん、必ずしもテックリードが自分自身で、チームメンバーのスキルの全てを理解するというのは不可能ではあるものの、ある程度理解をし、技術的に利用できる段階までしておいた方が説得力もあり、何よりも技術を底上げする際に自分自身が体感できるようになります。
また、業界や業種問わず新しい技術を導入するといったようなことはなかなかに大変です。チームを引っ張るリーダーとしてテックリードが新しい技術に触れて、他のメンバーにその良さを伝えることが技術的な成長を続けるために必要になると覚えておいてください。
課題や問題を発見し具体的な技術で解決することを積み重ねる
テックリードは課題を発見し、その上で具体的な技術を用いて解決することが求められるため、日々の暮らしや生活、そして仕事中においても、小さなことから大きなことまで課題や問題の発見と解決、すなわち改善することを積み重ねていきましょう。
特に課題や問題の発見は「気づき」が必要であることから、様々なことに目を向けながら、他の人が気づかないようなことに気づけるといったような特殊なスキルでもあります。
同じく解決するためにも「気づき」が必要であるため、情報収集によって得た知識やスキルをどのように活用すれば改善できるのかといった視点を持てるようにしておきましょう。
チームリーダーやプロジェクトリーダーの経験を積む
テックリードを目指しながら、チームリーダーやプロジェクトリーダーの経験を積むためのキャリアパスも考えていきましょう。
最初は自分自身がチームメンバーの一人として、他のメンバーと協力していくこと、コミュニケーションしていきながら成長していくことを目指すことが大切です。
そしてコミュニケーションの中で信頼を勝ち得ていくことで、チームリーダーとしてのキャリアアップが期待できるようになり、チームリーダーの経験が増えてくれば必然的にテックリードとしての道が開かれてきます。
小規模のプロジェクトリーダーの経験を積む機会を経て、より大きく高度なプロジェクトに参画できるようになっていけば、テックリードとして、エンジニアとしてのキャリアアップも目指しやすくなるでしょう。
将来的にはCTOを目指せる可能性も
テックリードは将来的に最高技術責任者であるCTOを目指せる可能性も出てきます。例えばシニアエンジニア、チームリーダー、テックリード、プロジェクトリーダーもしくはテックリードスペシャリストといった形でキャリアを積み重ねていくことができれば実現可能となるでしょう。
もちろん、キャリアを積み上げていく上で必要なのはコミュニケーションと実績を増やしていくことです。結果を出すためには技術的な知見とともにリーダーシップやコミュニケーション能力を高めていく必要があります。
自分自身の成長とともに、チーム、プロジェクト、企業や組織といった形で成長を促していく範囲と責任を増やしていくことでキャリアアップにつなげていくことが大切です。
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5.まとめ
今回はテックリードに関する基礎知識、テックリードと各種ポジションの違い、テックリードに必要なスキル、テックリードを目指す方法やキャリアパスについてお話しました。
テックリードを目指すということ自体が、スキルアップとキャリアアップに繋がるのは間違いありません。エンジニアとして成長するために学ぶのが好き、新しい技術をどんどん受け入れて様々なことに挑戦したいという方であれば、テックリードとしての素質は十分にありますので、エンジニアとしてのキャリアパスの選択肢の一つとして目指してみることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。