フリーランスとして現在活躍している方、もしくはこれからフリーランスとして活躍したい方で屋号が必要かどうか悩まれるケースがあります。
屋号はどのようなものかをまずは理解し、フリーランスとして働くために必要かどうか判断できるようにしておくことが重要です。
今回はフリーランスにおける屋号の必要性、屋号のネーミングのポイント、屋号の登録や変更のタイミングそしてフリーランスとして屋号が必要か悩んだ時の判断基準についてお話しします。
目次
1.フリーランスにおける屋号の必要性
はじめにフリーランスにおける屋号の必要性について解説します。
屋号とは何か
屋号とはフリーランスや個人事業主が事業を行う際に、本名とは別に使用できる名称です。歴史的には名字がなかった時代に、家ごとに屋号をつけることで同じ名前の人を区別したり、職業が分かりやすくなるようにしたりしたという由来があります。
苗字を持つことが義務付けられたタイミングでは、屋号をそのまま、もしくは屋号の一部を違う文字に変更するなどして味を決めたとのことです。
現代においてはフリーランスや個人事業主として、どのような職種なのか、どのような仕事をしてくれるのかを区別するのに用いられ、お店や事務所の名前などとして利用されています。
必ずしも屋号をつけなくてはならないという明確なルールはないため、屋号をつけるかどうかは本人の判断に委ねられていると言って良いでしょう。
商号登記や商標登録との違い
商号登記とは法人が事業を行う際に使用する名称です。屋号との違いは同じ住所に同じ名称で登録ができないということが挙げられます。言い換えれば、違う住所であれば同じ名称を利用されてしまうということです。
ただし、自分自身で屋号を命名する場合においては、差別化の意味においても他の人とかぶるような文字列は使わない方が良いでしょう。
商標登録とは商品やサービス、もしくは企業名や組織名を明確に識別するための名称や記号です。商標登録した場合は他の人に同じ名称や記号を使用されることがなくなるため、たとえ違う住所であっても同じ名称を名乗られることはありません。
確実に差別化したい場合は商標登録もしておくべきと言えるでしょう。
フリーランスが屋号を作るメリット
屋号で事業用の銀行口座が作成できる
本名ではなく屋号で実績を積み上げることができる
芸名やペンネームなど本名以外で活動しやすい
ネーミング次第で覚えてもらいやすくなる
広告やSNSなどでの集客及び認知拡大もしやすい
上記がフリーランスが屋号を作るメリットです。事業用の銀行口座が作成できる点が一番重要であり、納税や法的な手続きの計算などがしやすくなります。
また、屋号で実績を積み上げることができる点、同じく本名以外で活動しやすくなる点なども重要であり、本名とインターネット上の情報があまり紐付かなくなるのも大きな利点と言えるでしょう。
特に昨今ではSNSなどを活用した集客や認知拡大も重要であることから、分かりやすく覚えやすいネーミングを行うことで、画面の先の将来的な顧客に認知され、覚えてもらえる可能性も高まります。
認知拡大と興味関心の育成はビジネスで基本でもあるため、屋号のネーミングについては時間や投資をしっかりと行うようにしましょう.
フリーランスが屋号を作るデメリット
長く使い続けたい場合は命名が大変
安易に命名してしまうと変更が大変
よく調べないと重複してしまう可能性がある
事業活動にマッチしていないと効果が薄くなる
ネガティブなイメージの文字列を誤って使うと大変
上記がフリーランスが屋号を作るデメリットです。リスクに発展してしまう可能性があるのは、よく知らないと重複してしまう可能性があるという部分であり、何らかの法律や権利及び商標権などを侵害してしまうことで、思わぬ損害賠償を受ける可能性があるので注意する必要があります。
また、将来的に法人化をしたい場合など、長く使い続けたい場合は命名も大変です。場合によってはプロのライターなどにネーミングを依頼する必要もあるため、それなりの金額になることも覚えておきましょう。
その他、ネガティブなイメージの文字列が組まれていた場合、直接的に売り上げにマイナスな影響を与えることがあるという点も覚えておく必要があります。
2.屋号のネーミングのポイント
次に屋号のネーミングのポイントについて解説します。
印象に残りやすく、差別化できる屋号にすること
屋号のネーミングのポイントとして、印象に残りやすく、差別化できる屋号にすることが挙げられます。屋号は事業の顔であると同時に、ブランドとしての名称の役割を持つのが理由です。
実際に知っている商品と知らない商品では、知っている商品の方が安心ですし、よほどの理由がなければ他の商品を購入するということもないでしょう。
フリーランスや個人事業主としても同様であり、同業他社との差別化をしながら、まずは覚えてもらい選んでもらうことが重要ということです。
屋号を見ただけでどんな仕事をしてくれるのか、どんな商品やサービスがあるのかわかるようにすること、似たような名前の他の屋号を避けることで、事業活動のペルソナやターゲットを獲得しやすくなるでしょう。
法律に触れるようなネーミングの屋号を採用しないこと
屋号のネーミングのポイントとして、法律に触れるようなネーミングの屋号を採用しないことが挙げられます。商標登録されているものや著作権に触れるようなものは避け、同時に公序良俗に反しないような文字列を使うことが重要です。
印象に残るために、過激なキーワードや大げさな表現を使いたくなりますが、インパクトだけを狙っていては逆効果になることも忘れないようにしましょう。その他にも屋号の時点では株式会社や公的機関の名称となるものは命名できませんので、十分に注意しながらネーミングすることをおすすめします。
また、デメリットでも少し触れましたが、過去に何らかのトラブルや炎上になったようなキーワードを誤ってつけてしまうと、ネガティブな印象だけで売上に繋がらなくなるので注意してください。
自分自身が気に入っていることも大事
屋号のネーミングのポイントとして、自分自身が気に入っていることも大事です。屋号は本名とは別の自分自身の名称であるということを前提にして考えること、自分自身が声に出して紹介する必要があるものだということも忘れないでください。
必要に応じて名刺やパンフレットにも記載することはありますし、看板や広告などに大きく掲載することも考えられます。同様にSNSで集客を行う場合においても、自分自身が気に入っていないとなかなか投稿が進まないこともあるため、自分自身のもう一つの名前として使いやすいという点にも配慮すると良いでしょう。
同じく将来的な顧客やファンの方が文字を入力する際や声に出して読み上げた時に恥ずかしくないものという視点も考えておくことをおすすめします。
検索エンジンや海外に配慮することもおすすめ
屋号をネーミングする際、検索エンジンや海外に配慮することもおすすめです。同業他社との差別化にも共通する部分ですが、検索エンジンで検索した場合に自分の屋号のみが表示されること、似たような屋号や会社が表示されないことを徹底することで、ホームページやが検索結果に表示されやすくなります。
海外の配慮とは、翻訳などを利用して英語や他の外国語に変換した場合においても、分かりやすく見やすいようにすること、言葉が通じにくいようなものは設定しないことで、グローバルに展開しやすくなるという意味です。もちろん、仕事内容や業種によっては国内のみで通用すれば良い場合もあるため、状況に応じて海外へ配慮すべきかは柔軟に考えるようにしましょう。
3.屋号の登録や変更のタイミング
次に屋号の登録や変更のタイミングについて解説します。
フリーランスとして開業する時
フリーランスとして開業する時、開業届に屋号を記入する項目があります。屋号を登録する際の一番早いタイミングでもあり、可能であれば開業届を出す時点で屋号を登録するかどうかを考えておくのがおすすめです。
すでにフリーランスや個人事業主として活動している場合でも、開業届を出すことで屋号を登録することができます。特に最初の段階ではうまくいくかわからず、軌道に乗った時点でいろいろと進めたいと思っていたケースでありがちですが、慌てて安易な屋号にしないことだけ注意しましょう。
確定申告するタイミングでもOK
確定申告するタイミングでも屋号を登録することができます。確定申告の際に宿を記入する欄があるのでそこに記入すれば登録されるようになっており、変更したい場合もこのタイミングで登録すれば変更されるようになっています。
注意点としては税務署などには確定申告のタイミングで屋号を変更することで手続きが終わりますが、既に屋号を作っており、銀行口座などを屋号で登録している場合はそちらも変更する必要がある点です。
その他、小規模共済などに加入している場合など、変更した屋号を同じように伝える必要があるので忘れないようにしましょう。
屋号を商号登記することも可能
屋号を商号登記する場合は、法務局に申請する必要があります。変更する場合も同様であり、法務局で手続きを行いましょう。
開業の時点で登記したり、本格的にビジネスをしたいと思った時点で登記したりすることで、同じ住所や所在地での登記を防ぐことに繋がります。
現実問題として個人事業主やフリーランスの方に対し、直接的な嫌がらせのような形で同一住所での登記を行うようなことはないにせよ、将来的に何らかのトラブルに見舞われた際に不要なリスクを避けられる可能性が高いため、短期間ではなく長期間事業を続けたいのであれば前もって登記しておくと良いでしょう。
法人化する際にそのまま使うことも可能
商号登記した屋号を法人化する際にそのまま使うことも可能です。メリットの部分で実績を積み上げることができるという点と通じており、名前を変更せずに得意先や取引先の信用を継続できるのが非常に利点と言えるでしょう。
同様にSNSでの集客や店頭の看板、その他の広告で利用した屋号がそのまま残しておけるため、細かな変更をしなくて良いのも大きな利点です。自分自身が慣れ親しんだ屋号で授業を継続していけるという重要なことでもあり、しっかりとした屋号をつけるべき理由でもあるということは覚えておきましょう。
4.フリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準
次にフリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準について解説します。
フリーランスとして長く続ける予定かどうか
フリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準として、フリーランスとして長く続ける予定かどうかが挙げられます。同様に長く続けられるかどうかという点にも考慮する必要があるのを忘れてはいけません。
実際にフリーランスや個人事業主として事業を始める場合、売上や利益も含めて事業を稼働させる資金を得る必要があります。開業のタイミングで貯金などを投資した場合などにありがちですが、事業を始めたものの思ったよりも仕事が取れない、もしくは商品が売れないと言ったようなこともありえるのです。
長く続ける予定と同時に長く続けられるかどうかを考えて、継続できそうであれば屋号を登録した方が良いでしょう。
企業と直接的に契約を結びたいと考えているかどうか
フリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準として、企業と直接的に契約を結びたいと考えているかどうかが挙げられます。昨今ではフリーランスや個人事業主が個人名で仕事するのも珍しくありませんが、業種によっては屋号があった方が有利に働く可能性も考えられるということです。
実際に公的機関や官公庁、もしくは大企業においては取引先に屋号を要求することもあるため、個人ではダメということはありませんがあってマイナスになることはない、むしろプラスの要素が大きいと覚えておいて間違いはないでしょう。
同様に銀行口座の振込先においても、屋号で取得しておいた方がそれなりの手続きをしっかりと進められているという形で信用されやすくなるということも覚えておいてください。
単なる副業ではなく、将来的に法人化も考えているかどうか
フリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準として、単なる副業ではなく、将来的に法人化も考えているかどうかが挙げられます。
企業と直接的に契約を結びたいかどうかという点にも通じていますが、将来的にそれなりの利益や利上げになったり、自分自身だけでなく従業員を雇い入れたりというような仕事や業種であれば前もって屋号を取得しておいた方が無難です。
その他にも家族と一緒にできる仕事内容だったり、仕事の一部を家族に任せて報酬を支払ったりしたい場合も同様であり、継続的かつ安定的な形で授業を進めたい場合にも向いています。
昨今では特定のサービスを制作したり、ニッチな商品を開発したりすることで将来買収を見込んで行くビジネスモデルも存在することから、自分自身のビジネスはどのようなものかという視点でも判断すると良いでしょう。
職種は仕事的に屋号があった方が都合が良いかどうか
フリーランスとして屋号が必要かどうか悩んだ時の判断基準として、職種や仕事的に屋号があった方が都合が良いかどうかが挙げられます。極端な例で言えば、何らかの創作活動をしている場合において、本名よりもペンネームの方が活動しやすいです。
インターネット上のアカウント名やID自体が自分自身を示す文字列になっており、屋号として登録することで様々な利益や納税及び法律に関する部分にしっかりと対応するという場合にも向いています。
また、実店舗などで商品を販売する場合、もしくはネットショップなどで商品を販売したいという場合においても、店舗名やショップ名で登録しておいた方がスムーズですし、何よりも覚えてもらいやすくなるのは間違いありません。
個人で実績がある方の場合は、個人でそのまま契約などをした方が良い場合もありますが、本名自体が個人情報であることを考えると、なるべくなら屋号で活動できるようにしておく方が無難ということを覚えておきましょう。
5.まとめ
今回はフリーランスにおける屋号の必要性、屋号のネーミングのポイント、屋号の登録や変更のタイミングそしてフリーランスとして屋号が必要か悩んだ時の判断基準についてお話しました。
基本的には次の転職までのつなぎとしてフリーランスをやるというような形でなければ、基本的には屋号を登録しておいた方が良いでしょう。
同様に規模や職種によって異なることを忘れず、フリーランスや個人事業主としてどのような仕事をするか、長く続けられそうかという視点から判断をすることが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。