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エンジニアの残業が多いのは本当?誤解?転職や就職に悩まれてる方へのアドバイス

公開日:2024/08/14最終更新日:2024/08/14

「エンジニアは残業が多い」という情報を見て悩んだり、実際に「もう少し残業の少ないところで働きたい」と考えたりしていませんか。


結論から言えば残業が多い技術領域のエンジニア職は確かに存在するものの、現実的には「勤め先や雇用先次第」ということもあります。


今回はエンジニアの残業時間の現状、エンジニアの残業の原因、エンジニアの残業時間の削減に向けた取り組み、エンジニアの転職や就職に悩まれている方へのアドバイスについてお話しします。


1.エンジニアの残業時間の現状

はじめにエンジニアの残業時間の現状について解説します。

エンジニアの残業時間の平均は15.2時間

実際のエンジニアの残業時間の平均として、厚生労働省の発表した令和4年9月分の結果を参考にすると、産業分類における情報通信業の部分で15.2時間と示されています。もちろん、エンジニア職は情報通信業だけに分類されるものではありませんが、平均値だけを見ると必ずしも他と比較として多いということはありません。


ただし、平均故に残業が全くない仕事も含まれることから、実際には過剰な残業が発生していることも推測できます。現実問題として残業がゼロの企業が100社、残業が40時間の企業が100社となれば、単純計算で20時間という平均値が出るようなことを考えると、平均値だけを見てどこでも残業は少ないだろうと考えてしまうことは避けるべきということです。


参考:厚生労働省-毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果確報

プログラマー・システムエンジニア・機電系エンジニアの平均残業時間

パーソルクロステクノロジーのアンケート結果によると、エンジニアの平均残業時間は10時間から30時間が33.2%で最も多く、30時間から40時間が17.2%と次に多いという集計が出ています。


月平均何回くらい残業しているかというアンケート結果においては、9回以上が45.9%となっており、8回以下は54.1%という数字が算出されることから、担当する業務範囲や現場によって残業時間に差が出るというのは明白です。


前述したように厚生労働省の平均残業時間が15.2時間というのも、現実に即した数字であり、残業が多い少ないは約半々であるということも示されているとは言えます。

残業の少ないエンジニア職種

次に残業の少ないエンジニア職種をいくつかご紹介します。

平均18.9時間:テクニカルサポート/ヘルプデスク

テクニカルサポートやヘルプデスクは主に平日昼間に対応するのが主な役割であり、残業が発生する可能性が低いエンジニア職種です。基本的には顧客や社内のサポートを行うのが業務領域であることから、一般的な日中の営業時間外に仕事はないと見て間違いないでしょう。


ただし、現場によって異なる部分はあるため、他の業務との兼業などをしている場合は残業時間に増減があることも留意しておいてください。

平均20.2時間:品質管理(IT/通信)

ITや通信などの品質管理におけるエンジニア職種も、基本的には残業時間が少ない傾向にあります。基本的には納期がなく、サービスやアプリの品質を管理するのが役割であることから、残業が発生しにくいでしょう。


ただし、同様の業務領域であるインフラエンジニアの場合は残業時間が伸びる傾向にあることは覚えておきましょう。

平均20.3時間:データベース/セキュリティエンジニア

データベースやセキュリティエンジニアも残業が少ない傾向にあるエンジニア職種と言えます。プロジェクトの中でも新しく何かを開発するという役割ではなく、既存の技術をしっかりと組み込むという業務領域であること、一度構築した後は運用がメインとなることが理由です。


ただし、どちらの場合もセキュリティインシデントやサービス及びアプリの不具合などの対応をする可能性があるため、突発的な勤務が発生する可能性があることは知っておきましょう。

平均21.5時間:社内SE

社内SEは自社のシステム開発や保守を行うのが主な業務であり、比較的残業が少ないエンジニア職種と言えます。開発に関して上流工程のみを担当し、開発自体は外部委託するようなケースですと、ほとんど残業する機会はないかもしれません。


ただし、社内SEの場合も人数や予算がギリギリで納期も短い場合においては、平均残業時間以上の勤務が発生する可能性があることも留意しておきましょう。

残業が少ないエンジニア職種の共通点


残業が少ないエンジニア職種に共通して言えるのは、納期に追われるような部分の技術を担当するかどうかということにあります。同じく納期を調整する立場や管理する立場の場合は残業が少ない傾向にあると見て良いでしょう。


注意点としてはプロジェクトや会社の規模によって異なること、同じく現場や案件の内容によって状況が異なってくるという点にあります。また、残業が少ないことを前提としていると就職や転職の幅を狭めてしまう可能性があることも理解しておくことが大切です。

残業時間の削減に向けた取り組みは着実に進んでいる

先ほど残業時間の平均値だけを見て、どこでも残業は少ないって考えることは避けるべきと伝えました。ただし、残業時間の削減に向けた取り組みは着実に進んでおり、その結果が平均値に現れたと見ることは間違いではありません。


実際にノー残業デーを実施する企業や残業時間0を目指す企業も着実に増えており、残業自体がコストとなるという考え方もあるのが理由です。

  • 楽天株式会社

  • 株式会社ソフトバンクグループ

  • 株式会社NTTデータ

  • KDDI株式会社

  • 株式会社博報堂


上記はグループや部門・部署の一部においてノー残業デイを実施している企業の一例です。


同時にIT人材の不足により、雇用した人材が離職しないよう努めなければ事業の継続が難しくなったのも原因と言えます。


また、昔からエンジニア職は転職をすることで年収を上げていくというスタンスでもあるため、より良い環境とより良い報酬を用意しておくことで、優秀なエンジニアが集まりやすく、定着しやすくなるというのも後押ししていると見て間違いないでしょう。

勤め先や希望する職種によって残業時間に差が出る点に注意

エンジニアの残業が多いと言われてきた原因として、エンジニアごとの職種、または対応する技術領域によって、残業時間に差が出ることも挙げられます。

実際に何らかのインフラを担うエンジニア、もしくはシステム開発を行っているエンジニアなど、仕事や案件の内容によっては、突発的な呼び出しもあれば、納期に間に合わせるための過剰な残業があるのも事実です。


昨今ではオンラインサービスやアプリの開発も活発になっており、24時間365日システムを稼働させるために、常日頃からたくさんのエンジニアの努力で、様々な利便性が確保され実現しています。同時にシステムの保守やアップデートも必要となるため、勤め先や希望する職種によっては、平均的な残業時間を大幅に超えてしまうこともありえるということです。

2.エンジニアの残業の原因

次にエンジニアの残業の原因について解説します。

人員と仕事量がアンバランスで調整ができない

IT業界は深刻な人手不足に陥っているため、人員が常に足らない企業や組織が存在します。しかし、デジタル化がどんどん進んでいることによって、システム開発や保守の仕事は増えており、人員と仕事量がアンバランスで調整ができないことが原因になってしまうのです。


もちろん、人的リソースを確保し、同時にしっかりと収益を上げているような事業形態であれば、残業ゼロを実現することも難しくありません。人的リソースに余裕があれば残業代に支払うコストは軽減されますし、働きやすい職場環境であれば優秀な人材がやめることはないでしょう。


逆説的に言えば人手不足のまま収益が上げられないようなケースですと、働きやすい環境とはいえず、十分な報酬をもらえずに人が離職してしまうため、ネガティブな循環から抜け出すことができなくなってしまうのです。

納期やスケジュールが厳しくいつもギリギリ

納期やスケジュールが厳しく、いつもギリギリの仕事や案件ばかりの状況も残業が増える要因と言えます。納期が厳しいのに報酬が安かったり、納期が厳しい分報酬が高かったりなど様々なケースはありますが、結局は仕事が取れなければ事業活動を継続することができないため、無理な受注をしてしまうことも原因です。


結果として足りない人員を外部委託やアウトソーシング、エンジニア派遣などに頼ることになれば、手元に残らない人材にいつまでも経費を支払い続けることになります。結果として従業員が働く環境を良くすることに投資ができず、最終的には技術者がいないような環境に陥ってしまうことも考えられるでしょう。

残業が「当たり前」になっている古い文化が残っている

IT業界に限ったことではありませんが、残業が当たり前になっている古い文化が残っているのもエンジニアの残業の原因と言えます。極端なことを言えば残業代込みでギリギリに生活できるような報酬のケースもあるため、働く側も仕方なく残業をしなくてはならないのです。


ただし、現実問題として人手不足であることと働きたい場所で働くということは別問題でもあり、自分のなりたい技術領域のエンジニアが偶然残業が多かった、もしくは残業が多い現場だったということもありえます。


結果として働く側が残業が当たり前と染みついてしまうことで、残業が多い環境がそのまま残ってしまい、改善されないまま平均値を底上げする存在になってしまうのです。

3.エンジニアの残業時間の削減に向けた取り組み

次にエンジニアの残業時間の削減に向けた取り組みについて解説します。

テレワークや時短勤務など様々な働き方の導入

IT業界においてはテレワークや時短勤務など様々な働き方の導入が進んでいます。デジタル技術との相性もよく、エンジニア自体がテレワークに向いていることもあるため、テレワーク廃止という声が上がった今でも継続的にテレワークを推進している企業や組織が存在するのも一般的です。


スキルや経験のあるエンジニアであれば、オンラインでの面接を経てそのままテレワークという方もいらっしゃるため、働きやすさの点においてエンジニアは非常に優位にあると言えるでしょう。雇用する側としても優秀な人材を確保しやすいという利点もあり、単に残業時間を増やしてリソースを確保するのではなく、生産性の高い時間を増やすということに注力してきたということです。

最適化が進めやすい業界であることがアドバンテージに

生産性の高い時間を増やすということは、言い換えれば最適化をするということでもあります。実際にエンジニア領域の業界や業種においては、オンラインで繋がることでサービスやツールをさらに活用し、対面でなくとも様々なことに対応することが可能です。デジタル化やペーパーレス化においても、他業種よりは進んでいることも間違いないでしょう。


最適化が進みやすい業界であることがアドバンテージになり、経過として最適化が進み生産性が向上すれば時間の余力が生まれ、人的リソースがさらに確保されることで、働きやすく安定した事業活動ができるようになるのです。そのため、職場環境の改善や多種多様な働き方に対応している企業を選ぶことで、年収がアップする可能性も高まりますし、長く継続的に働ける居場所を見つけることもできるようになります。

業務標準化や業務平準化も進んでいる

昨今では属人化の排除という形で、業務標準化や業務平準化も進んでいます。単なるマニュアルの作成や共有だけでなく、顧客情報の共有、ナレッジの蓄積と共有、ツールやシステムの活用方法なども共有されるようになったことで、特定の誰かに依存することなく事業活動ができるようになったのです。


ただし、エンジニアはあくまでも技術職であるため、スキルや経験に頼らざるを得ないような状況もあります。実際にインフラを担当するエンジニアや24時間稼働するサービスのセキュリティインシデントに対応できるエンジニアであれば、状況によっては残業が多く発生することも考えられるということです。


そのため、エンジニアの育成やさらなるスキルアップに投資することにも注目が集まり、新しい技術の習得や学習するために従業員へ手当てを支給することも増えてきました。


エンジニア職を目指すのであれば、エンジニア領域だからこそ働きやすい環境が得やすいこと、同時に働きやすい環境を整えている企業を選ぶことを実施すべきということです。

4.エンジニアの転職や就職に悩まれている方へのアドバイス

次にエンジニアの転職や就職に悩まれている方へのアドバイスをご紹介します。

目指すエンジニアが残業が多いかチェックすること

自分自身が目指すエンジニアの技術領域が、残業が多いかチェックすることから始めましょう。ポイントとしては、残業が多いというネガティブな情報は発信される可能性が非常に高いため、実際にはそうではない現場もあるということも理解しておくことです。


同様にエンジニアの職種によっては、深夜や早朝にしか作業できないような現場もあります。前もって理解していれば責任感を持って続けることもできますので、知らなくて辛くてやめてしまうということのないようにあらかじめ理解を深めておきましょう。


自分が目指すエンジニアの技術領域が、必ずしも残業が多いわけではない、もしくは現在は多いが少ない現場もあると判断できた場合は、就職や転職も含めて前向きになるべきです。特に現時点において残業に悩まれている場合は、転職によってスキルや経験によっては年収をアップさせつつ、残業を減らすことができる可能性があります。


実際にエンジニア領域だけでなく、日本の組織や企業全体が残業削減に取り組んでいることを理解し、より良い環境を求めるということを目指すことが大切です。

応募先がどのような働き方ができるか確認すること


応募先がどのような働き方ができるか必ずチェックしましょう。IT業界であればテレワークやリモートワークが可能かどうか、出社が必須であれば週何日か、フレックスタイム制が導入されているか、時短勤務なども対応可能かなどを見ておくべきです。


多種多様の働き方に対応しているということは、優秀な人材を確保するために尽力している証拠でもあります。結果として優秀な人材が残っている可能性が非常に高く、スキルや経験のある人と一緒に働ける可能性が高まるのです。


同時に働きやすい環境で働き続けることができれば、同じ時間の間でも自分自身がエンジニアとして成長しやすくなるため、柔軟な働き方が選択できる応募先かどうか見極めるようにしましょう。

働く場所を変えることも大事

すでにエンジニアとして働いている方、これからエンジニアとして働きたいと考えている方の両方にお伝えしたいのが、働く場所を変えることも大事だということです。実際に人手不足の現場に入ってしまった場合、生活のサイクルが馴染んでしまうと、次の仕事を探す余力がなくなってしまうこともあります。


特に残業に悩まされているようなケースの場合、転職活動をする気力がないまま心身を疲弊してしまい、そのまま働き続けることになりかねません。エンジニアはある程度スキルや経験を積むことで、自分自身が働く現場や場所を選べるということを忘れず、働き方と共に生き方も大切にすることを覚えておいてください。


実際に会社勤めでなくてもフリーランスで稼いでいる人も存在します。さらにフリーランスで実力を積み重ねることで、以前とは違う形でより良い環境に身を置けるようになるということも不可能ではありません。効率化や最適化を身をもって実践すべきエンジニアとして、残業をしなくても済むような形の働き方や生き方ができる企業や組織を見つけることをおすすめします。

5.まとめ

今回は具体的なエンジニア職種や残業の少ないエンジニア職種を含むエンジニアの残業時間の現状、エンジニアの残業の原因、エンジニアの残業時間の削減に向けた取り組み、エンジニアの転職や就職に悩まれている方へのアドバイスについてお話しました。


昨今ではエンジニア領域に限らず、様々な業界業種で人手不足が深刻な状況になっています。そのため、人手不足を解消できない企業や組織においては、当然のことながら現場の従業員が残業という形で負担を感じることもあるでしょう。


同時に残業時間も含めて、有給休暇の取得率や定着率の向上、離職率の低下に力を入れている企業や組織も着実に増えていることからも、どこで働くかという点を重視して、就職や転職活動をすることをおすすめします。


最後までお読みいただきありがとうございました。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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