フリーランスエンジニアに特化したエージェントは、案件の獲得にとても役立ちます。ただし、提供元やサービスによって手数料が異なること、手数料差し引いた金額が報酬になることを忘れてはなりません。
フリーランスのエージェントがどのようなものか理解し、上手に活用できるようにしていきましょう。
今回はフリーランスのエージェントに関する基礎知識、エージェントには手数料がかかるのか、フリーランスが仕事をする上で陥りやすいトラブル、手数料を支払ってでもフリーランスのエージェントを利用すべきかお話しします。
目次
1.フリーランスのエージェントに関する基礎知識
はじめにフリーランスのエージェントに関する基礎知識について解説します。
フリーランスのエージェントの仕組みとは
フリーランスのエージェントとは、即戦力人材を探している企業や組織と、フリーランスエンジニアとして案件に参画したい人をマッチングさせるサービスです。
フリーランスエージェントのビジネスモデルは企業とフリーランス個人の間に入り、中間マージンを得ることで収益を上げていくモデルです。
主にフリーランスエージェント内に在職している担当者が各フリーランスエンジニアの経歴やスキル、希望などの情報に基づいて企業側に適する人材を紹介するのが役割と言えます。
フリーランスのエージェントが、フリーランスエンジニアに必要とされる理由として、フリーランスエンジニアとしての事業活動が継続しやすくなること、安定化しやすくなること、福利厚生を含むサポートを受けられるということが挙げられます。
フリーランスエンジニアは個人事業主でもあり、税金関連など全てのことを自分自身でやらなければなりません。同時に個人事業主であることからトラブルやリスクも自分自身で対処する必要があります。フリーランスエージェントを利用することでサポートを受けながら、リスクやトラブルを回避しやすくなることも必要とされる理由と言えるでしょう。
フリーランスのエージェントのメリット
案件を獲得できる可能性が高い
スキルや実績に見合った報酬を得やすい
契約や交渉がスムーズになる
自分自身で探すよりも幅広い案件に出会える
案件を探す労力から解放され仕事に集中できる
福利厚生や保険、保障制度が整っている
確定申告セミナーや税理士紹介など税金関連対策が手厚い
以上がフリーランスのエージェントを利用するメリットです。フリーランスエンジニアは自分自身で仕事を獲得していく必要があること、安定的に報酬を得られるようにしなければ継続できないことから、エージェントを利用するメリットは非常に役立つというのは間違いありません。
また、フリーランスエンジニア個人では直接的に応募できないようなWeb上での非公開案件に応募できることや、報酬が高くなることも見込めますし、スキルアップにもつながっていくでしょう。
何よりも自分自身で案件を探す労力から解放され、気持ちと時間の余裕が生まれることで仕事に集中できるようになるのが一番のメリットと言えます。
フリーランスのエージェントのデメリット
一定の手数料が発生する
交渉力や営業力が成長しにくい
エージェントに依存してしまう可能性がある
担当となるエージェントの能力に左右される
あくまでもエージェントが扱っている案件のみに応募可能
以上がフリーランスのエージェントを利用するデメリットです。前述したようにフリーランスのエージェントは中間マージン(手数料)が発生するため、フリーランスエンジニア側が受け取る金額は一定のパーセンテージで引かれるということは覚えておきましょう。
また、フリーランスエンジニアとしての案件を獲得するための交渉力や営業力が成長しにくかったり、エージェントに依存したりしてしまう可能性があることも留意しておく必要があります。
2.フリーランスのエージェントには手数料がかかるか
次にフリーランスのエージェントには手数料がかかるかについて解説します。
エージェントの手数料は10%から25%程度
フリーランスのエージェントを利用する際、相場としては10%から25%程度の間で手数料が発生します。企業側から手数料を取ることで収益を上げていくビジネスモデルでもあるため当然と言えるでしょう。
ただし、エージェント内での案件捜索や、交渉は無料です。また、手数料である中間マージンを得るのが目的であることから、真剣に対応してくれるという点については覚えておきましょう。
案件単価や獲得した金額によって手数料が異なる場合も
フリーランスエンジニアがエージェントを利用する際の手数料は、案件単価や獲得した金額によって異なることがあります。
例えばフリーランスエンジニアが契約した案件の報酬金額が50万円以下なら20%、50万円以上なら10%という形で大きな金額になればなるほどパーセンテージが低くなるような仕組みが一般的です。
フリーランスエージェントは高単価案件も多く取り扱っておりますので、フリーランスエンジニアとして、自分自身のスキルセットや経験で対応できる範囲でなるべく手数料が安くなる金額の案件を狙っていくと良いでしょう。
エージェントによっても異なる点に注意
手数料のパーセンテージについては、エージェントによって異なる点にも注意すべきと言えます。手数料を非公開にしているフリーランスエージェントは多いですが、一部公開しているフリーランスエージェントもいます。
その中で手数料のパーセンテージで良し悪しを決めるのではなく、相性の良いもしくは自分の将来を見据えて案件紹介してくれるエージェントを選ぶことが大切です。
手数料分を差し引いても生活ができるかどうか、支払いサイトの期間を考慮しても生活できるかなど、フリーランスエンジニアとしての活動がある程度余裕をもてるかということも考えつつ、手数料のバランスを見極めることが重要です。
3.フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブル
次にフリーランスエンジニアが仕事をする上で陥りやすいトラブルについて解説します。
契約内容の確認が不十分
フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブルとして、契約内容の確認が不十分なことが挙げられます。例えば、ミーティング時に口頭で話していた内容が盛り込まれていなかったり、異なる作業内容や業務範囲が設定されたりしていることが挙げられます。
また、損害賠償などの責任区分においても不利な条件になっていることに気づかず、契約後にトラブルに発展してしまうこともあるため、自分自身で契約する場合も、エージェントを経由して契約する場合も、契約内容はしっかりと精査することをおすすめします。
低単価での継続的な契約
フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブルとして、低単価での継続的な契約をしてしまうことが挙げられます。フリーランスエンジニアになりたての方の場合、案件が獲得できずに低単価で契約し、その後も金額の交渉がうまくできず、適切な報酬を受け取れないという形のトラブルです。
フリーランスのエンジニアは基本的に同じ時間で、いかに効率よく稼げるかが重要であるため、低単価の案件ばかりだと全く稼げなくなり、生活が厳しくなってしまいます。
フリーランスのエージェントを利用する際も同様であり、市場の平均相場を理解した上で自分のスキルや能力よりも安く見積もられた場合や、明らかに最低賃金を下回るような場合は受注しないようにしましょう。
急なプロジェクトの仕様変更や契約内容の変更
フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブルとして、急なプロジェクトの仕様変更や契約内容の変更を迫られることが挙げられます。基本的にはフリーランスのエンジニア側と契約先の双方が同意すれば問題ないことではありますが、フリーランスのエンジニアは立場が弱いために無理な条件でも引き受けてしまう形のトラブルです。
仕様変更によって対応できない状況になれば、契約を履行することができなかったり、期日までに納品できなかったりすることで、変更前までにした作業や業務の報酬が得られないこともありえます。
契約時に契約先の企業やプロジェクトの内容や、業務委託契約の中でも準委任契約か請負契約か、しっかりと精査し、同時に契約のタイミングで大幅な仕様変更などには対応できないなどの相談もしておきましょう。
支払いの遅延及び未払い
フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブルとして、支払いの遅延及び未払いが発生することが挙げられます。契約内容や納期通りに作業及び業務を行い、成果物を納品したのに指定した期日までに報酬が得られない形のトラブルです。
フリーランスエンジニアは会社員ではないため、決まった日に給料をもらうことはできません。同時に報酬自体が活動の運転資金及び経費として必要なこともあるため、支払いの遅延や未払いがあると活動できなくなってしまいます。
フリーランスエージェントを通じて獲得した案件であれば支払いの遅延や未払いの可能性は限りなく小さくなるものの、契約前にどのような契約先かは必ず精査しましょう。
ただし、フリーランス保護新法が2023年4月28日に可決され、「原則として、フリーランスが成果物を納品した日又はサービスの提供をした日から60日以内の日を報酬支払期日として設定する必要がある」という報酬支払の適正化の規制があるため、今後フリーランス保護新法が施行された場合、支払いの遅延及び未払いは限りなく少なくなっていく可能性があります。
仕事の遅延による納期の超過
フリーランスエンジニアが陥りやすいトラブルとして、仕事の遅延による納期の超過してしまうことが挙げられます。
自分自身の仕事の遅延による納期の超過だけでなく、契約先から返事が来ない、指示が滞っている、手前の業務や作業を行う人からデータが送られてこないなど、様々な条件によって納期を超過してしまう形のトラブルです。
自分自身の遅延による場合は報酬をもらえない可能性もありますし、その他の状況においても契約内容によっては契約の不履行となり、損害賠償になってしまう可能性も考えられるでしょう。
自分自身のスキルセットで指定した期日までにギリギリで対応できるかどうかというのは避けて、何かトラブルがあっても余裕を持って期日までに成果物を納品できるスケジュールを立てることが大切です。また、納期に間に合わない時は早めに契約先に連絡を取り、指示を仰ぐことも徹底しましょう。
4.手数料を支払ってでもフリーランスのエージェントは利用すべきか
次に手数料を支払ってでもフリーランスのエージェントは利用すべきか解説します。
フリーランスエンジニアになりたての頃は役立つ可能性が高い
フリーランスエンジニアになりたての頃は、クライアントや取引先との関係性が築けていないため、エージェントを利用した方が案件を獲得しやすい可能性があります。同様に交渉力や営業力に自信がない場合も、案件を獲得して報酬を得ることを優先し、生活やフリーランスエンジニアとしての活動が維持できるようにしていきましょう。
フリーランスエンジニアになったタイミングで仕事がある状況であったとしても、フリーランスのエージェントを提供しているサービスに登録し、情報収集をするのはおすすめです。
フリーランスエージェントを活用することは、どの案件が市場に多く出回っているかやどのようなスキルが市場で必要とされているのかなど市場動向を把握できるので、自分自身の市場価値やアピールポイントの発見にも役立つでしょう。
スキルや実績が身についた後は自分自身で営業する
フリーランスエージェントの手数料を考えると、スキルや実績が身に着いた後は自分自身で営業した方が得られる報酬がアップします。同様に自分自身で案件を取れるようにしなければ、フリーランスエンジニアとして継続的に仕事を続けることが難しくなってしまうということも理解しておきましょう。
また、フリーランスエンジニアの生き方や考え方の一つに、自分の好きな仕事をするということが挙げられます。報酬のためだけに働くようですと、安定しない分仕事がつまらなくなってしまうので注意しなくてはなりません。
自分のスキルや実績、能力に合わせて高い報酬を得るということも重要ですし、自分のやりたいことをやるという考え方を持って、案件を自分で取れるようにすることを意識してください。
案件を途切れさせないために定期的なチェックはしておくべき
ある程度の実績や営業力などが身に着いた後でも、タイミング的に案件が途切れてしまうことは考えられます。リスクを最小限にするためにもエージェントには登録しておき、定期的なチェックや情報交換などはしておくと良いでしょう。
また、市場でどのような案件があるのかを見ておくことで、自分自身が身につけるべきスキルが見えてきます。
スキルや資格に関する勉強をすることで、成長することができれば新しい案件にも挑戦できるようになるでしょう。既存のスキルや実績と組み合わせれば、幅広い範囲で必要とされる人材に成長できる可能性も高まります。
必要に応じていつでもエージェントを利用できるようにしておくことで、情報収集とともに案件を途切れさせないという安定的な環境が整うでしょう。
5.まとめ
今回はフリーランスのエージェントに関する基礎知識、エージェントには手数料がかかるのか、フリーランスが仕事をする上で陥りやすいトラブル、手数料を支払ってでもフリーランスのエージェントを利用すべきかお話しました。
フリーランスのエージェントは、フリーランスエンジニアにとって営業の部分を外部委託できるという仕組みでもあります。そのため、技術面では自信があっても営業力やコミュニケーションに自信がない場合はエージェントを利用して、得意先や取引先を増やしていくというやり方もあることを覚えておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。