情報通信の業界で働きたい、もしくはモバイル関係の職種を目指したいとお考えであれば、モバイルシステム技術検定の合格を目指してみてはいかがでしょうか。
モバイルシステム技術検定がどのようなものか理解し、合格のための勉強に対するモチベーションを上げていきましょう。
今回はモバイルシステム技術検定に関する基礎知識や詳細、モバイルシステム技術検定の資格取得のメリット・デメリット、モバイルシステム技術検定合格のためのおすすめの参考書や対策法についてお話しします。
目次
1.モバイルシステム技術検定に関する基礎知識
はじめにモバイルシステム技術検定に関する基礎知識について解説します。
モバイルシステム技術検定とは
モバイルシステム技術検定とは、MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が運営するモバイルシステム技術に関する知識やスキルを評価する試験です。モバイルシステム及びモバイル端末、ハードウェアやソフトウェア、ワイヤレスネットワーク、セキュリティなどの知識やスキルが評価され、通信事業領域における職種で役立ちます。
スマートフォンやタブレットが普及した現代において、モバイルシステムに関する知識やスキルを有していることは非常に有利になり、エンジニア領域だけでなく、営業や販売職においても実力を示すための検定としておすすめの資格と言えるでしょう。
情報通信大手やIEEE(米国電気電子学会)が推薦する資格
モバイルシステム技術検定は情報通信大手であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル、そして国際標準であるIEEE(米国電気電子学会)が推薦する資格であり、情報通信事業の領域においては認知度が高い資格と言えます。
そのため、ITやWeb、モバイルアプリやオンラインサービスも含めたエンジニア領域においても、モバイルシステムに関する技術を有していることが示せるため、キャリアアップやキャリアチェンジのための勉強として合格を目指すのも非常におすすめです。
モバイルシステム技術検定に実務経験は必要か
モバイルシステム技術検定に実務経験は必要とされていません。ただし、モバイルシステム技術検定1級の受験にはモバイルシステム技術検定2級の合格が必要になります。
2.モバイルシステム技術検定試験
次にモバイルシステム技術検定試験の詳細について解説します。
モバイルシステム技術検定の詳細
試験名 | モバイルシステム技術検定[2級] | モバイルシステム技術検定[1級] |
---|---|---|
試験会場 | 全国にあるCBTSに対応した試験会場 ※試験会場一覧はこちら | |
試験日時 | 年2回
申込期間:2024年11月08日(金)~2025年01月06日(月) 試験期間:2024年11月15日(金)~2025年01月13日(月) | 年2回
申込期間:2024年06月14日(金)~2024年07月29日(月) 試験期間:2024年06月21日(金)~2024年08月05日(月)
申込期間:2025年01月10日(金)~2025年02月24日(月) 試験期間:2025年01月17日(金)~2025年03月03日(月) |
試験時間 | 100分 | 1科目:60分 |
出題形式 | CBT方式 ・選択問題形式 | CBT方式 ・選択問題形式 ・記述問題形式 |
出題数 | 100問(4者択一) | 1科目:43問(4者択一) |
合格基準 | 非公開 | 非公開 ※3科目全て合格が必要 |
受検料 | 18,150円(税込) | 1科目:13,750円(税込) 3科目〈一括〉:35,750円(税込) |
受験資格 | 特になし | モバイルシステム技術検定[2級]の合格 |
試験結果 | 試験期間終了後、約2週間に公式サイトで発表 |
モバイルシステム技術検定は2級、1級ともに年2回開催されます。1級への受験は2級の合格が必須であるため、試験のスケジュールに合わせて計画的に準備をしておくと良いでしょう。また、1級は3科目全ての合格が必要であることを考えると、科目ごとにじっくりと勉強して科目を1つでも落とさないように理解を深めておく必要があります。
モバイルシステム技術検定の出題範囲と難易度
モバイルシステム技術検定[2級]
モバイルシステムの概要と移動体通信サービス(15%)
ワイヤレス通信の原理とネットワーク機能(15%)
モバイル端末基本機能と端末周辺技術(25%)
モバイルインターネット技術の概要(20%)
情報セキュリティ管理(5%)
使用アプリケーションの種類とその概要(20%)
引用元:モバイルシステム技術検定[2級]
上記がモバイルシステム技術検定[2級]の出題カテゴリと、出題比率です。モバイルシステム技術に関する基礎や概要を全般的に理解する必要があり、ITスキルとしては基本情報技術者試験取得者相当と記載されていることから、難易度は決して低くないことが推測されます。
実務レベルとしてはSE技術関連業務1年~3年程度、営業職3~4年程度とのことであり、受験自体には実務経験は必要ないものの、実務で通用するスキルや知識が求められると言えるでしょう。
モバイルシステム技術検定[1級]
・ネットワーク
モバイルシステムを構成する無線アクセスネットワーク技術、コアネットワーク技術、IPネットワーク応用技術、移動体通信サービスなどが出題されます。
・端末・アプリケーション
モバイルシステムを構成する各種端末機器の要素技術、構造と開発手法およびシステムアプリケーションの要素技術、開発手法などが出題されます。
・モバイルシステム
システム要件定義、システム開発、システム運用、モバイルシステム関連の法制度などが出題されます。
引用元:モバイルシステム技術検定[1級]
上記がモバイルシステム技術検定[1級]科目別出題カテゴリです。ITスキルとしては高度情報処理技術者試験取得者相当と記載されており、科目ごとに全て合格する必要があることからも難易度は高いことが推測されます。
実務レベルとしてはシステムエンジニア関連業務4年以上、営業職6年以上に相当するとのことであり、1級も実務経験自体は必要ないものの、2級よりもより高度な知識やスキルが求められると言えるでしょう。
モバイルシステム技術検定の受験者数・合格率
モバイルシステム技術検定の受験者数は非公開になっています。
検定名 | 合格率 |
---|---|
モバイルシステム技術検定[2級] | 60.7% |
モバイルシステム技術検定[1級] | ネットワーク:48.1% 端末アプリケーション:47.6% モバイルシステム:53.8% |
合格率については上記のように公式から発表されています。令和6年度6月末時点での基本情報技術者検定の合格率が42.9%、モバイルシステム技術検定の2級が60.7%であることを踏まえると、同程度の難易度ではあるものの午後試験がない分、合格率が高くなっているのではないかということが推測されます。
応用情報技術者の平均合格率が22.6%、モバイルシステム技術検定の1級が平均して約50%であることを考えると、モバイルシステム技術領域の知識やスキルをしっかりと学ぶことで、応用情報技術者よりも合格できる確率は高いことが伺えます。
ただし、難易度についてはITスキルに関する基礎的な知識や今までの経験によって個人差があるため、必要に応じてITパスポートなどの基礎的な資格取得を目指し、基本的な用語や仕組みを理解してから取り組んでみても良いかもしれません。
モバイルシステム技術検定の申し込み手順
新規ユーザー登録を行う
※2回目以降の方はこちらからログイン可能です
※マイページ登録完了後お知らせメールが届きます
マイページにログインして検定試験に申し込む
試験、受験日時、テストセンター名の選択、住所登録を行います
決済方法を選択
※クレジットカード・コンビニ支払い・銀行ATM支払い、受験チケットの選択が可能
上記がモバイルシステム技術検定の申し込み手順です。年2回の「申込期間」をしっかりとチェックしておき、申し込み忘れないようにしましょう。試験期間が併記されていることもあるため、「申込期間」であるかどうかをきちんと見ておいてください。
モバイルシステム技術検定の有効期限
モバイルシステム技術検定には有効期限がありません。一度取得することでモバイルシステム技術に関する知識やスキルを有していることを証明し続けることができます。
モバイルシステム技術検定の勉強時間
モバイルシステム技術検定の勉強時間については、ITスキルに関する基礎的な知識や今までの経験によって個人差が出てきます。
公式から発表されているモバイルシステム技術テキスト 第10版MCPC検定試験2級対応のページ数が394ページであることを踏まえると、スラスラと用語を読み解ける場合は30時間から50時間、基礎的なことから学ぶ必要がある場合は50時間から100時間以上必要になることもあるでしょう。
モバイルシステム技術検定1級に対応したモバイルシステム技術テキスト エキスパート編 第9版のページ数が467ページであり、すでに2級に合格している場合でも50時間から100時間以上必要となることが推測できます。ただし、勉強のペースにも個人差がありますので、無理して詰め込むようなことはせず、じっくりと勉強できる時間を確保しましょう。
3.モバイルシステム技術検定の資格取得のメリット
次にモバイルシステム技術検定の資格取得のメリットについて解説します。
モバイルシステムに関する知識やスキルを身につけることができる
モバイルシステム技術検定の資格取得のメリットとして、モバイルシステムに関する知識やスキルを身につけられることが挙げられます。モバイルシステムの技術については、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークやセキュリティなど全般的に学ぶ必要があるため、合格に向けて勉強することでモバイルシステムに関する基礎が身につき、実務レベルで通用するという自信にもつながっていくでしょう。
同時に、モバイルシステム技術を通じてエンジニアの領域やIoTの領域も視野に入ってくるため、キャリアチェンジやキャリアアップを目指す方にも非常に向いています。
情報通信系の業界でアピールしやすい
モバイルシステム技術検定の資格取得のメリットとして、情報通信系の業界でアピールしやすいことが挙げられます。今の時代はスマートフォンやタブレット、IoT機器なども含めて様々なモバイルデバイスが日々進化しており、欠かせない存在として普及していることを考えると、モバイルシステム技術者としてアピールできることは強みになるということです。
特にモバイルシステム技術検定は大手情報通信系のほとんどが推薦していることもあり、関連する企業や組織で歓迎される可能性もあります。その他の経験や資格とともにアピールすることで、求人や案件の応募の際に有利に働く可能性もあるでしょう。
企業によっては資格手当などがもらえる可能性がある
モバイルシステム技術検定の資格取得のメリットとして、企業によっては資格手当などがもらえる可能性があることが挙げられます。必ずしも確実にもらえるとは断言できないものの、勤めている企業や応募先の企業によっては、資格を有していることが評価につながり、給与がアップするということです。
その他にも合格することで報奨金を得ることができる可能性も考えられます。知識やスキルによって業務に活かすことができれば、人事からの評価が上がる可能性もあり、スキルアップが給与のアップに繋がるというモチベーションにもなっていくでしょう。
4.モバイルシステム技術検定の資格取得のデメリット
次にモバイルシステム技術検定の資格取得のデメリットについて解説します。
合格のための時間及び金銭的コストが必要
モバイルシステム技術検定の資格取得のデメリットとして、合格のための時間及び金銭的コストが必要なことが挙げられます。ゼロから学ぶ場合は半年から1年以上の時間が必要となる可能性もありますし、合格できずに再受験となればさらに金銭的なコストもかさむのが理由です。
ただし、資格を取得することで得られるリターンのことを考えると、いわゆる自己投資としては十分に挑戦する価値はあるでしょう。また、資格の取得によってキャリアアップやキャリアチェンジができる可能性が増えることは、その後のキャリア形成においてマイナスになることはないと言えます。
情報通信系以外の領域では評価されにくい
モバイルシステム技術検定の資格取得のデメリットとして、情報通信系以外の領域では評価されにくいことが挙げられます。モバイルシステムやデバイスと無関係の場合ですと、認知されていない可能性もありますし、その他の資格を取得した方が良いかもしれないということです。
ただし、自分自身のキャリアプランとして、情報通信系の業種、もしくはエンジニア領域で働きたいと考えている場合は役に立つことは間違いありません。資格を取得することで実務経験を積む機会を得ることができれば、スキルアップとキャリアアップの両方に繋がり、自分自身の成長にもつながっていくでしょう。
民間資格であり認可や免許でないという点にも注意
モバイルシステム技術検定の資格取得のデメリットとして、民間資格であり認可や免許でないことが挙げられます。モバイルシステム技術検定に合格しなければ、何らかの業務ができないというようなものではないということです。
ただし、情報通信系の企業で働きたい場合やエンジニアになりたいという場合、資格の有無が求人での採用や案件の獲得につながる可能性が高いことを考えると、取得して無駄だということはまずないでしょう。合格のために勉強することで自分自身のスキルをアップしていくこと、その他の資格取得も含めてキャリア形成に役立つということを忘れないでください。
5.モバイルシステム技術検定合格のためのおすすめの参考書や対策法
次にモバイルシステム技術検定合格のためのおすすめの参考書や対策法について解説します。
公式で販売されている参考書を利用して勉強する
公式テキストのご案内で紹介されている参考書は、1級、2級ともに対応テキストとして販売されており、試験の内容を網羅的に勉強できるので非常におすすめです。物足りない場合は過去の参考書を購入することも視野に入りますが、情報が古いと最新の試験に対応していない可能性もあるので注意しましょう。
基礎的な用語がわからない場合はiパスやFEの参考書もおすすめ
ITに関する基礎的な知識が学べるiパス、もしくは基本情報技術者試験(FE)の参考書もおすすめです。参考書の種類も豊富ですし、読みやすい著者を見つけることで理解が深まりやすくなります。特に基礎的な用語がわからない場合は参考書を読み進めること自体に時間がかかってしまうため、まずは基本を抑えて、勉強ペースをアップして時間的な効率を良くしていくことから始めてみましょう。
試験のスケジュールに合わせて計画的に勉強時間を確保することが大事
モバイルシステム技術検定は年2回開催されることから、試験のスケジュールに合わせて余裕を持った勉強時間を確保することも重要と言えます。ギリギリまで勉強をするような計画ではなく、試験の1ヶ月前くらいには参考書をほとんど読み解けるようにしておくと良いでしょう。
特に1級の場合は3科目を合格しなければならないことから難易度も高いことを忘れず、申し込み期間もきちんとチェックした上で挑戦することをおすすめします。
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6.まとめ
今回はモバイルシステム技術検定に関する基礎知識や詳細、モバイルシステム技術検定の資格取得のメリット・デメリット、モバイルシステム技術検定合格のためのおすすめの参考書や対策法についてお話ししました。
モバイルシステム技術検定は情報通信系の業界で活躍したいとお考えの方におすすめの試験です。大手通信会社やその関連会社に入りたい、モバイルに関する仕事に携わりたいとお考えであれば、積極的に勉強して合格を目指しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。