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偽装請負とは|問題点・判断基準・罰則・準委任と業務委託の相違点など

公開日:2024/09/21最終更新日:2024/09/21

働き手の不足により、企業が業務委託を頼むケースが増加しています。しかしこれには「偽装請負」という問題が潜んでいます。時にはその存在に気付かずに法に触れてしまうこともあります。このような背景から偽装請負の概要・その特徴・そして問題点について理解することが極めて肝要です。


偽装請負は労働者の権利を侵害し法的なトラブルを引き起こすリスクが高い問題です。企業は偽装請負のパターンや対策を把握し適切な対応を行うことで、労働環境の改善や法令遵守を促進する努力を続けるべきです。


そこでこの記事では偽装請負について詳しく解説します。


1.偽装請負とは?

偽装請負とは事実上は労働者派遣であるにもかかわらず、請負契約の形をとることを指します。請負契約では依頼主(委託者)が実際に業務を行う請負業者の従業員に対して、直接業務上の指示を出したり契約外の業務を委託したりすることが禁止されています。直接指示を出す場合には労働者派遣契約を結ばなければなりません。


言い換えれば本来労働者派遣契約を結ぶべき状況であるにも関わらず、代わりに請負契約を結んで労働者派遣を行っている状態を偽装請負と呼びます。これは違法行為であり法的な罰則が科されます。偽装請負は労働者の権利を侵害し、適切な労働条件や待遇を提供する義務を果たさない行為であり労働者派遣法に違反するものとされます。企業は偽装請負を行わないように適切な措置を講じる必要があります。


偽装請負がなぜ違法行為に該当し、どのような罰則が科されるかについては後述します。

請負契約とは? 業務委託契約との違い

偽装請負について理解するためにまず、「請負契約」とはどのような契約なのか正しく理解しておきましょう。請負契約とよく比較されるのが「業務委託契約」ですが、実際には請負契約は業務委託契約の一種であり直接的な比較は難しいです。


業務委託は人手不足の場合や専門的なスキルが必要な場合に、従業員ではなく外部の第三者に業務を委託することです。通常業務単位で契約し、業務委託契約書を結びます。そして契約内容に基づいて業務を実行してもらいます。


一方、請負契約は民法で規定されています。請負契約は仕事の完遂とその対価の支払いに合意があることが重要です。請負契約では依頼主が請負業者に対して特定の業務の完了を依頼し、その業務の遂行と対価の支払いが契約の中核となります。


つまり業務委託契約と請負契約はそれぞれ異なる契約形態であり、契約の性質や内容も異なります。業務委託は主に外部の第三者に一定の業務を委託する際に使用され、一方請負契約は仕事の完遂と対価の支払いが主たる目的となります。これらの契約形態を正確に理解し、適切に活用することが重要です。

業務委託契約には請負契約と準委任契約がある

業務の性質に応じて業務委託契約は通常「請負契約」と「委任(準委任)契約」の2つに分類されます。


【業務委託契約の分類】


・請負契約:成果物を完成させ、提供することによって報酬が発生する契約形態です。通常成果物の完成責任を負います。時間・場所・実施方法などに関しては制約が少ない場合が多いです。


・委任(準委任)契約:弁護士や受付業務の代行など役務の提供によって報酬が発生する契約形態です。通常成果物の完成責任を負いません。期間・場所・仕事の実施方法などについては制約がある場合があります。


業務委託契約では注文主(委託者)と請負業者(受託者)が納期・仕様・業務の遂行方法などについて協議します。そして取り決めに基づいて業務が委託されます。したがって業務委託契約では請負業者(受託者)を注文主(委託者)の指揮命令下に置いての直接的な指揮や命令をすることはできません。

偽装請負が発生する原因

偽装請負が生じる原因としては、主に二つの要因が挙げられます。まず一つ目は注文主(委託者)が人件費の削減や労働者派遣契約の手続きの回避のため、有利な条件で労働者を雇用しようとする意向が働く場合です。もう一つは法令違反を知らずに行ってしまう場合です。


通常派遣労働者の受け入れには、最大3年の期間制限・福利厚生の提供・雇用の安定など労働者派遣法上の厳しい制約があります。一方請負契約では労働者への福利厚生が不要で、制約も少ないです。注文主(委託者)はより柔軟に労働者を雇用できると考えられます。そのため請負契約を装った労働者の派遣、つまり偽装請負が発生する可能性があります。


また法令を知らずに違反を行ってしまう場合は、適法な請負契約と偽装請負の見分けがつかないことに起因します。労働者派遣法や労働基準法などの法的要件を正確に把握せず契約形態を誤解することで、偽装請負が発生するリスクが高まります。結果として、法令違反や労働者の権利侵害が生じる可能性があります。


偽装請負の問題は注文主(委託者)と労働者の双方に影響を及ぼす深刻な社会問題となっています。法令を遵守し、正当な契約形態を選択することが極めて重要です。労働者の権利保護と公正な労働環境の確保のために、適切な契約の締結と実行が求められます。

労働者派遣と業務委託の違い

労働者派遣と業務委託の違いについても説明します。偽装請負は、これらの区別が明確でない場合にも発生する可能性があります。偽装請負を防ぐためには、労働者派遣と業務委託(請負・委任・準委任)の契約に関する違いを理解することも重要です。


労働者派遣は一般的に人材派遣として知られています。派遣元企業と雇用関係にある派遣スタッフが、派遣先の企業で業務を行うサービスです。労働者派遣の特徴は以下のとおりです。

  • 業務の指揮命令権が派遣先企業にあること

  • 派遣スタッフとの雇用関係は派遣元にあり、派遣先での派遣スタッフの労務(労働力)の提供に対して派遣料金が発生すること。

労働者派遣と業務委託の判断基準

労働者派遣と業務委託の区別は注文主(委託者)と受託会社の労働者との間に指揮命令関係があるかどうかを基準にしています。


業務委託を基準とした具体的な判断基準の例を示します。

以下「〇」は業務委託においても問題ない行為を、「×」は業務委託ではNG行為、つまり労働者派遣に該当する行為を示しています。


・注文主(委託者)と受託会社の労働者との会話

○ 注文主(委託者)と受託会社の労働者が、業務に関係のない日常会話をする

× 注文主(委託者)と受託会社の労働者へ、業務についての確認や指導を行う


・注文主(委託者)からの受託業務に関する注文

○ 注文主(委託者)から受託会社に対して、作業工程の問題点について見直しを求める

× 注文主(委託者)から受託会社の労働者に対して、直接作業のやり直しを求める


・受託業務について注文主(委託者)が行う技術指導

× 受託会社の労働者が交代した場合に、注文主(委託者)から都度技術指導を行う

○ 新たな設備導入・新製品の製造着手時等において、受託会社の監督の下で注文主(委託者)が労働者に説明を行う

○ 安全衛生上緊急に対処する必要性がある事項について、注文主(委託者)が受託会社の労働者に直接指示をする


・注文主(委託者)と受託会社の施設の共有、労働者の混在

○ 注文主(委託者)の建物内にある食堂・休憩室を受託会社の労働者が共有利用する

× 注文主(委託者)と作業スペースを共有利用しており、注文主(委託者)が受託会社の労働者を監督している

○ 作業場所を共有しているが、受託会社の労働者に対する指揮命令・管理は、注文主(委託者)から独立している

× パーテーションで区切られているが、受託会社の労働者が注文主(委託者)に業務上の判断を求めることがある


これらの基準に基づいて、労働者派遣と業務委託を判断することが重要です。

2.偽装請負とみなされる場合

気を付けなければならないのは、知らぬ間に偽装請負の状態になってしまうケースです。

偽装請負の判断基準は指揮命令系統です。管理や指揮命令系統が曖昧な場合は「そんなつもりではなかった」場合でも、偽装請負とみなされることもあるので注意が必要です。


偽装請負とみなされるケースの典型的な4つのパターンを紹介します。


・代表型: 請負契約であっても委託者が細かな指示を出したり、勤務時間を管理したりすることがあります。これにより請負契約を結んでいるにもかかわらず、実質的には雇用責任を逃れている状況となります。


・形式だけの責任者型: ここでは請負業者が責任者を配置し、業務を行います。実際には委託者が指示を出しており、請負業者の責任者は名ばかりの存在となります。


・使用者不明型: 雇用主や責任の所在が明確でなくなります。請負業者が他の業者に業務を再委託し、その労働者が大元の委託者の指揮命令下で働くことになります。


・一人請負型: 労働者の斡旋を受けた企業が、労働者と雇用契約を結ばずに請負契約を結びます。その労働者を斡旋された企業の指揮命令下で働かせる状態を指します。請負契約を結んでいるにもかかわらず、実際には労働者は請負業者の指揮命令下で働いています。


これらのケースは単独で現れることもありますが、複合的なものもあります。外見だけで判断するのは難しいため、注意が必要です。

3.派遣会社が偽装請負を行う場合

一部の企業は派遣業として登録されていないにもかかわらず、派遣会社として人材を提供しているケースもあります。


典型的なケースは派遣サービスを提供すると謳っている企業が、実際には個人事業主と業務委託契約を結び顧客企業に人材を提供しているケースです。これにより派遣業の規制を回避し、顧客企業の指揮命令下で働く労働者を提供しています。


本来派遣業を営むには厳格な規制があり、派遣スタッフは派遣会社に雇用されるべきです。しかし偽装請負業者はこの規制を逃れるために、個人事業主を登録させ実質的には派遣業を行っています。


派遣先の企業は偽装請負業者から提供された人材を派遣スタッフと誤解する可能性があります。そして派遣先企業がこの事実に気づかなければ、偽装請負が行われていることになります。

派遣先企業にも罰則が課せられる可能性がある

このような状況では派遣先企業は以下のような行政措置を受ける可能性があります。

  • 行政指導

  • 改善命令

  • 勧告

  • 企業名の公表


言い換えると、派遣先企業も偽装請負を容認するような行動をとることは許されません。そして偽装請負を防ぐための積極的な姿勢が求められます。行政指導や勧告を受けることは企業の信用を損なうだけでなく、株主・取引先・消費者などの多岐にわたるステークホルダーに影響を与えます。


派遣先企業も偽装請負に対して十分な警戒が必要です。

4.偽装請負の問題点

この章では偽装請負がどういった点で問題なのかについて解説します。

中間業者が不当に利益を得る可能性

労働者派遣や労働者供給の場合、仲介業者が労働者から不当に利益を得る可能性があります。そのため、労働者の保護が必要です。


労働基準法は「中間搾取」を禁止しています。人材派遣サービスには労働者派遣法などの規制があります。また職業安定法では原則として労働者供給が禁止されています。しかし偽装請負が行われると労働者派遣法や職業安定法の規制が適用されず、中間搾取の可能性が生じます。


偽装請負の典型的なパターンである一人請負型では、特に中間搾取が顕著です。一人請負型ではA社が雇用契約を結ばない労働者をB社に派遣し、B社の指示で働かせます。A社はB社から手数料を受け取り、残りを労働者に支払います。この仕組みにより、労働者の報酬が不当に低くなるリスクが高まります。

契約解除や損害賠償のリスク

労働者派遣の場合、労働者が重大な過失をおかしていない限り、雇用主(人材派遣会社)は簡単に契約を解除することはできません。


一方請負契約では依頼された成果物が未納品であれば、依頼企業は合理的な理由がなくても契約を解除することができます。そしてその際は取引上の損害賠償責任を負わなければなりません。つまり企業が「契約解除が容易」というメリットを得るために請負契約に偽装すると、労働者は不当な契約解除のリスクを負うことになります。


また業務に関連して損害が発生した場合、労働者派遣では労働者が悪意や重大な過失をおかしていない限り雇用主(人材派遣会社)が賠償責任を負います。しかし請負契約では企業は労働者に損害賠償を請求することができます。つまり偽装請負の場合、労働者側に不利益な契約解除や賠償責任が生じる可能性があります。

福利厚生の提供不足

労働者が受託会社と雇用契約を結んでいる場合には、受託会社の管理下で福利厚生が提供されます。しかし偽装請負の場合は、どの企業とも雇用関係が成立しないことがありえます。その結果福利厚生が提供されないケースもあります。


福利厚生や手当などは企業の責任で支給されますが、これを削減するために請負契約に偽装する行為は違法とされています。

5.偽装請負の判定基準

職業安定法には適正な請負と違法な労働者供給事業(偽装請負)を区別するための「請負四要件」が定められています。これらの要件をすべて満たした場合にのみ、労働者供給または労働者派遣が適法とみなされます。

  • 事業主が作業の完成についてすべての責任を負うこと

  • 作業に従事する労働者を指揮監督すること

  • 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律上の義務を負うこと

  • 単に肉体的な労働力を提供することでないこと


請負契約の場合請負人が仕事の完了に責任を負いますが、準委任契約の場合は特定の事務処理を行うことに責任を負います。


この章では厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」による偽装請負の判断基準ついて詳しく説明します。

業務の指導や監督、評価を行っているか

発注元である企業が労働者に直接的な指示や命令を出しその選定や評価を行っている場合には、偽装請負が疑われます。例えば日常的な業務指示や進捗報告の要求や労働者の業績評価などが該当します。


ただし指示・管理・評価があるからといって、必ずしも偽装請負と断定することはできません。全体的な契約内容や労働条件の実態を総合的に考慮する必要があります。

労働時間や休憩、休日に関する管理を行っているか

委託元(発注主)が労働者の勤務時間や休憩・休日を厳密に指示し制限を課す場合、偽装請負とみなされる可能性があります。具体的なケースとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 発注元である企業が、労働者の出勤や退勤時刻、休憩時間、休日、休暇などに関する指示や管理を行っている。

  • 発注元である企業が、労働者の労働時間を延長したり、休日に労働させる場合に関する指示や管理を行っている。


具体例としては、勤務時間の記録・管理や休憩時間の指示・削減や休日出勤の強制などが挙げられます。請負においては労働者の勤務時間や休憩・休日の決定権は委託先企業にあります。そのため、委託元がこれらを指示することには注意が必要です。

必要な備品や経費の提供を行っているか

業務に必要な備品・資材・資金を提供することは、通常の契約や委託業務において一般的な行為です。ただし偽装請負を判断する際には、委託元(発注主)が業務の実質的な支配や管理を行っているかどうかが重要です。


委託元(発注主)が労働者に必要な備品・資材・資金を提供することで実質的に業務の内容や方法を制御し労働者の自律性を制限している場合には、偽装請負と見なされる可能性があります。

単に労働力を提供しているか

委託元(発注主)が単に肉体労働力を受け取り業務の内容や方法に介入していない場合、偽装請負のリスクが生じます。労働者が委託元(発注主)の指示に従って働いているかどうかが鍵となります。


具体的な例として、労働者に対して作業方法や手順を指示せず単に肉体労働力を提供している場合があります。契約上は請負業者として委託されているにもかかわらず実際には委託元(発注主)が業務の内容や方法を厳密に指示・支配しているような場合です。労働者は自律的に業務を遂行する余地がなく、単なる肉体労働力提供とみなされる可能性があります。


これらのケースを判断する際に重要なのは契約内容だけでなく、業務の実態も考慮することです。実際に業務を行う上での状況を総合的に判断します。

6.偽装請負の法的制裁とリスク

偽装請負が明るみに出ると、以下の法律に基づいて罰則が適用されます。この章で詳しく説明します。

無許可の労働者派遣に対する労働者派遣法違反

労働者派遣法には、労働者派遣事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと明記されています。


偽装請負を行った委託元(発注主)と受託者(請負業者)は、許可を受けずに労働者派遣事業を行ったとみなされます。労働者派遣法により1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金が科されます。

中間業者による利益を禁止する労働基準法違反

労働基準法によれば「法律に基づいて許される場合を除き、他人の就業に介入して利益を得ることは許されない」と規定されています。中間搾取は厳しく禁止されています。業務委託が実質的に労働者供給であることが判明した場合、受託者(請負業者)による中間搾取とみなされるケースが生じます。


このような場合委託元(発注主)も搾取を助長したと見なされ、労働基準法違反に問われる可能性があります。1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金が課されることになります。

職業安定法に基づく労働者の供給違反

職業安定条には労働者供給事業の許可を受けた者以外が労働者供給事業を行うこと、そしてその事業から供給される労働者を自らの指揮命令下で働かせることが禁止されています。


もし違法な労働者供給事業が行われた場合、委託元(発注主)と受託者(請負業者)には「1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

法的リスク以外の罰則

罰則以外にも厚生労働大臣からの助言・行政指導・是正措置勧告などが委託元(発注主)に課される可能性があります。偽装請負によって労働者派遣を受けた場合、委託元(発注主)は以下のような処分を受ける可能性があります。

  • 行政指導(労働派遣法第48条)

  • 企業名の公表(職業安定法第48条の3の③)

7.偽装請負を避けるための注意事項/対策法

この章では偽装請負を回避するために留意すべきポイントや対策について説明します。それぞれのポイントは以下の通りです。

派遣や請負に関する正確な情報を把握すること

偽装請負を回避や対策するには、企業側が請負と派遣の違いを明確に理解しておくことが不可欠です。この違いを理解していれば、無自覚のまま偽装請負に巻き込まれるリスクを回避できます。


例えば受託者(請負業者)が委託元(発注主)の社員によって誤って指揮命令を受けることを防ぐためには、各指揮命令権の所在や運用方法などを把握し関係者に浸透させていくことが重要です。

契約時に指揮系統を明確にすること

業務委託契約を締結する際に、指揮命令系統を明確に記載することが不可欠です。労働者への指揮命令権を明示し、認識の食い違いを防止するために重要です。業務委託では委託元(発注主)と受託者(請負業者)は対等の立場であり、指揮命令関係は存在しないことを明確にしておく必要があります。

実際の業務内容を担当者にヒアリングすること

定期的に現場担当者に対してヒアリングを行い、委託元(発注主)の指揮命令下にあるかどうかを確認しましょう。偽装請負の有無は契約内容だけでなく、業務の実態も考慮されます。そのため定期的に現場を確認することが重要です。

関係者に定期的に注意事項を周知し、確認すること

契約担当者や現場で作業する関係者に業務委託の内容や偽装請負の判断基準などの注意事項を広く周知しておきましょう。また業務委託であっても、自社社員と同じように指揮命令を行ってしまう可能性も考えられます。

業務委託の性質や指揮命令が許されないことを徹底して周知することが重要かつ対策法です。

8.偽装請負についての相談

偽装請負に関する相談窓口は以下の通りです。請負か雇用かなどを見極める方法はあるものの、自分で判断するのは難しい場合もあります。心配になったときは相談窓口でアドバイスを受けてみましょう。

労働組合

「偽装請負かもしれない」と感じたら、迷わず労働組合に相談しましょう。たとえば、「会社から個人請負と言われたが、提示された条件が請負に合致しない」「実際に働いてみて疑問を感じた」といった場面で役立ちます。

東京労働局 需給調整事業部

東京労働局 需給調整事業部では平日8時30分から17時15分まで窓口で相談を受け付けています。また電話相談も行っています。ウェブサイトには「よく聞かれるご質問集」がありますので、参考にしてみてください。

労働者派遣事業・職業紹介事業の運営・労働者派遣に関するトラブルについて相談したい場合は、第二課に相談すると良いでしょう。


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9.まとめ

偽装請負の定義や問題点・罰則・回避策について説明しました。偽装請負を避けるために最も重要なのは、労働者の保護です。労働力を必要とする場合でも労働者の保護を軽視してしまうと、意図せず偽装請負に関与することがあります。派遣先企業として契約内容などを慎重に確認することが不可欠であるといえます。


なお、偽装請負を発見した場合、すぐに告発を行うのではなく一度先述した相談窓口へ相談しましょう。

告発した場合、告発者は不当な労働条件の是正や適切な労働環境の確保が期待できます。一方で告発者が報復を受けるリスクや職場の人間関係の悪化、さらに解雇される可能性があります。

そのため、すぐに告発に行動を移すのではなく一度相談することをおすすめします。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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