近年では、エンジニアの活動分野が続々と広がっていっています。そして今回紹介する「画像処理エンジニア」に関しても、今後大注目の専門職の1つでしょう。そこで本記事では、画像処理エンジニアの仕事内容や平均年収、将来性などについてお伝えします。
特に以下の方には、この記事をご一読していただきたいです。
画像処理エンジニアとしてキャリアチェンジを検討している方
画像処理技術を取り入れたサービス開発を考えている企業担当者
画像認識やAI分野に興味がある学生
画像処理エンジニアの年収相場について知りたい方
目次
1.画像処理エンジニアとは
画像処理エンジニアとは、デジタル画像処理技術の研究や開発、運用を行う専門職です。
ハードウェアからソフトウェアまで対象は幅広く、求められる知識やスキルも多種多様です。名称から画像の加工や編集を主な仕事としていると誤解されてしまいがちですが、画像処理エンジニアの仕事は全く別のものだと言えます。
クリエイターではなくあくまでもエンジニアであり、既存の技術が持つ課題を把握し、新たなシステム開発を行います。
また、画像処理エンジニアの業務領域は画像や映像に関することだけではありません。医療や通信、さらにはロボット開発に至るまで、幅広い現場で活躍できます。
2.画像処理エンジニアの仕事内容
画像処理エンジニアの仕事内容は、おおむね以下の通りに整理できます。
クライアントとの打ち合わせ
要件定義
アルゴリズムの開発
テスト運用
実装・商品開発
上記の通り、一般的なエンジニアと同様の業務を画像処理エンジニアも行います。具体的な作業としては、画像処理プログラムの最適化や新規画像処理アルゴリズムの開発、画像処理ミドルウェアの開発などが考えられるでしょう。
3.画像処理エンジニアの平均年収
画像処理エンジニアの平均年収は、600〜800万円程度だと言われています。indeedが公表しているデータによると、日本国内の画像処理エンジニアの平均年収は610万6,505円でした。(引用元:indeed)
国税庁のデータによると、2022年度における日本国内全体の平均給与は458万円でした。つまり、画像処理エンジニアは一般平均と比較して高い水準であると考えられるでしょう。(引用元:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」)
フリーランスの画像処理エンジニアでは、フリーランスボードの求人情報によると、月額70〜90万円、年収換算で840万〜1,080万円相当の案件も多くありました。(引用元:フリーランスボード)
画像処理エンジニアは、実力次第で年収1,000万円も狙える職種であると考えられます。ただし、画像処理エンジニアの年収は経験や実力によって大きく左右されます。
4.画像処理エンジニアの将来性
画像処理エンジニアは、今後ますます需要が高まっていき将来性があると考えられている専門職です。
需要が高まっていく大きな理由の1つが、AIの発達と産業への浸透です。AI技術の進歩に画像処理の技術は必要であり、今後幅広い分野でAIが活用されていく中で画像処理エンジニアの需要も高まっていくと考えられます。
またそのほかにも医療分野での画像診断支援や映像制作における特殊効果、そしてセキュリティ分野の顔認識など、画像処理エンジニアが求められる分野は多種多様です。キャリアアップを考えたとしても、画像処理エンジニアは十分に魅力的な職種だと考えられるでしょう。
5.画像処理エンジニアのニーズが高い業界
画像処理エンジニアは、以下のような業界で高いニーズがあると考えられます。
ソフトウェア開発
医療機器業界
自動車業界
家電業界
映像業界
印刷業界
通信業界
コンピューター周辺機器開発メーカー
カメラメーカー
上記を見ると分かる通り、画像処理エンジニアを必要としている業界はさまざまです。そのため、将来的にもあらゆるフィールドで活躍できる可能性があると言えるでしょう。
6.画像処理エンジニアに必要なスキル・知識
この章では、画像処理エンジニアに必要なスキル・知識について解説します。画像処理エンジニアに求められるのは、以下のような能力だと考えられます。
画像認識アルゴリズムの知識
プログラミングスキル
知的財産権に関する知識
画像認識アルゴリズムの知識
画像処理エンジニアにはまず、画像処理アルゴリズムの知識が求められます。
画像認識とは、画像内に移されているものをコンピューターが識別する技術のことです。色や形などを読み取り学習することで、新しい画像でも認識できるようになります。
ディープラーニングと画像検索を組み合わせることで複雑な画像も識別可能になることから、幅広い分野で活用されている技術です。
スマホやカメラなどにも用いられている技術であり、画像処理エンジニアには欠かせないスキルと考えられるでしょう。
プログラミングスキル
プログラミングスキルも、画像処理エンジニアには欠かせない能力の1つです。特に以下のプログラミング言語は、画像処理エンジニアの仕事で多く活用されます。
Python
C言語
MATLAB
Pythonは簡潔なコーディングをできるプログラミング言語であり、専門的ライブラリが充実していることからプログラミング学習の最初の言語としても注目されています。
C言語は習得難度が高い言語ですが、汎用性の高さや実行の高速さなどがハードウェア制御向きです。そしてMATLABは数値解析に利用されるソフトウェアです。
知的財産権に関する知識
画像処理エンジニアに求められるスキル・知識としては、知的財産権に関する知識も重要です。
画像処理の過程においては、著作権や特許権などの権利を尊重する姿勢が欠かせません。知的財産権に関する知識は画像処理エンジニア検定の出題範囲でもあることから、積極的に学習していくことが求められます。
7.画像処理エンジニアに向いている人の特徴
この章では、画像処理エンジニアに向いている人の特徴として以下の2点を紹介します。
知的好奇心が強い
柔軟な発想力がある
知的好奇心が強い
画像処理エンジニアに向いている人の特徴としてまず挙げられるのが、知的好奇心が強いことです。
画像処理に関する技術は、近年によって大きく重要性を増しました。スマートフォンや自動車など私たちに身近な分野だけでなく医療分野やロボット開発など、幅広い領域において画像処理技術は進歩を続けています。
画像処理エンジニアとしての市場価値を高めていくには、現在の自分の職域だけにこだわらず幅広い知識・技術を吸収していくスタンスが求められるでしょう。
柔軟な発想力がある
柔軟な発想力があることも、画像処理エンジニアに向いている人の特徴の1つです。
画像処理の仕事は、求められる仕事をこなすだけではありません。開発したシステムやサービスが長期間にわたって利用し続けられるようにするには、利便性の高さが重要です。
テクノロジーが進歩していく中で画像処理エンジニアに求められることも変化していくことから、トレンドに合ったプログラムを開発する柔軟な発想力が欠かせないでしょう。
8.画像処理エンジニアのやりがい
画像処理エンジニアのやりがいとしては、以下のようなものが考えられます。
最先端の技術に携われる
世の中に必要な仕事をしていると実感できる
幅広い業界に必要とされている
スキルと経験次第で高収入も実現できる
画像処理技術は現在急速に進化しており、新しい技術やアルゴリズムもが次々と生み出されています。新しい技術への好奇心が強い人には、画像処理エンジニアは魅力的な仕事です。
また、自分達の仕事がどんな形で世の中に活用されているのか分かりやすく、達成感や充実感を実感しやすいとも言えるでしょう。
幅広い業界においてニーズがあり今後も高まっていくと考えられることから、実力をつけていくことで高収入も十分に実現可能です。
9.画像処理エンジニアの仕事に役立つ検定
画像処理エンジニアの仕事に役立つ検定としては、「画像処理エンジニア検定」が挙げられます。
画像処理エンジニア検定とは、画像情報教育振興協会が実施する民間資格試験です。
画像処理技術を活用した開発や設計のスキルを確認する試験であり、実務的な内容が問われます。
想定職種 | 映像通信・コンピュータ周辺機器・ロボットビジョン・製品検査・医療応用・印刷など |
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活用分野 | エンジニア・プログラマ・開発・研究者など |
試験形式 | ベーシック:マークシート・10問・60分 エキスパート:マークシート・10問・80分 |
受験料 | ベーシック:5,600円(税込) エキスパート:6,700円(税込) |
合否基準 | 70点(100点満点)※難易度により多少変動 |
画像処理エンジニア検定には、「ベーシック」と「エキスパート」の難易度があります。ベーシックは基本的な知識で対応可能ですが、エキスパートの内容は専門性が高く、しっかりとした学習が必要です。
それぞれの合格率は、ベーシックが6割程度である一方でエキスパートは3割程度です。
画像処理エンジニアへの注目度は今後も高まっていくと予想されるので、気になる人は挑戦してみると良いでしょう。
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10.まとめ
画像処理エンジニアは、デジタル画像処理技術の研究や開発、運用を行う専門職です。画像処理エンジニアの業務領域は幅広く、自動車やスマートフォン、そして医療機器など幅広い分野で活躍のチャンスがあります。
現在でも平均年収は600〜800万円程度であると言われており、今後も需要が高まっていくと考えられる注目の仕事です。画像処理エンジニアの仕事に興味がある方はぜひ本記事もご参考にしていただき、充実したキャリアを描きましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。