JavaScriptは、主にWebサイトを動的に作るために生まれたプログラミング言語です。最近ではフロントエンドだけでなくサーバーサイドの開発もできる汎用性の高い言語の1つで、これからWebデザイナーやエンジニアを目指す人におすすめの技術です。本記事では、JavaScriptの特徴やJavaScriptでできることとできないこと、JavaScriptで作られたかっこいいWebサイトやゲームを紹介します。
目次
1.JavaScriptの特徴
JavaScriptは、Webサイトに動きをつける役割を持つプログラミング言語です。スマートフォンのメニューボタンや、ネットショップの商品画像が拡大される動きなどもJavaScriptを使用して制作されています。
JavaScriptは技術の進化スピードがはやく、人気の言語です。ここでは、JavaScriptの特徴について解説します。
非同期処理を簡単に実装できる
JavaScriptはAjaxを使用して非同期処理が簡単に実装できます。
Webサービスは、運用中にデータベースとの通信を多く行なっています。
この通信時に、Webサイトの利用者はページの読み込みで待たされるケースがあります。これは同期通信を行なっているためです。
同期通信は、リクエストを出してからレスポンスを受け取るまで、他の処理を行うことができずユーザーは待たなければいけません。
非同期通信は、データのやり取りをしながらも他のコンテンツを同時に表示可能にします。サーバーからレスポンスを受け取ると、受信処理を実行します。
この非同期通信の処理はシンプルに記述することができ、Webサービスの効率向上に大きく貢献するでしょう。
充実したフレームワーク
JavaScriptは1995年に登場してからこれまで数多くの進化を遂げながら多くのフレームワークが開発されています。
フレームワークは、骨組みや枠組みといった意味を持つ大きなコード群の集まりであり、開発の効率化向上の手助けをする役割を持っています。
活用シーンが多いJavaScriptだからこそ、各開発現場で同じようなプログラムを使い回したいということが多々あります。特定の機能を一からコーディングする手間を省きながら、ミスの低減効果があります。
フロントエンドだけでなくサーバーサイドの開発も可能
JavaScriptが登場した当初は、フロントエンド開発で使用される言語として登場しました。
しかし、サーバーサイド処理を扱えるフレームワークの登場によって、サーバーサイドの開発も可能になりました。
例えば、Node.jsです。Node.jsはJavaScriptで書かれたサーバーサイドの実行環境です。
フロントエンドとはWebブラウザ上で表示される部分で、サーバーサイドはWebブラウザから送信されたリクエストを処理する部分です。
2.JavaScriptでできること17選
Webサイトに動きをつける
JavaScriptは、Webサイトに動きをつける役割を持って誕生しました。動的ページにすることでWebサイトの訪問者の興味を引き付け、離脱率を下げる効果があります。
また、企業やショップのサイトであればこだわりの動きをつけ、企業独自の見た目にすることに活用されるなどしています。
ポップアップウィンドウの実装
ポップアップウィンドウの実装が容易にできます。ポップアップウィンドウとは、Webサイトを閲覧しているウィンドウ上に自動的に別のウィンドウが最前面に表示する仕組みのことです。
具体的には、閲覧制限をかけたページのIDやパスワードの入力を求めるときや、お問合せフォームを送る際の確認メッセージを表示する際などに使用されます。
入力フォームのチェック処理実装
JavaScriptを使用すれば、入力されたデータが適切な値かどうかを検証するチェック処理の実装が簡単にできます。JavaScriptを組み込むことで入力完了イベントの取得や入力値のチェック、チェック結果の表示などの処理が実現可能です。
具体的には、必須項目が入力されているかや電話番号・メールアドレスの形式が正しいかなどをチェックします。このように、入力フォームの検証機能を強化できるのがJavaScriptです。
インタラクションなイベント処理
Webサイト閲覧者のマウスの動作に紐付けた処理を実装できます。例えば、ユーザーが画面上のボタンをクリックしたときに、JavaScriptの「クリックイベントハンドラー」を使用しクリック処理に応じたDOM操作を行います。
DOMは画面上の行が処理を担い、クリックに応じて画面上のオブジェクトが変化する仕組みです。
データの整理整列と検索処理の実装
任意のデータを整理整列した状態を作りつつ、検索処理の実装ができます。JavaScriptとDatatablesというライブラリを活用することで、複雑な検索処理を記述することなく手軽に使いやすいテーブルが実装できます。
地図やチャートでデータを可視化
JavaScriptで地図やチャートでデータを可視化するためには、下記のようなライブラリを使用します。
D3.js
Chart.js
Google Charts
D3.jsは複雑なデータセットを視覚化するときに適しており、Chart.jsは綺麗なチャートを手軽に作成できることで人気なライブラリです。Google Chartsを使用すると、Google Mapsとの連携が容易になり、特に地図データの可視化に有用でしょう。
販売データの傾向分析や学術研究のデータ提示、地域別の人口統計表示など多岐にわたるアプリケーションで活用されています。
数式・文字列の処理
JavaScriptでは数式や文字列などの処理も可能です。数式や文字列の処理する際に使用するライブラリはMath.jsです。
Math.jsは数学的な計算を行うライブラリです。D3.jsを組み合わせると、Math.jsで計算したデータをグラフィカルな表示が実装できます。
オンラインの教育ツールや金融分析アプリケーションでは、数式の処理やデータの可視化が重要な要素となります。JavaScriptとこれらのライブラリを使用することで、使いやすく視覚的にも魅力的なUIを提供できます。
ブックマークレットの作成
JavaScriptはブックマークレットの作成ができます。ブックマークレットは、Webブラウザに機能を追加してブックマークできるものです。
ブックマークレットを作成すると、ブックマークボタンからワンクリックで簡単に便利な機能を呼び出せます。
開いているページのURLをクリックしてコピーするような便利な細かい機能を自作可能で、プログラムをブラウザに新規ブックマークとして登録することで作成完了です。
ブックマークレットを使用すれば、Webページの見た目を変えたり選択したテキストをキーワード検索したりなどさまざまな機能を簡単に実行できます。
ブラウザアドオン作成
JavaScriptで、ChromeやFirefoxなどのブラウザのアドオン作成が可能です。
ブラウザで閲覧しているWebページのスクリーンショットを撮影することや、WebページをPDFに変換する機能など、さまざまなアドオンが使用されています。
ChromeやFirefoxのブラウザアドオン作成は、jsonを使用して自分自身で制作することが可能です。
ブラウザ上での計算
ブラウザ上での計算が得意なのがJavaScriptです。旅行サイトでの宿泊日数や人数に応じた料金の自動計算や、保険のシミュレーションなどサイトの訪問者が直感的に操作できる見積もり機能の実装に使用されています。
このような機能により、最適なプランの提案や金額表示が可能です。
Ajaxと非同期通信
非同期通信は、Googleマップの登場により急激に普及した技術です。非同期通信は、ページ読み込みをせずにサーバーとのデータのやり取りを可能にします。
また、ネットショップなどでも利用されています。あらかじめ全ての商品を表示させず、「もっとみる」ボタンを押下すると同一ページ内で商品画像が追加される仕組みもほとんどの場合がAjaxを使用しています。
Webサイト作成
JavaScriptが作成された理由は、Webサイトの動きをつけることです。そのため、JavaScriptといえばWebサイト作成が多くの人の頭に浮かぶでしょう。
アニメーション演出や、ボタンにカーソルを合わせると色が変わるデザインの演出にはJavaScriptが欠かせません。
Webアプリ開発
JavaScriptはWebアプリの開発にも適しています。入力データの送受信や入力形式の確認などの処理を実装できるため、フロントサイドとサーバーサイドを含めさまざまなWebアプリ開発に使用できます。
JavaScriptを使ったフロントサイドのWebアプリ開発では、フレームワークが多く用いられています。フレームワークを使って効率的に開発を進めます。
特にチーム開発では全員が同じフレームワークのルールに従ってコーディングすることで、プログラムの一貫性を保ちやすくなります。
フロントエンド開発での代表的なフレームワークは、Vue.jsやReact.jsなどが挙げられます。
サーバーサイド開発ではJavaやPHP、Rubyなどの言語が使用されていますが、JavaScriptでもサーバーサイドの開発が可能です。JavaScriptのサーバーサイド開発では、Node.jsというライブラリを使用して開発を進めます。
Node.jsは、JavaScriptをサーバーサイドで実行できる点が特徴のライブラリです。
ブラウザゲーム開発
データの整理や整列に優れており、Webサイトに動きをつける能力を持つJavaScriptはブラウザ上で動作するゲームの開発が可能です。
JavaScriptを使用したブラウザゲーム開発では、Canvas APIを利用します。Canvas APIはHTML5から図形などのグラフィックを描画できる要素として提供されています。
他のHTML要素と同じようにJavaScriptから制御可能で、グラフィック関連の専用プロパティやメソッドなどが多数提供されています。
特定の条件に基づいて画像やデザインを変更したりスコアを管理するロジックを組み込むことで、ブラウザゲームが開発可能です。
スマホアプリ開発
アニメーションやチャット機能が実装できるJavaScriptでは、iOSアプリやAndroidOSのアプリ開発も可能です。スマホアプリ開発では、HTMLやCSS、JavaScriptなどの言語は基本的に使用しません。
iOSはSwift、AndroidOSの場合はJavaやKotlinなどの言語を使って開発します。
しかし、近年ではJavaScriptフレームワークでもスマホアプリ開発が可能で、ElectronやReact Nativeなどを使ってデスクトップアプリやスマホアプリ開発が可能です。
チャットボット開発
JavaScriptは、Webサイト上でのチャットボット開発に適しています。
ユーザーからの質問に自動で答える機能や特定のキーワードに反応してコールセンターへの案内を表示するなどのカスタマイズが可能です。
JavaScriptでのチャットボット開発におすすめといわれるのがBotUIです。BotUIはチャットボット開発のためのJavaScriptライブラリです。
チャットボット開発に必要なファイルが無償で提供されています。YouTube動画やGIFアイコンの埋め込みにも対応しており、ユーザーの好みや個性を反映させたチャットボットが開発できます。
Googleサービスを活用したサービス開発
Googleサービスを活用したサービスの開発にも使用できます。具体的にはGoogleが開発したプラットフォームであるGoogle Apps Script(Gas)を使用することでGoogleサービスと連携したサービス開発ができます。
Gasとは、Googleサービスを効率的に連携・自動化するためのプラットフォームです。Gasの設定やカスタマイズは、JavaScriptの文法を用いて行います。
そのため、Gasを活用することにより定常業務を効率化できるサービス開発が可能です。
3.JavaScriptでできないこと
JavaScriptは、前章で解説した通り幅広い分野で活躍する言語です。しかし、JavaScriptでもできないことや苦手とすることがあります。
処理速度が求められる分野
ブラウザ環境によって挙動が異なる場合がある
機械学習やAI開発には不向き
JavaScriptは実行時にコンパイルしないため、データ処理に時間がかかってしまうため、他のプログラミング言語と比較すると実行速度が遅い言語です。JITコンパイラや非同期通信を使用して高速処理を実現することは可能ですが、それでもC言語やC#などの言語には及ばないのが現状です。
また、JavaScriptはブラウザ上で動作するためGoogle ChromeやSafari、Firefoxなどの種類やバージョンに影響を受けやすいという点があります。
機械学習に関しては、JavaScriptでも開発はできるものの、ライブラリが豊富で開発環境を整備しやすいPythonの方が適しているといえます。
4.JavaScriptで作られたかっこいいWebサイト3選
JavaScriptはWebサイトに動きをつけるために生まれた言語です。どのような動きをつけられるのか、ここでは実際にJavaScriptで作られたWebサイトを紹介します。
Famiglia Cecchi | Official site
Famiglia Cecchi | Official siteでは、グリッドデザインベースでJavaScriptを取り入れているのが特徴のサイトです。フォントの見せ方とも相まって雰囲気にマッチしているのが伝わるサイトです。
Philippa Gregory
Philippa Gregoryは、フィリッパ・グレゴリーという歴史小説家の書籍リストを配置したサイトです。書籍の発行年数や歴史イベントの年号を時系列に表示しています。
JavaScriptを使用したことで見え方や操作性を高めたサイトになっています。
Volkswagen
Volkswageは、メインスライドの動きが非常に綺麗なサイトです。スクロールで車を操作する年表ページやフォトギャラリーにも独特な動きが含まれています。
5.JavaScriptで作れるゲームの種類
JavaScriptではゲームの開発が可能です。開発できるゲームの種類は下記のようなものがあります。
タイピングゲーム
RPG
ボードゲーム
アクションゲーム
シューティングゲーム
ブロック崩しゲーム
シミュレーションゲーム
他にもクイズゲームや迷路ゲームの開発が可能です。近年主流である3Dモデルを扱うゲーム制作は難しいですが、2Dゲームであればさまざまなゲーム開発ができます。
実際に、JavaScriptで作られた有名なゲームに「Infinite Mario Bros」があります。2011年ごろにはHTML5で作成したバージョンが公開されていますが、原作はJavaScriptで作成されたゲームです。
JavaScriptでのゲーム開発のスキルを習得するためには、規模の小さなゲームをたくさん作ることが有効的でしょう。インターネット上にはさまざまなジャンルのゲームサンプルが公開されているため、参考にしてみてください。
6.JavaScriptの代表的なライブラリ・フレームワーク
JavaScriptは、技術進化のスピードが速く1995年に登場してからこれまでたくさんのフレームワークやライブラリが提供されています。ここではJavaScriptの代表的なフレームワークとライブラリを表にまとめます。
ライブラリ・フレームワーク名 | 概要 |
---|---|
jQuery | JavaScriptのライブラリでも歴史が古く、人気が高いライブラリ。主にWebサイトやWebアプリケーション開発で頻繁に使用され、JavaScriptよりも短いコードで実装が可能。 |
React | 2015年に登場したJavaScriptライブラリ。FacebookやInstagramなどさまざまなサービスに採用されている。 |
Vue.js | MVVMというMVCの派生パターンを採用し、ファイルサイズが軽量でレンダリングが高速という特徴を持つフレームワーク。記述がシンプルで柔軟性が高い。大規模アプリ開発やスマホアプリ開発には向いておらず、SPA開発に使用されることが多い。 |
Next.js | Reactをもとに開発されたフレームワーク。UIの作成に長けている。 |
Node.js | JavaScriptをサーバーサイドで動作させるフレームワーク。大量アクセスに強く、処理をリアルタイムに実行できるためタイムラグが大きな影響を与えるチャットサービスなどの開発に向いている。 |
AngularJS | Google社が開発したフレームワーク。有名なフレームワークで多くのエンジニアが利用している。システムの管理画面や小規模なWebアプリケーション開発に向いている。 |
Backbone.js | MVCを採用したフレームワーク。Angular.jsがフルスタックフレームワークであることに対し、Backdone.jsはシンプルなフレームワーク。Trello・WordPress .comなどのアプリケーションで利用されている。 |
Knockout.js | MVVMを採用しているフレームワーク。比較的、JavaScriptの構文を継承した形で記述が可能。Angular.jsと比較すると機能がシンプルで使いやすく軽量という特徴がある。 |
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7.まとめ
今回はフロントエンド開発に興味があるプログラミング初心者や、Web開発を始めたいと考えているデザイナーやマーケティング担当者に向けて、JavaScriptでできることについて解説しました。
JavaScriptは、非同期処理を簡単に実装できることや充実なフレームワークのおかげでたくさんのWeb開発に採用されているプログラミング言語です。Node.jsの登場によって、フロントエンドだけでなくサーバーサイドの開発もできる言語として注目を集めています。
それらの特徴を活かし、JavaScriptはゲームやアプリケーション開発など、幅広い分野で活躍しています。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。