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ApacheとNginxの違いは?特徴や機能などをわかりやすく解説

公開日:2024/10/16最終更新日:2024/10/16

ApacheとNginxの違いは?

ApacheとNginxそれぞれを選ぶポイントは?


Webサーバーを構築するプロジェクトなどでは、ミドルウェアを選ぶ際にApacheとNginxのどちらを選ぶべきか悩む場面が多いようです。


Webサーバーの選定は、サイトのパフォーマンスや効率に大きく影響しますので、しっかりと選びたいものですよね。


この記事では、人気の高いApacheとNginxの違いを解説し、それぞれのメリットや適した用途をわかりやすくまとめました。ぜひ、Webサーバー選びの参考にしてください。


1.Apacheとは?Nginxとは?それぞれの特徴

ApacheとNginxはWebサーバーとして最も広く使われているソフトウェアです。


どちらもWebサイトのパフォーマンスを最適化し、コンテンツを高速かつ効率的に配信するための重要な役割を果たします。しかし、アーキテクチャや処理方法には大きな違いがあります。


この章ではApacheとNginxの基本的な特徴について紹介し、どのような用途やシステムに向いているかについて解説します。それぞれの違いを理解し、ニーズに合った選択をするヒントとしてください。

Apacheとは

Apacheは1995年に誕生し、長年にわたりWebサーバー市場の主流を占めてきました。オープンソースであることやモジュール方式のアーキテクチャにより、柔軟な拡張性を持っているのが特徴です。


Apacheはプロセス駆動型のモデルを採用しており、リクエストごとにプロセスを生成して処理を行うため、少数の同時アクセスに対して安定した処理を行います。動的コンテンツの配信に優れたパフォーマンスを発揮します。


また、多くのプラグインやモジュールをサポートしており、PHPやPythonなどのスクリプト言語との親和性が高いです。中小規模のWebサーバーやシステムで幅広く活用されています。

Nginxとは

Nginxは主に高パフォーマンスとスケーラビリティを求めるWebサイト向けに、2004年にロシアの技術者Igor Sysoevが公開しました。

NginxはApacheとは異なり、イベント駆動型のアーキテクチャを採用していて、同時に大量のリクエストを処理することが得意です。


メモリ使用量が少なく、軽量な構造を持つため、大規模なトラフィックを処理するWebサーバーとして適しています。特に静的コンテンツの配信においては、非常に高速な処理能力を誇ります。


Nginxはリバースプロキシ機能にも優れ、ロードバランシングやキャッシュ機能のサポートも強力です。GoogleやNetflix、Airbnbなどの大手企業でもその性能が評価され、導入されています。

2.ApacheとNginxの技術的な違い

ApacheとNginxはともにWebサーバーとして非常に高い人気を誇りますが、その内部的な動作には大きな違いがあります。


特に、リクエストを処理する方法やシステムリソースの使用効率には明確な違いがあり、Webサイトのパフォーマンスに直接影響を与えます。


この章では、ApacheとNginxの技術的な特徴について詳しく解説し、それぞれのメリットと選択すべきシチュエーションを探りますので参考にしてください。

処理モデルの違い

Apacheはプロセス駆動型のアーキテクチャを採用しており、リクエストごとに新しいプロセスまたはスレッドを生成します。この方法はリクエストが少ない場合に安定した動作を提供する一方、同時に多くのリクエストが発生するとリソースの消費が増加し、パフォーマンスが低下することがあります。


一方、Nginxはイベント駆動型のモデルを採用しており、非同期でリクエストを処理します。この方法は同時に大量のリクエストを効率的に処理でき、サーバーのリソースを最大限に活用できます。


高トラフィックなWebサイトにおいて有効で、負荷がかかる状況でも安定したパフォーマンスを発揮します。

パフォーマンスの違い

ApacheとNginxには、パフォーマンスにも違いがあります。メモリ使用量の効率が異なっているのです。


Apacheはリクエストごとにプロセスを生成するため、メモリの使用量が多くなりがちですが、少数のリクエストに対しては十分なパフォーマンスを発揮します。中小規模のWebサイトでは安定した動作が期待できます。


一方、Nginxは少ないメモリでより多くのリクエストを同時に処理することができ、特に静的コンテンツの配信に優れたパフォーマンスを発揮します。高トラフィックサイトやリソース制限が厳しい環境でも効率よく動作します。

静的?動的?得意なコンテンツ配信の違い

ApacheとNginxは得意とするコンテンツ配信も異なります。静的コンテンツと動的コンテンツの処理において異なるアプローチを取るのです。


Apacheは動的コンテンツの処理に強みがあり、PHPやPythonなどのスクリプトを直接サポートし、モジュールを通じて柔軟に機能を追加できます。


対してNginxは特に静的コンテンツの配信に強みがあり、画像やHTMLファイルなどのデータを高速にクライアントへ送信する能力に優れています。

3.ApacheとNginxの設定とカスタマイズ

Apacheは、複雑な要件にも対応できるよう、非常に多くのモジュールを提供しており、カスタマイズの自由度が高いです。一方Nginxは、軽量かつシンプルな設定で、効率的なパフォーマンスを実現します。


この章では、両者の設定方法について詳しく解説し、それぞれの強みと使い分けについて見ていきますので参考にしてください。

Apacheの設定方法

Apacheの設定は、主にhttpd.confファイルを中心に行います。httpd.confファイルには、Webサーバーの挙動を詳細に制御するための多くのディレクティブが含まれており、ホスト設定やアクセス制御、ログの出力など、きめ細かな調整が可能です。


さらにApacheは多くのモジュールをサポートしており、PHPやSSLのサポート、認証機能の追加など必要に応じて機能を拡張することができます。モジュールの追加や削除は、LoadModuleディレクティブを使用すれば簡単で、特定の機能をすぐに有効化することが可能です。


Apacheを使うとサーバーのパフォーマンスを最適化しつつ、必要な機能を柔軟に追加することが可能だと言えます。

Nginxの設定方法

Nginxの設定はnginx.confファイルを中心に行います。Apacheに比べて設定ファイルの構造がシンプルで、直感的に操作できるのが特徴です。


Nginxは静的コンテンツの配信や負荷分散、リバースプロキシの機能を少ないステップで設定でき、運用の手間を最小限に抑えます。


Nginxの設定ファイルはモジュール化されておらず、トラブルシューティングが比較的しやすいです。また、非同期処理モデルの強みを活かした設定を行うことで、少ないリソースで効率的に動作させることができます。

4.ApacheとNginxのメリットとデメリット

ApacheとNginxはどちらも優れたWebサーバーソフトウェアですが、それぞれを使うメリットとデメリットがあります。どちらが最適なのかは、利用する場面やシステム要件によって異なるでしょう。


この章では、ApacheとNginxのメリットとデメリットを紹介しますので、どちらを選ぶかのヒントにしてください。

Apacheのメリット

Apacheには、Nginxなど他のWebサーバーソフトウェアと比較して多くのメリットがあります。ここではそのメリットを3つ紹介します。

柔軟なモジュール構成

Apacheの大きな強みは、豊富なモジュールを使ってWebサーバーの機能を柔軟に拡張できる点です。PHPやPythonなどのスクリプト言語に対応し、動的コンテンツの処理に強みを持っています。

長期的なサポートと信頼性

Apacheは長年使用されており、多くのサーバーで実績を積んでいます。そのため非常に信頼性が高く、長期的に安定したサポートを受けられる点が大きなメリットです。

スクリプト言語との相性が良い

Apacheはスクリプト言語との親和性が高く、PHP、Python、Perlなどをネイティブでサポートしています。そのため、動的なWebアプリケーションやデータベース連携が容易です。

Apacheのデメリット

強力なWebサーバーソフトであるApacheですが、デメリットも存在します。ここではそのデメリットを3つ紹介しましょう。

リソース消費が多い

Apacheはプロセス駆動型のため、リクエストごとにプロセスやスレッドが生成され、同時リクエストが増加するとリソース消費が大きくなります。特に高トラフィックサイトでは効率が悪くなる恐れがあります。

大規模なWebサイトには不向き

Apacheは大量のリクエストを処理する際に、メモリやCPUの使用量が増加し、パフォーマンスが低下することがあります。大規模なWebサイトでの使用には不向きです。

設定が複雑

Apacheは多機能であるため、設定が複雑になることが多いです。多くのディレクティブやモジュールを管理する必要があり、特に初心者の方には設定が難しく感じられるでしょう。

Nginxのメリット

Apacheと同様にNginxにも多くのメリットがあります。ここではNginxの代表的なメリットを3つ紹介しましょう。

高いパフォーマンスと軽量設計

Nginxはイベント駆動型のアーキテクチャを採用しており、少ないリソースで高トラフィックを効率的に処理できます。静的コンテンツの配信速度も非常に高速で、軽量設計が特徴です。

優れたスケーラビリティ

Nginxは同時に多くのリクエストを処理できるため、スケーラビリティに優れています。高トラフィックの大規模サイトやサービスで安定してパフォーマンスを維持できるのが強みです。

リバースプロキシやロードバランシングに強い

Nginxはリバースプロキシやロードバランシング機能を標準でサポートしており、トラフィックの負荷分散やキャッシュの管理が簡単に行えます。そのおかげで、Webサービスの可用性と効率の向上が期待できるでしょう。

Nginxのデメリット

メリットがある反面、Nginxにもデメリットがあります。ここでは、Nginxのデメリットを2つ紹介します。

動的コンテンツ処理の弱さ

Nginxは静的コンテンツの配信に優れていますが、動的コンテンツの処理能力はApacheに比べて弱いです。動的なWebアプリケーションの構築には、別途アプリケーションサーバーと連携するのがおすすめです。

設定の柔軟性が低い

Nginxの設定はシンプルで扱いやすい反面、Apacheほどの柔軟性を持っていません。モジュールの追加やカスタマイズの自由度が少なく、特殊な要件には不向きです。

5.ApacheとNginxを使い分ける5つのポイント

ApacheとNginxはそれぞれ異なる強みを持つWebサーバーですから、要件や用途、環境に応じた使い分けが重要です。トラフィック規模、コンテンツの種類、メモリ効率、リバースプロキシ機能、そして設定の柔軟性など、判断する要素はいくつかあります。


この章では、ApacheとNginxを使い分けるポイントを紹介しますので、選択のヒントにしてください。

トラフィック規模

Nginxは大量の同時アクセスを効率よく処理できるため、高トラフィックのWebサイトやサービスに適しています。たとえば、大手企業のポータルサイトやSNSプラットフォームなど、日々数百万単位のアクセスがある場合、Nginxの非同期処理モデルが有効です。


一方、Apacheは少数の同時リクエストに対して安定したパフォーマンスを発揮します。中小規模のWebサイト、企業のイントラネットやブログなどでの利用に適しているでしょう。

静的コンテンツと動的コンテンツの割合

画像やHTMLファイルなどの静的コンテンツが中心のWebサイトであれば、Nginxが最適です。Nginxは、静的コンテンツの高速配信に優れており、リクエスト数が増えても安定したパフォーマンスを提供します。


一方、PHPやPythonを用いたページ生成を伴う動的コンテンツを多く扱うWebサイトでは、Apacheの方が優れています。Apacheは、スクリプト言語のネイティブサポートが強力で、動的ページの生成やデータベースとの連携が容易です。

サーバーのメモリ使用量

Nginxはイベント駆動型のアーキテクチャにより、メモリ効率が非常に高いです。大量の同時リクエストが発生しても、リソース消費を抑えながらサーバーを運用できます。


メモリやCPUの制約がある環境や、クラウドベースのサービスに向いているでしょう。


一方、Apacheはプロセス駆動型のアーキテクチャを採用しており、各リクエストごとに新しいプロセスやスレッドを生成します。そのため、メモリ消費が増える傾向があります。リソース効率を重視する場合は、ApacheよりもNginxが適しています。

リバースプロキシとしての利用

リバースプロキシとして利用する場合、Nginxに軍配が上がります。


ロードバランシング機能やキャッシュ機能をネイティブでサポートしています。クライアントからのリクエストを適切に他のサーバーに振り分けることで、Webサーバーの負荷を軽減可能です。


SSLの終端処理も高速に行えるため、セキュリティが重要なサービスに適しています。


Apacheもリバースプロキシ機能を持っていますが、高負荷時のリクエスト処理能力においてはNginxほどのパフォーマンスは発揮しません。大規模な環境であればあるほど、Nginxの方がおすすめです。

設定の柔軟性

Apacheは多くのモジュールをサポートしており、非常に柔軟な設定が可能です。動的コンテンツの処理やSSLの設定、セキュリティ強化など、多様なニーズに合わせたカスタマイズができます。


一方、Nginxは設定がシンプルで、直感的な設定ファイルにより、導入や運用の手間を大幅に削減可能です。柔軟性を求めるプロジェクトにはApacheが適していますが、効率的な運用やシンプルな設定を求めたい場合はNginxが向いているでしょう。

6.ApacheとNginxの導入方法

Webサーバーの選定において、インストール方法や運用のしやすさも重要なポイントとなるでしょう。この章では、具体的な導入手順について解説します。

Apacheのインストール方法

Apacheのインストールは、主要なOSで非常に簡単に行えます。たとえばLinux系OSでは、以下のコマンドでインストール可能です。

sudo apt-get install apache2

インストール後、Apacheの設定ファイルであるhttpd.confを編集し、Webサイトのディレクトリやモジュールの設定を行ってください。ディレクティブを使用して、アクセス制御やログ管理などの詳細な設定も可能です。


Windows環境では、公式サイトからApacheのバイナリをダウンロードし、GUIでの設定が可能です。インストール時には、ファイアウォールやポートの設定に注意しましょう。


なおモジュールの追加やPHPなどの拡張を有効にする場合、追加の設定が必要となるため、事前にドキュメントを確認しておくとスムーズに進められます。

Nginxのインストール方法

Nginxのインストールもシンプルで、Linux系OSでは以下のコマンドでインストール可能です。

sudo apt-get install nginx

インストール後、設定ファイルnginx.confを編集して、サーバーの設定を行ってください。Nginxの設定は、Apacheに比べてシンプルで直感的に理解できる構造です。


バーチャルホストの設定は1つのファイルで完結し、Webサイトごとの設定も容易に管理できます。また、リバースプロキシやロードバランシングの設定も、専用ディレクティブを使用して数行で実装できるため、負荷のかかる大規模サイトでも効率的な運用が可能です。

7.ApacheとNginxの導入事例

ApacheとNginxはともに数多くの企業や組織で採用されており、それぞれの特性を活かして運用されています。

この章では、ApacheとNginxがどのようなプロジェクトやサービスに導入されているかについて紹介します。導入事例を知ることで、どのような場面でどちらのWebサーバーが適しているかを具体的にイメージしやすくなるでしょう。

Apacheの導入事例

Apacheは長年にわたり信頼性の高いWebサーバーとして世界中で採用されてきました。そのため多くの大企業やサービスで利用されています。


たとえばIBMやAdobeではApacheを内包したミドルウェアを販売しており、動的コンテンツを多く扱う企業内のWebアプリケーションやイントラネットで広く活用されています。Facebookの初期構築時にもApacheが利用されていました。


ApacheはPHPやPythonのサポートが充実しており、WordPressやDrupalなどのCMSにおいても主流のWebサーバーとして採用されています。

Nginxの導入事例

Nginxは軽量で高パフォーマンスな特性から、世界中の多くの大規模なWebサービスで採用されています。たとえばNetflix、Airbnb、Instagramなどの高トラフィックなサイトやサービスがNginxを使用しています。


Nginxをリバースプロキシやロードバランサーとして利用し、大量の同時接続を効率的に処理していることが知られています。


また、Nginxは静的コンテンツの高速配信に優れているため、CDNでも利用され、データセンターでのトラフィック負荷を分散しています。

8.ApacheとNginxの将来性

ここからは、ApacheとNginxの将来性について考えてみましょう。技術革新やインターネット環境の進化にともない、ともにどのような進化や変化が起こるのか考えてみてください。

Apacheの将来性

Apacheは長年にわたり信頼されて続けてきたWebサーバーソフトウェアであり、今後もその地位を維持するでしょう。


オープンソースコミュニティによる継続的な開発が行われているので、新しいモジュールの追加やセキュリティパッチの提供が続けられるはずです。


動的コンテンツの処理や複雑なWebアプリケーションでの使用が期待されているため、現在や今後ますます進むであろうDX化の中でも有力な選択肢になります。


ただし、Nginxのような軽量なサーバーが増加しているため、Apacheの市場シェアは減少傾向です。それでもなお、特定の環境下やニッチな用途では、引き続き採用されることが見込まれるでしょう。

Nginxの将来性

Nginxはスケーラビリティと高パフォーマンスを活かして、今後も成長が期待されるWebサーバーソフトウェアです。


クラウドサービスの普及やコンテンツ配信のニーズが増加する中で、Nginxの軽量設計と優れた同時接続処理能力はますます重要視されるでしょう。特に、コンテナ技術やマイクロサービスアーキテクチャといった新しい技術にも柔軟に対応できる点が、Nginxの強みです。


さらにNginxは商用版である「Nginx Plus」も提供しており、エンタープライズ向けのサポートや追加機能があるため、今後も大規模な商用プロジェクトで利用が拡大することが予想されます。


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9.まとめ

この記事では、ApacheとNginxそれぞれの特徴と違い、メリット・デメリット、導入方法、将来性について解説しました。

Apacheは柔軟性と動的コンテンツの処理に強みがあり、Nginxは高トラフィックを効率的に処理する軽量サーバーとして優れています。


Webサーバーを選ぶ際には、サイトの規模や目的に合わせて適切なサーバーを選択することが重要です。

この記事を読んだ皆様には、ぜひApacheやNginxの導入を検討し、より効率的で最適なシステム運用を目指していただければと思います。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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