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Perlとは?嫌われる理由やできること、将来性について解説

公開日:2024/10/25最終更新日:2024/10/25

Perlとは30年以上の長い歴史をもつテキスト処理に特化した動的型付けのプログラミング言語です。Webアプリケーション開発で人気の言語でしたが、現在では後発のPythonやRubyによってシェアを奪われがちです。しかし、テキスト処理能力が他言語よりも優れており、システム管理やスクリプト作成に役立ちます。本記事ではPerlの概要や特徴、他言語との違いや嫌われる理由や将来性について解説します。

1.Perlとは?

Perlとは、テキスト処理に特化した動的型付けのプログラミング言語です。1987年に開発され30年以上の歴史をもつ言語で、Windows・Mac・LinuxなどさまざまなOSで動作します。


Perlが登場した当初はテキスト処理やファイル処理を中心に動作するスクリプト言語でしたが、長い時間をかけて機能拡張を繰り返し、現在ではWeb開発にも利用できる言語になりました。


Perlは情報が豊富にあり、コミュニティが活発であるため初心者にとっても学習に取り組みやすく、幅広い用途があります。


しかし、Perlよりも学習コストが低く比較的新しい開発言語であるRubyやPythonの登場によってPerlの需要は減少傾向です。それでも、長い歴史をもつことや他の開発言語にはない強みを持っているPerlは現在でもさまざまな分野で使用されています。

2.Perlの特徴

長い歴史をもつPerlですが、どのような特徴を持つのでしょうか。ここでは、Perlの特徴について解説します。

テキスト処理能力に優れている

Perlには、文字列と数値を自動的に変換する機能が備わっており、テキスト処理能力に優れているプログラミング言語です。変数に型を指定する必要がありません。また、強力な正規表現を備えているため、テキストデータの検索と置換・抽出・加工などの処理を効率的に行えます。

CPANモジュールが豊富

PerlはCPANモジュールが豊富です。CPANモジュールとはPerlで使用できるライブラリやツールの集合のことです。このモジュールを使用することによって開発時間を大幅に短縮できます。さらにそれぞれインストール方法やドキュメントの形式が標準化されているため、使用したいモジュール名がわかれば、コマンドだけでそのモジュールを自分の環境にインストール可能です。

オブジェクト指向

Perlは、オブジェクト指向の概念を取り入れています。オブジェクト指向であることによって、プログラムの部品化ができるため、大規模な開発での分担やプログラムの再利用性を向上できます。


しかし、JavaやRubyなど他のプログラミング言語と比較すると機能面での制約が一部あるため、本格的なオブジェクト指向プログラミングには向いていません。

クロスプラットフォーム

Perlはクロスプラットフォームな開発言語であり、Windows、macOS、Linuxなど異なるOS上で同じコードを実行できます。クロスプラットフォームであることによって、開発の大部分を共通化でき、異なるOSのアプリケーションやシステムを効率的に開発可能です。またこれは、品質向上にもつながるメリットです。

可読性が高い

Perlは記述が簡潔でプログラムの流れを把握しやすくなっているため、可読性が高いプログラミング言語です。そのため、初心者でも習得しやすいでしょう。可読性が高いポイントとしては、変数名や関数名などの命名規則が統一されていることも関係してきます。可読性が高いことによって、バグを発見しやすくデバッグやメンテナンスの時間が大幅に短縮できるメリットがあります。

コンパイルが不要

Perlはソースコードを1行ずつ読み取って実行するインタプリタ型の言語で、コンパイルが不要な開発言語です。そのため、プログラムの確認や修正が容易であるというメリットがあります。一方でインタプリタ言語は、コンパイラ言語に比べて実行速度が遅いというデメリットもあります。他のインタプリタ言語にはPHPやRuby、Pythonがあります。

後方互換性が高い

Perlは後方互換性が高い特徴を持ちます。後方互換性とは、開発言語がアップデートされても過去のバージョンで作成したプログラムが動作することを指します。これは、長期間の開発や運用を行うことになっても問題になりにくいというメリットがあります。Perlは後方互換性を重要視しており、長く利用できるプログラミング言語として評価されています。

3.Perlでできること

いくつもの特徴をもつPerlができることについて、解説します。

Web開発

Perlは、CGIプログラミングやCPANモジュールが豊富であるため、各種サーバー側処理やWebサービス構築などのWeb開発ができます。動画配信サービスやSNSなどの開発にも使用でき、他の開発言語をメインに使用して一部はPerlで実装するという使い方も可能です。簡潔なコードでプログラムを記述できるためスピード感が求められるWeb開発に適しています。

業務システム開発

Perlは、OS環境を選ばずに動作する開発言語であるため、営業支援システムや会計システムなどの業務システム開発にも利用可能です。テキスト処理能力に優れているため、業務システムの基盤となるデータベース処理や帳票作成などに適していますが、大規模なシステム開発や複雑な処理を行う開発には不向きです。

Webゲーム開発

Perlはソーシャルゲーム開発にも利用されます。Webゲームはユーザーの操作に応じてリアルタイムで処理を反映・画面を更新する必要があるため、コンパイル不要な特徴をもつPerlは高速なパフォーマンスを発揮できます。また、ゲームの会員登録やログイン処理など、サーバー側の開発はPerlだけで行えます。

データ分析

PerlのCPANモジュールを活用することでデータ分析が可能です。統計解析や機械学習、自然言語処理などのデータ分析ができます。しかし、大規模なデータ処理には不向きであるため、ビッグデータや機械学習の分野はPythonやR言語が主流となっています。

4.Perlと他のプログラミング言語との違い

Perlは登場から長い年数が経過しており、Perlならではのメリットが他のプログラミング言語でも克服されているケースがあります。ここでは、PerlとRuby・Python・PHPの違いについて解説します。Webアプリケーション開発の採用言語を悩んでいる場合に参考にしてください。

PerlとRubyの違い

共通点

・オブジェクト指向

・インタプリタ言語

違い

・Rubyの方がオブジェクト指向が強い

・Perlの方がテキスト処理能力の柔軟性がある

PerlとRubyはどちらもオブジェクト指向のインタプリタ言語です。Perlと比べて、Rubyの方がオブジェクト指向が強く、大規模開発に向いています。また、文字列処理が得意で直感的に扱える特徴を持ちますが、テキスト処理に関してはPerlの方が柔軟性があるでしょう。


RubyはRuby on Railsというフレームワークが有名で、Webアプリケーション開発において人気です。このフレームワークはWebアプリケーション開発において開発速度や生産性が高いことで注目を集めており、多くのWeb開発者がRubyを好んで使用しています。


PerlもWeb開発に利用されていますが、PerlにはRuby on RailsのようなWeb開発に特化したライブラリが少ないことから注目度が低下している傾向にあります。

PerlとPythonの違い

共通点

・テキスト処理に強い

・スクリプト言語

違い

・Pythonはより汎用的

・Pythonの方が将来性が高い

PerlとPythonはどちらもテキスト処理に強いプログラミング言語ですが、Perlの方があらゆるパターンに対応でき、Pythonはシンプルな文法で初心者にやさしい開発言語です。


Pythonは汎用性が高く、テキスト処理だけでなくデータサイエンスやAI開発の分野で注目を浴びています。また、Webアプリケーション開発向けのライブラリやフレームワークが豊富で将来性が高い開発言語です。


テキスト処理や正規表現に関する実装が必要な場合はPerl、機械学習やデータサイエンスを行いたい場合はPythonを選択するといいでしょう。

PerlとPHPの違い

共通点

・オープンソース

・スクリプト言語

違い

・PHPの方が習得がしやすい

・PHPは標準でWebアプリケーション開発用の関数が備わっている

PerlとPHPはどちらもオープンソースでスクリプト言語である共通点を持っていますが、それぞれ異なる分野での強みを持ちます。PerlでWebアプリケーション開発をする際は、モジュールのインストールが必要ですが、PHPは標準でWebアプリケーション用の関数が備わっています。これは初心者にとって、Webアプリケーション開発に取り組みやすいというPHPのメリットです。


多くのCMS開発プロジェクトでPHPが採用されており、Web開発者にとって馴染み深い言語がPHPです。


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5.Perlが嫌われる理由

Perlは、嫌われているという意見もよく耳にします。どのような理由で嫌がられているのでしょうか。ここではPerlが嫌われる理由について解説します。

他開発言語の台頭

Perlは、クロスプラットフォームに対応していることやテキスト処理が得意であることからWebアプリケーション開発に利用されてきましたが、PythonやRubyの登場によって注目が薄れています。


Pythonは人工知能開発にも活用できることから高い評価を得ており、RubyはRuby on Railsのフレームワークを利用することにより効率的に開発ができることで有名です。そのため、新規アプリケーション開発ではPythonやRubyを採用する企業が増加しています。


Perlはこれらと比較して突出したメリットが少なく、注目度が低下傾向です。しかし、Perlはテキスト処理と正規表現を得意とする開発言語であるため、スクリプト作成やシステム管理で活躍できる言語です。

処理速度が高速でない

Perlはこれまで長い年数にわたり多くの開発者に親しまれてきた開発言語です。しかし、インタプリタ言語であるため処理が高速ではありません。対して、C言語やC++などのコンパイル言語は処理速度が高速です。


しかし、一概にPerlの処理速度が遅いとは言えません。適切なアルゴリズムとデータ構造を使用すれば十分な速度を実現でき、C言語と連携することによって処理速度の問題は解決できるでしょう。

コードを統一しにくい

Perlは柔軟性が高くさまざまなコードの書き方が可能であるため、コーディングする人によってコードの差が生まれやすいです。同じプロジェクトで複数の人がPerlを使ってプログラミングする際は、チーム内の書き方を統一できるよう記述ルールを設けることが重要です。


さらに、モジュールの再利用やオブジェクト指向のプログラミングを活用することで、再利用性の向上やコードの構造化が実現できるでしょう。

6.Perlのおすすめのフレームワーク

Perlは柔軟性が高い反面、コードが統一しにくいというデメリットにもなり得ます。しかし、フレームワークを活用すればコード記述も統一しやすくなるため、その問題を解決できるでしょう。Perlのフレームワークはいくつもの種類がありますが、ここでは定番のフレームワークを下記の5つ紹介します。

  • Mojolicious

  • Catalyst

  • Dancer

  • TripletaiL

  • Amon2

これらをGoogleトレンドでみた際の結果は下記の通りです。特にCatalystやMojoliciousが人気であることがわかります。

Mojolicious

Mojoliciousは、効率的で保守性の高いWebアプリケーションを開発したい場合に適しているフレームワークです。テンプレート・パラメーター取得・フォーム処理などWebサイト作成に必要な機能が備わっているのが特徴で、非同期I/Oにも対応しており、サービス開始後に高負荷になったとしても対応可能です。また、開発の規模に関わらず使用しやすいのもMojoliciousのメリットでしょう。

Catalyst

Catalystは、Perlフレームワークの中で最も有名で人気の高いフレームワークです。MVCモデルを採用しているため、柔軟性と拡張性に優れています。この特徴は大規模なWebアプリケーション開発に最適です。


CPANモジュールに登録されている多くのモジュールと連携が容易で、効率的な開発ができます。Catalystは、RubyのRuby on Railsの影響を受けていることもあるため、Rubyエンジニアであれば習得は比較的容易です。

Dancer

RubyフレームワークのSinatraから移植して開発されたPerlフレームワークです。最低限の機能のみを搭載しており、小規模なWebアプリケーション開発に適しています。プラグインやモジュラー設計によって強力な拡張性を持っており、柔軟性が高いことからメンテナンスが容易で、高速で動作する特徴を持っています。

TripletaiL

TripletaiLは、日本製のPerlフレームワークです。下記の3つを重視して開発されています。

  • 安全性

  • 生産性

  • 保守性

日本製であることからマニュアルや文字コード、メールへの日本語対応が充実しています。他のフレームワークに比べて理解がしやすいのがメリットです。CPANモジュールとの依存性が低いため、バージョンアップによる影響が少ないのも特徴です。


また、TripletaiLは豊富なヘルプやサンプルコードが提供されているため、学習コストが低く初心者でも比較的容易に開発を開始できます。

Amon2

こちらもTripletaiLと同じく日本製のPerlフレームワークです。Perlフレームワークの中でも特にシンプルな作りで、初心者でもすぐに習得できます。シンプルだからこそ自由度の高い開発ができ、開発規模に合わせて拡張できるのもメリットです。

7.Perlの需要と将来性

他のプログラミング言語がトレンドになっている中、Perlの需要はどうなっているのでしょうか。ここでは、Perlの需要について解説します。

Perlの新規プロジェクトは減少傾向

TIOBEのプログラミングの人気を指標化したTIOBEインデックスによると、2024年10月現在でPerlは29位にランクインしています。Pythonは1位・Rubyは18位・PHPは15位です。このように、Perlは他のプログラミング言語にシェアを奪われつつあります。


Perlが決して劣っているというわけではありませんが、他のプログラミング言語の方が開発効率や品質、処理速度の点で優れているのは否めません。

Perlで開発された既存システムの保守は継続する

Perlの新規プロジェクトは減少傾向ですが、長年の歴史があるPerlはこれまで開発された既存システムが多数あります。その既存システムの保守プロジェクトはこれからも継続することが予想されるでしょう。


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8.まとめ

今回はPerlを利用したWeb開発に興味があるエンジニアや、既存のPerlコードをメンテナンスする必要があるプログラマー、スクリプト言語の違いを比較検討しているシステム担当者に向けてPerlについて解説しました。


Perlとはテキスト処理能力が他開発言語よりも優れており、スクリプト作成やシステム管理に役立つプログラミング言語です。後発のPythonやRubyの登場によってWebアプリケーション開発のシーンで活用されることは減りましたが、Perlで開発された既存システムの保守プロジェクトは続きます。


どのスクリプト言語を採用するか検討している場合は、Perlと他のプログラミング言語の違いを参考にしてみてください。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.Perlとは?

2.Perlの特徴

テキスト処理能力に優れている

CPANモジュールが豊富

オブジェクト指向

クロスプラットフォーム

可読性が高い

コンパイルが不要

後方互換性が高い

3.Perlでできること

Web開発

業務システム開発

Webゲーム開発

データ分析

4.Perlと他のプログラミング言語との違い

PerlとRubyの違い

PerlとPythonの違い

PerlとPHPの違い

5.Perlが嫌われる理由

他開発言語の台頭

処理速度が高速でない

コードを統一しにくい

6.Perlのおすすめのフレームワーク

Mojolicious

Catalyst

Dancer

TripletaiL

Amon2

7.Perlの需要と将来性

Perlの新規プロジェクトは減少傾向

Perlで開発された既存システムの保守は継続する

8.まとめ