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Kotlinでできることは?言語の特徴やコード例、メリットなどわかりやすく解説

公開日:2024/11/08最終更新日:2024/11/08

Kotlinでできることはなんだろう?

JavaからKotlinに移行を考えている。

Androidアプリ開発をもっと効率化したい!


そんなあなたに、この記事をおすすめします。この記事では、Kotlinの特徴、Javaとの違い、実際の使用事例などをわかりやすく解説します。Kotlinの活用に関心がある方は、ぜひお読みください。


目次

1.Kotlinとは?特徴や歴史・開発の背景と目的

Kotlinは、近年急速に普及しているプログラミング言語で、特にAndroidアプリ開発において存在感を増しています。この章では、Kotlinの歴史や誕生の背景、特徴などついて解説します。

Kotlinとは?

Kotlinは「コトリン」と読みます。Kotlinを生んだ研究所に近い、バルト海の島の名前が由来です。GoogleがKotlinを公式にAndroid開発言語として採用したことから、Kotlinの人気が高まっています。


KotlinはJavaとの互換性が高く、Javaに求められる機能の一部を取り入れたり、互換性を維持するために実現が難しい機能や、将来Javaの仕様に組み込まれる予定の機能が実装されています。

Kotlinの歴史

KotlinはJetBrainsが開発した静的型付けのプログラミング言語です。2011年に発表され、その後のバージョンアップを重ねて2016年にリリースされたKotlin1.0は、Androidアプリの開発者にとって革命的なものでした。


その後マイナーレベルアップが断続して続き、この記事公開時点での最新バージョンは、2024年5月にリリースされたKotlin2.0です。

Kotlin開発の背景と目的

Kotlinが開発された目的は、Javaの限界を克服することです。Javaは多くの優れた機能を持つ一方で、冗長な構文や、NullPointerExceptionの頻発が問題視されていました。Kotlinはこれらの課題を解決するために生み出されたのです。

Kotlinの魅力とは?

Kotlinの最大の魅力は、開発者の生産性を向上させるために設計されたプログラミング言語だという点です。さらに詳しい魅力を見てみましょう。

コードがシンプル

Kotlinのコードはシンプルです。冗長なコードを減らすことで、可読性を向上させ、保守性を高めることが期待できます。また、開発のスピードも高まることが期待できます。


たとえば、プロパティの定義や、equals、hashCode、toStringなど基本的なメソッドの自動生成が可能です。開発者は本質的なロジックに集中することができるでしょう。

Null安全性が高い

Kotlinが生まれた理由の一つが、NullPointerException(いわゆる「ヌルポ」)です。NullPointerExceptionを防ぐために、KotlinはNull安全性を強化していて、開発者が安全にコードを書くことができるように工夫されています。


たとえば、nullable型とnon-nullable型を明確に区別しており、開発者はNullを扱う場合に明示的に示す必要があります。こうすることでコードの意図が明確になり、Nullに起因するエラーを避けることができます。


また、Kotlinのスマートキャスト機能を利用すれば、型チェックを行った後の変数を自動的にその型として扱うことができます。より安全で直感的なコーディングが実現可能です。

Javaとの互換性が高い

KotlinはJavaと完全な互換性を持っています。KotlinからJavaを呼び出すことも、Javaから Kotlinを呼び出すことも可能です。たとえばJavaで開発しているプロジェクトであっても、必要であればKotlinを導入できます。既存のJavaコードを活用しながら、Kotlinが持つメリットも活用できるのです。

2.KotlinとJavaの違いとは?

KotlinとJavaは高い互換性があります。どちらもJVMで動き、どちらもAndroidアプリ開発に広く使用されるプログラミング言語です。ただ、設計思想や機能において違いがあります。


この章では、KotlinとJavaの違いについて解説します。

型付けの違い

Kotlinは静的型付けの言語であり、型推論をサポートしています。開発者は冗長な型宣言を省略できシンプルなコードになるでしょう。一方Javaでは、すべての変数の型を明示的に指定する必要があります。その分、コードが長くなる恐れがあるでしょう。

Null安全性の違い

Kotlinでは変数にnullを代入することを防ぐ仕組みがあります。たとえば開発者は明示的にnullable型を指定する必要があります。これに対し、JavaではNullPointerExceptionが一般的なエラーであり、防ぐためには開発者が注意深くコーディングしなければなりません。

表現力の違い

Kotlinは高階関数やラムダ式をサポートしており、関数型プログラミングの要素を取り入れています。そのため、より柔軟で表現力豊かなコードを書くことが可能です。一方、JavaもJava 8からラムダ式を導入しましたが、Kotlinの方がより自然な形で活用できます。

3.Kotlinのメリットとデメリット

この章では、Kotlinを使用する際のメリットとデメリットを紹介します。どのような場面でKotlinを選べばよいかなどのヒントにしてください。

Kotlinを使用するメリット

まずはKotlinを使うメリットについて見てみましょう。

シンプルなコード

Kotlinの最大のメリットはシンプルなコードです。Kotlinが多くの開発者に選ばれる理由の一つです。冗長な記述を省くことができるので、開発者は本質的なロジックに集中できるでしょう。


開発者は短期間で高品質なアプリケーションを構築できるようになります。また、コードの可読性が向上するため、トラブル発生時などに役立ちます。保守フェーズの品質向上にも役立ちます。

Null安全性の高さ

これまでにも触れましたが、KotlinはNull安全性が高いです。開発者は変数がnullであるかどうかを明示的に管理できるため、NullPointerExceptionが発生するリスクを大きく軽減できます。


特に大規模なプロジェクトや重要度が高いシステムにおいて、アプリケーションの安定性を高めることに貢献できるでしょう。

Javaとの高い互換性

KotlinはJavaと完全な互換性を持っています。すでにJavaで書かれたコードを再利用しつつ、新しい機能をKotlinで実装することが可能です。

コルーチンが利用可能

Kotlinではコルーチンを利用することが可能です。コルーチンとは、プログラム中の処理を中断して任意のタイミングで再開できる仕組みです。簡単なコードで非同期処理を実装できるため、スレッド管理が楽になります。

Kotlin使用時に注意すべきデメリット

ここからはKotlinを使うデメリットについて見てみましょう。

ビルド時間が長い

Kotlinはコンパイル時に型情報をチェックするため、Javaと比較するとビルド時間が長くなる場合があります。特に大規模なプロジェクトでは、ビルド時間が長くなること開発フェーズなどに影響が考えられます。

ランタイムのサイズが大きくなる

Kotlinのランタイムは、Javaに比べて大きくなる傾向があります。その結果アプリケーションのサイズが増加し、リソースが限られた環境では影響が大きいです。


アプリケーションの軽量化が求められるシステムでは、Kotlinの採用が難しいかもしれません。

Kotlinの情報とサポートが少ない

Kotlinは急速に普及しているものの、Javaに比べると情報やサポートが少ないです。たとえば、何かトラブルに遭遇した場合、解決するためのヒントやドキュメントが不足していることがあります。


ただし、Kotlinを使うプロジェクトや開発者が増えることで、少しずつ解消されています。

4.Kotlinでできることとは?使用事例

Kotlinは、特にAndroidアプリ開発においてその力を発揮しますが、Web開発やサーバーサイドアプリケーションにも利用可能です


この章では、Kotlinで作られたアプリやサービスを具体的に紹介します。

kotlinで作られたアプリ事例1「Uber」

Uberシェアライドアプリを提供している企業で、日本ではデリバリーサービスUber Eatsが有名です。UberはKotlin Foundationにシルバーメンバーとして参加していて、Kotlinの発展をサポートしています。


Uberではアプリ開発に利用するプログラミング言語として、主にKotlinを採用しており、ビルドシステムとのKotlin統合の開発や、Detektの開発への寄与、コンパイラプラグインの作成を始めています。

kotlinで作られたアプリ事例2「Pinterest」

Pinterestは画像共有を目的としたサービスで、ユーザーは自分の興味に合った画像を「ピン」して保存・シェアすることができます。


PinterestのAndroidアプリ開発では、Kotlinを最優先する方針をとっていて、開発プロセスを改善し、エンジニアの生産性を向上させることを目指しています。


Kotlinが持つ高い開発効率や安全性を最大限に活用しており、Pinterestユーザーに快適なサービスを提供するのに役立てています。

5.Kotlinを習得するための開発環境を作りましょう

Kotlinを習得する最も効果的な方法は、実際にKotlinw使ったプログラミングをすることです。この章では、Kotlinを初めて使う時の環境構築手順を紹介します。

ぜひ参考にしてKotlinにチャレンジしてみてください。

  1. JDKのインストール

  2. IDEのインストール

  3. Kotlinプラグインのインストール

  4. 新規プロジェクトの作成

  5. 初期設定の確認

  6. サンプルコードの実行

手順1.JDKのインストール

KotlinはJVM上で動くので、まずJDKをインストールする必要があります。OracleやOpenJDKなどから最新のJDKをダウンロードし、インストールしましょう。

手順2.IDEのインストール

IDEをまだ使っていない場合には、IDEをインストールしましょう。さまざまなIDEがありますが、Kotlinでプログラミングするならば、次のIDEをおすすめします。

おすすめIDEその1:IntelliJ IDEA

IntelliJ IDEAは、Kotlinを生み出したJetBrainsのIDEです。Kotlinの公式サポートを提供しているため、特にこだわりがなければ、IntelliJ IDEAを使ってみましょう。


コード補完やリファクタリングの機能が優れているため、効率的なコーディングが期待できます。

おすすめIDEその2:Android Studio

Android StudioはAndroidアプリ開発専用のIDEです。Googleが公式にサポートしているため、Android開発者にとっては必須のツールです。Kotlin以外のプログラミング言語も使ってAndroidアプリを開発する場合にはお勧めです。


エミュレーターやUIデザインツールなど、Android特有の機能が豊富に揃っています。

おすすめIDEその3:Eclipse

EclipseはオープンソースのIDEで、さまざまなプログラミング言語に適したIDEです。Kotlinプラグインを追加することでKotlinの開発が可能です。もともとJava開発向けに作られたIDEなので、Javaでのプログラミングを経験している人にとっては最適なIDEでしょう。


Eclipseはカスタマイズ性が高く、多くのプラグインも利用できるため、開発者の好みやニーズに合わせて環境を整えることが可能です。

手順3.Kotlinプラグインのインストール

IDEが準備できたら、Kotlinプラグインをインストールしましょう。IntelliJ IDEAやAndroid Studioでは、Kotlinプラグインが標準で組み込まれているため、特別な手順は必要ありません。

手順4.新規プロジェクトの作成

IDEを起動し「新規プロジェクト」を選択しましょう。Kotlinを選び、プロジェクト名や保存場所を設定します。Kotlinプロジェクトが自動的に作成されるのを確認してください。

手順5.初期設定の確認

プロジェクトの設定が完了したら、初期設定内容を確認しましょう。たとえばビルドツールが正しく設定されていることを確認してください。

手順6.サンプルコードの実行

ここまでの手順が完了したら最後に、Kotlinを使って簡単なコードを作成し、正しく実行できるか確認しましょう。

6.kotlinでできるかな?実戦用サンプルコード

Kotlinを学ぶ上で最も重要なのは、実際にコードを書くことです。理論だけでなく、手を動かしてコードを書くことで、Kotlinの構文や特性を身につけることができます。

この章ではKotlinw使った実戦用サンプルコードを紹介します。Kotlinに興味を持った方は、ぜひ実際にプログラミングに挑戦してみましょう。

サンプルコード1:「Hello World」の表示

プログラミング言語を習得するための入門書などで、よく最初のサンプルコードとして登場するのが「Hello World」の表示です。画面に「Hello, Kotlin!」と表示させます。


シンプルなコードですが、Kotlinの基本的な構文を示しています。fun main()はプログラムのエントリーポイントを定義し、println関数を使用してメッセージを出力するのです。


(コード例)


fun main() {

val message: String = "Hello, Kotlin!"

println(message)

}

サンプルコード2:計算機アプリ

次に、簡単な計算機アプリのサンプルコードを紹介します。

このアプリは2つの数値を加算し、その結果を表示するものです。


まず、2つの整数を加算するadd関数を定義します。main関数内で、num1とnum2に値を代入し、add関数を呼び出して結果を取得します。最後に、計算結果を画面に出力しましょう。


このサンプルコードでは、関数の定義や呼び出し方や、変数の使い方を学ぶことができました。


(コード例)

fun main() {

val num1 = 5

val num2 = 3

val sum = add(num1, num2)

println("The sum of $num1 and $num2 is $sum")

}


fun add(a: Int, b: Int): Int {

return a + b

}

サンプルコード3:リストの操作アプリ

Kotlinのリストを使って基本的なリスト操作を行うプログラムを書いてみましょう。


まずlistOfを使って数値のリストを作成します。次に、filter関数を使って、リスト内の偶数だけを抽出し、新しいリストevenNumbersに格納してください。偶数のリストが画面に出力されるはずです。


このサンプルコードでは、Kotlinの高階関数を活用していて、リストの操作をシンプルかつ直感的に行うことができることが理解できるでしょう。


Kotlinのラムダ式を使うことで、コードの可読性が高まり、効率的にデータを操作することがよくわかります。


(コード例)


fun main() {

val numbers = listOf(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10)

val evenNumbers = numbers.filter { it % 2 == 0 }

    

println("Even numbers: $evenNumbers")

}

7.Kotlinはオワコン?現在の需要と将来性

Kotlinは特にAndroidアプリ開発の分野で普及しているプログラミング言語です。kotlinを使う開発案件や採用は多く、決してオワコンではありません。


この章では、Kotlinの需要とトレンド、将来性について解説します。

Kotlinの需要とトレンド

Kotlinの需要は、特にAndroid開発者の間で急速に高まっています。GoogleがKotlinを公式な開発言語として採用したことが、Kotlinの普及に大きく関係しています。Android開発者として、Kotlinを学ぶことが今や必須とされています。


なお、StackOverflowの2024年の調査によると、世界で最も人気のあるプログラミング言語15位にKotlinがランクインしていることから、一定数需要やトレンドがあると言えるでしょう。

Kotlinの将来性

Kotlinの将来性は非常に明るいでしょう。もはやスマホがなくてはならない時代になっており、Androidのニーズが高まるとともにKotlinの重要性が増していくでしょう。仮に、新しいプログラミング言語や技術が登場しても、Kotlinに対する期待は変わらないでしょう。


Kotlinの設計思想は、今後考えられるプログラミング言語のトレンドにマッチしています。たとえば、生産性向上やコードの簡潔さ、安全性などの要素が挙げられ、特にNull安全性やコルーチンといった非同期処理の効率化機能により、他言語と比較してエラーの減少と保守性向上が期待されています。

上記のように、開発者の生産性を向上させることを重視した仕組みは、他のプログラミング言語より優位です。


Kotlinに将来性はあります。

2022年3月にPanorama Data Insights Ltd.が発表したレポートによれば、世界のモバイルアプリ開発市場は2021年に100億米ドルに達し、2030年には410億米ドルに拡大すると予測されています。

また、2022年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)は21%に達すると見込まれています。


上記のように市場成長とともにKotlinを採用するプロジェクトが増え、Kotlinエンジニアの需要が高まると予想されますので、Kotlinは今後のIT業界においてますます重要な役割を果たすことになるでしょう。


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8.まとめ

この記事では、Kotlinの特徴や歴史、Javaとの違い、メリットとデメリット、将来性などについて解説しました。Kotlinには、シンプルなコード、Null安全性、Javaとの高い互換性など、多くのメリットがあります。特にAndroidアプリ開発において非常に魅力的な選択肢です。


この記事を読んだ後は、ぜひKotlinの学習を始めてみてください。実際にコードを書いてみることで、Kotlinの使いやすさを実感するでしょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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