ブロックチェーンエンジニアは、暗号資産をはじめとしたブロックチェーン技術に特化したエンジニア職です。ブロックチェーンはまだ新しい技術だと言えますが、その用途や利便性は高く評価されていて、今後も多くのシーンで利用されると考えられます。そのため専門スキルを身につけているブロックチェーンエンジニアの需要も、高まる可能性があるでしょう。
本記事では、注目度を高めているブロックチェーンエンジニアの特徴と、年収などの待遇面について解説します。これからブロックチェーンエンジニアを目指す方や、エンジニアとして働きつつブロックチェーンエンジニアへの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ブロックチェーンエンジニアとは?
ブロックチェーンエンジニアを目指すのなら、どのような職業なのかという基本を把握することが重要です。以下では、ブロックチェーンエンジニアの基本情報を紹介します。
ブロックチェーンに関係する業務を担当するエンジニア
ブロックチェーンエンジニアとは、その名の通り「ブロックチェーン」に関係する業務全般を担当するエンジニアです。
ブロックチェーンとは「分散型データベース」を指し、過去におけるすべての取引データを順番に記録する技術です。特定のデータベースに情報を保管するのではなく、多数のパソコンを使って同一のデータを分散保持する点が特徴となっています。
ブロックチェーン上で何らかの取引が行われると、処理が実行された記録(トランザクション)が残ります。複数の記録は「ブロック」と呼ばれる単位を使い、前後のブロックとつながったかたちで管理されます。
各ブロックの前後は鎖(チェーン)によって結びついているため、常に時系列順でブロックを確認可能です。そのため取引記録の改ざんが困難となり、なりすましや二重払いなどのトラブルを未然に防げる点が特徴です。
ブロックチェーン技術は、すでに多くのシーンで活用されています。
例えば暗号資産(仮想通貨)の取引には、ブロックチェーン技術が根底にあります。金融分野でも注目を集めていて、「IBM Blockchain World Wire」は本来数日かかる国際送金の時間を、数秒に短縮することに成功しています。
その他、電力、医療、保険など、さまざまな業界でブロックチェーン技術の導入が進んでいます。今後もブロックチェーン技術の利用価値は高まると考えられるため、ブロックチェーンエンジニアの需要も上がっていくでしょう。
ブロックチェーンエンジニアになるには?
ブロックチェーンエンジニアになるには、ブロックチェーンの基本を学び、任せられる仕事内容を問題なくこなせるスキルを身につける必要があります。例えばブロックチェーンエンジニアの仕事内容には、以下のものがあります。
決済サービスやアプリの開発
ブロックチェーンの新規開発や実装
ブロックチェーンの研究
既存ブロックチェーンの改善 など
ブロックチェーンの開発・実装・研究・改善など、あらゆる業務がブロックチェーンエンジニアの仕事になり得ます。ブロックチェーンエンジニアを目指すのなら、まずブロックチェーンの開発方法などを学び、実際にかたちにしてみる方法がおすすめです。
そのうえで自分の求める職場の条件を明確にして、ブロックチェーンエンジニアとしての就職・転職活動を行います。ブロックチェーンエンジニアの求人・案件をこまめにチェックし、どのような条件の仕事があるのか事前に確認しておくと良いでしょう。
2.ブロックチェーンエンジニアの年収はいくら?
ブロックチェーンエンジニアの年収事情は、就職・転職活動をする際に重要な情報となります。以下では、ブロックチェーンエンジニアの年収がどれくらいなのか解説します。
年収は400万円台から1,000万円越えまで幅広い
ブロックチェーンエンジニアの年収は、年収は400万円台から1,000万円越えまで幅広い結果になっています。年収400万円台のブロックチェーンエンジニアもいれば、1,000万円以上の収入を安定して得ているエンジニアもいるのが現状です。
一般的にエンジニアとしての実績が少ない、ブロックチェーンエンジニアとしての経験がない場合には、年収が低くなる傾向にあります。一方で、ブロックチェーンに関する豊富な知識や高度なスキルを身につけて、関連開発やブロックチェーン自体の開発など多くの実績を重ねていくことで、1,000万円クラスの年収を実現できる可能性もあるでしょう。
自分の努力や働き方次第で高年収を得られるため、ブロックチェーンエンジニアを目指すのなら積極的なスキルアップと年収に影響する資格や能力の習得が重要となります。
フリーランスなら1,000万円近い年収を実現可能
フリーランスのブロックチェーンエンジニアとして働く場合、1,000万円近い年収を実現することが可能です。例えば「フリーランスボード」の情報を参考にすると、フリーランスのブロックチェーンエンジニアの案件・求人単価相場は、月額平均単価で81万円となっています。単純計算で年収は平均で972万円となるため、1,000万円近い収入を確保できるでしょう。
また月額単価100万円以上の案件も多く、1,000万円以上を獲得することも可能です。
ブロックチェーンエンジニアとして働けるスキルがあり、フリーランスという働き方に興味があるのなら、高年収も狙えるフリーランスエンジニアになるのがおすすめです。
3.ブロックチェーンエンジニアの年収を上げる方法
ブロックチェーンエンジニアとして働く場合、将来を考えて年収を上げる方法を把握しておくのもポイントです。以下では、ブロックチェーンエンジニアの年収を上げる主な方法について解説します。
実績を重ねて評価を高める
ブロックチェーンエンジニアの年収は、多くのエンジニア職と同様に実績とそれに対する評価によって変わります。そのためブロックチェーンエンジニアになるのなら、まずプロジェクトに参画して実績を作り、就職・転職のアピール要素を集めるのがポイントです。
ブロックチェーンの開発や研究など、対応できる業務範囲が広いほど、エンジニアとして高く評価される可能性があります。そのためできる限り多くのプロジェクトに積極的に挑戦し、経験を重ねていくのが重要です。
最新の知識・技術情報を収集する
ブロックチェーン技術は、現在進行形で進化を続けています。そのため2024年時点で最新の知識・技術を身につけていたとしても、来年も同様に同じ知識・技術が通用するとは限らないのです。そのためブロックチェーンエンジニアの年収アップを目指すのなら、関連する最新の知識・技術を常に学んでいく姿勢が重要となります。
ブロックチェーンの技術や活用事例、最新トレンドなどを追いかけて、積極的に吸収していく姿勢が年収アップにつながるでしょう。
関連資格を取得する
ブロックチェーンエンジニアの能力を客観的に証明し、評価を高めることも年収アップのコツです。ブロックチェーンの業務に関係する知識・技術を習得していることを証明する際に、資格は有効な手段の1つとなります。例えば以下の資格は、ブロックチェーンエンジニアとして働く際に有益なものとなるでしょう。
日本暗号通貨技能検定
CIW JavaScriptスペシャリスト など
上記の資格取得を目指す過程は、ブロックチェーンエンジニアに必要な知識・技術を身につけるきっかけにもなります。資格を軸にして知識・技術を学び、ブロックチェーンエンジニアへのキャリアパスを考えるのも1つの方法となるでしょう。
4.ブロックチェーンエンジニアに必要なスキル
ブロックチェーンエンジニアとして活躍し、高年収を得るには、いくつか必要になるスキルがあります。以下では、ブロックチェーンエンジニアに必要とされる主なスキルについて紹介します。
ブロックチェーンの基礎知識
ブロックチェーンエンジニアを目指すのなら、まずブロックチェーンに関する基礎知識を学ぶ必要があります。ただ知識として身につけるだけでなく、開発や研究などに応用できるように、スキルアップを続けることが必要です。
具体的にはブロックチェーンに記録されているハッシュ関数、電子署名、公開鍵暗号に関する知識などが、ブロックチェーンエンジニアの業務では必要とされます。
ハッシュ関数とは、入力された情報を変換して情報漏えいを防止するための技術です。電子署名は文書改ざんなどを防ぐ技術で、一般的にも使用されています。公開鍵暗号は、情報の暗号化と復号化を行うことを指します。
専門的な知識を必要とする技術が多数あるため、1つづつ学んで業務に活かせるように備えるのがポイントです。
仕事で使用するプログラミング言語のスキル
ブロックチェーンエンジニアとして働くのなら、開発に用いられるプログラミング言語の知識・技術も必要です。一般的にブロックチェーンエンジニアの仕事では、以下のプログラミング言語が使用されます。
C++
JavaScript
Go言語
Solidity など
C++はブロックチェーンの開発に用いられる言語で、処理速度と汎用性から大規模プロジェクトでも活用されています。IoTの実装にも応用できるため、C++を学んでおくと対応できる業務範囲が広げられるでしょう。
JavaScriptは、主にWebページにブロックチェーンや関連するプログラムを実装するために使用されます。Go言語はビットコインやイーサリアムなどの暗号資産の開発で使われる言語であり、関連業務では必須のスキルになるでしょう。Solidityもイーサリアムの開発、および専用のプラットフォーム上で動く「スマートコントラクト」の記述に用いられる言語です。
スマートコントラクトとは、契約内容や実行条件をプログラミングしておくことで、自動で必要な処理が行われるシステムを指します。スマートコントラクトを活かしたプロジェクトも、今後増加すると考えられるため、ブロックチェーンエンジニアとしてSolidityを事前に学んでおくのもおすすめです。
英語力
ブロックチェーンに関する知識・技術・システムなどは、海外から発信されるケースも多いです。そのため素早く最新情報を入手するために、最低限の英語力を身につけておくのも大切です。海外で話題となったブロックチェーンの情報が、日本でも注目されるとは限りません。将来につながる重要な情報を逃さないためにも、英語力を高めて海外サイトのチェックを日課にするのも、ブロックチェーンエンジニアを目指すうえで必要な準備となるでしょう。
5.ブロックチェーンエンジニアの将来性
ブロックチェーンエンジニアとしてのキャリアを考えるのなら、職業としての将来性について把握しておくのもポイントです。以下では、ブロックチェーンエンジニアの将来性や需要について解説します。
ブロックチェーンエンジニアの仕事がなくなる?
インターネット上では、「ブロックチェーンエンジニアの需要は一時的なものであり、将来的には仕事がなくなる」という意見も見られます。しかし、ブロックチェーンは世界規模で注目を集めている技術であり、大手企業もさまざまなサービス・プロジェクトへの導入を進めています。
市場規模も拡大していて、Stratistics MRCの「ブロックチェーン市場の2030年までの予測:コンポーネント別、タイプ別、組織規模別、用途別、エンドユーザー別、地域別の世界分析」によると、世界のブロックチェーン市場は2024年に199億米ドルを占めると予測されています。また、予測期間中のCAGR(年平均成長率)は64.2%にまで成長を続け、2030年には3,910億米ドルまで達する予測となっています。
北米では金融サービス、ヘルスケア、サプライチェーン管理などの業界で、ブロックチェーン技術が使用されています。今後もブロックチェーン技術が広まっていくことで、さらに多くの業界で需要が高まると予想されるでしょう。
また矢野経済研究所の「ブロックチェーン活用サービス市場に関する調査を実施(2021年)」によると、2025年度には国内でも7,247億6,000万円に達すると予測が立てられています。このように将来の市場規模が拡大するという予測が多いことから、すぐにブロックチェーンエンジニアの需要や仕事がなくなる心配はないでしょう。
ブロックチェーンエンジニアの案件・求人を探す方法を確認
ブロックチェーンエンジニアとして働くのなら、案件・求人を探す方法を考えておくのが重要です。どれだけ高いスキル・実績を持っていても、案件・求人が見つからないと収入につながりません。例えばエンジニア向けのエージェントを活用し、ブロックチェーンエンジニアの仕事を紹介してもらう方法があります。
その他、「フリーランスボード」を使ってフリーランスエンジニア向けの案件・求人を探すのも選択肢の1つです。「フリーランスボード」にはブロックチェーンエンジニア向けの案件・求人を、まとめて検索する機能があります。特定の条件で絞り込むことも可能なため、自分に合った案件・求人を見つけやすいでしょう。
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6.まとめ
ブロックチェーンエンジニアは、ブロックチェーンに関する専門家として働けるエンジニアです。ブロックチェーンは今や暗号資産だけでなく、さまざまな業界で使われる技術として浸透しています。
今後もブロックチェーンが活用されるシーンは広がっていくと予想されるため、専門家であるブロックチェーンエンジニアの需要も高まるでしょう。この機会にブロックチェーンエンジニアの基本と年収について確認し、将来のキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。
ブロックチェーンエンジニアの需要は高く、フリーランスとして働くことも1つの方法となっています。「フリーランスボード」なら簡単にブロックチェーンエンジニアの案件・求人を探せるので、まずはどんな仕事があるのかぜひチェックしてみてください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。