2025年7月現在の最新版は Python 3.13です。JIT により平均 20% 高速化し、新しい REPL が実装されました。学習や SaaS 開発には最新版を、業務システムには LTS を推奨いたします。
しかし、Python を用いて開発を行う際には、常に新しいバージョンがリリースされていることを考慮する必要があります。新しいバージョンには機能追加やバグ修正が含まれ、より効率的かつ安全な開発が可能になる反面、アップデートによって一部の互換性問題や安定性の課題に直面することもございます。
本記事では、Python の最新バージョンに関する詳細な情報を提供し、開発者の皆さまがどのバージョンを選択すべきか、その判断基準と選び方のポイントをわかりやすく解説いたします。
目次
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1.Pythonの最新バージョンは?
Pythonは定期的に新しいバージョンがリリースされており、最新バージョンには新しい機能の追加やバグの修正、パフォーマンス向上が含まれています。
2025年1月時点の、Pythonの最新バージョンはPython 3.13です。
このバージョンは多くの改善が施されており、特に開発者にとって便利な新機能が追加されています。
安定版(Stable)は「Python 3.13」
現在、プロダクション環境(本番環境)での利用が推奨される最新の安定バージョンはPython 3.13系です。2024年10月に最初のバージョンがリリースされて以降、バグ修正やセキュリティアップデートが継続的に提供されています。
特にこだわりがなければ、この安定版を利用するのが最も安全で確実です。本記事では、主にこのPython 3.13の新機能や変更点について詳しく解説していきます。
次期バージョン「Python 3.14」は開発中
次期メジャーバージョンであるPython 3.14は、2025年10月7日の正式リリースを目指して現在開発が進められています。アルファ版やベータ版といったプレリリース版が順次公開されており、新機能のテストやバグ修正が行われている段階です。
新機能をいち早く試したい開発者はプレリリース版を利用することもできますが、予期せぬ不具合が含まれる可能性があるため、本番環境での使用は避けるべきです。
Pythonのバージョン履歴と最新リリース
Pythonバージョン | メンテナンス状況 | 初回リリース | サポート終了予定 |
---|---|---|---|
3.14 | プレリリース(新機能のテスト段階) | 2025-10-01(予定) | 2030-10 |
3.13 | バグ修正(積極的な改善とバグ修正) | 2024-10-07 | 2029-10 |
3.12 | バグ修正(積極的な改善とバグ修正) | 2023-10-02 | 2028-10 |
3.11 | セキュリティ修正(セキュリティ問題のみ修正) | 2022-10-24 | 2027-10 |
3.1 | セキュリティ修正(セキュリティ問題のみ修正) | 2021-10-04 | 2026-10 |
3.9 | セキュリティ修正(2025年10月で終了予定) | 2020-10-05 | 2025-10 |
3.8 | サポート終了(End of life) | 2019-10-14 | 2024-10-07 |
(参照:https://www.python.org/downloads/)
Pythonはこれまで、数多くのバージョンアップを経て進化してきました。主なリリースは、Python 2.x系統からPython 3.x系統への移行を含め、大きな変化を伴っています。最近では、Python 3.10・3.11・3.12、そして現在の3.13が順次リリースされてきました。
各バージョンには、機能追加や改善、セキュリティ修正などが行われています。例えば、Python 3.10では「構造化パターンマッチング」が新たに追加され、Python 3.11ではパフォーマンスの大幅な向上が見られました。3.12および3.13では、より洗練された機能とともに、コードの最適化が進められています。
2.Pythonの最新バージョンの新機能と変更点
Pythonの最新バージョンでは、パフォーマンスの向上だけでなく、新しい機能や改善が数多く盛り込まれています。Python 3.13では、以下のような重要な新機能と変更が加えられました。
新機能や変更点 | 詳細 |
---|---|
パフォーマンス向上 | ・実験的なJIT (Just-In-Time) コンパイラの追加 |
並列処理の強化 | ・実験的なFree-Threadedビルド (--disable-gil) の導入により、GILを無効化可能に。CPUバウンドなタスクで真の並列処理が期待できます。 |
開発体験の向上 | 新しい対話型インタプリタ: ・複数行編集と履歴保持 ・直接的なREPLコマンドのサポート ・カラー表示 ・ヘルプブラウジング ・履歴のブラウジング ・ペーストモード エラーメッセージの改善: ・NameError発生時に変数名を提案するなど、エラー内容がより親切に |
データモデルの改善 | ・__static_attributes__属性の追加 |
標準ライブラリの主な変更点 | ・新しい例外PythonFinalizationErrorの追加 ・argparseモジュールの拡張 ・base64モジュールの拡張 ・copyモジュールの強化 ・新しいdbm.sqlite3モジュール ・osモジュールの拡張 ・randomモジュールのコマンドラインインターフェース |
セキュリティ改善 | SSLのデフォルト設定の強化 |
C APIの改善 | ・拡張モジュールのGILサポートの明示 ・軽量ミューテックスPyMutexの追加 ・PEP 669のモニタリングイベントのサポート |
typingの新機能 | ・warnings.deprecated()デコレータの追加 ・UnpackとTypeVarTupleの安定化による、可変長ジェネリクスの強化 |
・aifc ・audioop ・cgi、cgitb ・chunk ・crypt ・imghdr ・mailcap ・msilib ・nis ・nntplib ・ossaudiodev ・pipes ・sndhdr ・spwd ・sunau ・telnetlib ・uu ・xdrlib |
3.Pythonのバージョンの選び方のポイント
Pythonのバージョンを選ぶ際には、プロジェクトの要件や利用するライブラリ、さらには開発環境の特性を踏まえて選定することが非常に重要です。Pythonのバージョン選定を誤ると、後々の開発や保守に問題が生じる可能性があるため、慎重に選びましょう。
ここでは、Pythonのバージョンを選ぶ際に考慮すべき重要なポイントを詳しく説明します。
最新バージョン vs LTS(Long-Term Support)バージョン
Pythonには、最新バージョンとLTS(Long-Term Support)バージョンの2種類の選択肢があります。最新バージョンは新機能が追加されるなど開発者にとって魅力的ですが、LTSバージョンは長期間のセキュリティアップデートとサポートが提供されるため、安定した運用を重視するプロジェクトには向いています。
最新バージョン
最新バージョンは、最も新しい機能や改善が含まれているため、次のような特徴があります。
新機能の活用
最新バージョンでは、Pythonの新しい機能やパフォーマンスの改善が含まれています。特に新機能が必要な場合、最新バージョンを選ぶことが有利です。たとえば、Python 3.13では「新しい対話型インタプリタ」や「具体的なエラーメッセージ」が追加されており、開発者にとってのデバッグ作業が格段に楽になりました。
ライブラリやフレームワークの進化に対応
一部の最新ライブラリやフレームワークは最新バージョンのPythonに最適化されており、これらを利用する場合は、最新バージョンを選ぶ必要があります。
しかし、最新バージョンには次のようなデメリットもあります。
新たな不具合やバグ
新機能の導入に伴い、予期しない不具合が発生する可能性もあります。特に、開発チームが十分にテストしていない段階では、安定性に欠けることがあります。
サポートライブラリの未対応
最新バージョンがリリースされた直後は、一部のサードパーティライブラリが新しいバージョンに未対応のことがあるため、そのライブラリを使用する場合は慎重にバージョン選定をする必要があります。
LTS(Long-Term Support)バージョン
LTSバージョンは安定性を重視したバージョンで、長期間のセキュリティサポートとバグ修正が提供されます。
PythonのLTSバージョンは、通常、2~3年間のサポート(Python 3.13は5年間(2029年10月まで)セキュリティとバグ修正に関するサポートが提供される予定)が続きます。
LTSバージョンを選択するメリットには以下の点があります。
長期的な安定性
LTSバージョンは、広範囲にわたるテストと確認が行われており、業務アプリケーションや長期運用されるシステムで使用する際に安心です。
セキュリティの保証
LTSバージョンは、セキュリティに関する修正やパッチが長期間提供されます。したがって、システムの運用中にセキュリティリスクが高まることを避けることができます。
ライブラリのサポート
多くのサードパーティライブラリやフレームワークはLTSバージョンに対応しており、安定した動作が保証されています。
LTSバージョンのデメリットは、最新の機能が搭載されていないことです。これにより、最新の開発技術を活用したい場合には不便に感じるかもしれません。
特定のライブラリやフレームワークとの互換性
Pythonのバージョン選定では、使用予定のライブラリやフレームワークのサポート状況を確認することが極めて重要です。特定のライブラリが新しいバージョンに未対応の場合、そのライブラリを使用することができなくなります。以下の点を考慮して、バージョンを選定することが求められます。
ライブラリの対応状況
最新バージョンに対応していないライブラリ
TensorFlowやDjangoなどの人気のあるライブラリが、最新バージョンにまだ対応していない場合があります。この場合、安定して動作する既存のLTSバージョンを選ぶことがベストです。
アップデートが遅れているライブラリ
特定のライブラリが最新のPythonバージョンに対してアップデートが遅れていることもあります。その場合、互換性を確認し、別のバージョンのPythonを使用することが推奨されます。
フレームワークとの互換性
Webアプリケーションフレームワーク(例:FlaskやFastAPI)は、新しいPythonバージョンに最適化されることが多いですが、他のプロジェクトで使用している古いフレームワークの場合は、対応するバージョンを選ぶ必要があります。
これには、フレームワークの公式ドキュメントやGitHubのリリースノートを参照することが有効です。
開発プロジェクトの要件に合わせる
Pythonのバージョンを選ぶ際には、開発プロジェクトの要件を明確にし、それに基づいたバージョン選定を行うことが重要です。以下のような要因を考慮して選ぶべきでしょう。
新規開発プロジェクト
新しいプロジェクトの場合、基本的に最新バージョンを使用するのが望ましいです。最新バージョンを選ぶことで、プロジェクトを開始する際に最新の機能や改善点を利用することができ、今後のアップデートに備えることができます。
特に、新しいフレームワークやライブラリを使用したい場合、最新バージョンのPythonを選ぶことが大きなメリットになります。
既存のシステムや運用中のアプリケーション
運用中のアプリケーションや既存のシステムの場合は、既存環境との互換性を重視する必要があります。突然最新バージョンにアップデートすると、システムが不安定になることがあります。したがって、既存のシステムが依存しているライブラリやフレームワークが、使用しているバージョンに対応しているかを確認することが重要です。
エンタープライズシステム
企業向けシステムやエンタープライズ規模のシステムでは、安定性とサポートを最優先に選定することが一般的です。エンタープライズシステムでは、セキュリティパッチやバグ修正を確実に受け取ることが求められます。
この場合、LTSバージョンを選ぶことが推奨されます。LTSバージョンは長期的に安定したサポートを提供し、セキュリティ修正が行われるため、システムの保守性が高まります。
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4.Pythonの最新バージョンのインストール方法
Pythonのインストールは、各プラットフォームに応じて手順が異なります。公式サイトでは、各OSに対応したインストールガイドが提供されており、これに従ってインストールすることで、最新バージョンを簡単にセットアップできます。
Windows環境でのインストール手順
Python公式サイト(Windowsインストールガイド)にアクセスし、最新バージョンのインストーラをダウンロードします。インストール時には「Add Python to PATH」にチェックを入れ、インストールを完了させます。インストール後は、コマンドプロンプトでpython --versionを実行して、バージョン確認ができます。
Windowsユーザーは、Python公式サイトからインストーラーをダウンロードするのが最も簡単な方法です。
公式サイトへアクセス: Python公式サイト(python.org)のDownloadsページにアクセスします。
インストーラーのダウンロード: "Download Python 3.13.X" といったボタンをクリックし、インストーラー(.exeファイル)をダウンロードします。
インストール: ダウンロードしたインストーラーを起動します。
最初の画面で「Add python.exe to PATH」のチェックボックスを必ずオンにしてください。これにより、どのフォルダからでもPythonを実行できるようになります。
「Install Now」をクリックすればインストールが完了します。
バージョン確認: コマンドプロンプトを開き、python --version と入力して、インストールされたバージョンが表示されるか確認します。
Mac環境でのインストール手順
macOSでは、Homebrewを使う方法と公式サイトのインストーラーを使う方法が一般的です。
公式サイトのインストーラーを利用する場合
公式サイトへアクセス: Windowsと同様に、Python公式サイトのDownloadsページへアクセスします。
インストーラーのダウンロード: macOS用のインストーラー(.pkgファイル)をダウンロードします。
インストール: ダウンロードしたインストーラーを起動し、画面の指示に従って進めればインストールは完了です。
バージョン確認: ターミナルを開き、python3 --version と入力してバージョンを確認します。
Homebrewを利用する場合
Homebrewがインストールされていれば、以下のコマンド一つで最新版をインストールできます。
brew install python |
Ubuntu/Linux環境でのインストール手順
Ubuntuや多くのLinuxディストリビューションでは、aptパッケージマネージャとdeadsnakes PPAを利用して、システムのPythonとは別に新しいバージョンを安全にインストールするのが一般的です。
1.リポジトリの追加: ターミナルで以下のコマンドを実行します。
sudo apt update sudo apt install software-properties-common sudo add-apt-repository ppa:deadsnakes/ppa |
2.Python 3.13のインストール:
sudo apt install python3.13 |
3.バージョン確認:
python3.13 --version と入力して、インストールされたか確認します。
Pythonが正しくインストールされているかどうか、また使用しているバージョンを確認する方法は非常に簡単です。
5.Pythonの最新バージョンを確認する方法
Pythonが正しくインストールされているかどうか、また使用しているバージョンを確認する方法は非常に簡単です。
インストール後のバージョン確認方法
ターミナルやコマンドプロンプトで以下のコマンドを入力すると、インストールされているPythonのバージョンを確認できます。
python --version # または python3 --version |
これにより、Pythonのバージョン番号が表示されます。
システムにインストールされている全バージョンの確認方法
複数のPythonバージョンをシステムにインストールしている場合は、pyenvなどのバージョン管理ツールを使用して、インストールされている全バージョンを確認できます。pyenv versionsコマンドを使うと、システムにインストールされているPythonバージョンの一覧を表示できます。
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6.まとめ
Pythonの最新バージョンを選定し活用することは、開発者にとって非常に重要です。各バージョンには新機能の追加やバグ修正、パフォーマンスの向上が含まれており、最新バージョンを利用することでより効率的で安全な開発が可能になります。
しかし、最新バージョンを使用するか、それともLTS(Long-Term Support)バージョンを選ぶかは、プロジェクトの要件や開発環境に大きく依存します。
最終的には、プロジェクトのニーズと自身の開発環境をしっかりと分析した上で、最適なPythonバージョンを選択することが、効率的でトラブルの少ない開発を実現するための鍵となります。
Pythonのバージョンアップに際しては、リリースノートやサポート情報を常にチェックし、必要に応じて迅速に対応できるよう心掛けましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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