Webや広告、ゲーム、テレビなどの業界などでクリエイティブ職についている方はキャリアアップとしてプロデューサーやディレクターを目指すこともあるでしょう。
キャリアアップを実現させるためにも、プロデューサーとディレクターの違いを理解し、どちらが自分に合っているのか、もしくはどのようなスキルや経験を持っているとプロデューサーやディレクターになれるのかを把握することが大切です。
今回はプロデューサーに関する基礎知識、ディレクターに関する基礎知識、プロデューサーとディレクターの違いについてお話しします。
目次
1.プロデューサーに関する基礎知識
はじめにプロデューサーに関する基礎知識について解説します。
プロデューサーとは
プロデューサーとは、IT業界であればWebサイトやWebサービス、その他の業界では映画小説、漫画やアニメ、テレビ番組、ゲームなどのコンテンツ制作、キャンペーンやイベント、商品やサービスなど企画、制作、販売など全体的に統括する役割の職業です。プロデューサーは企画を成功させるのが主な仕事であり、成功させるために様々な調整を行うことが求められます。
企画立案
予算管理
人材確保
スケジュール管理
進捗管理
リスク管理
PR及びマーケティング
販売
自社におけるクリエイティブ制作とともに、クライアントから依頼を受けてクリエイティブ制作することがあり、後者の場合はクライアントとの交渉も業務内容に含まれます。
また、プロデューサー自身が必要な人材を確保するために、外部委託を行うこともあるため、自社内や外部とコミュニケーションする機会も非常に多い立場と言えるでしょう。
プロデューサーに必要なスキル
ITスキル
リーダーシップ
コミュニケーションスキル
交渉スキル
問題解決スキル
クリエイティブスキル
制作するクリエイティブに関する技術や知見が基軸となり、その上で企画を成功させるために必要なリーダーシップ、コミュニケーションスキル、交渉スキル、問題解決スキルなどが求められます。
企画の成功とはクリエイティブ経由の売り上げをどれだけ作れるかという点にあり、プロデューサーとしてのスキルが未熟なままだと、クリエイティブを作り上げることができても結果が伴わない可能性があるため、プロデューサーになる下積みの段階から様々な方面のスキルを身につけていくことが重要です。
プロデューサーのメリット
企画力やマネジメント力を磨ける
クリエイティブの成果次第で有名になれる
人脈から新しい仕事につながりやすい
出世やキャリアアップしやすい
対外的にもさまざまな人と関わることができる
プロデューサーは経営陣やクライアントの要望を実現し、クリエイティブによって成果を出すのが求められるため、必然的に企画力やマネジメント力、交渉力やコミュニケーション能力が磨けるのがメリットと言えるでしょう。
同時に、交渉やコミュニケーションの機会が多いことで人脈も作りやすく、人とのふれあいが増えれば増えるほど出世やキャリアアップに繋がりやすくなっています。その上で自分自身のスキルを磨いていくことで、クリエイティブを通じて有名になり、長く名前を残すことにもつながっていくでしょう。
プロデューサーのデメリット
売上や結果に対する責任が重い
時間や人間関係の調整が大変
権限の中で調整するのが難しい
クリエイティブのクオリティに左右されやすい
下積みの期間が長くなる可能性がある
プロデューサーは企画やプロジェクトを成功させるのが役割であり、売上や結果に対する責任が重いのが一番のデメリットと言えるでしょう。また、基本的にはコミュニケーション能力や交渉力を基軸とした調整が主な仕事でもあるため、人間と人間の間に生じる様々な感情においてストレスを感じる方もいらっしゃいます。
責任が重いとはいえ、権限が無制限ということはほぼないため、予算なども含めて調整することが難しいのもストレスの種です。その他、クリエイティブ自体のクオリティについては、ディレクターやクリエイターの頑張り次第であるものの、限られた権限と予算の中では厳しい状況に陥ることもあります。
ただし、デメリットの部分を解決していくのがプロデューサーの役割でもあるため、思考力やコミュニケーション能力を磨き上げながら、どのような状況でも企画を成功させることができる人がプロデューサーに向いていると言えるでしょう。
2.ディレクターに関する基礎知識
次にディレクターに関する基礎知識について解説します。
ディレクターとは
ディレクターとは、プロデューサーと共にクリエイティブに関する企画の立案から予算、スケジュール管理などを行うのが主な業務です。プロデューサーよりもクリエイティブ制作の管理に集中できる立場と言えるでしょう。
現場の指揮
商品及び作品の質の管理
チームメンバーやスタッフ、キャストのモチベーションの維持
進捗状況の管理と調整
商品及び作品のPR及びマーケティング
ディレクターは主にクリエイティブ制作の現場を管理するのが役割であり、クリエイティブを最高のものにするというのが大きな課題と言えます。直接的にクリエイターやスタッフ、キャストとも直接的にコミュニケーションする機会も多く、クリエイティブ制作をしながら時間と人材の調整も必要です。
権限や立ち位置的には、プロデューサーよりも現場のクリエイター側に近く、クライアントとの直接的な交渉までは責任を担わない立場であると言えます。ただし、権限の割り当てられ方や任される業務の範囲によっては、プロデューサーに近い場合もあり、プロデューサーとディレクターの両方を兼任する場合もあることは覚えておきましょう。
ディレクターに必要なスキル
ITスキル
企画力
マネジメント力
クリエイティブ力
コミュニケーション力
ストレス耐性
主にはクリエイティブ制作に関する企画力、マネジメント力、クリエイティブ能力が必要と言えます。そしてディレクターとしてスケジュール管理や進捗管理、作業配分を円滑に行うためにはコミュニケーション力も必須です。プロデューサーと同様にコミュニケーションで生じる感情的な部分などでストレスを感じることから、ストレス耐性もあった方が良いと言えるでしょう。
また、企画の内容通りに、プロジェクトの計画通りに管理することだけがディレクターの役割ではありません。適切な管理を行いながら、より良いクリエイティブを作ることで、利益や売り上げにつなげていくこと、クリエイティブや商品及びサービスなどを知ってもらうことなども求められます。
ディレクターのメリット
自分のアイデアを形にすることができる
クリエイティブな仕事ができる
やりがいのある仕事ができる
高い収入を得ることができる
現場で直接的にさまざまなクリエイターと関わることができる
ディレクターはクリエイティブ制作の現場に近い立ち位置であるため、ディレクターのクリエイティブ力次第で様々なことを表現することができます。もちろん、自分自身でクリエイティブを作ることが求められているのではなく、チームやプロジェクトメンバーと協力して最高のクリエイティブを作ることが大切です。
ディレクターはプロデューサーと同様に人と人の繋がりを作る人、人と人の繋がりの間にいる人でもあることから、様々な人脈が作りやすいのもメリットとも言えます。そのため、クリエイティブを通じて声をかけられる可能性もあり、クオリティの高いクリエイティブを作ること自体が、自分自身の実績となるのが一番のメリットと言えるでしょう。
ディレクターのデメリット
作品のクオリティに対する責任が重い
長時間労働になりやすい
ストレスが溜まりやすい
業界の競争が激しい
クリエイティブ制作に関する熱意だけではなれない
ディレクターのデメリットとして、クリエイティブの種類に関わらず、業界の競争が激しいため、作品のクオリティに対する責任が重いことが挙げられます。実際にクリエイティブが一般ユーザーに届き、どのような評価を受けるかというのは予測しづらいこともあるため、どうすれば有名な作品を作れるのか、どうすればヒットするのか、答えのないことに悩むことでストレスが溜まることもあるでしょう。
また、ディレクター自身がクリエイティブについて深く関わりたいと考えている場合など、クリエイティブに対する熱意だけでは成功できないというのもデメリットと言えます。もちろん、作品及びクリエイティブに対する情熱は必須ではありますが、良いクリエイティブを作り、たくさんの人に知ってもらい、たくさんの人にポジティブな影響を与えられるかどうかという部分に責任があることを忘れてはなりません。
3.プロデューサーとディレクターの違い
次にプロデューサーとディレクターの違いについて解説します。
プロデューサーとディレクターはどちらが偉いのか
基本的にはプロデューサーの方が全体的な管理を行うため、ディレクターよりも偉いというのが一般的です。ただし、所属する企業や組織、もしくは企画やプロジェクトによって異なる可能性があります。
また、プロデューサーやディレクターはあくまでも企業や組織の経営者や管理職が名付けられる役職名であり、何らかの資格に基づいて明確な区分があるというものではない点に注意が必要です。
同様にプロデューサーとディレクターを兼務していたり、与えられた権限によって上下関係の差が生じたりすることもあるため、指揮命令系統がどのようになってるかは各企業や各プロジェクトによります。その他、プロジェクトマネージャーについても同様であり、プロジェクトマネージャー自身がプロデューサーと同じ役割を持つこともあるため、ポジション名だけでなく職務内容を必ずチェックすることが大切です。
プロデューサーとディレクターの年収の違い
プロデューサーとディレクターの年収の違いについては、一般的にはプロデューサーの方が幅広い業務を担うことになるためプロデューサーの方が高くなります。ただし、どちらが偉いのかという点でも記載した通りに、所属する企業や組織、企画やプロジェクトの規模によって大きく異なる点に注意が必要です。
例えば、小規模の企画及びプロジェクトのプロデューサーと、大規模な企画及びプロジェクトのディレクターでは、ディレクターの方が年収が高くなるのは必然的であると言えるでしょう。ただし、クリエイティブのクオリティや企画及びプロジェクトの結果自体が、実績として積み上げられるのは同じであるため、関わった企画及びプロジェクト次第で年収が異なるしていくということは覚えておく必要があります。
プロデューサーとディレクターのスキルの違い
基本的にはプロデューサーもディレクターもマネジメントしていくことが役割であり、求められることもクリエイティブ制作における近くの成功であることも同じです。そのため、スキルに大幅な違いはないものの、与えられる権限によって必要となるスキルが異なることは間違いありません。
例えば、同じコミュニケーション能力についても、クライアントと交渉するための交渉力と、クリエイターやチームメンバーとクリエイティブ制作するためのチームワークに関する能力では大きく異なります。スケジュールや進捗管理、予算管理についても、プロデューサーが全体の管理を行うことに対し、ディレクターはクリエイティブ制作に関する管理であることを考えると、対応する範囲の違いに対処するための高いスキルが必要となるでしょう。
また、IT業界でのプロデューサーやディレクターであれば、Webサイトの知識や開発知識が必要です。
ゲームプロデューサーとゲームディレクターの違い
ゲームプロデューサーはプロジェクト全体の成功を実現すること、責任を持つことが主な役割です。ゲームディレクターはクリエイティブであるゲーム制作に責任を持つのが主な役割であり、ゲームのクオリティを高めるために注力します。
どちらも質の高いゲームを作ることに注力するものの、管理する立場としてゲーム制作に近いか遠いか、影響力に違いがあると言えるでしょう。ただし、ゲームプロデューサーもゲームディレクターも明確に職務が定められているわけではないため、同じ役職名で両方を勤務していたり、強い権限を持ったりすることもあるため、実際の職務と権限については明文化してもらい、自分の役割を明確にすることをおすすめします。
プロデューサーとディレクターのキャリアアップの違い
一般的なエンジニアの方が、新入社員の立場からプロデューサーになるまでの流れを見てみましょう。
プログラマ
エンジニア
システムエンジニア
アシスタントディレクター
ディレクター
チーフディレクター
アシスタントプロデューサー
プロデューサー
プロジェクトマネージャー
上記は新入社員の方がプロデューサーになるまでの一例です。携わった仕事や業務による評価によって、少しずつ出世をしていくという形でキャリアアップしていくのが一般的と言えるでしょう。基本的にはシステム開発の現場にの現場で下積みを行っていき、それぞれの業界に関する理解を深めて、人脈を作りながら実績を作っていくことが求められます。
また、システム開発に対してどのように向き合っていきたいかということでキャリア形成に違いが出てくることもあるでしょう。例えば、プロデューサーからさらに様々な権限を持ち、出世して大きな仕事をしたいという方、ディレクターの立場でシステム開発の現場に近いところで仕事をしたい方もいるでしょう。
どちらの場合も長く実績を積み上げていくことができれば、必然的に年収も上がり、さらに転職する場合も企業が必要としている人材となるでしょう。
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4.まとめ
今回はプロデューサーに関する基礎知識、ディレクターに関する基礎知識、プロデューサーとディレクターの違いについてお話ししました。
キャリアアップの段階としては、まずはディレクターを目指し経験を積むこと、ディレクターとしての実務をする中で、プロデューサーとしてのスキルを身につけていくことが重要と言えます。
プロデューサーのディレクターもコミュニケーションを基軸としたスキルとともに、WebサイトやWebサービス、商品サービス、コンテンツに対する理解を深め、情熱を持って仕事をしていくということが大切だと覚えておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。