フリーランスやクリエイティブワーカーにとってポートフォリオは自分をアピールするための重要なツールです。ポートフォリオに制作物や自身のプロフィールを掲載することで、採用担当者に自分のスキルや作品の特長・特色などを的確に伝えられます。
特に、Webデザイナーやエンジニア、Webライターなど自分の仕事の成果を言葉だけで表現しにくい職業の人にとってポートフォリオは必要といえます。
本記事では、ポートフォリオの概要を押さえた上で、ポートフォリオについて掲載する内容、作成できるサイト、作成のコツなどを解説します。
目次
1.ビジネスで活用するポートフォリオとは
ポートフォリオとはわかりやすくいうと、自分の制作物やスキルをまとめたもののことです。フリーランスやクリエイティブな分野、ビジネスシーンなどで、自分自身をアピールする際に重要な役割を担います。
採用担当者は応募者のポートフォリオを見ることで、その人のスキルや能力、これまでの社会人経験を把握できます。ポートフォリオは採否を判断する上での重要な参考資料になります。
ポートフォリオの目的
ポートフォリオの目的とは制作物や過去の経験を採用担当者に効果的に伝えることです。就職活動やフリーランスが仕事を探す際に、自分を売り込む重要なツールとなります。
さらに、ポートフォリオを作成することで自分の特技やアピールポイントを見直せます。自分自身に対する理解をポートフォリオを作成しながら深めることで、面接時に深みのある自己PRができます。
2.ポートフォリオに掲載する内容
ポートフォリオに掲載する内容に明確な決まりはありません。ただし、いずれのポートフォリオにおいても掲載しておきたい情報が存在します。
ポートフォリオに掲載する内容として、以下の4つが挙げられます。
プロフィール
実績
対応可能なサービス
料金の目安
それぞれ確認していきましょう。
プロフィール
ポートフォリオは自分の制作物のアピールだけでなく、自己紹介としての役割も果たします。
ポートフォリオに自分について簡潔にまとめ、採用担当者に自身の人となりを知ってもらうことで採用につながることもあります。
ポートフォリオにおけるプロフィールの項目には主に以下の内容を記載します。
顔写真(必要ない場合も多い)
名前
生年月日
年齢
性別
出身地、住所
経歴
スキル
資格
連絡先(メールアドレス、電話番号など)
SNSのアカウント(X(旧:Twitter)、Instagramなど)
上記項目の中で載せたくないものは無理に記載する必要はありません。その一例として、性別が挙げられます。
近年は、求人の応募フォームに性別の記載項目がないことも多く、個人のプライバシーが重んじられている傾向にあります。ただし、職種によっては、性別を記載することでいくらか選考で有利になることもあります。「30代、40代くらいの働く女性をターゲットにしたアパレルブランドのサイトだから、同世代の女性に制作してもらいたい」と考える採用担当者も少なからずいます。
一つの項目について思い悩むとポートフォリオがいつまでも完成しないため、書きやすい項目から埋めていくことをおすすめします。記載が難しい項目は後まわしにしたり、必要があれば後日加筆することもできます。
実績
ポートフォリオには過去の制作物を実績として掲載します。
ただし、実績が多い場合、全て記載する必要はありません。客観的に高い評価を期待できそうなものや自分の得意なジャンル、応募する求人内容にマッチする実績などをピックアップしてください。
また、制作物のタイトルやURLなどを並べるだけでなく、自分が携わった部分や担当した業務、期間、工夫した点なども記載することをおすすめします。これらの情報があると、ポートフォリオを見た人に自分のスキルや知識をより正確に伝えられます。
駆け出しのフリーランスや公開できる実績がない人は、自分でサンプルを作成し、ポートフォリオに掲載することもできます。例えば、エンジニアであればアプリを制作したり、ライターであれば応募する求人内容に合ったテーマで記事を書いたりしてみてください。
対応可能なサービス
対応可能なサービスというのは人によって異なるものです。例えば、ライターであれば記事の執筆のみなのか、それとも入稿まで対応できるのかは人によって異なります。
また、エンジニアの場合、Webサイトの開発だけなのか、それとも企画や運用にも対応できるのかはそれぞれ異なります。
対応可能なサービスをポートフォリオに記載しておくことで、プロジェクト開始後にミスマッチに気づくことをお互いに回避できます。「クライアントに〇〇もやってほしいと言われたけど、そのつもりはなかった」という事態を回避するためにも、対応可能なサービスを記載しておくのは大切です。
料金の目安
料金の目安をポートフォリオに記載しておくことで、契約後に金銭に関するトラブルが起きにくくなります。
しかし、料金を公開せず、クライアントと相談しながら決める人もいます。料金を柔軟に決めることで、設定価格を理由とした受注の見送りを防ぎやすくなります。
3.ポートフォリオを作成できるサイト
ポートフォリオの作り方はさまざまです。手書きで作成する人、Wordで作成する人もいますが、サイトを活用することでより魅力的なポートフォリオに仕上がります。
ポートフォリオを作成できるサイトとして、以下の3つが挙げられます。
Jimdo
MATCHBOX
WordPress
それぞれ確認していきましょう。
Jimdo
Jimdoはテンプレートが充実しているため、デザイン性が高いおしゃれなポートフォリオを誰もが簡単に作成できます。
自分の感性を活かして作成することもできますが、AIの質問に回答してポートフォリオを作ることもできます。いくつかの質問に回答するだけで、AIビルダーがポートフォリオサイトを作成してくれるため手間がかかりません。
また、本サービスを活用することで、検索一覧上位表示を目指すこともでき、多くの人の目にポートフォリオが留まります。ジンドゥーAIビルダーの自動SEOを活用することで、初心者もステップごとにカスタマイズでき、Googleでの検索ランク上位記録の更新も現実的です。
MATCHBOX
MATCHBOXは採用のプロならではの視点を取り入れたポートフォリオを誰もが簡単に作れるサービスです。ポートフォリオの見た目にも美しいデザインが特徴で、採用担当者の知りたい情報も漏れなく掲載できます。
さらに、ポートフォリオや職務経歴書の作成後、「オファー機能」にエントリーすると
企業から面接オファーを受け取れます。ポートフォリオを活用し、転職活動や案件獲得を効率的に行えるのも本サービスならではの特長です。
WordPress
WordPressはポートフォリオを制作するサイトではないものの、ポートフォリオをWordPressで作成する人も多くいます。
WordPressはプログラミングスキルがない人でもオリジナリティが高いポートフォリオを作成できます。
また、運営サイトの終了とともにポートフォリオが消える事態を回避できます。ポートフォリオを長期的に利用したい人、オリジナリティのあるポートフォリオを制作したい人におすすめです。
WordPressが使えることはクライアントへのアピールポイントにもなります。特に、エンジニア、Webライター、WebデザイナーはWordPressが使えると有利になるケースも多いです。ポートフォリオの記載内容とともにWordPressを使いこなせることもアピールしましょう。
4.ポートフォリオを作成するコツ
魅力的なポートフォリオを作成するにはコツがあります。コツを押さえて作成し、採用担当者の印象に残るポートフォリオに仕上げましょう。
ポートフォリオを作成するコツとして、以下の4つが挙げられます。
誰にとっても見やすいデザインにする
コンテンツの選定と整理を行う
実績に詳しい説明をつける
他の人と差別化する
それぞれ確認していきましょう。
誰にとっても見やすいデザインにする
ポートフォリオはその人の第一印象を左右する重要なものです。採用担当者はポートフォリオが視覚的に魅力があるデザインであれば、その人物に興味を抱き、じっくり読んでみようという気にもなるでしょう。
逆に、優れた実績や高いスキルが掲載されたポートフォリオであっても、フォントや文字のサイズが揃っていなかったり、見にくかったりすると印象はよくありません。
ポートフォリオを誰にとっても見やすいデザインにするにはフォント、文字の大きさ、色使い、余白の取り方など工夫が必要です。
また、ポートフォリオは情報量が多ければよいものではないため無駄な情報を省き、簡潔にまとめるよう心掛けてください。
ポートフォリオを作成する際は誰にとっても分かりやすく、自分らしさがあふれるデザインやレイアウトに仕上がるよう心掛けましょう。
コンテンツの選定と整理を行う
ポートフォリオに載せるコンテンツは多すぎても少なすぎてもいけません。
ポートフォリオにおける掲載情報が多いと目を通す人にとって負担になることもあります。内容を短時間で把握できるポートフォリオは担当者の負担が少なくなるため好印象につながります。また、情報量が多いと、自分が最もアピールしたい実績や経歴を見落とされる可能性もあります。
逆に、ポートフォリオに載せるコンテンツが少ないと、業務経験が浅い人という印象を与えかねません。
ポートフォリオに掲載するコンテンツを選ぶ際は自身のスキルや成果物を確認していき、最もアピールできるものを選定してください。また、選んだコンテンツはテーマやストーリーに沿って整理しましょう。
実績に詳しい説明をつける
ポートフォリオには実績やスキルをただ並べるだけでなく、案件ごとに詳しい説明をつけることが大切です。業務内容、役割、工夫、期間などを記載することで、ポートフォリオを見た人はその人のスキルや経験を具体的にイメージできます。
採用担当者は応募者の役割やスキルの程度、マネジメント経験の有無などを正確に把握できれば、面接に呼んで実際に話してみたいという気にもなるでしょう。
他の人と差別化する
ポートフォリオでは実績をアピールすることにとどまらず、他の応募者と差別化を図るよう心掛けてください。採用担当者は多くのポートフォリオに目を通すため、他の人との差別化がなければ埋もれてしまうこともあります。
ポートフォリオを作成する際は視覚的に魅力的なデザインにする、情報を分かりやすくまとめるなどの工夫が大切です。
5.ポートフォリオ作成における注意点
ポートフォリオ作成には注意点があります。作成時に知らなかったではすまされないこともあるので、注意点についてしっかり把握しておくようにしてください。
ポートフォリオ作成における注意点として、以下の3つが挙げられます。
クライアントに無許可で実績として公開しない
ポートフォリオの更新を長期にわたって行っていない
完成したポートフォリオを誰にもチェックしてもらっていない
それぞれ確認していきましょう。
クライアントに無許可で実績として公開しない
ポートフォリオに制作物や開発実績などを載せる場合、クライアントに公開してもよいか確認しておく必要があります。
案件やクライアントによっては制作物の公開を好まないことや禁じているケースもあります。クライアントと契約時に秘密保持契約(NDA)を結んでいる場合は、自身が携わった仕事の内容を公開することはできません。
また、制作物をポートフォリオに掲載することは認められたとしても、社外秘となる情報を記載しないように注意が必要です。例えば、Webサイトを制作した場合、Webサイトを実績として公開することは認められても、アクセス数も実績として公開してよいわけではありません。
企業にとって重要な情報や一般的に社外秘とされる情報を掲載した場合、ポートフォリオの提出先にもよい印象は与えないものです。自社での仕事内容や自社の重要な情報も外部に漏らす人物と思われかねません。
ポートフォリオの更新を長期にわたって行っていない
ポートフォリオは一度作成したら終わりではなく、更新する必要があります。その仕事を継続していれば、スキルは高まるものですし、新しい制作物も出てくるものです。
業務に必要なスキルや知識は日々変わりますし、時代のニーズやトレンドも変化しています。最新技術やトレンドにも対応できることをアピールするためにも、ポートフォリオに掲載する制作物は新しいものを載せるのがおすすめです。
完成したポートフォリオを誰にもチェックしてもらっていない
完成したポートフォリオを自分だけで確認を行ってもそれが見やすく、読みやすいものなのか分からないものです。自分では完璧なポートフォリオだと思っていても、客観的に見ると意外とそうでないこともあります。
第三者にポートフォリオを見てもらってフィードバックを受け、必要があれば修正する必要があります。ポートフォリオはエージェントの担当者に読んでもらい、意見をもらうのがおすすめです。
6.ポートフォリオに関するよくある質問
ポートフォリオはフリーランスやクリエイターが仕事を獲得する上で必要なものです。とはいえ、初めて作成する人にとっては作成における不明点や不安はあるものです。そこでここでは、ポートフォリオに関するよくある質問に回答します。
ポートフォリオに関するよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
ポートフォリオは投資でも使いますか?
クリエイターにポートフォリオは必要ですか?
ポートフォリオはどのように管理すればよいですか?
それぞれ確認していきましょう。
ポートフォリオは投資でも使いますか?
投資においてもポートフォリオを使いますが、本記事で紹介したビジネスにおけるポートフォリオとは異なるものです。
投資におけるポートフォリオとは金融商品のリスクとリターンを踏まえ、自分に合った配分を決めることをいいます。
また、投資信託は株式、債券などを中心にしたもの、もしくはいくつかを組み合わせたものなどパッケージ状になっています。これらの商品のうちどの金融商品をどのくらいの割合で配分するか決めることをポートフォリオを組むといいます。
クリエイターにポートフォリオは必要ですか?
クリエイターはポートフォリオが必要となるシーンが多々あります。例えば、転職活動では、ポートフォリオはプレゼン資料のような役割を担います。
クリエイターのスキルは文章だけでは表現しづらく、相手にも伝わりにくいため、ポートフォリオに制作物を載せて視覚的にアピールすることが大切です。
ポートフォリオには自分の個性やオリジナリティが伝わる作品、クライアントと同業界の業務実績を載せるようにしましょう。
ポートフォリオはどのように管理すればよいですか?
ポートフォリオは一度作成したら終わりではなく、常に管理し、更新する必要があります。更新について定められた頻度はありませんが、資格を取得したり、制作物ができたりしたら追記するのが一般的です。
新しい情報を目立つ位置に加え、古い情報は見直し、整理するようにしてください。
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7.まとめ
ポートフォリオは個人で仕事を獲得する上で重要なツールです。自分の業績や制作物を分かりやすく掲載し、スキルやこれまでの仕事内容をアピールすることが求められます。ポートフォリオは自分の第一印象にもなることを意識して作成しましょう。
ポートフォリオの内容が評価されれば仕事を依頼してもらえたり、面接に呼んでもらえたりします。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。