Java SE Runtime Environmentの実行環境を構築したいJava初心者の方は、JREやJDKなどの中から、どのパッケージをインストールすべきか混乱するでしょう。これは、似た用語が多くて、略語だけでは中身がわかりにくいのが原因です。
そこで本記事は、Javaで混同しやすい用語との違いを説明しつつ、Java SE Runtime Environmentのバージョン確認の方法やインストール手順を解説します。
目次
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1.Java SE Runtime Environmentとは
Java SE Runtime Environmentとは、Java SEを実行するための環境のことです。Run・Time・Environmentの頭文字をとって「Java SE RTE」と稀に呼ぶこともあります。
Java SEとは
Java SEは、「Java Platform, Standard Edition」の略で、Javaにおけるプラットフォームの1つです。他にJava EEやJava MEのエディションがあり、これらとは区別されます。
SEは日本語で「標準仕様」を意味し、Java開発の基本的な部分はJava SEのプラットフォームが担っているのです。
そして、Java SEを使って開発したプログラムを動かす際は、このJava SEの実行環境を使用します。
Java SE Runtime EnvironmentとJREとは同じもの
Java SE Runtime Environmentと似ている用語に、「JRE」があります。JREは、「Java Runtime Environment」の略で、先の用語から「SE」を抜いただけです。
実態としては「JRE」と中身(API・ライブラリなど)が同じものです。そのため、Java SE Runtime Environmentは「Java SEのJRE」とも呼ばれます。
現在ではSEを省略する「Java Runtime Environment(JRE)」が主流となっています。これを知らないと、両者が同じものとわからず、Java SEの環境を探していたはずが、WEBサイトや公式の説明にJREしかないため、初心者の方は迷ってしまうことでしょう。
標準環境としてSEは自明のために省略しているだけで、意味的にはJREにもSEの環境が含まれます。
JDKやJVMとの違い
JDKやJVMという用語を初めて見た方は、違いがわからず混乱することでしょう。しかし、これらの違いは、パッケージがどこに含まれるかだけです。
Javaはソフトウェア開発キット「SDK」が大枠があり、その中に部分的な開発Kitの「JDK」、さらにJDKの一部に「JRE」があります。
ここでJREが意味するのは、実行環境と仮想マシン「JVM」の2つがセットで入っていることです。つまり、Java SE Runtime EnvironmentはJDKの一部で、JVMをすでにもっているといえます。
Java SEに実行環境が必要な理由
Java SEには、実行環境のJava SE Runtime Environment(≒JRE)が必要です。その理由は、Javaが環境依存しない言語を目指していることが背景にあります。
プログラムを実行する際に、Javaではコードを中間言語に変換してから、それをJVMで実行する仕組みです。その際に、JVMには実行に特定のAPIなどが必須で、それを備えた実行環境を用意する必要があります。
プログラミング言語の中には専用の実行環境が不要なものもありますが、JavaはJava SEの実行環境が必要です。
2.Java SE Runtime Environmentの32bit版と64bit版の選択基準は?
Java SE Runtime Environmentを使用する場合は、バージョンに含まれるbitの選択が重要です。
Java 8まではJREを単独でダウンロード・インストールできますが、Java 11以降ではJREの単独配布が終了し、JDKのみの配布となりました。
そのため、JDKのインストールで32bit版か64bit版を選びます。以下に、その選択基準や要件、確認手順を解説します。
Java開発環境のbit選択
Java開発では、Windowsにソフトをインストールする際、どのbit版か調べる必要があります。使用しているパソコンによって、32bit版と64bit版のどちらか選択するためです。
まず、旧来のWindowsOSでは32bit版が主流でしたが、最近では64bit版が流通しています。最近、新品のパソコンを買ったという方は、64bit版で問題ありません。
それを踏まえ、Java SEやJREの含まれるJDKは、このいずれかのbit版をシステム要件から確認してインストールします。
bitとは
そもそもbitとは、ITや情報技術で使われる情報量の単位のことです。0・1の2進数を基本としており、2の何乗かを示します。32bitは「2の32乗」、64bitは「2の64乗」で、64bit版のほうが扱えるデータ量が相当大きくなります。
計算上、32bitは理論的に4GBまでしか扱えませんが、64bitは16エクサバイト(16,777,216TB)までも可能です。実際はOS上限で数TBですが、32bit版とは大きな違いでしょう。
システム要件で選ぶ
bitへの対応は、Windowsのシステム要件に定められた32bit版か64bit版となります。サポートの終了したWindows7は32bit版パソコンが多く、以前はOS環境にあわせて32bitが1つの選択肢でした。しかし、いまでは64bit版がメインとなって64bit版一択です。
32bit版は推奨されておらず、ダウンロードは古いバージョンを非公式で探さないとダウンロード自体ができません。そのため、「32bit版か64bit版を選ぶ」というよりは、64bit版をインストールするための「必要な環境が手持ちのパソコンにあるかを調べる」というほうが正確です。
確認方法
64bit版のシステム要件の確認は、パソコンのシステム情報からチェックします。
検索窓に「システム情報」と入力して画面を開くか、「Windowsキー+Pause/Breakキー」で詳細情報の設定画面を開いて確認する方法です。
すると「システムの種類」の横に、オペレーティングシステムのbit数が書いてあります。
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3.Java SE Runtime Environmentの最新バージョンの確認方法
Java SE Runtime Environmentの仕様はインストールしたJDKで決まります。すでにインストール済みのJDKやJava SEのバージョンが古くないかを調べるのです。
また、これから実行環境をインストールする場合は、JDKの最新バージョンをチェックしましょう。以下はバージョンの確認方法と手順です。
インストール済みのバージョンの確認方法
まずは、インストール済みのバージョンの有無やその新旧のチェックです。
まず、コマンドプロンプトをウインドウの検索窓に「cmd」と打ち込んで開きます。Macなどの場合は、ターミナルを開きます。
そこに「java -version」と入力して、Enterを押します。これで、バージョンが分かる仕組みです。
インストール済みの場合は情報が出力され、「java version "24.0.1" …」と出ます。認識なしのエラーが出る場合は、インストールされていないか、パスが通っていません。
認識トラブルは、ZIPダウンロードでよくあるケースです。その場合、スタート画面からインストール済みのプログラムをチェックして、Javaの有無を確認します。
あれば、PATHの設定を行い、なければJDKを新しくインストールすることです。詳細な手順は以下です。
PATHの設定
インストールした後も認識されない場合は、検索窓に「環境変数」と打ち込んでコントロールパネルの「環境変数(N)」設定画面を出します。
そのPATH設定画面で「PATH」を選択した状態で右下の「編集」から画面を開き、Javaのディレクトリとなる「C:\Program Files\ (…省略…) \bin」を新規に加える作業です。
設定が完了したら、もう一度、コマンドプロンプトの画面を開いて、確認手順を行います。これでバージョンの情報が出力されます。
Java SEをこれから使うエンジニアは、PATHの設定を一度行えば今後も利用できます。Javaのバージョン情報がコマンドで調べなくても分かる場合でも、このタイミングで設定しておきましょう。
最新バージョンの確認
Javaが入っていない場合は、JDKをインストールします。最新バージョンは、2025年4月時点で「Java SE Development Kit 24.0.1」です。
後はバージョン確認の同じ手順で、コマンドプロンプトから「java -version」と入れて、Enterするだけです。
このバージョンが古ければ再インストールや更新が必要となります。
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4.Java SE Runtime Environmentのインストール方法
先のJDKのインストールは、実質的にそこに含まれるJREをインストールすることと同じです。そこで、以下にJDKインストール手順を紹介します。
公式サイトにアクセス
今回はJavaで有名なOracleのJDKをインストールする手順です。
まずは公式サイトのJavaダウンロード画面にアクセスして、手持ちのパソコンOSと同じOSタグを選択します。
タグ選択の画面によって「Linux・macOS・Windows」のどれをダウンロードできるか違ってくるため、間違えないようにすることです。
公式では、標準画面が「Linux」になっているため、Windowsの場合は「Windows」、Macなら「macOS」をしっかりクリックして切り替えましょう。
ダウンロードの開始
次に、「x64 Installer」の横にあるURLをクリックしてダウンロードを開始します。インストーラーは自由度が高くない代わりに手順が簡単ですから、Java初心者の方はこれを選択してダウンロードからインストールするのがおすすめです。
インストール作業
ダウンロードが完了したら、インストーラーを起動して、「次へ」で進めて、完了したら終了で画面を閉じます。
インストールの確認
インストールがきちんとできているかは、先述したバージョンの確認で知ることができます。インストールが正しく行われていれば、最新のバージョン情報がコマンドプロンプト画面に出ます。
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5.Java SE Runtime Environmentでよくある質問
ここでは、Java SE Runtime Environmentによくある質問に回答します。
なぜ複数の用語(Java SEやJDK、JREなど)が混在しているのか?
Javaでは、開発環境や実行環境を構築する際に、役割を分担して全体をパッケージ化しています。
例えば、Java SEの実行環境はJDKで、開発環境と一緒にJREやJVMをまとめてダウンロードする仕様です。そのため、これらを区別する技術的用語も自然と増えます。
また、Java SE Runtime EnvironmentやJREのように、呼び方が複数あって後で取捨選択されてきた経緯もあります。Java SEの実行環境は明らかにJREとわかるため、呼び方が定着し、Java SE Runtime Environmentは使われなくなったのです。
以上、細かいことは割り切って、「JREのこと」と覚えるのが手っ取り早いでしょう。
商用利用はできる?
Javaで開発した場合、商用利用が可能です。Java SEの実行環境を設定した場合も同じです。
ただし、Oracleの場合に、古いバージョンのJDKや長期商用サポートなどは有償化されたことで、企業はコストがかかることに気をつける必要があります。もちろん、必要ならOracle以外の選択肢も検討しましょう。
Java SE Runtime Environmentの変更を許可する作業は必要?
Javaのアプリケーションでは、更新の情報が画面上に表示されることがあります。その際にJava SEの実行環境に変更を許可するかどうかは、自分で判断する必要があります。
まずは公式サイトでバージョン情報の更新を確認します。必要なら手動でアップデートしましょう。
ただし、画面上から直接、変更を許可してしまうと、ウイルスなどの場合に問題が発生しかねません。そのため、表示があったらすぐに変更を許可するのではなく、調べた上で都度、自己判断します。
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6.まとめ
今回は、Java SE Runtime Environmentの実行環境が必要な理由やインストールの方法、バージョン確認などについて解説しました。Java SE Runtime Environmentは、Java SEのJREを意味するため、呼び方が異なっていても指し示す意味は同じです。また、Java SEの実行環境を構築して最新のものかを確認するには、インストールの状況やバージョンを調べることです。
バージョン情報が出ない場合はインストールされていないか、もしくはインストール設定に問題があるため、上記の手順でインストールや解決策を実行します。以上を踏まえて、Java SEの実行環境であるJREのインストールを進めましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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