3DCGデザイナーはゲーム、アニメ、映画、建築、自動車などさまざまな業界で求められているクリエイティブな職業です。また、今後も安定したニーズが継続すると考えられるため、これからこの職業に転身したいと考える方にもおすすめできます。
3DCGデザイナーが活躍する業界の1つにゲーム業界がありますが、この業界は日本を代表するものの1つです。日本のゲーム市場は大きく、海外ファンも多くいます。3DCGデザイナーはゲーム業界にも欠かせない存在のため好待遇も期待できます。
3DCGデザイナーの年収は全国平均よりもやや高い傾向にあり、実力次第では青天井といえます。
本記事では3DCGデザイナーの仕事内容や必要なスキル、平均年収、年収を上げる方法、キャリアパスなどについて解説します。
目次
1. 3DCGデザイナーの仕事内容とは
3DCGデザイナーの主な仕事内容は3Dグラフィックスを使用し、キャラクターや背景などをデザインすることです。
キャラクターや背景などの形状を作成したり、キャラクターに動きをつけたり、照明効果をつけたりします。
各制作工程に役割があり、それらを組み合わせて3Dグラフィックスの表現に仕上げていきます。
なお、規模が大きい企業ほど制作工程によって業務が細分化されており、従業員は1つの業務に集中できる傾向にあります。一方、規模が小さい企業は1人の3DCGデザイナーが一連の作業を担当したり、マネジメント的な役割も担ったりします。
2.3DCGデザイナーに必要なスキル
3DCGデザイナーを目指す方の多くは、必要なスキルについて知りたいと考えています。
3DCGデザイナーに必要なスキルとして以下の3つが挙げられます。
3DCGソフトウェア
3DCGのデザイン力
プログラムの基礎知識
それぞれ確認していきましょう。
3DCGソフトウェア
3DCGソフトウェアは3Dモデリング、テクスチャリング、アニメーション、レンダリングなどを行うためのツールです。代表的なソフトウェアにはAutodesk Maya、3ds Max、Blender、Cinema 4Dなどがあります。
3DCGデザイナーはこれらのソフトウェアを使いこなし、キャラクターや環境、エフェクトなどを制作します。
3DCGのデザイン力
3DCGデザイナーは3DCGソフトを使ってキャラクターや背景を作成しますが、デザイン力がなければ多くのユーザーを惹き付けるキャラクターを生み出せません。
デッサン、空間認識、色彩理論などの美術技術を理解しておく必要があります。
プログラムの基礎知識
3DCGデザイナーは動きを生み出すためプログラムを組み立てなければなりません。
特に3Dモデリングソフトやレンダリングエンジンを効果的に操作するため、Python、C++、C#などのプログラミング言語の基本を理解することが重要です。
また、シェーダープログラミングの知識があれば、高品質なテクスチャや特殊効果の作成が可能になり、作品のクオリティが向上します。3DCG業界では技術革新が速いため、常に最新のプログラミングトレンドをキャッチアップすることで、競争力のあるデザイナーとして活躍できるでしょう。
いくつものソフトウェアやプログラムを組み合わせて、デジタルアートを仕上げていきます。
3.3DCGデザイナーの平均年収
マイナビクリエイターによると、3DCGデザイナーの平均年収は404万円です(2022年2月時点)。
年代によっても平均年収は異なり、20代は315万円、30代は398万円、40代は507万円となっています。
年齢が上がればスキルも一般的に高くなりますので、平均年収が上がる傾向にあります。30代、40代で未経験の状態からこの職に転職した場合は、自分の年代における平均年収に満たないこともあります。
出典:https://mynavi-creator.jp/blog/article/to-increase-the-annual-income-as-3dcg-designer
4.3DCGデザイナーが年収を上げる方法
3DCGデザイナーとして年収をアップさせたい方は、年収を上げられるように行動することが大切です。
3DCGデザイナーとして年収を上げる方法として以下の5つが挙げられます。
ポートフォリオを作成する
スキルアップする
人脈を獲得する
フリーランスになる
ゲーム業界に転身する
それぞれ確認していきましょう。
ポートフォリオを作成する
転職時や案件の応募時などにポートフォリオを提出できれば、採用担当者にスキルや実績を正しく伝えられます。また、採用担当者はポートフォリオを参照することで、応募者がどの程度のスキルを有するのかや、これまでにどのような業務に携わってきたのか把握できます。
ポートフォリオを作成する際は以下の点に注意してみてください。
・写真や映像素材を掲載する
ポートフォリオに写真や映像素材を掲載することで、自分の能力や実績を相手に確実に伝えられます。
・プロジェクトの説明
各作品についてどのような背景やコンセプトで制作したのか文字で説明することで、読み手に自分の仕事の特徴や工夫点、どのような思いで仕事をしているかなど伝えられます。
・定期的なアップデート
ポートフォリオは一度作成したら終りではありません。
見直しを常に行い、最新の状態にしておきましょう。
スキルアップする
高いスキルをもつ3DCGデザイナーは高単価の案件を獲得できたり、大手企業から好待遇で内定をもらえたりします。
年収アップを目指すのであれば現状のスキルに満足せず、スキルアップを目指してください。
ディティールを描けたり、多くのソフトを円滑に使用したりできれば仕事の幅が広がります。
3DCGデザイナーがスキルアップする方法はオンラインコースや動画教材の活用の他、専門学校の短期講座の受講、テキストを活用した独学などがあります。
人脈を獲得する
3DCGデザイナーはコツコツと仕事を行うイメージですが、人間関係が重要な職業です。
仕事の受注やプロジェクトの参加は横のつながりから発生することもあるので、人脈を獲得しておくことをおすすめします。
人脈はセミナーの参加、専門学校の短期講座の参加などで形成できます。こうした場には同じような志しを持った人が集まるので、積極的に声をかけてみましょう。
フリーランスになる
会社員として働いていれば収入は安定するものの、年収を大幅にアップさせることは難しいです。
一方、フリーランスであれば、自分のスキルや能力次第で短期間のうちに年収をアップできます。
複雑、かつ繊細な描写や表現が求められる案件は単価が高い傾向にあります。これらの仕事を次々と受注できれば年収も高くなるはずです。
ゲーム業界に転身する
東京2020オリンピックの開会式において選手の入場時にゲームミュージックが使用されました。また、日本のゲームは世界的にも人気で、日本に訪れる外国人の中には日本のゲームファンもいます。
さらに、近年はPlayStationなどのコンシューマーゲームだけでなく、スマートフォン用ゲームも人気です。
こうした状況の中で、多くの企業が優秀な3DCGデザイナーを採用したいと考えています。
自社に価値を与えてくれる見込みのある人材を好待遇で迎えてくれる企業もあります。
5.3DCGデザイナーのキャリアパス
3DCGデザイナーのキャリアパスとして以下の2つが挙げられます。
スペシャリストになるパターン
ゼネラリストになるパターン
それぞれ確認していきましょう。
スペシャリストになるパターン
スペシャリストとは特定分野において深い知識や高度な技術を持って活躍する人のことです。
ゲーム業界の3DCGデザイナーの場合、モデリングやモーションなどの領域で高度な技術や深い知識があり、特定のポジションに携わる人が該当します。
スペシャリストは携わる業界や業務の範囲が限られていますが、他の人には負けない特別な知識やスキルが求められます。
使用するツールは更新され、テクノロジーも日々発展しているため、知識や技術を常にアップデートしなければなりません。
ゼネラリストになるパターン
ゼネラリストはさまざまな分野で活躍する人材のことをいいます。1つの分野にとどまらず幅広い知識や技術を持っています。
ゲーム業界の3DCGデザイナーの場合、小規模のゲーム開発会社に所属し、一連の開発工程を単独で担当しているような人が該当します。このような働き方をしている人の中にはスタッフの指導や進行管理といったマネジメントも担っているケースが多いです。
3DCG制作における知識や技術だけでなく、社会人としてのスキルやコミュニケーション力などさまざまなものが求められます。
6.3DCGデザイナーに関するよくある質問
3DCGデザイナーになりたい方の中にはこの職業に関する疑問を抱えている方もいます。
3DCGデザイナーに関するよくある質問として以下の3つが挙げられます。
3DCGデザイナーになるには大学を卒業しなければなりませんか?
3DCGデザイナーはやめとけと言われましたがどうしてでしょうか?
3DCGデザイナーは年収1000万円に達しますか?
3DCGデザイナーは資格はあった方が良い?
それぞれ確認していきましょう。
3DCGデザイナーになるには大学を卒業しなければなりませんか?
3DCGデザイナーになるには必ずしも大学を卒業している必要はありません。例えば、制作会社のアルバイトに応募し、採用されれば働きながら学ぶことも可能です。ただし、未経験者が採用されるのは難しい傾向にあります。
3DCGデザイナーとして活躍したいと考えている方の多くが専門学校や大学の美術系学部で学んでいます。即戦力が求められる業界であり、基礎技術から教えてくれる企業は少ないため、学校で基礎的な部分を身につけておくことが求められます。
3DCGデザイナーはやめとけと言われましたがどうしてでしょうか?
3DCGデザイナーに限らずいずれの職業においても向き不向きがあります。不向きの職業を経験してしまうと、友人や知人にはすすめたくなくなるものです。
3DCGデザイナーになったら納期のプレッシャーに悩まされることもあるかもしれません。また、激務な職種であるため、ライフワークバランスを保った働き方ができない可能性もあります。ただ、こうした問題は3DCGデザイナーに限ったことではありません。
3DCGデザイナーは年収1000万円に達しますか?
全ての3DCGデザイナーが年収1000万円に達するとは言いがたいです。
しかし、前述のようにこの職業における40代の平均年収は約500万円と平均よりも高いです。
フリーランスの3DCGデザイナーの場合、年収の幅はさらに広がる可能性があります。
高度な3DCGスキルと豊富な経験を持つフリーランスは、大型プロジェクトや高単価の案件を獲得することで、年収1000万円を超える場合もあります。
例えば、ハリウッド映画やAAAクラスのゲーム開発に携わるフリーランスの3DCGデザイナーの中には、年収2000万円以上を稼ぐ人もいます。
なお、世界的にも有名な3DCGデザイナー・ジョン・スミス氏の年収は年間500万ドルにも達するそうです。年収は実力次第では青天井といえます。
3DCGデザイナーは資格はあった方が良い?
3DCGデザイナーとして働く上で資格は必須ではありません。とはいえ、この業界で評価される資格を保有していれば未経験からでも転職しやすかったり、企業に即戦力として貢献しやすくなったりします。
3DCGデザイナーにおすすめの資格は、画像処理のスキルを証明する画像処理エンジニア検定、CGの基礎から制作までが含まれているCGクリエイター検定、色に関する知識や技能を証明する色彩検定が挙げられます。
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7.まとめ
3DCGデザイナーとして働くにはスキルが必要であるため、まずはスキルを取得しなければなりません。また、仕事に就いた後も業務内容が多岐にわたることから苦労を感じることもあるでしょう。
しかし、自分がデザインしたキャラクターが実際に動いたり、多くの人の目にふれたりするのでやりがいがあるのは確かです。
また、年収は高い傾向にあり、自分の実力次第でアップできるのも魅力です。知名度が上がり、人気が出れば、年収もおのずとアップします。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。