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CI/CDとは?概念や従来の自動化ツールとの違い、導入メリット、ツール一覧をわかりやすく解説

公開日:2025/05/27最終更新日:2025/05/27

CI/CDは、現代のソフトウェア開発プロセスにおいて、迅速な価値提供と品質維持を両立させるために非常に重要な取り組みです。開発の自動化を進め、継続的な改善サイクルを回すことで、ビジネスの競争力を高める原動力となります。


しかし、CI/CDの概念は幅広く、導入すべきツールや手法も多岐にわたるため、どこから手をつければ良いか迷う方も少なくありません。CI/CDを真に活用するためには、その基本原則から具体的な実践方法までを正しく理解しておくことが不可欠です。


この記事では、CI/CDの基本的な知識である「CI/CDとは何か」から、そのメリット・デメリット、関連する開発手法、パイプラインの仕組み、主要なツール、そして導入に関するFAQまで、網羅的に解説します。CI/CD導入を検討するインフラ担当者の方にとって、実践的な知識を得て具体的な第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。


ぜひ最後までお読みいただき、CI/CDへの理解を深め、貴社の開発プロセス変革にお役立てください。

1.CI/CDとは?


CI/CDは、ソフトウェア開発の効率と品質を大幅に向上させるための重要な概念です。具体的な解説は以下にて行っていきますので、最後までお読みください。

  • CI/CDの読み方

  • CIとCDの違い

  • CIとは?

  • CDとは?

CI/CDの読み方

CI/CDは、「シーアイシーディー」が一般的です。アルファベットをそのまま読む形で広く使われており、開発現場や技術文書、カンファレンスなど、様々な場面でこの呼称が用いられています。


略語であるため、正式名称の「Continuous Integration/Continuous Delivery(Deployment)」を都度フル全単語を呼ぶことは稀で、この略称と読み方がコミュニケーションを円滑にします。

CIとCDの違い

CIとCDは密接に関連しつつも、担当する範囲と目的に違いがあります。


CI(継続的インテグレーション)は、開発者が行ったコード変更を頻繁にメインのソースコードリポジトリに統合し、自動的にビルドとテストを実行するプロセスに焦点を当てています。主な目的は、早期にバグを発見し、コードの品質を保つことです。


一方、CDは「継続的デリバリー」と「継続的デプロイメント」の二つの意味合いを含み、CIで品質が確認されたコードを、本番環境へリリース可能な状態にする、あるいは実際に自動でリリースするまでを扱います。継続的デリバリーではリリース判断は手動ですが、継続的デプロイメントではそこも自動化される点が異なります。

CIとは?

CI(継続的インテグレーション)は、開発者たちが各自で変更したソースコードを、一日に何度も中央のリポジトリに統合する開発手法です。この統合のたびに、自動的にビルド処理が実行され、さらに自動化されたテストが実施されます。この一連の流れを頻繁に繰り返すことで、コードの競合を早期に発見し、修正コストを低減させることが可能になります。


また、常に動作する状態のコードを維持しやすくなり、ソフトウェアの品質向上にも大きく貢献します。開発チーム全体の生産性を高め、より安定した開発プロセスを実現するための基本的な取り組みと言えるでしょう。

CDとは?

CDは、「継続的デリバリー(Continuous Delivery)」と「継続的デプロイメント(Continuous Deployment)」を組み合わせて、高品質なソフトウェアを迅速にユーザーに届ける仕組みです。それぞれの詳細は以下のとおりです。

  • 継続的デリバリー:ソフトウェアをいつでもリリースできる状態に準備し、最終的な公開の判断は人が行う方法

  • 継続的デプロイメント:さらに進み、テストをクリアした変更は人の手を介さずに自動で本番環境へリリースする方法

2.CI/CDと従来の自動化ツールとの違い

CI/CDと従来の自動化ツールは、自動化を目指す点は共通ですが、その範囲と目的に大きな違いがあります。


従来の自動化ツールは、ビルドやテストといった開発プロセスの一部を個別に自動化するものが多く、それぞれのツールが独立して機能する傾向がありました。一方、CI/CDは、ソースコードの変更からビルド、テスト、デプロイに至るまでの一連のパイプライン全体を連携させ、継続的に自動化することを重視します。開発ライフサイクル全体をスムーズにつなぎ、フィードバックループを高速化することで、開発速度と品質の同時向上を目指す点が特徴です。


単なる作業の自動化に留まらず、開発プロセス全体の最適化を志向する点が、CI/CDの大きなポイントと言えるでしょう。

3.CI/CDが重要な理由

CI/CDが現代の開発で重要視される主な理由は、市場の変化へ迅速に対応し、高品質なソフトウェアを継続的に提供する必要性が高まっているからです。


手動での作業はミスを誘発しやすく、リリースまでに時間がかかるため、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。CI/CDを導入すると、開発プロセスが自動化され、コードの変更からデプロイまでの時間が大幅に短縮されます。加えて、頻繁なテストによってバグを早期に発見できるため、ソフトウェアの品質も向上します。


開発者は反復的な作業から解放され、より創造的な業務に集中できるようになることも大きなメリットです。結果として、顧客満足度の向上や競争優位性の確立に繋がり、ビジネスの成長を力強く後押しするのです。

4.CI/CDとDevOpsの関係

CI/CDとDevOpsは、ソフトウェア開発と運用を効率化し、迅速な価値提供を目指すという共通の目標を持つ、非常に密接な関係にあります。


DevOpsは、開発チーム(Development)と運用チーム(Operations)が協力し、コミュニケーションを密に取ることで、開発から運用までの一連のプロセスをスムーズにするための文化や考え方、プラクティス全体を指します。


一方、CI/CDはこのDevOpsの考え方を実現するための具体的な技術的手段の一つと位置付けられます。CI/CDパイプラインを構築し、自動化を進めることは、DevOpsが目指す迅速で継続的なデリバリーを実現する上で不可欠な要素なのです。


つまり、DevOpsという大きな傘の下で、CI/CDがその実践を支える形です。

5.CI/CDとアジャイル開発の関係

CI/CDとアジャイル開発は、どちらも変化への迅速な対応と継続的な改善を重視する点で親和性が高く、互いを補強し合う関係にあります。


アジャイル開発は、イテレーションやスプリントと呼ばれる短い期間で開発とテストを繰り返し、実際に動作するソフトウェアを少しずつリリースしていく開発手法です。この短いサイクルで頻繁にリリースを行うためには、手作業では限界があります。


CI/CDを導入することで、ビルド、テスト、デプロイといったプロセスが自動化され、アジャイル開発が目指す「迅速かつ継続的な価値提供」が技術的に可能になります。アジャイル開発のプラクティスを実践する上で、CI/CDは強力な推進力となり、その効果を最大限に引き出すために不可欠な要素と言えるでしょう。

6.CI/CDパイプラインとは?

CI/CDパイプラインとは、ソフトウェアのソースコード変更から始まり、ビルド、テスト、そして最終的な本番環境へのリリースまでの一連のステップを自動化した仕組みのことです。


このパイプラインは、各ステップが順次、あるいは並行して実行される流れ作業のラインに例えられます。開発者がコードをリポジトリにプッシュすると、それをトリガーとしてパイプラインが起動し、定義されたビルド、単体テスト、結合テストなどの各ステージが自動的に実行されます。もし途中のステージで問題が検出されれば、パイプラインは停止し、開発者にフィードバックが送られます。


このようにして、迅速かつ安全にソフトウェアをユーザーに届けるための基盤となるのがCI/CDパイプラインです。


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7.CI/CDパイプラインの構築に必要なツール

CI/CDパイプラインを構築し、効果的に運用するためには、いくつかの役割を担うツール群の連携が不可欠です。代表例は以下の5つです。一つずつ解説していきます。

  • コードリポジトリ/成果物リポジトリ

  • CIツール

  • 構成管理ツール

  • ビルドツール

  • テストツール

コードリポジトリ/成果物リポジトリ

コードリポジトリは、CI/CDパイプラインの出発点であり、開発者が作成したソースコードや設定ファイルなどを一元的に管理する仕組みです。Gitのようなバージョン管理システムが一般的に利用され、コードの変更履歴を記録し、複数人での共同作業を容易にします。


開発者がコードリポジトリに新しい変更をプッシュすると、それがトリガーとなってCI/CDパイプラインが起動します。一方、成果物リポジトリは、ビルドプロセスで生成されたバイナリ、コンテナイメージなどの実行可能なファイルやライブラリを格納・管理する場所です。


ビルドされた成果物を一箇所に集約することで、後のデプロイステージで必要なファイルを迅速かつ確実に取得できるようになるのが特徴です。

CIツール

CIツールは、CI/CDパイプラインの中核を担い、継続的インテグレーションのプロセスを自動化するソフトウェアです。


開発者がソースコードリポジトリに変更をプッシュすると、CIツールがそれを検知し、あらかじめ定義されたビルドやテストなどの一連の処理を自動的に実行します。処理結果は開発者にフィードバックされ、問題があれば迅速に修正対応することが可能です。


代表的なCIツールは以下のとおりです。

  • Jenkins

  • GitHub Actions

  • GitLab CI/CD

  • CircleCIなど

これらのツールを活用することで、手作業による手間やミスを削減し、開発の効率と品質を大幅に向上させられます。

構成管理ツール

構成管理ツールは、サーバーやミドルウェア、アプリケーションの実行環境といったインフラの設定情報をコードとして記述し、その状態を一元的に管理・自動構築するためのツールです。


手作業での環境構築は、設定ミスや手順のばらつきを生みやすく、特に複数のサーバー環境を同じ状態に保つのは困難でした。構成管理ツールを用いると、誰が作業しても同じ設定の環境を正確かつ迅速に再現できるようになります。


代表的なツールは以下のとおりです。

  • Ansible

  • Chef

  • Puppetなど

これらはCI/CDパイプラインの中で、テスト環境や本番環境の構築・更新を自動化する役割を果たします。一貫性のある環境を維持することで、デプロイ時のトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。

ビルドツール

ビルドツールは、ソースコードをコンパイルしたり、ライブラリ間の依存関係を解決したり、実行可能な形式のファイルや配布用のパッケージを作成したりする一連の作業を自動化するツールです。


プログラミング言語やプロジェクトの種類に応じて、様々なビルドツールが存在します。例えば、JavaではMavenやGradle、JavaScriptではnpmやYarn、C/C++ではMakeなどがよく利用されます。


これらのツールは、手動で行うと複雑で時間のかかるビルドプロセスを、コマンド一つで正確に実行できるようにしてくれます。CI/CDパイプラインにおいては、ソースコードが変更されるたびにビルドツールが呼び出され、最新の成果物を効率的に生成する役割を担っています。

テストツール

テストツールは、ソフトウェアの品質を保証するために、様々な種類のテストを自動的に実行するツール群の総称です。


プログラムの最小単位である関数やメソッドを検証する単体テストツール、複数のモジュールを連携させた際の動作を確認する結合テストツール、ユーザーインターフェースの操作をシミュレートするUIテストツールなど、テストの目的に応じて多様なツールが存在します。


CI/CDパイプラインにおいて、これらのテストツールはビルド後の成果物に対して自動的に実行され、バグや意図しない動作を早期に検出する役割を担います。手動テストでは時間とコストがかかる回帰テストなども自動化できるため、リリースサイクルの高速化と品質維持の両立に不可欠な存在と言えるでしょう。


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8.CI/CDを導入するメリット

CI/CDを導入することで、ソフトウェア開発のプロセス全体にわたり、数多くの顕著なメリットがもたらされます。具体的なメリットを4つ解説していきます。それぞれ見ていきましょう。

  • 作業が簡素化する

  • ヒューマンエラーが減少する

  • リリース速度が向上する

  • バグを早期発見しやすくなる

作業が簡素化する

CI/CDの導入は、開発プロセスの多くの手作業を自動化するため、作業の大幅な簡素化を実現します。例えば、従来は開発者が手動で行っていた作業を自動的に処理できるようになります。

  • ソースコードのビルド

  • 単体テストの実行

  • 開発環境へのデプロイなど

開発者は、コードをリポジトリにコミットまたはプッシュするだけで、その後の定型的な作業をCI/CDパイプラインに任せることができます。この自動化は、特に頻繁に発生する作業ほど効果が大きく、開発者は複雑な手作業から解放されるため、より本質的な開発業務や新しい技術の学習に集中できる時間が増え、生産性の向上に繋がるでしょう。

ヒューマンエラーが減少する

CI/CDの導入は、ヒューマンエラーの削減に大きく貢献します。


手作業によるビルドやデプロイといったプロセスは、どれだけ注意深く行っても、手順の抜け漏れや設定ミスといった人的な誤りが介在するリスクを完全には排除できません。特に複雑な手順や深夜・休日の緊急対応時などには、そのリスクは高まる傾向があります。


CI/CDパイプラインを構築し、これらの作業を自動化することで、定義された手順通りに一貫して処理が実行されるため、人為的なミスが発生する余地を大幅に減らせます。安定したリリースプロセスが確立され、システムの信頼性向上にも繋がります。


結果として、手戻り作業の削減や、障害発生リスクの低減といった効果が期待できるのがメリットの一つです。

リリース速度が向上する

CI/CDを導入する大きなメリットの一つが、ソフトウェアのリリース速度の劇的な向上です。従来の手動プロセスでは、以下のような各ステップに時間と手間を要していました。

  • コードの統合

  • ビルド

  • テスト

  • 本番環境へのデプロイなど

CI/CDではこれらのプロセスが自動化され、一気通貫で実行されるため、開発者が新しい機能や修正をユーザーに届けるまでのリードタイムが大幅に短縮されます。市場のニーズや顧客からのフィードバックに対して、より迅速に対応できるようになることは、ビジネスにおいて非常に大きな強みです。


細かな改善を頻繁にリリースすることで、ユーザー満足度を高め、競合他社に対する優位性を確立することにもつながりやすくなります。

バグを早期発見しやすくなる

CI/CDの導入は、開発プロセスの早い段階でバグを発見しやすくする効果があります。


CIのプラクティスでは、開発者がコードを変更するたびに自動でビルドとテストが実行されます。この頻繁なテストサイクルのおかげで、もしコードに問題が含まれていれば、それが他の多くのコードと複雑に絡み合う前に、早期の段階で検知可能です。


バグが小さいうちに見つかれば、原因の特定も修正も比較的容易であり、手戻りコストを大幅に削減できます。結果として、ソフトウェア全体の品質が向上し、ユーザーに提供される製品の安定性が高まります。


開発終盤やリリース後に重大な欠陥が見つかるリスクを低減できることは、大きなメリットと言えるでしょう。

9.CI/CDを導入するデメリット

CI/CDの導入は多くのメリットをもたらしますが、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。主なデメリットは以下の3つです。それぞれ解説していきます。

  • 構築負荷がかかる

  • 継続的な実施をしないと費用対効果が低くなりやすい

  • 処理速度が低下する場合がある

構築負荷がかかる

CI/CDパイプラインの初期構築には、相応の負荷がかかる点を理解しておく必要があります。


まず、自社の開発環境やプロジェクトの特性に合わせて、多種多様なCI/CDツールの中から最適なものを選定しなくてはなりません。ツールの学習コストも考慮に入れるべきでしょう。


次に、選定したツールを使って、ソースコードの取得からビルド、テスト、デプロイに至るまでの一連のプロセスを自動化するパイプラインを設計・実装する作業が発生します。既存のプロセスがある場合は、それをどのように自動化に落とし込むか検討も求められます。


これらの作業には専門的な知識や技術が必要となるため、チーム内に経験者がいない場合は、外部の専門家の支援を検討するか、学習期間を確保することが重要です。

継続的な実施をしないと費用対効果が低くなりやすい

CI/CDパイプラインは、一度構築したら終わりではなく、その効果を維持・向上させるためには継続的な運用と改善が不可欠です。


例えば、以下のように定期的な運用が挙げられます。

  • 利用しているCI/CDツールや関連ライブラリのバージョンアップへの対応

  • テストコードの定期的なメンテナンス

  • 開発プロセスの変化に合わせたパイプラインの見直しなど

これらの保守作業を怠ると、パイプラインが正常に動作しなくなったり、陳腐化して実際の開発フローと乖離が生じたりする可能性があります。せっかく投資して構築したCI/CD環境も十分に活用されず、期待したほどの費用対効果が得られなくなる恐れがあるため、定期的な運用を行うのが大切です。

処理速度が低下する場合がある

CI/CDパイプラインは多くの自動化処理を実行するため、場合によっては全体の処理速度が低下し、開発の待ち時間が増加する可能性も考慮に入れなければなりません。特に、大規模なプロジェクトで多数のテストケースを実行したり、複雑なビルドプロセスやデプロイ手順を組んだりすると、パイプライン完了までに時間を要することがあります。


パイプラインの実行時間が長すぎると、開発者はフィードバックを得るのに時間がかかり、CI/CDのメリットである迅速な開発サイクルが損なわれる恐れも出てきます。そのため、パイプラインの各ステージの処理時間を監視し、ボトルネックとなっている箇所を特定して最適化する取り組みが重要です。並列処理の導入や、不要なステップの削減などを検討すると良いでしょう。

10.CI/CD関連ツール一覧

CI/CDを実現するためには、様々な役割を持つツールが存在し、プロジェクトの特性やチームのニーズに応じて最適なものを選択することが重要です。ここでは代表的なCI/CD関連ツールをいくつか紹介します。それぞれのツールの特徴を理解し、自社の環境や目的に合ったものを選ぶ際の参考にしてください。

  • Jenkins

  • GitHub Actions

  • GitLab CI/CD

  • CircleCI

  • AWS CodeBuild

  • Azure Pipelines

  • GCP Cloud Build

Jenkins

Jenkinsは、非常に長い歴史と豊富な実績を持つ、オープンソースの代表的なCI/CDツールです。Javaで開発されており、オンプレミス環境に自由にインストールして利用できる点が大きな特徴です。


1500を超える豊富なプラグインが提供されており、様々なツールやシステムとの連携、パイプラインのカスタマイズが柔軟に行いやすく、複雑な要件や既存システムとの連携が求められる場合に強力な選択肢となります。


一方で、設定の自由度が高い反面、運用管理にはある程度の専門知識が必要となる側面もあります。多くの企業で採用実績があり、情報も豊富なので、自社でじっくりCI/CD環境を構築・運用したい場合に適しています。

GitHub Actions

GitHub Actionsは、ソフトウェア開発プラットフォームであるGitHubに組み込まれたCI/CD機能です。GitHubのリポジトリ内で直接ワークフローを定義し、コードのプッシュやプルリクエストといったイベントをトリガーとして、ビルド、テスト、デプロイなどの自動化処理を実行できます。


最大の特徴は、GitHubとのシームレスな連携と、豊富な「アクション」と呼ばれる再利用可能なコンポーネントがマーケットプレイスで提供されている点です。これにより、比較的容易にCI/CDパイプラインを構築し始められます。


個人開発や小規模なプロジェクトであれば無料枠で十分に活用でき、スタートアップ企業にも人気があるため、手軽にCI/CDを始めたい開発者にとって有力な選択肢となるでしょう。

GitLab CI/CD

GitLab CI/CDは、ソースコード管理からプロジェクト管理、そしてCI/CD機能までを統合したオールインワンプラットフォームであるGitLabに標準で組み込まれている機能です。


GitLabリポジトリに.gitlab-ci.ymlという設定ファイルを追加するだけで、簡単にCI/CDパイプラインを定義し、実行できます。単一のツールで開発ライフサイクルの多くをカバーできるため、ツールの選定や連携の手間を減らしたい場合に適しています。


Auto DevOpsという機能を使えば、設定を最小限に抑えて自動的にパイプラインを構築可能です。GitHub Actionsと同様に、GitLabを利用している開発者にとっては導入のハードルが低く、迅速にCI/CDを始められる点が魅力です。

CircleCI

CircleCIは、クラウドベースで提供される人気の高いCI/CDサービスの一つです。


高速なビルドと柔軟な設定が特徴で、特にDockerなどのコンテナ技術との親和性が高く、複雑なテスト環境の構築や並列実行が容易に行えます。設定は.circleci/config.ymlというYAMLファイルで行い、多様なプログラミング言語やフレームワークに対応しています。


無料プランも用意されており、小規模なプロジェクトから大規模なエンタープライズまで幅広く利用されている実績があります。パフォーマンスを重視し、迅速なフィードバックループを構築したい開発チームにとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。多くのスタートアップ企業で採用されていることからも、その信頼性と効率性がうかがえます。

AWS CodeBuild

AWS CodeBuildは、Amazon Web Services (AWS) が提供するフルマネージド型のビルドサービスです。ソースコードのコンパイル、テストの実行、デプロイ可能なソフトウェアパッケージの作成といったビルドプロセスを自動化します。


AWSの他のサービス(CodeCommit, CodePipeline, S3, EC2など)との連携が非常にスムーズで、AWSエコシステム内でCI/CDパイプラインを構築する場合に特に強力です。ビルド環境は都度プロビジョニングされ、使用した分だけ料金が発生する従量課金制なので、インフラ管理の手間をかけずにスケーラブルなビルド環境を利用できます。


AWSをメインのクラウドプラットフォームとして活用している企業にとって、導入しやすい選択肢の一つと言えます。

Azure Pipelines

Azure Pipelinesは、Microsoft AzureのDevOpsサービス群であるAzure DevOpsに含まれるCI/CDサービスです。


あらゆる言語、プラットフォーム、クラウドに対応可能で、Windows、Linux、macOS上でビルドとデプロイを実行できます。特に、GitHubやAzure Reposといったリポジトリとの連携が容易で、YAMLまたはクラシックエディタを通じてパイプラインを定義可能です。


オープンソースプロジェクトであれば無料で利用できる枠が大きく、商用プロジェクトでも柔軟な料金体系が用意されています。Azureの各種サービスとの親和性が高いのはもちろん、オンプレミス環境や他のクラウドへのデプロイもサポートしており、多様な開発ニーズに応えられる点が強みです。

GCP Cloud Build

Google Cloud Buildは、Google Cloud Platform (GCP) が提供するフルマネージド型のCI/CDプラットフォームです。


ソースコードのビルド、テスト、デプロイを高速かつ一貫して実行できます。特にDockerコンテナのビルドに強く、ビルドステップをコンテナとして定義するため、柔軟性が高く、様々な言語やツールに対応可能です。


GitHub、Cloud Source Repositories、Bitbucketなどのリポジトリと連携し、ビルド結果をContainer RegistryやArtifact Registryに自動でプッシュできます。GCPの他のサービス(Kubernetes Engine, Cloud Functions, App Engineなど)へのデプロイも容易で、GCP中心の開発を行っている場合にスムーズな連携が期待できるでしょう。

11.まとめ

今回は、CI/CDの基本的な概念から、その重要性、DevOpsやアジャイル開発との関係、パイプラインの仕組みと構築に必要なツール、導入のメリット・デメリット、そして代表的な関連ツールやよくある質問まで幅広くお伝えしました。


CI/CDは、ソフトウェア開発の自動化を進め、品質を担保しながら迅速に価値をユーザーに届けるための強力なアプローチです。ツールの選定やパイプラインの設計・運用には考慮すべき点もありますが、その恩恵は非常に大きいと言えるでしょう。


この記事で得られた知識を元に、まずは自社の状況に合わせてスモールスタートからCI/CD導入を検討してみてはいかがでしょうか。開発プロセスの継続的な改善を通じて、より効率的で質の高いソフトウェア開発を実現しましょう。


最後までお読みいただきありがとうございました。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.CI/CDとは?

CI/CDの読み方

CIとCDの違い

CIとは?

CDとは?

2.CI/CDと従来の自動化ツールとの違い

3.CI/CDが重要な理由

4.CI/CDとDevOpsの関係

5.CI/CDとアジャイル開発の関係

6.CI/CDパイプラインとは?

7.CI/CDパイプラインの構築に必要なツール

コードリポジトリ/成果物リポジトリ

CIツール

構成管理ツール

ビルドツール

テストツール

8.CI/CDを導入するメリット

作業が簡素化する

ヒューマンエラーが減少する

リリース速度が向上する

バグを早期発見しやすくなる

9.CI/CDを導入するデメリット

構築負荷がかかる

継続的な実施をしないと費用対効果が低くなりやすい

処理速度が低下する場合がある

10.CI/CD関連ツール一覧

Jenkins

GitHub Actions

GitLab CI/CD

CircleCI

AWS CodeBuild

Azure Pipelines

GCP Cloud Build

11.まとめ