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ITコンサルタントとSEの違い|やめとけ?仕事内容、役割、年収、向いている人など比較解説

公開日:2025/05/31最終更新日:2025/06/01

経済産業省が実施した「IT 人材需給に関する調査」の結果によると、日本は2030年までにIT人材が16~79万人不足すると予測されています。多くの企業がIT人材の採用に積極的であることも関係し、近年はIT業界に未経験から転職を考える人、文系の学部からIT業界への就職を考える学生も珍しくなくなってきています。


とはいえ、IT人材といっても数々の職種があるため、「IT業界で働きたい」という漠然とした思いだけでは難しいところもあります。それぞれの職業の違いを理解し、自分に向いている職業を把握しなければなりません。IT人材と一括りにしても役割はそれぞれ全く異なるため、IT人材としてのキャリアを長期的に考えている人は、各職種について調べておくことをおすすめします。


本記事では、ITコンサルタントとSEの違いについて、仕事内容、求められるスキル・経験、年収などの観点から解説します。


1.ITコンサルタントとSEの違い

ITコンサルタントとSEはどちらもIT人材であるものの、異なる役割を担っています。ここでは、ITコンサルタントとSEの違いを解説します。

ITコンサルタントとは

ITコンサルタントとは、ITを使い、経営やビジネス上の課題を解決する役割を担っています。ITコンサルタントは経営者や管理責任者にヒアリングし、その内容に応じて解決案の助言、プレゼンや交渉を繰り返します。クライアントの利益につながるプラン、クライアントの課題を解決できるプランを策定します。


ITコンサルタントはITに関する知識だけでなく、企業経営の知識、クライアント企業の経営状況、クライアント企業の同業社に関する情報なども求められます。

SEとは

SEとは、顧客が求めるシステムを構築する役割を担っています。ITコンサルタントがクライアントの要望を取り入れたプロジェクトの策定を行ったら、SEがその内容に基づいてシステムを構築します。


SEの業務は要件定義、基本設計、詳細設計、テストの4段階に大きく分類できます。企業によって異なるものの、一人のSEが全工程に携わるプロジェクトばかりではなく、SE間で各フェーズを分担し、プロジェクトを進めていくものもあります。


SEが要件定義を行う場合、クライアントに直接ヒアリングを行い、要望を整理・検討することもありますが、この業務はITコンサルタントと似通う部分もあります。

2.ITコンサルタントとSEの仕事内容

ITコンサルタントとSEの仕事内容はそれぞれ異なります。ITコンサルタントはその名の通りコンサルがメインで、SEはシステムの開発がメインです。ここでは、ITコンサルタントとSEの仕事内容を解説します。

ITコンサルタントの仕事内容

ITコンサルタントの主な仕事内容は、クライアントの経営課題を明らかにし、ITを用いて解決策を提示することです。


クライアントに課題や不安などをヒアリングし、ITを活用し、どのように解決していくか検討を重ねます。自身の考えをクライアントに納得してもらうために経営者会議の席で交渉したり、担当者にプレゼンを行ったりすることもあります。


また、担当するプロジェクトによって異なりますが、クライアント企業の経営陣と一緒に業務を進めることもあります。

SEの仕事内容

SEの主な仕事内容は、クライアントの要望に従い、システムを開発することです。要件分析から運用・保守までを行います。


SEの仕事内容は主に以下の5つに分類できます。

  • 要件分析:クライアントが求めるシステムをヒアリングする。ヒアリングした内容に基づき、システムの設計を行う。

  • 基本設計:機能、ネットワーク構成などの設計を行う。

  • 詳細設計:プログラミングを行うための細かな仕様を固める。基本設計で考えた処理フロー、データ構造をより細かく設計する。

  • 開発:プログラムを作成する

  • テスト:システムを実際に動かし、動作を確認する。不備がないか念入りにチェックする。

  • 運用・保守:システムの導入後、システムを安定稼働できるようにサポートする。


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3.ITコンサルタントとSEにおける求められるスキル・経験の違い

ITコンサルタントとSEは求められるスキル・経験は異なります。ここでは、それぞれに求められるスキル・経験を確認していきましょう。

ITコンサルタントに求められるスキル・経験

ITコンサルタントはクライアント企業の経営陣と一緒に課題の解決に向けて動くことが求められます。


ITコンサルタントがシステムを自ら開発することはほとんどありませんが、システムや開発状況についてクライアントに説明したり、開発担当者とやりとりしたりするにあたって、自身にも開発経験があるとスムーズです。実際、ITコンサルタントの求人の中には、学歴を不問とする一方、何らかの開発経験が必須となっているものは多々あります。


ITコンサルタントに求められるスキル・経験として以下のものがあります。

  • ITに関する実用的な知識・スキル

  • 開発経験

  • 対人力

  • コミュニケーション能力

  • 経営やビジネスの知識

  • クライアントの企業、および業界に関する知識

SEに求められるスキル・経験

SEは開発に実際に携わるため、システム設計やシステムの構築などに従事できるだけのスキルや知識が不可欠です。


また、SEは技術職というイメージが強いものの、一人でコツコツと作業する現場ばかりではありません。周囲とコミュニケーションをとりながら業務を進めたり、SEとしての経験が長ければマネジメントを任されたりすることもあります。さらに、クライアントにヒアリングや各種説明を行う機会があるケースもあります。


SEに求められるスキル・経験として以下のものがあります。

  • 要件定義のスキル

  • 基本設計のスキル

  • 詳細設計のスキル

  • プログラミングのスキル

  • コミュニケーション能力

  • マネジメント能力


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4.ITコンサルタントとSEの年収事情

ITコンサルタントとSEはいずれもIT人材であるものの、平均年収は異なります。ITコンサルタントの年収の方がSEの年収よりも一般的に高い傾向にあります。ここでは、ITコンサルタントとSEの年収事情を解説します。

ITコンサルタントの年収

会社員のITコンサルタントの平均年収は600万円程度といわれています。ただし、平均年収といっても、企業や年齢によって年収は大きく異なります。


大手企業の方が中小企業よりも年収は高い傾向にあります。大手企業に勤めるミドル層以上の経験豊富なITコンサルタントであれば、1000万円前後の年収も期待できるでしょう。


フリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードによると、フリーランスのITコンサルタントの月額平均単価は111.8万円で、 年収の目安は1341万円です(2025年5月時点)。


高いスキルや十分な経験がある人であれば、会社員よりもフリーランスの方が高い年収を期待できるでしょう。

SEの年収

会社員のSEの平均年収は500万円前後といわれています。ただし、年収は企業規模や年齢などによっても大きく異なります。SEの場合も大手企業は中小規模よりも平均年収が高い傾向にあるものの、SEの会社員が1000万円の給与をもらうのは難しいかもしれません。年収をアップしたい場合、より上流の工程に携わったり、社内で役職を得たりする必要があります。


フリーランスボードによると、フリーランスのSEの月額平均単価は65万円で、年収の目安は781万円です(2025年5月時点)。


SEはIT人材の中で大きな金額を稼ぎにくい傾向にあるものの、フリーランスとして独立し、単価の高い案件に携わったり、複数の案件を掛け持ちしたりすることで多くの収入を得ることも可能です。


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5.ITコンサルタントとSEに向いている人の特徴

ITコンサルタントとSEは求められる役割や仕事内容が異なるため、それぞれ向いている人の特徴が異なります。どちらかが不向きで挫折した人であっても、もう一方であれば自分の適正にマッチしていると感じるケースもあります。

ITコンサルタントに向いている人の特徴

ITコンサルタントに求められる能力として、論理的思考力と問題解決能力が挙げられます。クライアントの抱える経営課題や問題を論理的に分析し、解決策を導き出すことが主な業務であるためです。問題を特定する能力があっても論理的な考え方ができなければ、解決のためのプロセスをしっかりと導き出せません。

また、ストレス耐性の強さもITコンサルタントとして働く上で重要な能力です。ITコンサルタントはクライアント企業の経営を左右する仕事であるため、プレッシャーと緊張感の中に身を置くことになります。


クライアントがナーバスになる部分に関わるため、結果を責められたり、自身のアイデアを否定されたりすることもあります。こうした状況においても前向きに物事を捉え、現状と向き合う力が求められます。

SEに向いている人の特徴

SEに求められる能力として、ものづくりが好きな心が挙げられます。SEの主な仕事はシステムの開発、つまりものづくりです。何かを作ることが楽しいと感じられる人、頭で考え、手を動かして作業することにやりがいを感じられる人は充実感を抱きながら働けるはずです。SEは長時間にわたってコツコツと作業に向き合うシーンも多々あるため、根気強く、作業に向き合える人だとストレスを感じにくいでしょう。


また、考えることに楽しさを感じられる人もSEに向いています。開発業務では「システムに採用するソフトウェアはどうするか」「どのプログラム言語を採用すればよいか」など考える機会が数多くあります。これらのことを考え、自分の考えたことが成果につながったときの喜びは大きなものです。

6.SEからITコンサルタントへの転身は可能

SEからITコンサルタントへの転身は可能であり、実際に多くの人が転身に成功しています。SEからITコンサルタントへの転身理由は人によって異なりますが、「上流工程に携わりたい」「給与をアップさせたい」「フリーランスになりたい」といった理由で転身する人もいます。


SEは特定の製品の開発や指示書通りの開発が主な業務となりがちですが、ITコンサルタントは自分で考え、動けるシーンが多くなります。また、ITの専門家として、経営陣と一緒に企業の経営にコミットするなど、スケールの大きな業務を担当できます。これらの業務は大きな責任が伴いますが、それだけ給与も高い傾向にあります。


SEが保有するITの専門性はITコンサルタントでそのまま活かせるだけでなく、ITコンサルタントの求人の中にもSE経験を必須条件としている求人もあります。SEからITコンサルタントへの転身はキャリアパスとしてメジャーであるといえるでしょう。


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7.ITコンサルタントとSEに関するよくある質問

ITコンサルタントとSEについて疑問に思うことがあるはずです。転職活動中、もしくは就職後に後悔しないためにも、疑問は早めに解決しておくことをおすすめします。


ITコンサルタントとSEに関するよくある質問として、以下の3つが挙げられます。

  • ITコンサルタントはやめとけと言われるのはなぜですか?

  • SEの仕事は簡単ですか?

  • SEからITコンサルタントに転身するメリットはありますか?

  • ITコンサルタントとSEの主な活躍業界や企業はどこですか?

それぞれ確認していきましょう。

ITコンサルタントはやめとけと言われるのはなぜですか?

どの職業にも人によって向き不向きがあります。ITコンサルタントについても他の職業と同じく、否定的な見方をする人もいます。


その理由として、残業が多く、長時間労働になりがちな点が挙げられます。クライアントへの柔軟な対応が求められたり、納期厳守のプロジェクトが大半であったりするため残業は避けられません。


クライアントとの打ち合わせが夕方設定されれば、退社時間が定時を過ぎることもあります。残業が難しい人や定時退勤厳守を希望している人にとっては働き方が合わないと感じるでしょう。


また、ITコンサルタントはプレッシャーが大きいため、責任感が強すぎる人、メンタルが弱い人は疲弊しがちです。ITコンサルタントはクライアント企業の経営に携わるため、自身の発言1つがその企業の将来に大きく影響することもあります。ITコンサルタントの判断により、クライアント企業の経営が行き詰るというケースも少なからず存在します。

SEの仕事は簡単ですか?

SEはITコンサルタントよりも下流工程を担当し、給与が安い傾向にあるため、仕事内容が簡単だと先入観を抱く人もいるかもしれません。しかし、SEもITのプロフェッショナルであることに変わりはありません。システム開発における仕様の策定やシステムの設計は誰もができる仕事ではありません。


SEは求人において求められる経験年数が少なく、未経験者の受け入れを行う企業もありますが、仕事内容が簡単というわけではありません。

SEからITコンサルタントに転身するメリットはありますか?

SEからITコンサルタントに転身することで携われる業務の幅が広がったり、クライアントとのコミュニケーションが増えたり、より充実した働き方を実現できることもあります。また、ITコンサルタントは事業戦略や業務改善のための助言や提案を行う機会も少なくなく、クライアント企業の経営面にコミットできるところも魅力です。


ITコンサルタントは給与がIT人材の中でも高い傾向にあるため、生活水準を上げることもできるでしょう。

ITコンサルタントとSEの主な活躍業界や企業はどこですか?

ITコンサルタントとSEは主にIT業界に在籍していますが、必ずしもその限りではありません。


例えば、ITコンサルタントの中にはIT企業だけではなく、コンサルティング業界に在籍している人もいます。また、各種分野の専門家が集まる機関であるシンクタンクに在籍している人もいます。その他にも、フリーランスとしてさまざまな企業の経営者と一緒に仕事をしている人もいます。


SEについては、システムの開発・運用を全般的に請け負っているシステム開発会社に在籍している人が多いです。また、フリーランスとして、システム開発会社やIT企業から仕事を請け負っている人もいます。その他にも、家電メーカーや食品メーカーなどの各種メーカーに在籍し、自社のシステムの設計や運用を担っている人もいます。

8.まとめ

ITコンサルタントはSEよりも上流工程に携わりますが、どちらか一方の職業の方が優れているわけではありません。ITコンサルタントもSEもどちらも社会において不可欠な職業であり、IT業界において欠かせない存在です。


ITコンサルタントはSEを含めたIT業界での経験が長い人が多いです。例えば、20代はSEとして現場でさまざまな経験を積み、30代頃にITコンサルタントに転身する人もいます。IT未経験者でITコンサルタントに興味がある場合、最初はSEからスタートするのも一つの手です。


ITコンサルタントとSEの仕事内容は異なるものの、どちらの職業においてもやりがいがありますので、自分の経験やスキル、興味関心などを考慮して検討してみてください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.ITコンサルタントとSEの違い

ITコンサルタントとは

SEとは

2.ITコンサルタントとSEの仕事内容

ITコンサルタントの仕事内容

SEの仕事内容

3.ITコンサルタントとSEにおける求められるスキル・経験の違い

ITコンサルタントに求められるスキル・経験

SEに求められるスキル・経験

4.ITコンサルタントとSEの年収事情

ITコンサルタントの年収

SEの年収

5.ITコンサルタントとSEに向いている人の特徴

ITコンサルタントに向いている人の特徴

SEに向いている人の特徴

6.SEからITコンサルタントへの転身は可能

7.ITコンサルタントとSEに関するよくある質問

ITコンサルタントはやめとけと言われるのはなぜですか?

SEの仕事は簡単ですか?

SEからITコンサルタントに転身するメリットはありますか?

ITコンサルタントとSEの主な活躍業界や企業はどこですか?

8.まとめ