近年、注目を集めているIT関連の職業の1つとして、インフラエンジニアが挙げられます。インフラエンジニアはITインフラの設計から構築、運用、保守を手掛ける技術者です。また、近年は多くの企業においてセキュリティ対策の重要性が増しているため、セキュリティレベルや運用状況の管理が業務に含まれることも増えています。ITに関してさまざまな対応を行っているインフラエンジニアは、IT社会において不可欠な存在といえます。
こうした流れの中で、インフラエンジニアを目指す人やインフラエンジニアとしてキャリアアップしたいと考える人も増えています。彼らが気になることの1つとして、インフラエンジニアの単価が挙げられると思います。インフラエンジニアの単価はIT業界において比較的高く設定されており、平均年収以上の収入を得られる見込みも十分あります。さらに、キャリアアップの道は多方面に用意されているため、興味・関心やスキルに合わせてキャリアを形成することもできます。
本記事では、インフラエンジニアの概要を押さえた上で、インフラエンジニアについて単価相場、平均年収、単価を上げる方法、高単価案件を獲得する方法などを見ていきましょう。
目次
1.インフラエンジニアとは
インフラエンジニアとはITエンジニアの職種の1つで、ITインフラの設計構築・運用保守を主に担います。
インフラエンジニアは以下のような主要な役割に分かれています。それぞれの特徴を表にまとめたので確認してみてください。
ネットワークエンジニア | ネットワークを設計・構築し、運用を行う。DNS、ファイアウォールなどの知識が必要。 |
サーバーエンジニア | サーバーを設計・構築し、運用を行う。 |
データベースエンジニア | データベースを設計・構築し、運用を行う。MySQLやOracleに関する知識が必要。 |
それぞれ求められるスキルが異なるため、自身がどれに関心があるのか考えてみてください。
2.インフラエンジニアの単価相場はどのくらい?
フリーランスボード上でのフリーランスインフラエンジニアの単価相場は74.3万円です。ただし経験年数や従事する案件によっても異なります。
フリーランスでは経験年数が1~3年ほどのインフラエンジニアの場合、50〜70万円前後が相場になります。一方、5年以上の実務経験があれば100万円近いもしくは100万円以上の案件を獲得できる見込みもあります。
3.インフラエンジニアの平均年収
厚生労働省の「職業提供サイト(日本版O-NE)」によると、令和5年におけるインフラエンジニアの平均年収は684.9万円です。
ただし、雇用形態や勤続年数などによって異なるため、参考として念頭に置いておきましょう。勤続年数が長く、経験が豊富な人であれば年収1,000万円を目指すことも現実的です。
例えば、Indeed上で「正社員 インフラエンジニア 1,000万円」と検索した場合、7,000件以上の求人が表示されます。
さらに、フリーランス領域に関してフリーランスボード上でインフラエンジニアを検索すると月額単価90万円以上の求人は2,000件以上存在します。
上記正社員やフリーランスどちらの業務形態でも、1,000万円以上の年収を獲得することは可能です。
なお、インフラエンジニアの年収は日本人の平均年収である458万円よりも全体的に高い傾向にあるため、経済的に満足できると思われます。
4.インフラエンジニアが単価を上げるために行うべきことは?
インフラエンジニアが単価を上げる方法として、主に以下の3つが挙げられます。
資格取得
スクールで学ぶ
独立する
それぞれ確認していきましょう。
資格取得
業務に関連する資格を保有しているインフラエンジニアは顧客からの信頼度が上がるため、大手企業から内定を得やすかったり、高単価の案件を獲得できたりする可能性が高まります。
インフラエンジニアとして働く上で、資格は必ずしも必要ではないものの、自身に箔を付けて、さまざまな案件に挑戦したい方には資格取得がおすすめです。
インフラエンジニアにおすすめの資格として以下のものがあります。
ITパスポート
Cisco(シスコ)技術者認定
Microsoft認定資格(Azure)
AWS認定資格
Linux技術者認定試験
ネットワークスペシャリスト試験
システム監査技術者試験
他業種からインフラエンジニアへの転身を検討している方は、まずはITパスポートの取得を目指すのがおすすめです。IT関係の国家資格の中では難易度が低く、さまざまな分野から広く出題されます。
また、現役のインフラエンジニアが給与を上げるにはネットワークスペシャリストの資格取得がおすすめです。ネットワークにも精通しているインフラエンジニアは各方面から需要があります。
また、システム監査技術者試験を取得しておくと、リスクを事前に把握し、早急に対処できるので業務において役立ちます。
スクールで学ぶ
インフラエンジニアとしてスキルを高めたいものの、どのようなことをすればよいのか分からない人にはスクールもおすすめです。スクールに通うことで、インフラエンジニアとしてのスキルを適切なカリキュラムに従い、プロから学べます。
また、スクールには同じような志しを抱く仲間が集まっているため、周囲から刺激を受けられることもメリットになります。さらに、悩みや不明点があれば講師に直接質問できるので、ひとりで模索しながら学ぶよりも効率が高いです。
インフラエンジニアとしての市場価値を高めたい方にはCCNAを受講期間中に取得できるスクール、AWSを体系的に学べるスクールがおすすめです。
独立する
インフラエンジニアとして独立すれば、コア業務だけでなく、案件獲得のための営業や経理処理などさまざまな業務に従事することになります。実務を通してインフラエンジニアに求められるスキルを高められるだけでなく、さまざまな業務で求められるスキルも身に付けることが可能です。
また、独立すれば自分が挑戦したい案件に応募できます。自分のキャリアを形成する上で重要だと思う業務を優先的にこなすこともできます。
5.高単価案件を獲得するコツ
インフラエンジニアが高単価案件を獲得するコツとして、主に以下の8つが挙げられます。
インフラエンジニアとしての実務経験を積む
クラウドの設計・構築スキルを取得する
オンプレミスの設計・構築スキルを取得する
セキュリティに関する知識・運用スキルを取得する
ネットワークの設計・構築スキルを取得する
営業スキルを高める
単価の高い案件に応募する、転職する
副業する
それぞれ確認していきましょう。
インフラエンジニアとしての実務経験を積む
インフラエンジニアの案件の中でも単価が高い案件は、実務経験〇年以上という条件が設けられているものも多くあります。5年以上の実務経験があれば経験年数を理由に応募できない案件は少ないはずです。
特に、フリーランスのインフラエンジニアとして業務に従事する場合は、経験年数が年収に直結します。
案件の中には初心者歓迎と表記されている案件や2〜3年ほどの実務経験で応募できる案件も少なくないものの、高単価の案件に絞るとそれなりの経験年数が求められるのが現実です。
はじめのうちは案件をなかなか獲得できなかったり、単価が低い案件ばかりにしか採用されなかったりするかもしれません。業務を気落ちせずに継続することが年収アップのコツです。
クラウドの設計・構築スキルを取得する
インフラエンジニアとして高単価の案件を目指すにはオンプレミスのみならず、クラウドに関する知識やスキルを取得しておくことも大切です。
近年においてクラウドサービスを利用している企業は年々増加しており、今後ますます増えると見込まれます。クラウドスキルを持っていれば、より多くの案件に応募するチャンスを得られます。
クラウドの中でもAWSのシェア率は高いため知識やスキルを身につけておくのがおすすめです。Azureの案件などにも参画できる可能性もあるため、可能性を広げるためにもスキルを身に付けておくとよいでしょう。
オンプレミスの設計・構築スキルを取得する
オンプレミスの設計・構築スキルを取得しておくのも、高単価な案件を獲得する上で重要です。前にも説明したように、現在はオンプレミスからクラウドへ移行する企業も増えているため、オンプレミスとクラウドのいずれにおいても知識やスキルが求められる傾向にあります。
オンプレミスにもクラウドにも対応できれば重宝されるため、高単価案件を獲得しやすいでしょう。オンプレミスの基本としてはLinux、Windows、UnixなどOSに関する運用スキルが挙げられます。
特に、Linuxはクラウドの基盤になるので、スキルを習得しておくのがおすすめです。Linux技術者認定資格を保有していれば、自身のスキルを客観的に証明できます。
セキュリティに関する知識・運用スキルを取得する
近年、多くの企業がセキュリティ対策にこれまで以上に注意を払っています。こうした背景からも、セキュリティについての知識・スキルを取得しておくことをおすすめします。
最近のサイバー攻撃はサーバーを起点に行われることが多く、セキュリティが脆弱だと情報漏洩につながることもあります。企業が情報漏洩を起こすと自社に大きな損害が生じるだけでなく、取引先や顧客にも多大な迷惑がかかります。
インフラエンジニアにとってセキュリティに関する知識・運用スキルは設計・構築を行うにあたっても求められます。
また、セキュリティ対策ではファイアウォールなどのセキュリティ対策ソフトを使用する機会が多いので、操作方法を習得しておくようにしましょう。
ネットワークの設計・構築スキルを取得する
ネットワークの設計・構築スキルがあるとサーバーの構築のみならず、ネットワーク環境に関連する業務にも従事できます。
ネットワーク環境の案件ではクライアントのコンピューターをルーターやスイッチなどで接続し、ネットワーク環境の構築・運用の最適化を行います。
ネットワークに関する業務に興味があれば、Cisco(シスコ)のCCNP Enterpriseを取得しておくのがおすすめです。この資格があれば、ネットワークに精通していることを客観的に証明できます。
CCNP Enterpriseを取得するにはコア試験とコンセントレーション試験に合格しなければなりません。
営業スキルを高める
インフラエンジニアはエンジニアとしてのスキルや知識のみが求められるという先入観を抱きがちですが、フリーになれば自身で仕事を獲得しなければならないので営業力が必須です。
自身を案件にアクセプトすることでどのようなメリットがあるのか簡潔に話したり、これまでの実績を分かりやすく伝えたりする力が必要です。
営業スキルがないと、インフラエンジニアとして十分なスキルがあったとしても案件獲得にはつながらないでしょう。特に、高単価の案件には多くの応募者が集まるので、クライアントから選んでもらえるように売り込まなければなりません。
エージェント経由で単価の高い案件に応募する
自分で単価の高い案件を探すこともできますが、よい案件に出会えないなど何かと問題もあります。こうした問題を解決するには、エージェントの活用がおすすめです。
エージェントは非公開案件を取り扱っていたり、スキルが高い求職者には高単価案件を優先的に紹介したりします。
また、紹介してもらえる案件によって自分の現在の立ち位置も把握できるはずです。高単価の案件を紹介してもらえなかったとしても経験を積むことにより、将来的には高単価の案件を紹介してもらえるようになるでしょう。
副業する
会社の規定にもよりますが、会社が認めている場合は副業もおすすめです。副業をすることで、会社員としての給与にプラスして収入を得られます。
また、会社員としての安定や福利厚生も継続できるため、収入を増やす手段を増やしかつ会社員としてのメリットを失いたくない人におすすめできます。
近年はクラウドソーシングサービスが充実しているので、ネット環境があれば自宅で案件を得ることも可能です。
ただし、会社員と副業の両立は負担に感じることも多いので注意が必要です。帰宅後や休日に副業に従事することになるので、休む時間を十分に取れなくなる可能性もあります。
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6.インフラエンジニアの将来性
インフラエンジニアの将来性はあると考えられます。
現代社会においてITインフラはもはや欠かせないため、インフラエンジニアの仕事がなくなることはないでしょう。
さらに、AI分野が急速に発展することで、インフラエンジニアの将来性はさらに高まると考えられます。AIシステムは膨大なデータ処理能力を必要とし、そのための高度なITインフラが必要です。
官公庁や企業はIT、デジタル化を推進しておりシステムを導入する領域やDX化する企業が増えるほどインフラエンジニアが必要になります。
また、AIを活用する企業が増加する中で、AIに対応したネットワークやサーバー、データベースの設計・構築が求められるため、インフラエンジニアの役割はますます重要になります。
インフラエンジニアとしての価値を高めたい人はネットワークやデータベース、仮想技術、クラウドなどさまざまなスキルを高めておくことで、フリーになった際に仕事が見つからないといった状況を回避できるはずです。
特にAIに関連するスキルを持つエンジニアは、今後高い需要とともに高単価の案件を獲得しやすくなるでしょう。
7.まとめ
インフラエンジニアはIT社会において欠かせない存在です。また、この職業に従事するにはさまざまなスキルや知識が求められるため、他のIT系の職種と比べて単価は高く設定されている傾向にあります。
インフラエンジニアとしての収入だけで、安定的な暮らしを営める可能性は高いと思われます。また、インフラエンジニアの中には自宅で働いている人もいるので、在宅ワークを希望している方にもおすすめです。
インフラエンジニアとしてさらに活躍した人は幅広いスキルを取得したり、インフラエンジニアの経験を活かしてキャリアアップするのもおすすめです。そうすることで、さらに年収を上げることができます。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。