さまざまな媒体で使用するイラストを制作する「イラストレーター」は、2024年現在も需要の高い仕事の1つです。広告・ゲーム・バナー・パンフレット・動画サイトのサムネイルなど、あらゆるシーンでイラストが必要とされています。企業はもちろん個人単位での依頼も多いため、イラストレーターは今後も活躍できる職業となるでしょう。
しかし、いきなりイラストレーターとして独立するには勇気がいるでしょう。そのためまずは「副業」で仕事を体験し、少しずつ案件の数を増やしていく方法が考えられます。本記事では、イラストレーターの副業は稼げるのか、趣味のイラストでも仕事にできるのかといった疑問などについて解説します。これから副業でイラストレーターを始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.イラストレーターは副業で稼げる?
イラストレーターの仕事は、先の解説通り多くの分野で需要があります。イラストの制作スキルを持つ人は決して多くないため、本格的な作品を納品できる人材は、副業でも稼げる可能性が高いです。
そのため「イラストを描くのが得意・好き」「クリエイティブな仕事に挑戦してみたい」といった方は、イラストレーターの仕事を試してみるのがおすすめです。
一方で、イラストレーターの仕事は誰でも簡単に稼げるわけではありません。
いくつかのポイントを踏まえたうえで、計画的に将来設計を立てていく必要があるでしょう。
稼げるイラストレーターの特徴とは?
イラストレーターと一言で言っても、スキルや作風などによって稼げるかどうかは大きく変わります。副業でイラストレーターの仕事をする場合も同様で、安定した収入を得るのなら「稼げるイラストレーター」を目指す必要があるでしょう。
例えば稼げるイラストレーターには、以下の特徴があります。
他者にはない独自性を持っている
クライアントとスムーズにコミュニケーションが取れる
ニーズに合わせて柔軟な対応ができる
継続してスキルアップができる
約束や納期をきちんと守れる など
上記の特徴を持つ人は、副業イラストレーターとして稼げる可能性が高いです。独自のイラストを描くことができ、柔軟かつ丁寧な対応が取れる人ほど、クライアントから高い評価を得て収入を上げられるでしょう。
まずは自分自身を振り返り、上記の特徴にマッチするか比較してみるのがおすすめです。
仮に稼げるイラストレーターの特徴に当てはまらなくても、これから「稼げるイラストレーター」を目指すことは可能なので、学ぶべきことや身につける習慣についてこの機会に考えてみましょう。
趣味のイラストでも副業になる?
昨今はパソコン・タブレット・スマホなどのデジタルデバイスがあれば、簡単に本格的なイラストを作成できる時代となっています。そのため趣味でイラストを描いている人も多く、SNSを見るとたくさんのユーザーが絵を描くことを楽しんでいます。
そんな趣味で行っているイラスト制作も、方法次第で副業に変えていくことが可能です。案件を請け負う窓口を設置し、自分のイラストをSNSなどで公開していくことで、その絵に魅力を感じた人から仕事の話を得られる可能性が出てきます。
すでに趣味でイラストを描いている人は、まず副業を始めるための体制を整えて、仕事に変えていくのがおすすめです。
未経験からでも副業は始められる?
イラストレーターの仕事が未経験でも、副業として事業を始めることは可能です。イラストレーターの仕事において重要視されるのは成果物であるイラストなので、きちんとクライアントの要望に合わせた対応ができれば、未経験でも問題なく報酬を得られます。
誰もが最初は未経験から始めるものなので、気負いせずにイラストレーターの仕事に挑戦してみると良いでしょう。
2.副業でのイラストレーターの始め方
副業でイラストレーターの仕事を始める場合、いくつか確認しておくことがあります。また、仕事開始に向けて決めておくべきこともあるので、事前準備が重要となるでしょう。
以下では、副業でのイラストレーターの始め方について解説します。
職場で副業が禁止されていないかチェックする
現在の仕事を続けながらイラストレーターの仕事を始める場合には、まず社内規定で副業が禁止されていないか確認しておきましょう。昨今は働き方改革などの影響によって、副業を行うことを推奨している会社も増えています。
2024年1月に公開されたdodaの「副業の実態調査」によると、実際に副業をしている人の割合は8.4%となっています。「検討中」と回答した人は16.6%であるため、合わせると約1/4の人が副業に興味があると考えられます。
また、副業を認めている会社の割合は、2023年度では27.5%となっています。2022年度には25.3%だったため、少しずつ副業を許容する会社は増えています。
一方で、まだまだ副業を禁止している会社も多いのが実情です。そのためイラストレーターの副業を始める際には、まず就業規則などを確認しておきましょう。
案件の獲得方法を決める
副業でイラストレーターを始めるには、案件を獲得する方法について考える必要があります。イラストレーターの案件を獲得する方法は多数あるため、生活リズムなどに合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
例えば以下の方法で、イラストレーターの案件を獲得できます。
案件紹介サービスを活用する
SNSを経由して案件を受ける
イラストを販売できるサービスを利用する など
イラストレーターを募集している会社とマッチングできる案件紹介サービスを活用することで、企業と取引が可能となります。案件を受けるには高いスキルや実績が求められることもありますが、上手くいけば安定した副業収入を得られる可能性があります。
SNSで自分のイラストを公開し、DM(ダイレクトメール)などを通して案件を受ける方法もあります。案件を持つ相手からの連絡を待つ形になるため、「今はイラストの練習を優先したい」といった場合に有効な手法です。
自分の描いたイラストを、商品として売り出すサービスの利用も考えられます。例えばLINEスタンプやストックイラストなどは、イラストを商品として出品して収入を得ることが可能です。
イラストレーターとして知名度がなくても、商品次第で大きな収入になる可能性を秘めています。
まずは上記の方法を参考にして、自分に合った案件の獲得方法を探してみましょう。
それぞれの方法を併用し、複数のチャネルから収入を得ることも考えられます。
イラストレーターの仕事内容を確認する
副業でイラストレーターを始める際、具体的な仕事内容について理解を深めておくことも大切です。イラストレーターの仕事は、イラストを作成するだけではありません。
クライアントとコミュニケーションを取りながら仕事を進め、求められるイラストを制作することが主な役割となるでしょう。
そのためには自分の描きたいイラストを制作するのではなく、クライアントと話し合いを重ねてどのようなイラストが望まれているのかをヒアリングし、積極的な提案を行います。
その後デザインサンプル・ラフを提出し、必要に応じて修正を行います。クライアントからOKが出たら、デザインサンプル・ラフを軸に実際のイラストを描き出します。
案件によっては、色を塗る前の下地の段階でイラストの確認をするケースもあります。イラストの制作が完了したら、納品してクライアントに確認してもらいます。
修正点や要望がある場合には、適宜必要な対応を行いましょう。一般的にイラストの納品には、JPEG・PNG・PSDなどの形式を使います。
クライアントから指定の納品形式がある場合には、その方法に合わせましょう。
納品物を受け取り、報酬を振り込んでもらうことで、イラストレーターとしての仕事は終了です。
案件次第では、継続の話がもらえる可能性もあります。
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3.イラストレーターの副業収入はどれくらい?
イラストレーターの収入は、「フリーランスボード」を参考にするとフリーランスの月額平均単価は61.3万円となっています。求人サイト「求人ボックス」の場合、正社員の平均年収は362万円、アルバイト・パートの平均時給は1,093円、派遣社員の平均時給は1,580円です。
副業の場合には稼働時間が短くなるため、1ヶ月で数万円程度が収入の相場になるでしょう。請け負う案件の数を増やすことで収入はアップしますが、それだけ自分のための時間も減ります。
本業の疲れが取れないときには、無理に副業に時間を割かずに、きちんと休むことも大切です。
4.イラストレーターの副業収入をアップさせるポイント
イラストレーターの副業収入をアップさせるには、いくつかの方法・ポイントがあります。効率良く収入を確保するためにも、実際に副業を始める前に詳細を確認しておくのがおすすめです。
以下では、イラストレーターの副業収入アップのポイントについて解説します。
まずは実績を重ねる
イラストレーターの副業収入を上げるには、まず実績を重ねていくことがポイントです。イラストレーターとして多くの案件をこなしてきた実績があれば、クライアントから信頼されやすくなります。
単価の高い案件にも応募できるようになるため、収入アップを目指すのならイラストレーターとして働いた実績の確保をまずは優先しましょう。実績はSNSなどに公開し、アピールの材料として活用するのもコツです。
日々スキルアップを心がける
イラストレーターの副業収入には、自身のスキルが大きく影響します。単純に上手なイラストを描くだけでなく、クライアントの要望に合わせて絵のスタイルやイメージを柔軟に変えていけるスキルを身につけることで、多くの案件に挑戦できるようになるでしょう。
そのためには毎日イラストを描くことを習慣化し、スキルアップを心がけるのが重要です。イラストを描くことが当たり前になれば、副業で役立つスキルの習得につながりやすくなります。
クライアントと積極的に単価交渉を行う
ときにはクライアントと単価について交渉し、報酬をアップさせるのも1つの方法です。継続して同じクライアントから案件を受けている場合、仕事の内容が高く評価されている可能性があります。
その場合には単価交渉を行うことで、同じ仕事内容でも従来より多くの報酬を得られるケースに期待できます。
一方で、初めて案件を受けるクライアントに対して、いきなり単価交渉を行うのは避けましょう。まずは自分の実力を認めてもらってから、スキルに見合った単価に見直してもらうのが基本的な流れとなります。
イラストレーターの仕事を本業にすることも考える
副業としてイラストレーターの仕事が安定してきたら、独立して本業にすることも考えられます。継続して仕事を受注できる環境があるのに、案件に対して割ける時間が足りないと感じている場合には、イラストレーターの仕事を軸に働いていくのも1つの方法です。
本業にすることで仕事量を増やせるので、状況次第では会社員時代よりも年収を上げられる可能性もあるでしょう。
イラストレーターの案件を多数紹介してくれるサービスを活用すれば、安定した収入を確保することも難しくありません。
イラストレーターの仕事を本格的に職業としたい場合には、独立のタイミングについて考えておくのもおすすめです。
5.副業でイラストレーターをする際の注意点
副業でイラストレーター活動をする場合、いくつか注意すべき点もあります。トラブルを未然に防ぎ、高収入を得られる環境を作るためにも、注意点についてもしっかりと確認しておきましょう。
本業に支障が出ないスケジュールを組む
副業でイラストレーターの仕事をする場合、本業とのバランスが重要となります。イラストレーターの仕事に時間をかけすぎて、休日に疲れを取りきれないと、本業でのパフォーマンスが低下する可能性があるでしょう。
会社での評価を下げる原因にもなり得るため、本業に支障が出ないペースで副業のスケジュールを組むのがコツです。特に睡眠時間を削って副業をしてしまうと、体を壊してしまうリスクがあります。
本業も副業も休まなければならなくなる可能性があるので、無理をしないことを第一に考えると良いでしょう。
仕事に対する責任を持つ
副業を始める際には、責任感をしっかりと持つことも大切です。副業・本業という言葉の印象から、「副業は重要でない作業が多い」「副業での責任は重くない」といった勘違いをしている人もいます。
しかし、案件を出しているクライアント側からすれば、重要な仕事であることに変わりはありません。そのため副業だからと甘く見ずに、きちんと責任感を持って仕事に臨む姿勢が求められます。
確定申告などの知識を身につけておく
副業で収入を得ることになった場合、個人で確定申告が必要になります。具体的には給与を受け取っている給与所得者であり、かつ副業で20万円を超える所得を得た場合には、確定申告をしなければなりません。
確定申告の作業はすべて自分で行う必要があるため、早めに書類の書き方や提出方法を確認しておきましょう。
副業での確定申告の際に必要となる書類は、「確定申告書」「本業と副業の収入を証明する書類(源泉徴収票・支払調書など)」「マイナンバーカード(もしくは通知カード)」となります。
その他、経費として計上できる出費がある場合には、領収書なども必要になります。
確定申告で分からないことが多い場合には、管轄の税務署を訪問してやり方を指導してもらうのがおすすめです。
確定申告の提出時期になると税務署が混み合うため、早めに訪れて準備をすると良いでしょう。
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6.イラストレーターの将来性
イラストレーターの副業を始めるなら、仕事の将来性について考えておくのも重要です。将来もイラストレーターの仕事が通用するのか、どのようなスキルが必要になるのか知っておくことで、未来を見据えての準備が可能となるでしょう。
以下では、イラストレーターという仕事の将来性について解説します。
イラストレーターは将来的にも需要が見込める仕事
イラストレーターの仕事は、将来需要が見込める仕事です。イラストが必要とされるコンテンツの数は多く、メディアでも欠かせない情報の1つとなっています。
そのため各種コンテンツやメディアが展開を続ける限り、イラストレーターの仕事も増えると予想されるでしょう。
また、昨今は個人がイラストレーターに仕事を依頼するケースもあります。
SNSの他、「ココナラ」「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサービスが充実しているため、会社ではなく個人からの依頼を中心に副業を行っていくことも可能です。
「イラストを描ける」という特殊なスキルは高く評価されているので、イラストレーターの仕事の将来性にも期待できます。
生成AIによってイラストレーターの仕事が奪われる?
昨今はAI技術の発展によって、さまざまな作業がAI(人工知能)の業務分野に移行しています。イラストを指定された内容に自動で生成するAIも登場し、「イラストレーターが必要なくなるのでは?」と話題になりました。
2022年にはアメリカコロラド州の美術コンテストにて、AIが描いた作品が新人アーティスト部門の「デジタルアート・デジタル加工写真」分野で1位に選ばれ、議論を呼びました。
日本でもAIを使った作品がイラスト投稿サイトに多数掲載された時期があるため、イラストレーターの将来性を疑う人も増えたかもしれません。しかし、2024年時点ではAIイラストの掲載および販売などを禁止・制限しているサイト(pixivなど)も多いです。
2024年9月時点では著作権や知的財産権の問題、クリエイターの権利保護、品質やオリジナリティの懸念、倫理的な問題など解決が必要な問題が多く、規制も整っていないことが掲載や販売を禁止や制限していると考えられます。
さらに、AIイラストが抽出する作品よりも、人間の手で描いたイラストに安心感を覚える人も多数いると考えられるため、今後もイラストレーターの需要は続くと考えられます。
同時に、生成AI分野についての情報を収集し、時代の変化を敏感に感じ取ることも大切です。規制の整備が明確になるなどのきっかけによって、生成AIが制作したイラストの需要が高まる可能性も十分に考えられます。
そういった技術発展などを理由とした需要の変化が起きた場合、イラストレーターは変化に対応し、新しい価値を提供していくことが求められるでしょう。イラストレーターとして長く活動していくのなら、AIについての情報も積極的に収集していくのがポイントです。
7.まとめ
イラストレーターの仕事は、副業として始めることも可能です。空いている時間を利用して副業案件を確保できれば、本業と合わせてトータルの年収を高められるでしょう。
イラスト制作が得意な方は、この機会に副業でイラストレーターの仕事を始める方法をチェックし、実際に行動に移してみるのがおすすめです。
副業の仕事が上手くいけば、イラストレーターを本業にすることも可能です。各種案件紹介サービスではイラストレーターに関する多くの仕事が掲載されているので、ぜひ詳細を確認してみてください。
同時に生成AIの進出による市場の変化なども追いかけて、イラストレーターの将来性について把握しておくのも重要です。イラストレーターという仕事の将来性がどのように変化するのか、その変化に対してどんな対策・対応をしていくべきなのか、あらかじめ考えてみると良いでしょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。