ITにおけるインフラ分野を担当する「インフラエンジニア」は、現代社会で重要な職業となっています。企業のネット環境やシステムを守り、設計・構築などの業務を担えるインフラエンジニアは、今後も欠かせない存在になるでしょう。インフラエンジニアは、企業内のサーバーやネットワークに関する業務を担当するため、出社して直接仕事をすることが基本でした。しかし、昨今は技術・意識の変化などによって、リモートワークで働けるインフラエンジニアの案件も多いです。実際にリモートワークを軸にした働き方を実践している、フリーランスのインフラエンジニアも珍しくなくなっています。
本記事では、「インフラエンジニアはリモートワークで働けるのか?」「未経験からでもリモートワークの仕事は可能なのか?」「インフラエンジニアがリモートワークで働くメリット・注意点とは?」といった点について解説します。現在フリーランスのインフラエンジニアとして働いていて、リモートワークによる働き方に興味があるのなら、ぜひ参考にしてください。
目次
1.インフラエンジニアはリモートワークが可能?
インフラエンジニアの業務内容を考えると、自宅にいながら働くリモートワークは難しいように感じられるでしょう。そこで以下では、そもそもインフラエンジニアがリモートワークという働き方が可能なのか解説します。
リモートワークが可能な案件が増えている
結論から言うと、インフラエンジニアでもリモートワークが可能な案件は増えています。そのためインフラエンジニアでも、在宅での仕事を中心に働くことは可能です。
「フリーランスボード」の「インフラエンジニアのフリーランス案件・求人リモートワーク比率」」を参考にすると、2024年9月時点でフルリモートの案件が28.3%、一部リモートの案件が64.4%、常駐案件が7.3%となっています。
リモート案件が全体の90%以上を占めているため、フリーランスボードを活用することで、リモートワーク可能な案件を中心に自分に合った仕事を見つけられるでしょう。
リモートワークで対応できる業務内容
リモートワークでも対応できるインフラエンジニアの案件には、例えば以下のものがあります。
サーバー・ネットワークに関する運用や監視業務
クラウドシステムを使った社内インフラの構築
社内インフラ環境の管理・改善
ネットワークなどに関するサポートや問い合わせ対応
セキュリティに関する業務
ヘルプデスクに関する業務 など
上記のようなインフラエンジニアの業務に関しては、リモートワークでも対応できるケースが多いです。
フルリモートワークが可能な場合も
インフラエンジニアの仕事では、フルリモートで働けるケースもあります。一部の業務をリモートワークに移行するのではなく、最初から最後まで在宅で仕事ができることも考えられます。
インフラエンジニアは企業のネットワークやサーバーを保守・運用する仕事であるため、すべての業務を在宅で行うのは難しいと考えられてきました。
しかし、昨今は環境の変化や採用する側の意識改革などによって、フルリモートの案件も見つけやすくなっています。
リモートワークで働くインフラエンジニアの年収はどれくらい?
「求人ボックス」の情報を参考にすると、リモートワークで働くインフラエンジニアの年収は平均496万円となっています。(2024年8月時点)派遣社員の平均時給は2,292円、アルバイト・パートの平均時給は1,299円です。
単純に12ヶ月の月収で計算すると、約41万円となります。一方で、「フリーランスボード」でフリーランスのインフラエンジニア向けの案件を見てみると、「リモートOK」の条件を持つ案件の報酬は月額で55〜110万円程度となっています。(2024年9月時点)
フリーランスのインフラエンジニアとして働く場合、高収入を得られる可能性も高いと考えられます。
2.インフラエンジニアがリモートワークで働けるようになった理由
インフラエンジニアがリモートワークで働けるようになった背景には、さまざまな理由があります。
なぜインフラエンジニア向けのリモートワーク案件が増加傾向にあるのか、以下で解説します。
クラウドサービスの普及
クラウドサービスの普及によって、インフラエンジニアもリモートワークで働きやすくなっています。
クラウドサービスの普及と技術レベルの向上によって、従来よりも多くの企業がリモートワークの仕事を任せられる環境を整備できるようになったことが、1つの理由だと考えられます。
例えばAmazonが提供するAWSを導入することで、クラウドシステムを活用したリモートワーク環境を構築可能です。具体的には従来の業務プロセスを自動化することで、インフラエンジニアが手動で行う作業量を減らせます。
結果的にスクリプトやAPIを使い、リモートでのインフラ管理がしやすくなっています。
また、クラウドサービスであれば新たに機器を導入する必要がないため、社内に必要な環境を整備しやすいです。そのためリモートワークOKの案件が、今後も増加する可能性があります。
オンプレミス環境でも、外部アクセスが行えるネットワークやサーバーを構築することで、リモートワークでの対応が可能になります。
例えば外部アクセスを実行できる専用の機器を設定して管理のためのネットワークを構築し、VPNソフトでログインする形を取れば、リモートワークによる業務対応が行えます。
チャットツールなど関連サービス連携の簡易化
昨今はメールではなく、チャットツールなどを使って素早く連絡を取れる環境も整っています。インフラを担当しているエンジニアとの連絡までにタイムラグがあると、安心してリモートワークに移行することは難しいです。
しかし、チャットツールを使えばスムーズに意思疎通が取れるため、ある程度リスクヘッジを考慮したうえでリモートワークが進められます。事前に連絡に関するツールを決めておけば、万が一のトラブル時にも素早く対応できるでしょう。
リモートワークで働く人の増加
リモートワークで働くインフラエンジニアが増えている点も、在宅で働きやすい環境整備につながっていると考えられます。これまでインフラエンジニアは仕事内容を理由に、リモートワークが難しい職種だとされてきました。
しかし、実際にリモートワークで働くインフラエンジニアが増加し実績を残していていることから、多くの企業で「インフラエンジニアでもリモートワークで仕事を任せられる」という認識が広まり始めています。エンジニアが今後もリモートワークの案件を受注して成果を出していくことで、さらに在宅での仕事が増える可能性もあるでしょう。
3.未経験のインフラエンジニアでもリモートワークはできる?
インフラエンジニアの仕事が未経験でも、リモートワークの仕事が可能なのか気になる人も多いでしょう。以下では、未経験からリモートワークのエンジニア業務に就けるか解説します。
未経験の状態でリモートワークは難しい
基本的に未経験のインフラエンジニアがリモートワークの案件を獲得するのは難しいと考えられます。未経験の場合、業務中に発生したトラブル対応、問題に対する最適な解決策の考案はかなり難しいでしょう。
リモートワークの場合、別のインフラエンジニアに対応を任せるのにも時間がかかるため、企業にとってはリスクの高い状況となるでしょう。
そのためインフラエンジニアの仕事が未経験の場合、リモートワークの案件に応募しても採用されない可能性が高いです。
まずはインフラエンジニアとしての経験を積むことがポイント
リモートワークで働きたいのなら、まずはインフラエンジニアとして実績を重ねて、信頼を得ることが重要です。実際にインフラエンジニアとして活躍し、成果を出してきた実績があれば、リモートワークで仕事を任せてもらえる可能性が高まるでしょう。
これはエンジニアの仕事全般に言えます。これからフリーランスエンジニアの仕事を始める人は、まずはあらゆる案件に応募し、実績と経験を重ねて将来に備える方法がおすすめです。
フリーランスエンジニアとしての実績が少なくても、過去の実績やスキルを買われて採用されることは多いです。エンジニア向けの案件を検索できる「フリーランスボード」などを活用し、なるべく多くの仕事を受注して実績を確保することから始めてみましょう。
4.インフラエンジニアがリモートワークで働くメリット
インフラエンジニアがリモートワークで働くことには、さまざまなメリットがあります。在宅ワークでの働き方が自分に合っていると思うのなら、積極的にメリットを活かして活動していくことがおすすめです。
以下では、インフラエンジニアがリモートワークで働く際の主なメリットを紹介します。
会社への移動時間を短縮できる
リモートワークの場合、会社への出社・退社にかかる時間が不要となります。毎日の移動時間を短縮できるため、その分のリソースを別のことに利用できる点は大きなメリットです。
特にフリーランスは案件次第で、それなりに移動時間がかかる企業に常駐しなければならないケースもあります。
案件に参画する企業の所在地を絞り込むことも検討できますが、フリーランスの場合には案件を選ぶ余裕がないこともあるでしょう。
そこで移動時間がないリモートワークの案件を獲得し、時間を節約することが考えられます。節約した時間を使って趣味を充実させたり、インフラエンジニアの勉強をしたりすれば、さらなるメリットにつながるでしょう。
自分で働く時間・働き方を選べる
案件にもよりますが、リモートワークの場合働く時間などをある程度自分で選べる可能性があります。自分が最も集中しやすい時間帯を仕事に当てるなど、効率化を目指して働き方を工夫することも可能です。
生活リズムに合わせて仕事のやり方を変えやすいので、その時期や生活環境に最適な働き方を実現できます。また、クライアントの許可を取れれば、自分で使用する機器や労働環境で働ける可能性もあります。
仕事のやり方にこだわりがある人にとっても、在宅環境を利用できるリモートワークのメリットを実感できるでしょう。
生産性向上につながる
リモートワークでの働きは、仕事の生産性を向上させるきっかけにもなります。自分が働きやすい環境を整備し、適度な休憩を挟んで集中力を維持するように努めれば、出社して働くよりも効率良く仕事ができるでしょう。
生産性が向上すれば、短時間での成果やミスを減らして高い評価を得られたりといったメリットにつながります。フリーランスにとってはクライアントからの評価が次回以降の仕事に大きく影響するため、生産性向上を意識して工夫を凝らしていくのもポイントです。
リモートワークで働く際には、自分にとって最適となる具体的な環境を考えてみましょう。
今後に活かせる実績となる
リモートワークでインフラエンジニアの仕事を担当した実績は、今後の仕事につながる可能性があります。リモートワークでの働き方に慣れていない人材よりも、すでに経験している人材の方が、クライアントは安心して仕事を任せられるでしょう。
そのためリモートワークでの仕事経験を重ねることが、将来仕事の幅を広げるきっかけになります。
5.インフラエンジニアがリモートワークで働く場合の注意点
インフラエンジニアはリモートワークで働くことも可能ですが、その際にはいくつか注意すべき点があります。以下では、リモートワークで働く場合、特に注意すべきポイントについて解説します。
リモートワーク可能な案件は決して多くない
リモートワークで働けるケースは増えていますが、常駐案件と比較するとその数はまだ少ないのが現状です。そのためリモートワークの仕事だけに絞り込んで案件を探していると、安定した収入につながらないケースも懸念されます。
ときにはリモートワーク以外(常駐)の仕事視野に入れ、収入を途切れさせないのも1つのポイントです。
コミュニケーション不足に注意が必要
リモートワークで働く場合、常駐で仕事をするときと比較して周囲とのコミュニケーションが不足しやすいです。他者との交流が少なくなると、いざというときに頼れる相手がいなくなり、仕事のリスクを高める可能性もあります。
そのためチャットツールなどを積極的に活用して、リモートワークでも普段から社内で働く方やクライアント、担当者と密にコミュニケーションを取るように心がけるのがコツです。
働き方次第では長時間労働になることも
リモートワークは基本的に自分の裁量で仕事を行うため、働き方次第では長時間労働になるケースもあります。インフラエンジニアの仕事と並行して、別の仕事を行う場合、休息の時間が短くなって心身に悪影響が出る可能性も懸念されます。
ワークライフバランスを重視して、働きすぎない労働スタイルを確立するのも大切です。また、別案件と並行して仕事をする場合には、情報漏洩を発生させないように十分に注意する必要もあります。
6.リモートワークの案件を獲得する方法
リモートワークで働けるインフラエンジニアの案件を獲得する方法には、いくつかのパターンがあります。どのような方法で案件を探せるのか確認し、自分に合った手段を事前に見つけておくのもおすすめです。
インフラエンジニアの案件を保有しているサービスを活用する
インフラエンジニアの案件を多数確保している専門のサービスを活用することが、リモートワークで働くための基本です。フリーランス向けの案件を確保している専用サービスや、クラウドソーシングを活用することで、求める条件にマッチする仕事に出会いやすくなります。
各種サービスで仕事を得た実績もアピールポイントになるため、今後の仕事獲得に貢献してくれるでしょう。
SNSを使って営業する
X(旧Twitter)やFacebookなどSNSを使った営業活動も、インフラエンジニアの案件を獲得する手段の1つです。SNSで自分の実績を公開し、リモートワークの案件に従事した経験がある、もしくは興味があることを伝えることで、企業側からアプローチされる可能性を高められます。
SNSを営業活動に使う際には、仕事の情報や関係する内容だけを発信することがポイントです。日常的なつぶやきを続けていると、仕事用のアカウントとして認知されず、直接仕事をもらいづらくなる可能性があります。
採用されるだけのスキルを学んでおく
インフラエンジニアがリモートワークの際に必要とされるスキルを事前に学び、即戦力として活躍できる経験をつけておくことが重要です。例えばクラウドシステムを自由に活用できるスキル、セキュリティに関する知識などが、リモートワークの業務では重要視されるでしょう。
もちろん、ネットワークやサーバーの構築・保守・運用スキルなど、インフラエンジニアに必須とされる知識・技術のレベルを高めておく必要もあります。
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7.まとめ
在宅での仕事は難しいと考えられてきたインフラエンジニアも、昨今はリモートワークで働ける機会が増えています。インフラエンジニアとして高い知識・技術を持ち、リモートワークで働ける環境があるのなら、この機会に働き方を変えてみるのもおすすめです。
インフラエンジニアとしてリモートワークを実践する際には、さまざまな準備が必要です。どのような業務を担当できるのか、働く際に注意すべきことはあるのかなど、多くの情報を収集しておくことが求められます。
本記事で紹介した情報を参考にして、インフラエンジニアのリモートワークを始める準備をぜひ進めてみてください。すでにフリーランスとして働いている人はもちろん、これからフリーランスのエンジニアになる人も、情報収集は欠かせない作業となるでしょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。