フリーランスは通常クライアントと業務委託契約を締結します。業務委託契約は正社員などが結ぶ雇用契約とは異なるため、最低賃金が適用されるかどうかについて不明な点もあるかもしれません。
一般的に言えば、業務委託契約では基本的に最低賃金は適用されません。しかし特例的にその適用が考慮される場合もあります。フリーランスが業務委託契約で働く場合は、最低賃金に関するトラブルを未然に防ぐためにも重要なポイントを事前に理解しておくことが肝要であるといえます。適切な労働条件で正当な報酬を得るために、契約内容をしっかり確認しましょう。
この記事では業務委託と最低賃金との関係について詳しく解説します。
目次
1.業務委託と雇用の違い
業務委託契約とは労働者としての雇用契約を結ばずに業務を委託する契約形態です。労働者との雇用関係を持たずに業務の委託を行うことを指します。
業務委託契約を結んでも場合によっては労働者と認定され、労働法が適用されることがあります。具体的なケースは後ほど説明します。
仮に労働法が適用されると、最低賃金以上の給与を支払う義務が発生します。
【労働者かどうかの判断基準】
依頼者の指示を拒否できないこと
仕事場や労働時間に制約があること
報酬が成果ではなく時間に基づいていること など
これらの基準に該当する場合、労働者として認められる可能性があります。
業務委託契約は大きく請負契約と準委任/委任契約の2つに分かれます。
時給・日給型(準委任/委任契約): 労働時間に対して報酬を支払う契約形態であり、最低賃金を下回らない報酬額で契約することが推奨されます。
成果報酬型(請負契約): 労働者の成果に基づいて報酬を支払う契約形態であり最低賃金を下回る報酬でも問題ない場合がありますが、双方が合意する適正な報酬額で契約することが重要です。
労働法とは
業務委託契約には「労働三法」が適用されません。労働三法には以下の法律が含まれます。
労働基準法(労基法):労働者の保護を目的とし、労働条件の最低基準を定めています。
具体的には、労働時間、賃金の支払い、休日などが含まれます。
労働組合法:労働者が使用者と対等な立場で交渉できるように、労働組合の設立と運営を保障する法律です。労使間の対話や交渉を支援します。
労働関係調整法:労働者と企業間の紛争を予防・解決するための手続きを定めた法律で、労働関係の公正な調整を目的としています。
業務委託契約では労働法が適用されない
業務委託契約では労働法が適用されません。この契約形態では、労働関係が主従関係ではなく対等な立場で成立するためです。
労働法が適用されない業務委託契約の特徴として次のような点が挙げられます。
法定労働時間の制限(例: 1日8時間、週40時間)がない。
残業の規制がない。
最低賃金未満の報酬が設定されることがある、または報酬が減額されることがある。
契約解除が突然行われる可能性がある。
失業保険や労働保険の給付が受けられない。
2.最低賃金とは
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」という二つの種類が存在し、これらは最低賃金法によって定められています。
地域別最低賃金は都道府県ごとに異なり、例えば2023年10月時点、東京都では1,113円と設定されています。この最低賃金額は基本的に上昇傾向であり、時代と共に変動します。
2023年10月より最低賃金額が改正されましたが、改正前は1,072円でした。
特定最低賃金は地域別最低賃金よりも高い賃金が特定の業種に対して要求される場合に設定されます。
最低賃金の目的は労働条件を改善し労働者の生活を安定させること、ひいては経済の発展に寄与することです。
もしも最低賃金以下の賃金で労働者を雇用した場合、企業は最低賃金との差額を支払う義務があります。
最高で50万円の罰金が科せられる可能性もあります。
業務委託契約であっても最低賃金法の適用があるケースもあるため、細心の注意が必要です。
3.業務委託契約で最低賃金が適用されるケース
業務委託とされている契約形態であっても実際の業務内容や働き方が「偽装請負」に該当する場合、労働基準法においては労働者として扱われます。そのため最低賃金の適用が問題となることがあります。
偽装請負とは契約の形式上は業務委託とされているが、実質的には雇用契約に近い働き方が行われている状態を指します。具体的なケースについて以下で詳しく解説します。
クライアントから細かな指示を受ける場合
業務委託契約であるにもかかわらず業務の進め方についてクライアントから細かな指示を受ける場合、偽装請負の状態に該当し最低賃金が適用される可能性があります。
業務委託と雇用契約の違いの一つに「使用従属性」の有無があります。これは労働者と企業の間に使用する・されるという関係性が生じるかどうかを指します。
業務委託では使用従属性は認められず企業と契約者は対等な関係にあります。通常、クライアントから業務の進め方に関する細かな指示を受けることはありません。
しかし業務委託契約でありながら細かな指示を受ける場合、使用従属性が認められる可能性があります。結果として、実質的に雇用契約と同等とみなされることがあります。
勤務場所や勤務時間が管理されている場合
勤務場所や勤務時間が管理されている場合には、業務委託契約であるにも関わらず実質的に雇用契約と同様の関係性とみなされる可能性があります。通常、業務委託契約では労働者が自由に働く場所や時間を選択できるはずです。
それが管理されている場合はその自由度が制限されていることを意味するからです。
ただし勤務場所や勤務時間が管理されているからといって、必ず偽装請負に該当するとは限りません。例えば、「時給制で月◯時間働くことで報酬××万円」という形で業務委託契約を結ぶことがあります。
特にエンジニアの場合、業務委託契約であっても客先での常駐業務が必要な場合もあります。
本来の業務に加えて他の業務も任されている場合
本来の業務に加えて他の業務も任されている場合、業務委託契約でありながら実質的に雇用契約に近い関係とみなされる可能性があります。結果として最低賃金の適用を受けるかもしれません。
たとえばWebエンジニアとして特定のプロジェクトに関わる業務委託契約を結んでいたにもかかわらず、事務作業や他の雑務を割り当てられる場合には偽装請負の状態とみなされる場合があります。
正社員であればこのように多岐にわたる仕事を柔軟に行うこともありますが、業務委託契約では契約で定めた業務のみを遂行するのが通常だからです。
業務内容だけでなく業務委託においてもクライアント企業の正社員と同等の扱いを受けていないかどうか、慎重に確認することが重要です。
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4.最低賃金を下回る業務委託契約が違法ではない理由
発注者と業務委託契約を結んで仕事を請け負うフリーランスに対して、最低賃金は保障されているのでしょうか。結論として、業務委託契約に基づく報酬には基本的に最低賃金法は適用されません。
例えば5,000円で請け負った仕事に10時間かかった場合、時給換算で500円になりますがこれは法律違反にはなりません。
業務委託契約において最低賃金の適用が除外される理由
業務委託報酬に最低賃金が適用されない理由は、最低賃金法が「事業に使用される労働者」を保護対象としているためです。最低賃金法でいう「労働者」は労働基準法で定められている労働者の定義と同じです。
通常、フリーランスはこの「労働者」に該当しません。「労働者」は使用者と雇用契約を結び指揮命令を受けて働き、その対価として賃金を得る者を指します。
労働者は基本的に使用者の指揮命令に従う義務があり、雇用契約によって様々な制約を受けます。一方フリーランスは仕事を受けるかどうか、請負った業務をどのように遂行するかを自由に決めることができます。
つまり業務委託契約で仕事をするフリーランスは労働者とは異なり本人に認められる裁量が大きいため、労働基準法の保護対象にはならないということです。
業務委託契約における時給制の可能性
請け負う業務によっては1件あたりの報酬額が決めにくいこともあります。そのような場合、業務委託であっても時給制にすること自体は違法ではなく問題ありません。
発注者との交渉の際に報酬を決定する基準として最低賃金を参考にすることはできますが、それを下回る金額で業務を請け負ったとしても最低賃金法には違反しないことになります。
仮に業務委託契約において時給が記載されている場合、報酬が実際にどのように計算されるかを詳しく確認した方がよいでしょう。通常は「自己申告」「勤怠管理ツールの利用」「勤務開始と終了時の連絡」などの方法で報酬が決まります。
特にリモートワークで業務を行う場合は、事前にこの点を確認しておくことが重要です。
ただしタイムカードを使用して勤怠を管理し始業終業時間や業務時間が指示される場合、それが業務委託契約ではなく実質的な雇用契約に該当する可能性があります。違法性が疑われるケースもあるため注意が必要です。
時給に含まれる業務範囲を詳細に確認することが重要
時給制の業務委託契約では契約時に合意した業務を指定された時間給で業務を提供することで報酬が支払われます。契約時に明示されていない業務について受託者はそれに従事する必要はありません。
そして委託者もその業務に対する報酬を支払う義務が生じません。そのため、時給に含まれる業務範囲を詳細に確認することが重要です。
たとえばシステム開発の時給制契約であれば、資料や帳票の作成などの追加業務が含まれるかやそれらの業務にかかる時間が報酬に含まれるかを確認する必要があるといえます。
また、もし契約した稼働時間を超過した場合その対応方法についても事前に調整しておく必要があります。たとえば次回の稼働を次の月にずらす、もしくはプラスの時間に対して追加の報酬を支払って当月中に業務を続けるか、契約前に合意を得ておくことが重要です。
トラブルに発展する可能性も
業務委託契約では時給制であっても法的に違法ではないものの、トラブルが生じやすい点に留意する必要があります。クライアントのオフィスでの業務遂行時には、正社員と業務委託契約者との境界がしばしば不明瞭になりがちです。
業務委託契約においては、通常勤務時間や全体の労働時間に対する厳密な規制はありません。しかしながら事例によっては、これらがクライアントの管理や指導の対象となることがあります。
このような管理が原因でトラブルが発生する可能性があるため、契約条件を慎重に確認することが重要です。
時給額は相場と比べて妥当か
業務委託では労働法が適用されず、最低賃金の規定がありません。そのため、募集に記載された金額が同業務の相場に合っているかを確認する必要があります。
業務委託の時給相場は、雇用契約による給与とは異なります。業務委託の報酬は一般的にパート・アルバイトの時給額よりも高いです。
これは、業務委託契約では業務の遂行や成果物に対する責任やコストが受託者にかかるためです。
そのため募集の報酬額を確認する際には経費や税金が自己負担であることを考慮し、「手取り」の時給額を計算することが重要です。
提示額ではなく手取りの時給額が相場と比べて妥当かを確認した方が良いでしょう。
業務委託契約で働く場合、労働者として働くよりも高い時給を得やすいという利点があります。このメリットを活かすためにできるだけ時給単価の高い案件を選ぶことをおすすめします。
業務委託契約における報酬の交渉次第
フリーランスは労働者とは異なり、最低賃金法や労働基準法の保護対象外であることをお伝えしました。一方で、業務委託契約であるからこそ報酬の決定はフリーランスと発注者との交渉や契約によるものです。
報酬が低いと感じた場合は発注者と交渉するあるいはその仕事を受けないなど、自身で報酬をコントロールする姿勢が必要といえます。
5.業務委託契約における報酬の規定
フリーランスの報酬について最低賃金が問題となるケースは限られていますが、業務委託の報酬に関しては下請法や独占禁止法の観点から問題となることもあります。
以下のようなケースはこれらの法律に違反する事例です。
支払期日を過ぎても発注者が支払わない
契約範囲外のサービス提供を要求される
発注者側から一方的に非常に低い報酬が設定される
教育コストを理由に不利な条件や低い報酬が提示される
契約後に発注者の都合で報酬が強制的に減額・キャンセルされる
このように下請法や独占禁止法は、発注者が「優越的な地位を利用して個人事業主に不利益を与えること」を禁止しています。
また発注者が取引条件を明確にした書面を交付しないことも、後々のトラブルを引き起こす要因となります。特に報酬やサービスに含まれない業務などの契約内容は重要な取引条件であり、必ず条件を明確にした文書を残すべきといえます。
条件を満たす発注者はフリーランスに発注する際に取引に関する書面の交付が義務付けられています。しかしこの条件に該当しない場合でも発注者と受託者の双方が書面を残すことで後々のトラブルを防ぐことができます。
フリーランスとしてこれらのトラブルに遭遇した場合、「フリーランス・トラブル110番」などに相談することも検討してください。
6.業務委託において最低賃金以上の報酬を確保する方法
事業主と雇用契約を結ぶ労働者には最低賃金や労働時間などに関する法的な保護があります。しかし、業務委託契約を結ぶフリーランスには厳密な報酬の下限はありません。
そのためフリーランスは自ら報酬を工夫して設定する必要があります。
もし低い報酬に悩んでいる場合は、次のポイントを意識して行動することで報酬の改善につながる可能性があります。
報酬の条件を交渉する
報酬は基本的に発注者との交渉で決まります。業務経験が少なかったりフリーランスとしての活動を始めたばかりだと、発注者の提示する金額で仕事を引き受けてしまうことがあるかもしれません。
しかし、自ら報酬を提案する姿勢も大切です。
最初は言い出しにくいかもしれませんが取引を続けることでスキルや実績が積み重なり信頼関係が生まれれば、発注者が「この人だからこそにお願いしたい」と感じることもあるでしょう。
その際には再度報酬の引き上げを交渉することも有効な手段です。
報酬の相場を把握する
事前に報酬の相場を調べておくことは非常に重要です。例えば相場を知らずに非常に低い報酬で仕事を引き受けてしまった場合、その低い報酬で契約を更新し続けることになり値上げの交渉をしても本来の相場価格に達しない可能性があります。
さらに業界内で「安い報酬で頼める」といった評判が広まってしまうと、他の発注者からも同様に低い見積額を提示されることがあります。こうなると適正な価格で仕事を請け負うことが難しくなるため、報酬の相場を把握し低すぎる報酬の仕事を受けないことが重要です。
また相場に比べて著しく低い報酬を提示する発注者は、その業務に対する価値観が受託者と異なる可能性が低くありません。他のフリーランスからも仕事を断られているかもしれません。
トラブルを抱えやすい取引先である可能性もあるため、自分が請け負う仕事の相場を把握しておくことは重要です。
経験やスキルの積み重ね
特にフリーランスとして仕事を始めたばかりで業務経験が浅かったりスキルが低いと感じる場合は、値上げ交渉が難しくなることがあります。また発注者の立場でも、実績やスキルが低いフリーランスからの値上げ交渉には納得しにくいでしょう。
もし相場以上の報酬を求めたいのであれば、自分自身のスキルや実績を積むことや他の受託者にはないスキルなどのアピール材料を増やすことが報酬を上げるために必要な要素のひとつです。
7.業務委託契約でトラブルを避けるためのポイント
業務委託契約においても実質的に労働基準法で定める労働者と同等にみなされる場合、最低賃金の保障が必要とされます。そしてこうした偽装請負は本来違法です。また偽装請負として最低賃金の適用を求める際には、クライアントとの間でトラブルが発生する可能性もあります。
以下は偽装請負などの問題を回避し、業務委託契約においてクライアントと対等な関係で業務を進めるためのポイントを説明します。
委託先の信頼性を確認する方法
業務委託契約において安心して働くためには、クライアントである委託企業の信頼性を確認することが肝要です。具体的には、業務委託契約の実績が豊富かどうかを公式サイトや口コミなどで調べることが重要です。
偽装請負が問題になる原因には、クライアントが「労働者派遣と業務委託の違いを認識していないこと」や「労働関係法の適用を回避しようとすること」があります。
しかし業務委託の実績が豊富なクライアントであれば、業務委託契約に関する知識が充実していると考えられます。また多くの受託者と良好な業務委託契約を結んできた実績があるため、意図的な偽装請負の懸念も少ないでしょう。
契約内容を明確にする重要性
業務委託契約を結ぶ際には、契約内容を明確にすることが非常に重要です。業務委託契約ではトラブルを予防するために契約書を作成するのが一般的です。
契約書には業務の範囲・契約の期間・終了条件・報酬など多岐にわたる項目が明示されます。
契約書に漏れや曖昧な記載箇所があると、実際に業務を開始してからトラブルが発生する可能性があります。契約を交わす前には必ず契約書の内容を十分に確認し、疑問点や気になる点があれば事前にクライアントと調整・交渉を行うことが重要です。
また業務を開始してから契約書の内容と異なる点を感じた場合は、すぐにクライアントに連絡して調整することが求められます。
安全な案件を見つける方法
クライアントとの問題を避けるためには、信頼できる方法で案件を見つけることが重要です。
業務委託案件を探す方法として、以下の選択肢があります。
フリーランスエージェント
人脈
SNS
クラウドソーシングプラットフォーム
直接営業
これらの中で、契約内容に関するトラブルを避けたい場合には特にフリーランスエージェントがおすすめです。フリーランスエージェントは業務委託契約に精通した担当者が、クライアントとの契約内容や条件を詳細に調整してくれるため、安心して取引ができます。
また、業務開始後に問題が生じた場合にも相談できるサポートがあります。
8.業務委託契約と最低賃金に関するよくある質問
この章では業務委託契約と最低賃金に関するよくある質問にお答えします。
報酬が相場よりも著しく低いのは違法?
報酬が相場よりも著しく低くいわゆる「買いたたき」に該当する場合、下請法違反となり違法とされる可能性があります。報酬が極端に低い場合や買いたたきに該当するか心配な場合は、フリーランスエージェントやクラウドソーシングサイトで同様の案件の報酬相場を確認しましょう。
もし買いたたきに該当すると感じた場合は、クライアントや法律専門家に相談してみましょう。
業務委託契約の時給相場はどのくらい?
業務委託契約における時給相場は、職種・経験年数・スキルによって異なります。新しい技術や少数の専門家しか持っていないスキルを要求する案件では、人材の希少性が高くそれに伴い時給相場も高くなる傾向があります。
また案件の難易度によっても時給相場は異なるため、同様の案件の報酬などを参考にして相場を把握することが重要です。
業務委託契約でフリーランスの法的保護は?
先述した通り業務委託契約においてフリーランスを保護する法律として、下請法が存在します。
下請法は労働基準法とは異なり最低賃金についての規定はありませんが、クライアントである委託者に対して以下の義務を課しています。
発注時に書面を直ちに提供すること。
成果物の納品後、60日以内に支払いを行うこと。
5条書類を作成し、下請取引に関する情報を2年間保存すること。
報酬の支払いが遅れた場合には、遅延利息(年率14.6%)を支払うこと。
さらに下請法では納品物の受領拒否・返品・報酬の一方的な減額などが禁止されており、これによって業務委託契約におけるフリーランスの様々なトラブルや不利益から守られる仕組みとなっています。
業務委託契約で勤務場所や時間の指定の違法性の基準は?
業務委託契約においては勤務場所や時間の指定が使用従属性を認められ違反となることが一般的です。
ただし業務の性質や安全確保の必要性などの特別な事情がある場合、勤務場所や時間の指定が必要とされることがあります。例えば演奏の場合には音楽ホールなど特定の場所での演奏が業務の本質であり、そうした指定がなければ業務が遂行できないことがあります。
また委託者と受託者が合意して勤務場所や時間について特定の指定がある場合も、違法ではありません。
このように勤務時間や場所に指定があるからと言って、必ずしも違法というわけではない場合があります。
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9.まとめ
業務委託契約における最低賃金の適用は、従業員とは異なる点があります。
業務委託契約では委託先は委託業務の成果を得るための対価を支払う形態であり、従業員としての最低賃金の適用は通常されません。しかし業務委託契約においても、契約内容や実際の労働条件によっては最低賃金法の適用が考慮される場合があります。
これには業務の性質や委託先の管理・指導の程度・労働者としての実質的な地位などが影響を与えます。
業務委託契約においても最低賃金法の遵守とその解釈については慎重に考慮する必要があります。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。