エンジニアは海外から流入された技術を仕事で活用することも多く、普段から外国と密接につながっている職業の1つであると言えます。そのため外資系の企業で働くエンジニアも多く、キャリアプランの1つとして考えられます。しかし、外資系エンジニアにどのような特徴があるのか、どんなスキルが必要なのか分からないと、効率の良い転職活動は難しくなるでしょう。
本記事では、外資系エンジニアの詳細と転職のための方法、仕事におけるメリット・デメリットなどを解説します。
目次
1.外資系エンジニアとは?
外資系エンジニアを目指すのなら、職業の特徴や定義を正確に把握することが最初のポイントです。以下では、外資系エンジニアの基本について解説します。
外資系の企業で働くエンジニアのこと
外資系エンジニアとは、その名の通り、外資系の企業で働くエンジニア全般のことを指します。
そもそも「外資系企業」とは、「外国の企業が日本に設立した子会社」「外国の企業と日系の企業の共同出資で設立した企業」「外国の企業が日系企業を買収することで生まれた企業」などが当てはまります。
いずれにしても外国企業と深いつながりを持つ企業のことを、一般的に外資系企業と呼びます。
国内の企業とは違い、会社の株式は外国人や海外法人が握っています。そのため日本とは異なる文化が積極的に導入され、海外独特の環境が構築されやすいです。
外資系企業の特徴
外資系企業は日本企業とは、さまざまな違いが見られます。例えば年功序列で昇格などの評価が決まる日本の企業に対して、外資系企業は実力主義が基本です。
そのため若いエンジニアでも会社に貢献して成果を出せれば、早い段階から年収アップなどの結果を残せる可能性があります。
また、外資系企業は個人主義に傾倒しているケースも多いです。協調性が重要視され、常に連携を求められる日本の働き方とは異なり、個々の役割を明確にしたうえで、それぞれに責任のある仕事を任せることが一般的です。
その他、経営方針や組織編成など重要な内容が、スピーディに変更される点も外資系企業の特徴です。意思決定の速度が早いため、市場や顧客ニーズの変化に対応しやすいと考えられます。
このような変化を考慮したうえで、外資系エンジニアとして働くイメージを持つことが重要です。
外資系IT企業の主な種類
外資系のIT企業には、いくつかの種類に分けられます。例えば、以下の種類が外資系企業として国内で活躍しています。
外資メーカー | ソフトウェアやハードウェアを日本向けに改良し、販売する事業。 例:Apple、Microsoft、Dell Technologies など |
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外資開発ベンダー | 海外で生まれた技術や製品を、日本向けにカスタマイズして販売する事業。 例:Oracle、SAP、Salesforce など |
外資Webサービス | アプリ・検索エンジン・その他サービスなどを提供する事業。 例:Google、Amazon Web Services (AWS)、Meta(旧Facebook) など |
外資IT系 コンサルティングファーム | ITテクノロジーを使って会社の問題解決などを目指す事業。 例:Accenture、Deloitte、Capgemini など |
2.外資系エンジニアが任せられる職種
外資系エンジニアとして働く場合、さまざまな業務を任される可能性があります。具体的にどのような職種が募集されているのか、以下で解説します。
ITエンジニア
ITエンジニアは、多くの場合さまざまなIT関連業務に対応できる人材を指します。ソフトウェアやハードウェアの開発業務、クライアントのニーズに合わせたシステム開発業務、システムの運用・保守など、あらゆる仕事を担う可能性があります。
外資系企業で働く際には、基本的に自社製品の開発・運用・保守を行うのがITエンジニアの役割です。
セキュリティエンジニア、システムエンジニア、ネットワークエンジニアなどの職種が、ITエンジニアに該当します。
Webエンジニア
Webエンジニアは、主にWeb関連の業務を担当する職種です。Webアプリケーションの開発やWebサイトの構築、スマホアプリの制作などが仕事になります。
外資系企業ならではのアイデアや技術を活用し、まだ国内で広まっていないトレンドを生み出すことにも期待されます。
例えばバックエンドエンジニア、インフラエンジニア、フロントエンジニアなどが、Webエンジニアになります。
ITコンサルタント
会社が抱えるさまざまな課題をITで解決するITコンサルタントも、外資系企業が求めている人材の1つです。クライアントの要望を受けて具体的な計画を立てて、問題の解決や業務効率化などの結果を引き出すのが役割です。
適切なITソリューションを提案する能力の他、クライアントと密にコミュニケーションを取って潜在的なニーズを引き出す能力など、人との関わりのなかで必要とされるスキルも重視される職種となっています。
最新のIT技術やAI、クラウド、セキュリティについて常に学び、最適な提案ができるように備えることも大切と考えられます。
営業支援
企業の営業部門のサポートを行うのも、外資系エンジニアの担当領域です。クライアントの技術面における課題解決に必要なソリューションの提案や、最新システムの提供および成果につながる理由の解説などを仕事とします。
例えばセールスエンジニアやプリセールスエンジニアが、営業支援の役割を担います。
顧客支援
外資系エンジニアは、会社の顧客支援に関する課題解決などを担当することもあります。例えば依頼主の顧客がトラブルに見舞われた際のサポートや、LTV(Life Time Value・顧客生涯価値)上昇のために新商品や別のプランを提案するカスタマーサクセスエンジニア・カスタマーサポートエンジニアが顧客支援の業務で活躍します。
3.外資系エンジニアになるには?
国内企業に所属するエンジニアから外資系エンジニアになるには、事前準備が重要となります。以下では、外資系エンジニアなるための方法・ポイントについて解説します。
キャリアパスを構築する
外資系エンジニアになるには、自身のキャリアパスを細かく構築して、それを採用面接の際に説明できるように備えるのがポイントです。これまでの経験やスキルの棚卸しを行い、それを今後のキャリアにどう活かすのか、そのうえでなぜ外資系企業への転職が必要なのかを、論理的に話せる能力が求められます。
注意点としては、外資系企業への転職をゴールにするのではなく、その後の活躍も含めてプランに含めることです。転職が最終目標になっていると、採用されてから働くビジョンを見出せず、その点を指摘されて評価が下がる可能性があります。
転職後にどんな働き方をしたいのか、どんな人材になりたいのかまで説明できるようにすることが重要です。
自己アピールの方法を明確にする
外資系エンジニアへの転職時にも、自己アピールは採用の結果を左右します。自分の能力・これまでの経歴・入社によって実現できることなどをアピールし、他者との差別化を図ることは必須です。
また、なぜ外資系エンジニアを目指しているのかを説明することも、転職時には重要となります。給料の高さややりがいなども理由にはなりますが、どうしても外資系企業で活躍したい理由をアピールできれば、より採用に近づけるでしょう。
英語のスキルアップを目指す
外資系エンジニアとして働くのなら、英語力も欠かせないスキルになります。外資系の企業で働く場合、職場が国内であっても海外の人とコミュニケーションを取る機会が増えます。
その際には一般的に英語が用いられるため、基礎となる会話力は必須になるでしょう。また、メールや仕様書が英語で書かれているケースも多いので、読み書きの能力も向上させておくのが重要です。
外資系企業によっては、採用面接の段階から英語力を試すことがあります。面接で英語を使われても慌てずに済むように、早くから英会話の勉強をしておくのがおすすめです。
外資系企業の求人が多い転職サービスを活用する
外資系エンジニアを目指すのなら、外資系企業の求人を多数掲載している転職サービスを活用するのもポイントです。外資系企業に特化したエージェントや、外資系企業とのつながりが深い転職サービスを中心に利用することで、条件にマッチした仕事を見つけやすくなるでしょう。
まずは複数の転職サイト・サービスを使って比較し、外資系企業に強いか判断することから始めてみましょう。
4.外資系エンジニアとして働くメリット
外資系エンジニアとして働く場合、他にはない多くのメリットを得られます。
以下では、外資系エンジニアならではのメリットについて解説します。
高年収に期待できる
外資系エンジニアの年収は一般的なエンジニアと比較して、給与が高額に設定されているケースが多いです。基本給が高いだけでなく、成果主義なため結果を出すことでインセンティブが発生し、月々の収入が大きくアップすることもあります。
また、外資系企業ではストックオプションが提供されることも多く、自社株式を将来的に購入できる権利を持つことで、企業の成長とともに大きなリターンを得られる可能性があります。働き方や成果次第では、年収1,000万円や2,000万円越えも考えられるでしょう。
若くても高収入を期待できる点は、外資系ならではのメリットです。
海外の最先端技術を活用できる
外資系エンジニアとして働く場合、海外で使用されている最先端の技術や大量のデータを活用できる点もメリットです。IT関係のテクノロジーは、海外で開発されるケースが多いです。
そのため外資系企業に席を置くことで、日本企業よりも早く最新の技術に触れられる機会があると考えられます。
また、会社内で勉強会やセミナーが積極的に実施されることもあるため、継続した勉強を行いやすい点も魅力です。
グローバルな仕事に挑戦できる
グローバルな仕事に挑戦し、さまざまな経験を積めることも外資系エンジニアのメリットです。外資系企業には多国籍な人材がそろっているため、あらゆる国の人たちと自然な形でコミュニケーションが取れます。
多種多様なスタッフたちと一緒に仕事をすることで、国内企業では体験できないグローバルな働き方を学び、自分のスキルを見つめ直すきっかけを得られるでしょう。
また、実際に海外に出向して現地で働く機会も多いため、外国で仕事をしてみたい人にも魅力となります。グローバルな働き方は将来の転職などにも役立つ経験となるため、積極的に関連するプロジェクトに参画していくのがおすすめです。
5.外資系エンジニアとして働くデメリット
外資系エンジニアとして働くのなら、メリットだけでなくデメリットへの理解も必要です。
以下では、外資系エンジニアが直面するデメリットについて解説します。
成果主義なためプレッシャーが強い
外資系エンジニアは成果主義で評価されるため、仕事に対するプレッシャーが強くなりやすいです。成果が出ないことに焦って精神的に疲弊してしまうことも珍しくないため、メンタルケアが上手くできないと心身に悪影響を及ぼすリスクもあります。
成果主義の環境には向き不向きがあるため、自分の働く姿をイメージして、日々のプレッシャーに耐えられるかよく考えるのがポイントです。
福利厚生が充実していないケースがある
外資系企業は国内の企業と比較して、福利厚生が充実していないケースがあります。住宅手当や退職金制度など、一般的な保証も十分でないこともあるため、転職前に雇用内容をよく確認しておくのが大切です。
また、成果主義を尊重しているため、結果を出せない人材には風当たりが強くなります。職場で働き続けるのが難しくなる可能性もあるので、安定して働けない点もデメリットになるでしょう。
海外の文化や風習への理解も必要になる
外資系企業でエンジニアとして働くのなら、海外の文化や風習への理解は欠かせません。日本式の働き方や従来の仕事のやり方が否定されてしまうケースもあるため、柔軟に海外文化に合わせていく意識が必要です。
しかし、海外文化のなかで働くことは意外と難しく、上手く立ち回れずに心が折れてしまう人も珍しくありません。
文化や風習が異なる環境で仕事をしなければならない可能性がある点もまた、外資系企業のエンジニアになるデメリットだと言えるでしょう。
6.未経験から外資系エンジニアを目指せる?
未経験の状態から外資系エンジニアを目指せるのかも、気になるポイントの1つです。
以下では、外資系エンジニアに未経験から挑戦できるのか解説します。
外資系企業への転職には実績が必要
結論から言うと、実務未経験のエンジニアが外資系企業に転職するのは困難だと言わざるを得ません。基本的に外資系エンジニアはジョブ型雇用であり即戦力として動ける能力が求められるため、実務経験のない未経験者は応募段階で弾かれていることがほとんどです。
もちろん未経験から転職できる可能性が0ではありませんが、エンジニアの募集時には「〇〇の業務を〇年以上経験している」などの条件が提示されていることが多いので、いきなり外資系エンジニアを目指すのは難しいでしょう。
外資系エンジニアになりたいのなら、まずは国内の企業でエンジニアとしての経験を積み、同時に転職に備えて英語力を伸ばすなどの対策が必要です。多くの実績があるほど転職で使えるアピールポイントが増えるため、採用の可能性を高められます。
フリーランスとして実績を重ねるのも1つの方法
未経験から外資系エンジニアを目指す際には、フリーランスエンジニアとして実績を作っていくのも1つの方法です。フリーランスとして働いてきた経験も、もちろんエンジニアとして転職する際の重要な判断材料となります。
担当してきた案件の数や内容次第では、フリーランスの経験が高く評価される可能性もあるでしょう。
フリーランスエンジニアは自分の裁量で労働時間や働くタイミングを決められるため、英語の勉強などに時間を割きやすいのも魅力です。今現在フリーランスエンジニアとして働いている人も、外資系企業への就職に向けて英語力などを鍛える計画を立てることが考えられます。
正社員でエンジニアとして働くだけでなく、フリーランスとしてワークライフバランスを取りながら、外資系エンジニアを目指していく方法もおすすめです。
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7.まとめ
外資系エンジニアは、独自の特徴やメリット・デメリットを持つ職業です。向いている人にとっては高年収を狙える職業であり、同時に大きなやりがいを実感できる仕事を担当できる点が魅力です。
自分のキャリアに良い影響があると考えられるのなら、この機会に外資系エンジニアおよび外資系企業の基本を確認し、転職の計画を立ててみてはいかがでしょうか。
外資系エンジニアを目指すのなら、転職活動でアピールできる自分だけの魅力が必要です。正社員の仕事で実績を重ねていく方法もありますが、フリーランスエンジニアとして独立して自分の力で働き続けることも、外資系エンジニアになる際に評価されるポイントになります。
フリーランスエンジニアの働き方も確認し、新しいキャリアプランを構築してみるのもおすすめです。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。