システム開発には複数の種類があり、それぞれが特徴を持っています。「オープン系システム」もその1つであり、すでに多くの開発現場で採用されています。システム開発に興味があるエンジニアや、これからIT系の職業に就きたいと考えている方は、オープン系システムを含めた開発手法について調べておくのがおすすめです。
本記事では、オープン系システムの特徴やメリット・デメリット、担当するエンジニアになるための方法について解説します。
目次
1.オープン系システムとは?
オープン系システムを使うエンジニアになるには、まず「オープン系システムとは何か?」という点を理解する必要があります。
以下では、オープン系システムの基本を解説します。
ソースコードや技術仕様が公開されているソフトで作成したシステムのこと
オープン系システムとは特定のハードウェアやプロプライエタリなソフトウェアに依存せず、オープンな標準や技術に基づいて、異なる環境やシステム間で相互運用性を確保しながらシステム開発を行う手法です。
すでに形になっているコードや技術を活用できるため、スムーズなシステム開発に応用可能です。
オープン系システムは自由度が高く、あらゆる環境下で活用できます。既存のシステムに組み合わせたり、最新の技術を導入して作業環境を整えたりと、さまざまな用途が考えられるでしょう。
自社の要望に合わせた利用を検討できるため、オープン系システムはさまざまなシーンでの利用が検討できます。
Web系・汎用系システムなどとの違い
オープン系システムの他にも、システム開発には多くの種類があります。
例えば以下の種類が、システム開発の現場で採用されています。
オープン系システム
WEB系システム
汎用系システム
組み込み系システム
パッケージ系システム
一般的にシステム開発では、上記の種類から最適なものが利用されます。WEB系システムは主にWebサイトやモバイルサイトの開発に用いられ、大手サービスの開発でも採用されているのが特徴です。
汎用系システムとはホストコンピュータでの開発環境に使用されるもので、エラーを避けるために堅牢なセキュリティやリアルタイムでの処理を必要とするシステムで採用されています。
組み込み系システムは、特別な用途に合わせて使用されるシステムです。例えば医療機器や家電など、使用用途があらかじめ決まっているシステムで活用されます。
パッケージ系とは、最初から搭載されている機能・システムが決まっていて、自由に利用できるのが特徴です。SalesforceやSAPなどが有名で、スピーディに多くの機能を導入できる点がメリットになります。
2.オープン系システムの特徴
数あるシステムのなかでも、オープン系システムには独自の特徴があります。
以下では、オープン系システムならではの特徴について紹介します。
違うメーカーの製品と組み合わせやすい
オープン系システムは、さまざまな開発環境での応用に期待できるのが特徴です。例えば異なるメーカーの製品と組み合わせることも可能なため、既存の環境そのままで新たなシステムを導入することも考えられます。
システム開発の種類によっては、特定の環境などが求められるケースもあります。その点、オープン系システムは異なるメーカーの機器を使用している環境でも、スムーズにシステムの構築・運用を開始できます。
社内のシステム開発環境が整っていない場合や、メーカーを統一しないまま開発を続けている場合などには、オープン系システムが採用されやすいでしょう。
拡張性が高く柔軟に活用できる
オープン系システムは、拡張性の高さと柔軟性も大きな魅力です。導入後もさまざまな変化に対応でき、必要に応じて最適な方法で動かせるため、予定外の事態でも活用しやすいでしょう。
システム開発の際に柔軟な選択が可能になるため、実際の開発現場の状況に合わせて、臨機応変な対応を行えます。また、新規プロジェクトの発足や市場の変化などに対して、拡張性を活かした対応も可能です。
多様なプラットフォームで柔軟に稼働するオープン系システム
オープン系システムは、パソコンやサーバーをはじめ、クラウド環境などさまざまなプラットフォームで動かすことを前提にして作られたシステムです。パソコンだけでなく他のデバイスや環境にも対応できます。
オープン系システムはプラットフォームに依存せず、多種多様なプログラミング言語を活用できたり、各種ソフトを併用して開発に着手できたりと、多くのメリットがあります。
オープン系システムで使われるプログラミング言語
オープン系システムでは、主に以下のプログラミング言語が使用されています。
Java
C#
C++
VB.NET
PHP
Ruby
Python など
多くのプログラミング言語を活用できるため、さまざまな経歴を持つエンジニアが活躍できるのも魅力です。汎用性の高いプログラミング言語を使って開発が行えることから、別業種のエンジニアからオープン系システムを担当する人材を目指すことも可能です。
オープン系システムの主な種類
オープン系システムのなかにも、複数の種類があります。具体的には、以下の種類がオープン系システムとして利用されています。
スタンドアローン型
クライアントサーバシステム
Web系システム開発
スタンドアローン型とは、他のシステムとつながらずに、独自に動くシステムを指します。外界からの接触がないためセキュリティが堅牢であり、機密性の高いプロジェクトに向いています。
一方で、孤立したシステムになるためデータの共有などが困難となり、全体の作業効率が悪くなる恐れもあります。
クライアントサーバシステムとは、「クライアント」と「サーバ」の2種類に分けて処理を分散し、それぞれの役割を完遂させることで開発を進める手法です。オープン系システムにおいては、基本となる手法としても知られています。
Web系システム開発とは、インターネットを使ってブラウザ・アプリを活用し、システム開発を行う手法です。Web上にある技術を使って開発を行うのが特徴で、あらゆるパターンへの応用が考えられます。
特にWebアプリケーションやオンラインサービスの開発時に役立ち、柔軟性の高い開発が進められます。
3.オープン系システムが使われるのはどんなとき?
オープン系システムは、すでにさまざまな状況下で使用されています。
以下では、具体的にどんなシーンでオープン系システムが活用されているのかを解説します。
システムの基幹を担う業務システムの開発
システムの基幹を担う業務システムを開発する際には、オープン系システムが採用されやすいです。システムの基幹を担う重要なシステムの開発にも利用でき、例えば業務系システムの構築などに活用されています。
特定のデータを管理するシステムや、社内の情報共有に使われるシステムの開発には、オープン系システムが役立ちます。
具体的には、以下のシステム開発で使用されるケースが多いです。
販売管理
顧客管理
勤怠管理
受発注管理
在庫管理
営業支援
給与管理
社内SNS など
オープン系システムは拡張性・柔軟性が高いため、別のシステムで収集したデータを用いて、効率良く管理・運用するシステムの開発などに向いています。そのため上記のように顧客管理や勤怠管理など、特定の情報を収集・分析するシステムが必要な場合には、オープン系システムの利用がおすすめです。
専門性の高いシステムの開発
オープン系システムは、専門性の高いシステム開発にも応用できる点が特徴です。会社の専門分野に特化したシステムの開発なども可能なため、より作業効率や生産性を重視した環境の整備にも利用できます。
必要な機能を事前に決めることで、オーダーメイド型のシステム開発にも着手可能です。
これまでになかった自社に最適なシステムを構築することで、従来とは異なる方向性の新規事業の展開や、新技術に合わせたシステムの開発なども進められるでしょう。システムの構築を目標とする際にも、オープン系システムによる開発が検討できます。
4.オープン系システムを使用するメリット
オープン系システムを使用する場合、さまざまなメリットを得られます。
以下では、オープン系システムがもたらす具体的なメリットについて解説します。
開発にかかるコストを節約できる
オープン系システムは、開発にかかるコストの節約につながるメリットがあります。先の解説通り、オープン系システムは使用する機器を選ばないため、現在の開発環境を大きく変えることなく作業に着手可能です。
使用しているソフトや周辺機器を買い替える必要がないため、環境整備にかかるコストを大幅に削減できます。
また、昨今は高性能のパソコンが安価に手に入りやすくなっています。オープン系システムでの開発や運用に必要とされるスペックのパソコン、サーバーも、低価格で導入可能です。
そのためオープン系システムでの開発をきっかけに社内のパソコンを一新したとしても、必要なコストは抑えやすいでしょう。
システムのアップグレードが実行しやすい
システムのアップグレードがスムーズに行える点も、オープン系システムのメリットになります。技術革新や市場・顧客ニーズの変化などによって、既存システムの改革が必要になるケースは決して珍しくありません。
その際に既存システムの変更が難しい状況に陥っていると、素早く変化に対応できず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が懸念されます。
その点、オープン系システムは柔軟に開発・改善が可能なので、状況に応じてスムーズなアップグレードなどが実行できます。細かな修正や目標の変化に合わせた機能の追加などにも対応しやすいため、常に最適な開発環境を維持できるのがメリットです。
また、AWSなどのパブリッククラウドとの連携も容易であり、クラウド上でのリソースのスケーリングやシステムの冗長化も低コストで実現できるため、運用面でも優れた柔軟性を発揮します。
エンジニアとして開発に着手しやすい
エンジニア目線で見ると、開発業務に着手しやすい点がオープン系システムにおけるメリットの1つになります。先の解説通りオープン系システムでは多くのプログラミング言語が利用できるため、さまざまな経歴を持つエンジニアがプロジェクトに参画できます。
これまでの経験を活かして開発業務に挑戦できることから、エンジニアにとってもオープン系システムは魅力的な案件になるでしょう。
5.オープン系システムを使用するデメリット
オープン系システムを使った開発を実行する際には、デメリットも把握しておく必要があります。
以下では、オープン系システムが持つデメリットの部分を解説します。
セキュリティ面に注意が必要
オープン系システムは、セキュリティ面の脆弱性に注意すべき点がデメリットになります。開発時には複数のツールやWebサービス、各種機器を利用するケースが多いため、1つでもセキュリティ面に隙があると大きな問題に発展するリスクがあります。
オープン系システムはインターネットを通して世界中に公開されていることやコミュニティに依存したメンテナンスが行われているため、悪意のある第三者が攻撃用のシステムを構築するリスクも懸念されます。
そういった点を考慮して、事前にセキュリティに関する知識を身につけ、安全な環境を作り出す準備が必要です。
システムメンテナンスの頻度が多い
システムメンテナンスを行う頻度が多い点も、オープン系システムのデメリットです。例えばOSのアップグレードや、使用する機器の変更に合わせて、その都度メンテナンスを実行する必要があります。
システムメンテナンスは安全性の確保やパフォーマンスの安定に欠かせないため、こまめに対応しなければなりません。
また、定期的なメンテナンスや保守業務も実施し、問題を早期に発見して対応できる環境も求められます。
6.オープン系システムを取り扱うエンジニアになるには?
オープン系システムを取り扱うエンジニアになるには、いくつかのポイントがあります。
オープン系システムに興味があるエンジニアは、ぜひ以下の情報を参考にしてください。
オープン系システムを扱うエンジニアの役割を理解する
オープン系システムを扱うシステムエンジニアになるには、まず仕事における役割を正確に理解する必要があります。一般的にオープン系のシステムエンジニアは、業務に関するシステム・アプリの開発やインフラの構築、運用を行うのが仕事です。
先に紹介した各種管理システムなどの開発プランを受注し、必要なソフトやハードの組み込みを行います。
また、既存システムを改修して作業の効率化を進めたり、コストの削減を実現したりするのも、システムエンジニアが担う役割となります。
オープン系システムの仕事に必要なスキルを身につける
オープン系システムに携わるエンジニアを目指す際には、実際の仕事で必要なスキルを身につけることが重要です。
例えばシステムエンジニアとして働く際には、以下のスキルが重要視されます。
プログラミングスキル
課題を見つけて解決するスキル
マネジメントスキル
コミュニケーションスキル
継続して学習を続けるスキル・モチベーション など
前提として仕事で使うプログラミング言語を用いたプログラミングスキルは、必須のスキルになります。同時に自ら仕事中の課題を発見し、最適な解決方法を導き出す積極性も、重要なスキルになるでしょう。
システムエンジニアは周囲と協力し、ときには指示を出して作業を進めるのも役割です。そのためマネジメントスキルやコミュニケーションスキルも、重要な能力になります。
7.未経験でもオープン系システムのエンジニアになれる?
システムエンジニアとして働きたいけれど、「未経験だから応募ができない」と悩んでいる方も多いでしょう。以下では、未経験でもオープン系システムを担当するエンジニアになれるのか解説します。
業務未経験でも転職が可能
結論から言えば、未経験でもオープン系システムの仕事をするシステムエンジニアとして働くことは可能です。昨今はエンジニアを含めたIT人材の不足が問題となっているため、業務未経験でも積極的に採用する企業が増えています。
求人の募集要項を確認し、「未経験OK」の仕事を中心に探してみるのがおすすめです。
また、別業種のエンジニア経験があるのなら、「開発の業務経験〇年以上」といった求人も要チェックです。
未経験からオープン系システムのエンジニアを目指すポイント
未経験からオープン系システムのエンジニアになるのなら、まず実際にオープン系システムの開発を体験することが1つのポイントです。実務経験がなくても、実践的な作業を経験していたり、関連業務をこなした経歴を持っていたりすると、未経験からでも採用される可能性が高まります。
例えばエンジニア養成スクールなどを活用し、オープン系システムの開発を実践的な形式で勉強するなど、採用時に評価されるための準備を進めておくのがおすすめです。
オープン系システムのエンジニアの年収は?
オープン系システムを中心に担うシステムエンジニアの年収は、400〜800万円程度が相場です。経験やスキルなどによって年収は大きく変わるため、早くから実績を重ねてスキルアップを目指すのが重要です。
正社員ではなく、フリーランスとして働くことで、より高額な年収を実現できる可能性があります。すでにシステムエンジニアとしての実績がある人は、フリーランスとして働くことも検討されるでしょう。
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8.まとめ
システムエンジニアにもさまざまな種類があり、それぞれ働き方や必要なスキルなどが異なります。なかでもオープン系システムは、その柔軟性やエンジニアの働きやすさから、今後も多くの現場で採用されると予想されます。
この機会にオープン系システムの詳細を確認し、専門のシステムエンジニアを目指して勉強を始めるのもおすすめです。
オープン系のシステムエンジニアは、未経験からでも目指せる職業です。少しずつ実績を重ねて信頼を勝ち取っていくことで、将来的にはフリーランスになり、高年収を実現できる可能性もあるでしょう。
この機会にオープン系システムを学び、フリーランスエンジニアとして働くための計画を立ててみてはいかがでしょうか。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。