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Rustでできること9選!将来性や入門方法まで解説

公開日:2024/10/21最終更新日:2024/10/21

RustでできることはWebアプリ開発やゲーム開発をはじめ、機械学習・クラウドプラットフォームサービスなどとても幅広くあります。C言語やC++の後継として登場したRustですが、その処理速度の速さはC言語、C++と同等以上の速さをもちます。


また、安全性が高いことからIT業界を牽引する多くの大手企業がRustを採用しています。

本記事では、Rustでできることを中心にRustの将来性やその理由、Rustの入門方法まで解説します。本記事を最後まで読むことでRustでできることがわかり、システム開発に最適なプログラミング言語を選択できるでしょう。


1.Rustでできること9選

Rustは、2015年に登場したC言語やC++に代わる有力なプログラミング言語と言われているオープンソースのプログラミング言語です。Rustの特徴は下記の通りです。

  • 安全性の高さ

  • 処理速度の速さ

  • 並行処理が可能


このような特徴を持つRustができることを解説します。

Webアプリ開発

Rustは、Webアプリ開発のためのフレームワークが豊富にあります。具体的にはActix WebやRocket、axumなどです。どのフレームワークも、Webアプリ開発に実用的で高性能なものばかりです。


フレームワークの多様さだけでなく、Rustは高速な処理を実現しやすいという特徴を持つため、Webアプリ開発に適しています。C言語やC++が高速なプログラミング言語であるように、これらの代替を目指すRustも高速です。


実装内容によっては、C言語やC++よりも高速な処理を実現できます。これまで速度面の障壁となる課題がRustによって解決できることで、Webアプリ開発に適したプログラミング言語となっています。

ゲーム開発

Rustは並行処理が可能で、処理が高速であるためゲーム開発もできるプログラミング言語です。C言語やC++と同等の高速処理が可能で、データ量や処理量の大きいゲームもスムーズに動作します。


Rustを扱うエンジニアや学習中の人が集まるコミュニティでは、Rustを使用したゲーム開発に関する議論が活発に行われており、最新の動向が確認できるでしょう。


さらに、Rustで作られたゲームエンジンも数々登場しているため、ゲーム開発を志す人にはRustの習得がおすすめです。Rustで作られたゲームエンジンは、以下の通りです。

ゲームエンジン

特徴

Bevy

ECSを採用しており、データ指向のゲームエンジン。2D/3Dレンダリングに対応しており、初心者でも扱いやすい設計。ホットリロードに対応しているため、開発サイクルの短縮が実現可能。

Piston

多目的ゲームエンジン。オープンソースで2D/3Dレンダリングに対応している。Rustで作られたDyonという動的型付けスクリプト言語を使用できるのが大きな特徴。

Arete Engine

モジュール式のエンジンで、ユーザーが必要な機能を選択して追加できる柔軟な設計になっている。軽量で効率的な設計により、パフォーマンスの高いゲーム開発が可能。

Fyrox

リアルタイムの3Dレンダリングに対応しており、美しいグラフィックスを実現可能なゲームエンジン。ゲーム開発に必要な機能が豊富にある。

APIサーバー開発

APIサーバーがあれば、外部のサービスやツールを介すことでデータやサービスにアクセスできます。しかし、Rustを使用すればAPIサーバーの開発が可能です。


APIとして有名なのがTwitter APIです。このAPIを活用すれば、X(旧Twitter)のタイムラインを自分で開発したツールやアプリで取得して表示できます。


Twitter APIのように、RustでAPIサーバーを開発する際には、Actix WebやRocketなどのWeb用フレームワークを活用するのが一般的です。

OS開発

低レイヤーの処理を記述できるRustは、OS開発を行うことができます。現状、開発に使用される言語は、C言語やC++を採用しているケースが多い傾向にあります。2024年のStack Overflowの調査による、「人気のプログラミング言語」でRustは、C言語とC++よりも低い順位となっています。


しかし、Google社やマイクロソフト社は、これからのOS開発はC言語とC++ではなくRustを採用するという動きを明らかにしています。これは、セキュリティ面でRustに軍配が上がったためです。そのため、これからのOS開発はRustが主流になっていく可能性が考えられます。

コマンドラインツール開発

Rustは、高速処理ができるコマンドラインツールの開発が可能です。また、高速なだけでなく、保守性にも優れています。Rustは全てを1つのバイナリにコンパイルができるため、配布が簡単です。


Rustの公式ドキュメントには、Rustでコマンドラインツールを開発するマニュアルが用意されているため、プログラミング初心者でもすぐに学習が始められます。

ブロックチェーン開発

ブロックチェーンは、ブロックと呼ばれる単位ごとにデータを管理し、それらをチェーンのように連結してデータ保管する技術のことです。Rustでは、SolanaやNEARのようなブロックチェーンアプリを開発することができます。


もともとブロックチェーン技術は、仮想通貨のビットコインを実現するために開発された技術ですが、ネットワーク上の取引の信頼性を担保するために使用されています。

機械学習

Rustは、機械学習の分野でも活躍します。機械学習は、コンピューターに大量のデータを読み込ませ学習させることでルールを獲得し、未知のデータを判別可能とする技術です。大量のデータを読み込みするという点で、Rustの高速処理が活きてきます。


また、Rustの機械学習ライブラリも登場しています。例えば、candleやsmartcoreなどです。今後も、新しいライブラリが登場する可能性が考えられます。

Webブラウザ

Webブラウザの開発において、特に高速な処理が求められます。Rustの処理速度が速いという特徴を活かして、Webブラウザの開発で採用されています。


Rustが使われた代表的なWebブラウザにはFirefoxがあります。Firefoxは、Google ChromeとFirefoxのベンチマークテストにて、Google Chromeよりも高いスコアを出していることがわかりました。


Rustの処理速度が速いという特徴によって、高速なブラウジングが可能なブラウザが開発できます。


また、RustのブラウザエンジンであるServoを採用した新しいブラウザ「Verso」の開発プロジェクトが立ち上げられており、これからもWebブラウザ開発においてRustが有力になるでしょう。

クラウドプラットフォームサービス

クラウドプラットフォームサービスの開発において、安全性が重要視されます。Rustは、所有権によりメモリの安全性が高い特徴を持つ言語であるため、クラウドプラットフォームサービスの開発に採用されています。


ビジネスシーンにおいて圧倒的なシェアを誇るAzureも、Rustで開発されたサービスです。

2.Rustエンジニアの将来性

Rustは、前述した通りできることが豊富にあるプログラミング言語です。しかし、比較的新しい言語であるため、将来性が気になるでしょう。Rustは、市場動向やRustエンジニアの平均年収から将来性は高いと判断できます。ここでは、Rustの市場動向とRustエンジニアの平均年収について解説します。

Rustの市場動向

2024年のStack Overflowの調査によると、Rustは6年連続で「最も愛されているプログラミング言語」に選ばれています。またGoogleやAmazon、MicrosoftなどのIT業界を牽引する大手企業が次々とRustを採用し、オープンソースプロジェクトでの使用も増加しています。


またRustは定期的なリリースが続き、次々と新しい機能が公開されています。登場から進化し続けているプログラミング言語であるため、さらにRustを採用する企業が増えていくと考えられます。


これらのことから、Rustは将来性の高さが期待できると言えるでしょう。

Rustエンジニアの平均年収

求人サイトにてRustエンジニアの求人から計算した平均年収は、902万円です。これは、令和4年分民間給与実態統計調査の結果である、日本全体の平均年収458万円よりも高い水準です。


平均年収は902万円ですが求人によっては500万円から1000万円と幅は広く、企業によってどれくらいのRustのスキルやRustでの開発実務経験年数、その業界への知見があるかなどのスキルセットが求められます。


Rustはブロックチェーン、機械学習の分野でも活躍できる言語として、多くの企業が高い年収でエンジニアを確保しようとしています。


なお、フリーランス求人に焦点を当ててみると、Rustスキルが必要な求人の平均月額単価は82.5万円であり、年収に換算すると約990万円です。(フリーランスボード Rustのフリーランス案件・求人

3.Rustエンジニアの将来性が高い理由

市場動向とRustエンジニアの平均年収から、Rustの将来性が高いことがわかりました。ここではなぜRustの将来性が高いのか、その理由について解説します。

大手企業によるRustの採用例がある

Rustの将来性を示す重要な指標の1つが、大手企業によるRustの採用です。RustはIT業界を牽引する大手企業が、多く採用しているプログラミング言語です。


以下のような大手企業がRustを採用しています。

  • Amazon(AWS)

  • Google(AndroidのBluetoothスタック)

  • Microsoft(Azureプラットフォーム)

AmazonではクラウドサービスのAWSの一部分でRustを採用する動きがみられています。Googleでは、Androidの開発にRustを導入し、セキュリティの向上を図っています。さらに、MicrosoftではC++のコードベースの一部をRustに置き換える取り組みが進められています。


これらの大手企業がRustを採用することにより、Rustの安全性と将来性が保証され、他の企業でもRustの採用を検討するきっかけとなるでしょう。

IoTやクラウド分野の成長

Rustは、Webアプリ開発やゲーム開発だけでなく、クラウドプラットフォームサービスやOS開発の分野でも活躍できる言語です。


特に、IoTデバイス・ブロックチェーン・クラウドプラットフォームサービスの分野では、Rustの安全性とパフォーマンスが期待されています。


これらの分野での成長に大きく関わるRustは将来性が高いでしょう。

システムプログラミングでの利点がある

Rustの将来性が高いと言われている中で特に評価されているのが、システムプログラミングの分野です。この分野ではC言語とC++が主流となっていましたが、Rustはこれらと同等もしくは同等以上の性能をもちます。さらに、安定性を大幅に向上させる特徴を持っています。


具体的には以下のような特徴があります。

  • メモリ安全性

  • クロスプラットフォーム対応

  • 並行処理

  • ゼロコスト抽象化

これらの特徴によって、RustはこれからのIT業界を支える言語として注目を集めています。

4.Rustの入門方法

Rustを使用するために必要なインストール方法から実行までを解説します。これからRustに入門しようと考えている人はぜひ参考にしてください。

Rustのインストール方法

まずは、Rustをインストールしましょう。Rust公式サイトにアクセスして、ダウンロードします。インストーラをダウンロードしたうえ起動したら、画面に従って進めます。


ここではWindowsとMacにわけてインストール方法を解説します。

Windowsの場合

まず、Rust用のC++ビルドツールが必要です。自身の環境にあるツールが、Microsoft C++ build tools for Visual Studio 2013、もしくはそれ以降のバージョンであるか確認しましょう。インストールされていない場合は、Visual Studio 2022をインストールします。


Rust公式サイトから「RUSTUP-INIT.EXE」をダウンロードし実行します。コマンドプロンプトの画面が表示されたら、「1:Proceed with installation」を選択します。

Macの場合

Rustのインストール前に、あらかじめ必要なツールをインストールする必要があります。Bashスクリプトをダウンロードするために、ターミナルから以下のコマンドを実行します。

curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh

インストール方法の選択が1〜3表示されるため、「1:Proceed with installation」を選択してインストールを実行しましょう。

簡単なプログラムを書いてみる

ここでは簡単なプログラムを記述します。Rustで使用する拡張子は「.rs」が慣例であるため、メモ帳やテキストエディタで任意の名前のファイルを作成します。


そのファイルには以下のように記述してください。

fn main() {

println!("Hello, world!");

このコードは、「Hello, world!」と表示されるサンプルコードです。

プログラム実行

最後に、コマンドプロンプトまたはターミナルを起動し、先ほど作成したファイルをコンパイルします。フォルダ上に.exeファイルが作成されたら、プログラムを実行します。


実行は、コマンドプロンプトまたはターミナルにて、コンパイルした画面に.exeファイルの名前を入力しEnterキーを押します。これで「Hello, world!」と表示されればプログラム実行は成功です。


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5.まとめ

今回は、システム開発に最適なプログラミング言語を探しているエンジニアや高速かつ安全性の高いソフトウェア開発を目指しているプログラマー、Rustの学習を始めたい初心者エンジニアに向けてRustでできることについて紹介しました。


Rustは、C++の後継で登場したプログラミング言語で、安定性が高く高速処理ができる点が特徴です。その処理の速さはC++と同等以上で、多くの大手企業が注目している言語です。


現時点で、Webアプリ開発やゲーム開発に採用されているRustですが、これからは特にブロックチェーン・機械学習・クラウドプラットフォームサービスの分野で活躍することでしょう。


大手企業がRustを採用している例や市場動向からRustの将来性は高いため、ぜひRustを習得してみてください。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.Rustでできること9選

Webアプリ開発

ゲーム開発

APIサーバー開発

OS開発

コマンドラインツール開発

ブロックチェーン開発

機械学習

Webブラウザ

クラウドプラットフォームサービス

2.Rustエンジニアの将来性

Rustの市場動向

Rustエンジニアの平均年収

3.Rustエンジニアの将来性が高い理由

大手企業によるRustの採用例がある

IoTやクラウド分野の成長

システムプログラミングでの利点がある

4.Rustの入門方法

Rustのインストール方法

Windowsの場合

Macの場合

簡単なプログラムを書いてみる

プログラム実行

5.まとめ