UNIXとLinuxの違いとは?
共通点や互換性があるので、明確に応えられない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、UNIXとLinuxそれぞれの特徴と違い、共通点・互換性などを解説します。選択基準についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.UNIXとLinuxとは?特徴を簡単に解説
コンピューターシステムやサーバー管理において、UNIXとLinuxは多くのエンジニアやシステム管理者にとって欠かせないOSです。
両者は似ている点が多く、混同されることもありますが、歴史や使用用途、ライセンスにおいて異なる点もあります。
ここからは、UNIXとLinuxの違いを明確にし、それぞれの特徴や用途を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
UNIXとは?
UNIXは1960年代末にアメリカのベル研究所で開発された、商用OSの祖ともいえる存在です。当初、マルチタスクやマルチユーザー環境をサポートするために設計され、特に企業の大型システムやサーバーでの利用が広まりました。
UNIXは一貫して堅牢性と信頼性を重視しており、今日でも金融機関や医療機関など、高い信頼性が求められるシステムに採用されています。
また、UNIXベースの商用OSとしてOracleの「Solaris」やIBMの「AIX」などが存在し、大規模システムで重要な役割を果たしています。
Linuxとは?
Linuxは1991年にフィンランドの学生リーナス・トーバルズによって開発された、オープンソースのOSです。
UNIXに影響を受けながらも、Linuxはフリーで利用可能であり、多くのエンジニアが自由に改良できる点が大きな特徴です。
Linuxはその柔軟性とコストの低さから、サーバー管理やWeb開発、さらにはクラウド環境やモバイルデバイスに至るまで、幅広い用途で使用されています。
現在、Linuxは世界中のITエンジニアやフリーランスにも支持され、オープンソースコミュニティによって継続的に改良・発展を続けています。
2.UNIXとLinuxの違いとは?
UNIXとLinuxは、開発の起源やライセンス、利用目的などに大きな違いがあります。ここからは、期限と進化の過程、ライセンス、利用目的などの点から両者の違いを解説しましょう。
開発の起源と進化の違い
UNIXは商用向けのOSとして開発が始まりました。当初から、企業の大規模システムやサーバー運用に適したOSとして設計され、商用製品として発展してきました。
一方、Linuxは個人開発者により開発され、オープンソースプロジェクトとして進化してきました。Linuxは商用利用に限らず、個人やフリーランスエンジニアの利用を想定した、自由に改変可能なOSとして進化を遂げています。
ソースコードとライセンスの違い
UNIXはクローズドソースとして開発されており、ライセンスによって使用制限が課されています。企業向けに販売されていることが多く、その利用には購入費用が発生する場合がほとんどです。
一方、Linuxはオープンソースであり、誰でも無料でソースコードを利用・改変することができます。Linuxはエンジニアが自由にカスタマイズできる柔軟性があり、無償で利用できるという利便性があります。
利用目的とユーザー層の違い
UNIXは主に商用システムで利用されており、特に大規模な企業や業界においてその堅牢性が評価されています。金融機関や医療機関など、信頼性が重要視される業界で多く使われています。
一方、Linuxはサーバー運用からWeb開発、さらには個人利用まで幅広く対応できることから、多くのエンジニアやITフリーランスが利用しています。
サーバー管理においては、コストパフォーマンスの高さからLinuxが選ばれることが多いです。
サポート体制の違い
UNIXは商用OSであるため、各ベンダーによって提供される公式のサポートが利用可能です。たとえば、IBMのAIXやOracleのSolarisは、それぞれ専用のサポート体制が整備されています。
一方、Linuxはコミュニティ主導で開発されているため、サポートは基本的にユーザーコミュニティに依存しています。ただし、Red Hatなどの企業が提供する商用サポートも利用できるため、商業的な利用も問題ないものもあります。
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3.UNIXとLinuxの共通点とは?
UNIXとLinuxは異なる起源を持ちながらも、多くの共通点があります。特に、コマンドラインインターフェースやシェル操作など、基本的なシステム操作は非常に似通っていて互換性があります。
共通点・互換性を理解することで、UNIXからLinux、あるいはその逆へシステムの移行やITエンジニアのスキルチェンジがスムーズに行えるでしょう
シェルとコマンドラインインターフェース
UNIXとLinuxの最大の共通点は、シェルやコマンドラインインターフェースを使った操作です。
UNIXとLinuxはともに、コマンドラインからの操作が基本であり、多くのエンジニアはシェルを使ってシステムの管理を行います。
またコマンドの多くは共通しています。シェルスクリプトを使った自動化も共通の機能であり、UNIXとLinuxのどちらでも活用可能です。
UNIXとLinuxで互換性があるコマンドの例
ここでは、UNIXとLinuxで互換性があるコマンドを7つ紹介します。どのコマンドも基本的なものです。
lsコマンド
UNIXとLinuxの両方で使用され、ディレクトリ内のファイルやフォルダを一覧表示するためのコマンドです。オプションを追加することで、詳細な情報や隠しファイルの表示なども可能です。
cdコマンド
ディレクトリの移動に使用されるコマンドです。ファイルシステムを移動するための基本的なコマンドで、非常に頻繁に使われます。
grepコマンド
テキストファイルや標準入力から、特定の文字列を検索するためのコマンドです。ログファイルの検索やデータ抽出などに広く活用されています。
mkdirコマンド
新しいディレクトリを作成するためのコマンドです。mkdir directory_nameのように使用します。
rmコマンド
ファイルやディレクトリを削除するコマンドです。rm filenameでファイルを削除し、rm -r directory_nameでディレクトリとその内容を再帰的に削除できます。
cpコマンド
ファイルやディレクトリをコピーするコマンドです。cp source destinationという形式で使用し、簡単にファイルを別の場所に複製できます。
echoコマンド
指定した文字列を出力するためのコマンドです。シェルスクリプトでのメッセージ表示やデバッグに広く使われます。
4.UNIXとLinuxの選択基準とは?
UNIXとLinuxのどちらを選ぶべきかは、用途やシステムの規模、さらには業界やコストなど、さまざまな要因に左右されます。
ここからは、UNIXとLinuxの選択基準を解説しましょう。どのような場面でどちらを選ぶべきかヒントにしてください。
UNIXを選ぶべき場面とは?
UNIXは商用システムで高い信頼性を求められる場面でよく選ばれます。特に金融機関や医療機関といったデータの整合性とセキュリティが最優先される業界では、UNIXの堅牢性が強みとなります。
また、大規模なシステムを長期間にわたり安定して運用する必要がある場合にも、UNIXは最適な選択肢です。例えば、銀行の基幹システムや重要なインフラ管理では、UNIXの高い信頼性と企業によるサポートが重視されます。
ライセンス費用はかかるものの、こうしたシステムではその費用が信頼性に対する投資と見なされます。
Linuxを選ぶべき場面とは?
Linuxは低コストの利点から、中小企業やスタートアップにおいて、サーバー管理やWeb開発で広く採用されています。
また、クラウド環境での利用も進んでおり、AWSやAzureといったクラウドサービス上でLinuxが標準的に利用されています。
開発速度やコスト削減が求められるプロジェクトでは、Linuxの導入が有利です。オープンソースコミュニティの支援もあり、フリーランスのエンジニアにも人気です。
ITエンジニアとしての選択基準
ITエンジニアがUNIXとLinuxどちらを選ぶべきかについては、案件や求人の内容にも左右されるでしょう。
UNIX系システムは商用の大規模案件で高い需要があり、金融や医療といった業界ではUNIXの知識が求められるケースが多いです。
一方、LinuxはWeb開発やサーバー管理の案件で重宝されており、フリーランスや中小企業向けの求人で多く採用されています。
Linuxのスキルは汎用性が高く、特にフリーランスエンジニアにとっては広範な案件に対応できるため、有利なスキルセットとなります。
共通点・互換性もあるため、初心者の方はまずどちらかに慣れてから、他方のスキル習得に進むと取り組みやすいでしょう。
5.UNIXとLinuxの今後の展望
クラウドコンピューティングやモバイルの普及が進んだり、AIの利活用が広がる中で、UNIXとLinuxの役割や立ち位置にも変化が予想されます。
ここからは、UNIXが直面する課題やリスク、そしてLinuxの成長や拡大の可能性について詳しく見ていきましょう。
UNIXの未来と衰退のリスク
UNIXは長年、企業の基幹システムや大規模インフラで活躍してきましたが、近年その地位は揺らいでいます。
クラウドやオープンソース技術の台頭により、UNIXの商用システムに対する需要が減少しているためです。
また、ライセンス費用が高額であることやエンジニアのリソースが限られている点も、衰退のリスクを高めています。
一方、大手企業では既存のUNIXシステムを維持する必要があるため、短期的にはUNIXの需要が残ると考えられますが、長期的には新規採用が減少する可能性が高いでしょう。
Linuxの成長と拡大
Linuxは、オープンソースの利点を最大限に活かし、急速に成長を続けています。クラウドサービスやモバイルデバイスの普及によって、その需要はさらに拡大しています。
AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureといった主要なクラウドプラットフォームは、Linuxベースのシステムを標準で採用しているため、今後も成長が期待されます。
また、フリーランスや中小企業など小規模の事業者にとっては、コストを抑えつつ高機能なシステムを構築できるLinuxは魅力的です。ますますLinuxが活用される場面が広がるでしょう。
Linuxのコミュニティも活発で、今後も継続的な改良が行われていくことが予想されます。
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6.まとめ
この記事ではUNIXとLinuxの違いや共通点、さらに選択基準について解説しました。
UNIXは信頼性が求められる商用システムに強みがあり、Linuxはオープンソースの柔軟性とコストパフォーマンスが魅力です。
両者の特徴を理解することで、エンジニアとして適切なOS選択ができるようになるでしょう。
この記事がきっかけに、UNIXやLinuxに興味を持たれた方は、ぜひどちらかに触れてみてください。ITに関わる方であれば、今後のキャリアにきっと活かせるでしょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです