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Strutsとは?脆弱性は大丈夫?struts6とは?Javaフレームワークとの違いをわかりやすく解説!

公開日:2024/10/23最終更新日:2024/10/23

「Strutsとは?」Javaを用いたフレームワークです。

Webアプリケーション開発におけるフレームワーク選びに悩んでいませんか?

Strutsを使っているけれど、他に良いフレームワークは無いか?考えていませんか?


この記事では、Strutsの概要と歴史、Strutsが人気の理由、Strutsを採用するメリットとデメリット、他のJavaフレームワークとの違いなどについて紹介します。フレームワーク選びの参考にしてください。


1.Strutsとは?

StrutsはJavaを用いたフレームワークで、Webアプリケーション開発に特化しています。ここからは、Strutsの概要と歴史、人気の理由、Javaエンジニアにとっての魅力について詳しく紹介しましょう。

Strutsとは?概要と歴史

Strutsの正式名称はApache Struts(アパッチ・ストラッツ)と言い、2000年にApache Software Foundationによって開発が開始されました。MVCモデルを採用しており、JavaベースのWebアプリケーション開発を支援しています。


初期のバージョンであるStruts1は、シンプルで使いやすい設計により人気を集めましたが、セキュリティ強化など時代の進化に伴い、機能を強化したStruts2が登場しました。


ただ脆弱性が報告されている2.0から2.3系まではサポートが終了しており、現在は2.6系が最新バージョンです。

2.Strutsが人気の理由とは

Strustsが人気の理由はどこにあるのでしょうか?ここからは、JavaエンジニアにとってStrutsの魅力について紹介しましょう。

MVCモデルの採用

Strutsが広く採用されてきた最大の理由は、MVCモデルの採用でしょう。


Strutsを使うことで、コードの分離を促進しMVCモデルを確立させることができます。つまりユーザーインターフェース(View)、ビジネスロジック(Model)、データフロー管理(Controller)を整理することが可能になり、プログラムのメンテナンス性と拡張性を高めることが可能になっています。


MVCモデルのおかげで、開発者は大規模プロジェクトでも生産性を維持しやすくなるため、人気がでました。

POJOベース

StrutsはPOJO(Plain Old Java Object)をベースとしたアクションクラスを採用しており、開発者にとって非常に直感的な設計を提供しています。そのため特定のインターフェースや抽象クラスに縛られることなく、シンプルで自由度の高いコードが書けるのが特徴です。


POJOベースのアクションクラスは、テストやデバッグも比較的簡単なので、アプリケーション開発のスピードが早まることが期待できます。Struts以外のライブラリやフレームワークとの統合も簡単なので、拡張性に優れた設計が可能です。


POJOベースにともなって生まれた、自由度の高さと拡張性が人気の理由です。

カスタムタグライブラリ

Strutsが提供するカスタムタグライブラリは、JSPページの記述を大幅に簡素化し、Web開発の効率を飛躍的に向上させます。HTMLやJava Beansなどの標準タグに加えて、フォーム処理やバリデーションを簡単に実装することができます。


カスタムライブラリのおかげで複雑なロジックをJSPファイルに直接書く必要はなく、再利用性の高いコードを実現できます。さらに、ビジネスロジックとプレゼンテーション層の分離がより明確になり、メンテナンス性も高まります。


カスタムライブラリの存在も、Strutsの人気の理由でしょう。

3.Struts2の特徴と機能

初期のStruts1から大幅に進化したものがStruts2です。今や企業のWebアプリケーション開発で強力なツールとなっています。


Struts1とStruts2は格段に進化し、開発の効率化と柔軟性を高める機能が追加されました。脆弱性への対策も強化され、セキュリティ機能が充実しています。


ここからは、Struts2の特徴と機能について、Struts1との違いなどを含めて紹介しましょう。

Struts2とStruts1の違い

Struts2ではDI(Dependency Injection:依存性注入)が導入され、コンポーネントの管理が効率化されました。Struts1と比べるとコードのテストがしやすくなったのが大きな違いです。


また、Struts 2ではアクションクラスとしてPOJOを採用しているため、特定のインターフェースを実装する必要がなく、よりシンプルで柔軟なコードの作成が可能です。Struts1と比べると、開発速度が向上し保守性が高まりました。

Struts 2の特徴と機能

最大の特徴は、過去に報告された脆弱性への対策がなされて、セキュリティ面が大幅に強化されていることです。


またアノテーション機能が強化され、XML設定ファイルへの依存度が減少しました。コードベースで直感的に設定を行えるようになったので、開発者の負担が減りました。


OGNL(Object-Graph Navigation Language)が導入されてたことも特徴的で、フォームデータのバインディングや値の参照が簡単に行えるようになりました。

Struts2が活躍する場面

Strut 2はWebアプリケーション開発において広く活用されていて、企業向けの大規模システムで導入実績が豊富です。たとえば、ネット銀行のシステムに採用されています。

4.Strutsと他のJavaフレームワークとの比較

Javaにはさまざまなフレームワークが存在しますが、それぞれのフレームワークには特有の利点があるため、どのフレームワークを採用するか判断するのは難しい課題でしょう。


ここからはStrutsと他のJavaフレームワークとの比較をします。プロジェクトに適したフレームワーク選びに役立てください。

StrutsとSpring Frameworkの比較

StrutsとSpring Frameworkの最大の違いは、軽量さと柔軟性です。


SpringはAOP(Aspect Oriented Programming:アスペクト指向プログラミング)をネイティブでサポートしていて、軽量でモジュール化された設計が特徴です。


対してStrutsは、MVCモデルの採用により、特にビジネスロジックとプレゼンテーション層を明確に分離する点で優れています。


機能面では、Springがより多機能で幅広いプロジェクトに対応可能ですが、Strutsは大規模なシステムで安定した運用が可能です。

StrutsとJSFの比較

JSFはUIコンポーネントのフレームワークなので、視覚的な要素を直感的に操作できる点が強みです。


StrutsがシンプルなMVCアーキテクチャを採用しているのに対し、JSFはUIコンポーネントを活用して、ユーザーインターフェースの開発を効率化しています。


Strutsはビジネスロジックの分離に優れ、企業向けシステムに適していますが、JSFはUIが重視されるアプリケーションに最適です。

StrutsとPlay FrameworkやSparkとの比較

Play FrameworkやSparkは最新の軽量フレームワークで、特にリアルタイムに更新されるWebサービスの開発に適しています。


Strutsが成熟したフレームワークとして信頼性と安定性を提供する一方で、PlayやSparkは非同期処理やマイクロサービスに対応したアーキテクチャを持つことで、開発速度を重視します。


性能面ではPlayやSparkが優位ですが、安定性やサポートの充実度ではStrutsが優れているでしょう。

5.Strutsを採用するメリットとデメリット

Strutsは長年にわたり多くの企業システムで使用されてきた実績のあるフレームワークです。一方で、脆弱性などにおいて課題もあります。


ここからは、Strutsを採用するメリットとデメリットについて紹介しましょう。プロジェクトに適しているかどうか判断するヒントにしてください。

Strutsを採用するメリット

Strutsは、長年の実績と信頼性があります。大規模システムにも対応しています。これらのメリットについて見ていきましょう。

長年の実績と信頼性がある

Strutsは1990年代後半から使用されてきた歴史あるフレームワークで、企業システムの開発において長年の実績と高い信頼性を誇ります。多くの企業や大規模プロジェクトで評価されており、バグ修正やアップデートのサポートも充実しています。


既にStrutsを採用している企業やシステムにおいて、拡張や長期的な運用を見据えたプロジェクトでは、Strutsを採用することのメリットが大きいでしょう。

大規模システムへの対応力がある

StrutsはMVCアーキテクチャを活用しており、複雑なビジネスロジックを実装できます、拡張性の高いシステムを構築することもできます。特に、大規模システムでは大量のユーザーアクセスを効率的に処理する能力が活かされます。

Strutsを採用するデメリット

Strutsには、過去の脆弱性問題や他の軽量フレームワークとの比較で課題となる点もあります。ここからは、Strutsを採用するデメリットを紹介しましょう。

過去に発生した脆弱性がある

Strutsは過去に脆弱性問題が指摘されており、Struts 2ではOGNLに関するセキュリティホールが発見されました。ただしApacheは顕在化した脆弱性に対して、迅速にバージョンアップ対応を行い脆弱性を修正しています。


過去に脆弱性によって問題がありましたが、最新バージョンのStrutsを利用することで、対処することがデメリットの回避が可能です。詳しくは、次のセクションで紹介します。

他のフレームワークとの比較での課題点がある

Strutsは大規模システムに適していますが、Springなどの軽量でモジュール化されたフレームワークと比較すると、導入や設定がやや複雑です。


また、SpringやPlay Frameworkなどを利用する企業やプロジェクトが増えているため、最新技術への対応や、サポート体制が相対的に弱さを感じる面があります。

6.Strutsの脆弱性とセキュリティ対策

過去、Strutsには多くの脆弱性が報告されています。顕在化した脆弱性によって、システムへの不正アクセスやデータ漏洩など深刻なセキュリティ事故が起こったこともあります。


ここからは、Strutsにおける過去の脆弱性に起因するセキュリティ事故例、脆弱性への対策について紹介しましょう。

Strutsの脆弱性に起因するセキュリティ事故例

2017年3月、Struts2の脆弱性(CVE-2017-5638)が悪用され、多くの企業やシステムにおいて大規模なセキュリティ事故が発生しました。


たとえば東京都の「都税クレジットカードお支払サイト」では67万件以上のカード情報が流出し、住宅金融支援機構でも4万件以上の個人情報が漏洩してしまいました。ジンズでは118万件以上の個人情報が漏洩のリスクにさらされました。

脆弱性への対策

Strutsの脆弱性による被害を防ぐためには、セキュリティパッチの適用と最新バージョンへのアップデートが最も効果的な対策です。2017年3月に起こった大規模なセキュリティ事故においても、セキュリティパッチの適用遅れが原因とされています。


脆弱性が見つかるたびに、Strutsの修正パッチは迅速にリリースされています。適用前の影響確認は重要ですが、できるだけ迅速に適用することでセキュリティ事故を防ぐことができるでしょう。


またセキュリティ設定も重要です。アクセス権限の設定やOGNLの利用制限を行い、セキュアなアプリケーション環境を構築することが推奨されてます。公開されている最新のセキュリティガイドラインを確認し、適切な対応を行いましょう。

7.Strutsを学ぶためのおすすめ学習方法

Strutsを効率的に学ぶにはどうすれば良いでしょうか。ここからは、Strutsを学ぶためのおすすめ学習方法について紹介しましょう。

公式ドキュメントでStrutsを学習する

Strutsで最も信頼できる情報源は公式ドキュメントです。公式ドキュメントには、Strutsの基本的なセットアップから、各種機能の使い方、サンプルコードまで、開発者が知っておくべき内容が網羅されています。


バージョンごとの変更点やアップデート情報も詳しく説明があり、最新のセキュリティパッチや機能改善についても詳しく説明されています。


たとえば、インストール手順や最初のプロジェクトの作成方法を確認したあと、Strutsの設定ファイルやアクションの設定方法など、各種トピックを学んでみましょう。その後、実際にコードを書き慣れていくことで、理論と実践の両面でスキルを高めることが期待できます。


ただし公式ドキュメントは英語なので、英語が苦手な人は翻訳サービスや、日本語で解説しているサイトを参考にしてみてください。

オンライン教材を利用してStrutsを学習する

Strutsを学習するためのオンライン教材が、さまざまなプラットフォームで提供されています。たとえばUdemyでは、実践的な内容を動画で学べるコースが多数提供されています。


Strutsのインストールや初期設定、基本的なアクションとJSPの作成方法、アドバンスな機能まで段階的に学べるコースが揃っています。初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しているので、経験やスキルに合わせて学べるでしょう。


講師が画面上で操作を見せながら解説してくれるコースもあります。質問できるフォーラム機能を利用したり、他の受講者との交流を図ることもできるため、理解を深めやすい環境が整っています。


完了後には修了証を取得できるため、転職などでStrutsの学習履歴を証明する必要がある場合にも役立ちます。

実践形式でStrutsを学習する

Strutsを学ぶには、実践形式で学ぶことが最も効果的です。Strutsを実際に使用してWebアプリケーションを構築してみましょう。たとえば、ログイン認証システムや、データベース連携を使ったCRUDアプリケーションをつくってみると、実務に直結したスキルを身につけることができます。


また、Strutsのオープンソースコミュニティに参加し、実際のプロジェクトに貢献することも有効な学習方法です。オープンソースプロジェクトに参加することで、他の開発者と協力し、リアルな課題に取り組むことが可能です。


GitHubやApacheのリポジトリで公開されているプロジェクトに参加することで、Strutsの実践的な運用方法や、チーム開発での課題解決能力を高めることができるでしょう。

8.Struts6とStrutsの将来性

Strutsは主流のフレームワークとして多くの企業システムで活用されてきました。一方で、技術の進化に伴い、常に更新と改善が求められています。


そんな中、Strut6(Struts2.6系)が登場したことにより、今後も企業システムでの重要な役割を果たすことが期待されています。ここからは、Strut 6の機能や改良点、将来的な展望について紹介しましょう。

Struts 6の新機能と改良点

Struts 6は最新のJava技術を取り入れ、セキュリティとパフォーマンスを向上させたバージョンです。Servlet API 3.1の対応や、OGNLのセキュリティ強化など大きな変更が咥えられました。また、アノテーションのサポートが充実し、設定ファイルに依存することなく直感的なコーディングが可能になっています。

Strutsの将来性

Strutsは企業システムで引き続き重要な役割を担うと考えられています。ただし、SpringやPlay Frameworkなどの強力なライバルも続々と登場しており、ますます競争が激化するでしょう。


Strutsが築いてきた信頼性と安定性から、特に安定稼働が重視されるシステムやプロジェクト、長期運用が前提のシステムで使われ続けるでしょう。そして、クラウド活用、AIの進化、DX促進などに対応した技術革新が進むと予想されます。


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9.まとめ

この記事では「Strutsとは?」という疑問に対して、Strutsの概要や歴史、人気の理由、他のJavaフレームワークとの比較、セキュリティ対策や将来性などにポイントを置いて解説しました。


Strutsは長年の実績があり、大規模システムでの安定性や信頼性が高く評価されています。また、POJOベースのアクションクラスやカスタムタグライブラリなど、開発者にとっても魅力的な機能が多数あります。


この記事を通してStrutsの理解が深まり、今後のプロジェクトでの利用を検討していただければ幸いです。本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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