「組込みソフトウェアの分野で活躍したい」「ハードウェアやIoTデバイスを作る技術者になりたい」とお考えであれば、ETEC(組込み技術者試験制度)の合格に向けて勉強をしてみてはいかがでしょうか。
ETECで組込み技術者に関する知識やスキルを身につけることで、組込み系エンジニアやIoTエンジニアを目指すための基礎が身につくようになり、関連する技術の習得もしやすくなるので非常におすすめです。
今回はETEC(組込み技術者試験制度)に関する基礎知識や詳細情報、ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリット・デメリット、ETEC(組込み技術者試験制度)合格のための参考書の選び方や対策法についてお話しします。
目次
1.ETEC(組込み技術者試験制度)に関する基礎知識
はじめにETEC(組込み技術者試験制度)に関する基礎知識について解説します。
ETEC(組込み技術者試験制度)とは
ETEC(組込み技術者試験制度)とは、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が実施している組込み技術に関する知識やスキルが問われる試験制度です。その他の試験や資格と違い、合格基準はなく、試験の結果がスコアとして数値化され、受験者の技術力を示せるようになっています。
組込みソフトウェア技術者試験は、エントリレベルである組込みソフトウェア技術者試験クラス2と、ミドルレベルである組込みソフトウェア技術者試験クラス1の2段階に分かれており、クラス1に挑戦するためには、クラス2で800点中500点以上のスコアが必要です。
ETECでより良いスコアを獲得するために勉強していくことで、組込みソフトウェア開発に関する基礎が身につき、ソフトウェアとともにハードウェアについても強い人材として成長することができます。
ETECのスコアによる証明で目指せるキャリア
組込みソフトウェアエンジニア
ハードウェアエンジニア
デバイス開発
システムエンジニア(SE)
プロジェクトマネージャー(PM)
上記がETECのスコアによる証明で目指せるキャリアの一例です。ETECは組込みソフトウェアやハードウェアに関するエンジニアとしての知識だけでなく、デバイス開発のプロジェクトに関する知識やシステムエンジニアと同等の開発の上流工程及び下流工程までの流れを学ぶことができるため、異なる技術領域でも目指せるキャリアの選択肢が豊富と言えます。
そのため、エンジニアとしてプロジェクトメンバーで活躍するだけでなく、実務経験を増やし、実績を積み上げていくことで、プロジェクトリーダーのようなキャリアアップを目指すことも可能になるのです。将来的に上位のポジションを得られるようにしたい方、もしくは実績を増やして様々なプロジェクトに参加できるようにしたい方におすすめの試験と言えるでしょう。
ETECの高スコアを狙うことで得られるスキルや能力
組み込みシステムやOSに関する知識
デバイスやハードウェアの知識
プロジェクトマネジメントに関する知識
プログラミング能力
問題発見、問題解決能力
上記がETECの高スコアを狙うことで得られるスキルや能力の一例です。ETECで高いスコアを得るために勉強していくことで、組込みソフトウェアに関する知識を基軸として、プログラミング能力やプロジェクトマネジメント能力、そして問題発見能力や問題解決能力を得られるようになります。
クラス2でプロジェクトメンバーの一員としてソフトウェア面での開発を行うための知識を学び、クラス1でプロジェクトを管理する側のメンバーとして、仕様や設計の基礎や応用を学べるようになっており、将来的なキャリアプランが確立しやすいのが利点です。
技術系のスキルの習得次第で、様々なエンジニアにキャリアチェンジしていけるという意味でもあり、自分自身のその他の強みとなるスキルや興味を持った技術領域に合わせて、柔軟にキャリアの選択肢を増やすことができます。
2.ETEC(組込み技術者試験制度)の詳細情報
次にETEC(組込み技術者試験制度)の詳細情報について解説します。
ETEC(組込み技術者試験制度)の詳細
試験名 | 組込みソフトウェア技術者試験クラス2 | 組込みソフトウェア技術者試験クラス1 |
---|---|---|
試験会場 | ピアソンVUEテストセンターまたはオンライン監督付き試験 ※対応する会場の検索はこちら | |
試験日時 | ピアソンVUEテストセンター ・試験会場ごとに確認する必要あり オンライン試験 ・随時開催 | |
試験時間 | 90分 | 120分 |
出題形式 | 選択式問題 | |
出題数 | 120問 | 90問 |
合格基準 | 合格基準はなくスコア(点数)によるグレードで評価 | |
受検料 | 15,000円 | 20,000円 |
前提資格 | 特になし | ETECクラス2でスコア500点以上 |
試験結果 | ・試験終了後、ディスプレイ上に表示 ・スコアレポートの控えを受験後に受け取り ・約1ヶ月後にETEC証明書が郵送される ・ETECクラス1の受験者は組込みソフトウェア技術者試験証明カードも発行される |
参考元:https://www.jasa.or.jp/etec/ks-200/
上記がETEC(組込み技術者試験制度)の詳細です。高スコアを獲得するために何度か挑戦したい場合、再受験は前回の受験からクラス2の場合、2回目の受験は30日以降、3回目以降の受験は60日以上経過している必要があります。クラス1は2回目以降の受験
前回の受験日から180日以降で受験可能です。
また、正答率がそのままスコアとして反映されること、クラス1、クラス2のいずれも、出題数が多いことから、問題集などを何度も解いて正解できる確率を上げていく必要があります。
単純に合格基準を満たせば良いという試験ではないことに留意し、高いスコアを取るための勉強をするということを意識すると良いでしょう。同時に、問題文の意図するところを着実に理解し、その上で迅速に答えを導き出せるような特訓をするのがおすすめです。
ETEC(組込み技術者試験制度)の出題範囲
・組込みソフトウェア技術者試験クラス2
・技術要素
階層 | 階層2 | スキル項目 |
---|---|---|
プラットフォーム | プロセッサ | MPU、バス、レジスタセット、RISC、CISC、DSP、GPU、MNU、省電力制御、パイプライン、スーパスカラ、割り込み、タイマ/カウンタ、DMA、WDT、キャッシュ等 |
基本ソフトウェア | ROM、RAM、Flashメモリ、メモリインタリーブ、デュアルレポートメモリ、ROM化、ブートローディング、スタートアップルーチン等 | |
支援機能 | 共有ルーチン、システムコールサービス、同期、排他制御、デッドロック、ICE、JTAG、ソフトデバッガ、オシロスコープ、ロジアナ、ログ収集/解析等 |
・開発技術
階層 | スキル項目 |
---|---|
ソフトウェア詳細設計 | 分割、モジュール化、フローチャート、タイミングチャート、UML、状態遷移図、設計ツール、QoS、誤り検出等 |
ソフトウェアコード作成とテスト | レビュー手法、C言語に関すること、コーディング規約、MISRA-C、プログラミング技術、チューニング技術、オブジェクトモジュール、静的解析ツール、カバレッジ、同値分割、ホワイトボックステスト、ドライバ、スタブ、自動化テスト、テストツール等 |
ソフトウェア結合 | テスト環境設計/構築、テストツールの選定、直交表、カバレッジ、自動化テスト等 |
クロス開発技術 | オブジェクトファイルフォーマット、PIC、リロケータブルファイル、コードチューニング等 |
・管理技術
階層 | スキル項目 |
---|---|
品質マネジメント | 品質特性、ソフトウェアメトリクス等 |
構成管理・変更管理 | 構成管理の目的等 |
・通信
階層 | スキル項目 |
---|---|
有線通信 | CAN、TCP/IP、USB、IEEE1394、IEEE488、VXI、RS-232C、RS485等 |
無線通信 | Bluetooth、IrDA、RFID、IEEE802、CDMA等 |
引用元:https://www.jasa.or.jp/etec/ks-200/
上記が組込みソフトウェア技術者試験クラス2の出題範囲です。組込みソフトウェア技術者としてプロジェクトや開発に関わるための知識やスキルが聞きたい範囲になっています。90分で120問に回答していく必要があることを考えると、出題範囲を網羅的に理解する必要があるため、かなりの勉強時間が必要になるということは留意しておく必要があるでしょう。
技術要素としてはソフトウェアとハードウェアの両方の理論的な知識が網羅されていることもあり、電子回路や物理的なデバイスに関する知識も必要となります。また、C言語についても言及があることから、プログラミングの基礎についても学んでおくことが求められるでしょう。
合格基準はない試験であるものの、クラス1に挑戦するためにはクラス2で500点以上のスコアを得なければならないことを忘れず、より早くより正確に答えられるように準備しておくことをおすすめします。
・組込みソフトウェア技術者試験クラス1
カテゴリー | プロパティ | 概要 |
---|---|---|
1.分析力 | 仕様・設計の分析に関する問題 | ・要求定義 与えられた仕様をに対して必要な機能、非機能、制約条件をリストアップする問題 ・構造設計 与えられた仕様から機能・非機能を実現するためのシステム構造を考える問題 ・制約・非機能要件設計 与えられた仕様から関連する技術要素を見抜く問題 ・システム検証 与えられた仕様からシステム検証条件をリストアップする問題 |
2.理解・表現 | 仕様・設計並びに管理の表現、理解に関する問題 | ・要求定義 与えられた仕様、設計の意図を理解する問題 ・システム方式設計 与えられた仕様、設計の誤りを指摘する問題 与えられた情報から仕様・設計情報を完成させる問題 与えられた設計・実装の実行時の危険性、誤りを指摘する問題 ・設計検証 与えられた情報から検証情報を完成する問題 ・プロジェクトマネジメント 開発計画の立案および妥当性を確認する問題 |
3.知識 | 上記の知識を問う問題 | ・システム要求分析 要求の獲得と調整、システム分析と要求定義、システム分析と要求定義のビュー、管理(横断技術) ・システム方式設計 ハードウェアとソフトウェア間の機能および性能分担の決定、実現可能性の検証とデザインレビュー ・ソフトウェア要求分析 ソフトウェア要求事項の定義、ソフトウェア要求事項の評価・レビュー ・ソフトウェア方式設計 ソフトウェア構造の決定、ソフトウェア構造のデザインレビュー ・システム結合 テスト項目抽出とテスト手順の決定およびレビュー、システム結合テストの実施 ・システム適格性確認テスト システム適格性確認テストの準備とレビュー、システム適格性確認テストの実施 ・プロジェクトマネジメント 品質マネジメント(Q)、コストマネジメント(C)、タイムマネジメント(D)、リスクマネジメント ・ビジネススキル 知財、標準化、製品戦略、マーケティング基礎 |
引用元:https://www.jasa.or.jp/etec/ks-100/
上記が組込みソフトウェア技術者試験クラス1の出題範囲です。クラス2が組み込みソフトウェアの基礎的な知識を網羅していることに対し、クラス1ではプロジェクトマネジメントを中心とした内容となっています。そのため、ソフトウェアやハードウェアについては得意としているものの、管理などについては苦手という方には非常に難易度が高いです。
また、出題範囲の内容的にシステムエンジニアの上流工程担当者とほぼ同等の知識が求められることもあり、プロジェクトについての深い理解が必要であることも忘れてはなりません。クラス1で高スコアを得られるようになればなるほど、プロジェクトのより深く、より高い立ち位置を得られる可能性があることから、エンジニアの領域で活躍したい場合は綿密な勉強計画によって正答率を上げていくことが必要になるでしょう。
ETEC(組込み技術者試験制度)の受験者の平均成績
・ETEC組込みソフトウェア技術者試験クラス2(ks-200)成績平均
ET経験年数 | 平均スコア | GradeA | GradeB | GradeC |
---|---|---|---|---|
無し | 401点 | 9% | 40% | 51% |
1〜3年 | 442点 | 10% | 61% | 30% |
4〜5年 | 478点 | 18% | 68% | 13% |
6〜9年 | 482点 | 16% | 76% | 9% |
10〜19年 | 501点 | 27% | 65% | 7% |
引用元:https://www.jasa.or.jp/dl/etec/ETEC2_statistical_data.pdf
・ETEC組込みソフトウェア技術者試験クラス1(ks-100)成績平均
ET経験年数 | 構成比 | GradeA | GradeB | GradeC | Grade無し |
---|---|---|---|---|---|
1〜3年 | 8% | 0% | 18% | 54% | 28% |
4〜5年 | 7% | 3% | 32% | 46% | 19% |
6〜9年 | 19% | 1% | 26% | 35% | 38% |
10〜19年 | 51% | 2% | 31% | 43% | 24% |
引用元:https://www.jasa.or.jp/dl/etec/ETEC1_statistical_data.pdf
上記がETEC(組込み技術者試験制度)の2017年8⽉〜2020年3⽉末までの受験者の平均成績です。受験者数は公開されておらず、スコアによる評価の試験のため合格率は存在しません。
クラス2の平均スコアにおいて、クラス1に挑戦するための500点以上を満たすのが経験年数が10年から19年以上の方となっており、クラス2で500点以上を取るのは難易度が高いことが伺えます。
クラス1の場合は当然クラス2で500点以上のスコアを獲得されている方が対象となっているものの、GradeAを取得されている方が非常に少ないことを考えると、ある程度の経験年数がある方でもクラス1は相当な難易度であることが推測できるでしょう。
ETEC(組込み技術者試験制度)の申し込み手順
ピアソンVUEでETECアカウントを作成
受験場所の選択
受験チケット事前購入または試験予約
クレジットカード、コンビニ決済、振込決済のいずれかで支払い
本人確認書類を持参して、指定した日時に受験
上記がETEC(組込み技術者試験制度)の申し込み手順です。過去にピアソンVUEで何らかの試験を受験したことがある場合においても、ETECへの調整が初めてであれば、ETEC専用のアカウントを作成する必要があります。
組込みソフトウェア技術者試験クラス1の場合は受験当日にテストセンターで組込みソフトウェア技術者試験証明カードに載せるための顔写真の撮影がある点に注意しましょう。
ETEC(組込み技術者試験制度)の有効期限
ETEC(組込み技術者試験制度)は合否が問われる試験ではなく、スコアによるグレードが証明される試験のため有効期限はありません。ただし、時間の経過によって技術のアップデートや進歩があること、同時に自分自身の実力が向上していることも考えられることから、同じ領域で働いていく場合は定期的に受験してみても良いでしょう。
実務経験を得られるようになれば、経験と知識が結びつくようになり、さらに高いスコアを得られる可能性があるのが理由です。同様に自分のアピールポイントとして強みにしたい場合においても、一度の受験で満足せず、さらに高いスコアを狙って、技術者としての実力を示せるように何度か調整するのも、自分自身の成長のためにおすすめと言えます。
ETEC(組込み技術者試験制度)の難易度・勉強時間
ETEC(組込み技術者試験制度)の難易度と勉強時間については、受験される方の組込みソフトウェアも含めて、IT技術の領域における知識量や経験によって大きく異なります。
クラス2の出題範囲を前提とした場合、試験の難易度は、幅広い基礎知識と技術力を要求する点で、中級レベルに位置すると言えます。特に、組込みシステム特有のリアルタイム処理やハードウェア制御など、IT一般の知識だけでは対応できない分野が含まれており、これが難易度を高めています。勉強時間についてはおおよそですが未経験の方で200時間から300時間程度、実務経験のある方でも100時間から200時間程度必要となるでしょう。
クラス1の出題範囲を前提とした場合、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の実施しているエンベデッドシステムスペシャリスト試験と同程度かそれ以上の難易度が推測されます。
その理由として、ETEC(組込み技術者試験制度)クラス1は組込みソフトウェア全般にわたる高度な技術力、設計力、そして実務的な応用力を求め、特にリアルタイムシステムやハードウェアに精通していることが前提となっています。
一方、エンベデッドシステムスペシャリスト試験は組込み開発だけでなく、プロジェクト全体の設計や管理、またはシステム全体の最適化を含む知識が必要です。
これにより、エンベデッドシステムスペシャリスト試験はより広範で総合的なITスキルも要求されるため上記のような推測をしています。
勉強時間についてはおおよそですが未経験の方でクラス2に合格していることを前提として200時間から300時間、実務経験がある方でもプロジェクトマネジメントに関する知識に疎い場合は同じように200時間から300時間が見込めます。実務経験があり、さらにプロジェクトに参画、もしくはプロジェクトのチームリーダーや管理に携わった方で100時間から200時間程度の勉強時間が必要になるでしょう。
ただし、技術的な領域は似ているものの出題されている分野などが異なるため、難易度や勉強時間はあくまでも目安としてください。また、スコアによる評価を行う試験でもあることから、合格を目指すというよりも高スコアを獲得するための勉強となることもあり、理解度を高めるためにさらに多くの時間が必要となることも知っておきましょう。
3.ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリット
次にETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリットについて解説します。
組込み技術者としての知識やスキルが身につく
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリットとして、組込み技術者としての知識やスキルが身につくことが挙げられます。未経験の方であれば実務経験を得るためのチャンスが得られる可能性も高まりますし、経験者の場合は自分自身の実力をスコアで証明することができるというメリットです。
さらに実力のある技術者として、実績や実務経験を増やすことができるようになれば、新しいプロジェクトへの参画もしやすくなりますし、実務経験が積み上がった時に改めて試験に挑戦してスコアを分けていくことで、技術者としての成長を着実に高めていくこともできるようになるでしょう。
キャリアチェンジやキャリアアップの選択肢が増える
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリットとして、キャリアチェンジやキャリアアップの選択肢が増えることが挙げられます。組込みソフトウェアの領域だけでなく、ハードウェアやデバイスの開発、さらにはシステムエンジニア(SE)、プロジェクトそのものを導くプロジェクトマネージャー(PM)の道も期待できるようになるのが理由です。
ETECの出題範囲は技術領域が広いためにキャリアチェンジがしやすいという意味でもあり、仕様や設計、プロジェクトマネジメントなども学べることでキャリアアップに繋がりやすくなります。また、システム開発やプロジェクトマネジメントの能力は汎用性が高いため、エンジニアとしてだけではなく別の業界や業種でも活躍できる可能性があるでしょう。
C言語やLinux技術を習得しやすくなる
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリットとして、C言語やLinux技術を習得しやすくなることが挙げられます。組込みソフトウェア技術はC言語やLinuxと相性がよく、技術的な知識の基盤が整うことで、単体で学ぶよりも技術を理解しやすいのが理由です。
その他にもプログラミングやIoT技術についても知識を増やしやすくなるため、エンジニア領域で様々な可能性を広げていくこともメリットと言えるでしょう。自分自身の興味関心に合わせて、知識やスキルを増やし、そして強化していくことで、成長できる可能性がどんどん増えるのも魅力と言えます。
4.ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のデメリット
次にETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のデメリットについて解説します。
資格取得のための勉強時間や金銭的なコストが必要
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のデメリットとして、資格取得のための勉強時間や金銭的なコストが必要なことが挙げられます。クラス2の時点で出題範囲がとても広いこと、クラス1の場合はシステム開発とプロジェクトマネジメントについても学ぶ必要があるのが理由です。
また、高スコアを狙いたい場合は何度か受験する必要があること、そして正答率を高めるためには参考書や技術書などを購入する必要があるのもコストが高くなってしまう理由と言えます。ただし、これらのコストはスコアによる評価で新しいキャリアを形成するために必要であることから、時間や費用を惜しむよりも、積極的に自己投資をして成長していこうという姿勢を持つ方が大切です。
実務に必要なプログラミングなどは別に学ぶ必要がある
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のデメリットとして、実務に必要なプログラミングなどは別に学ぶ必要があることが挙げられます。試験自体は直接的にプログラミングは必要ではないものの、求人や案件への応募の際にプログラミングができるかどうかは採用の可否に関係するのが理由です。
ETECに挑戦するために勉強する中で、関連している技術領域についても少しずつ学んでいくこと、高いスコアを獲得するのも重要ではありますが、知識を得る中で認知できた技術についても身につけていくことをおすすめします。
あくまでも知識の証明であり、実務経験の代替にはならない
ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のデメリットとして、あくまでも知識の証明であり、実務経験の代替にはならないことが挙げられます。すでに実務経験がある方であれば実力の証明にはなるものの、未経験者の場合は資格の取得だけでは実務経験者との差を埋められないという意味です。
ただし、誰もが初めは未経験者であることから、ETECに挑戦して自分自身のスコアを提示できるようになり、実務経験ができる機会を得られるということは忘れてはなりません。どの業界においても言えることですが、経験者の採用も重要ではあるものの、しっかりとした知識があり、未経験でも業界に興味を持っている方も採用されるということも知っておきましょう。
5.ETEC(組込み技術者試験制度)でスコアアップするための参考書の選び方や対策法
次にETEC(組込み技術者試験制度)合格のための参考書の選び方や対策法について解説します。
公式ページで紹介されている参考書籍から選ぶ
ETEC(組込み技術者試験制度)でスコアアップを狙うためにも、まずは公式ページで紹介されている参考書籍から選ぶことをおすすめします。また、同じ技術領域の検定試験である半導体技術者検定やエンベデッドシステムスペシャリスト試験の参考書や書籍もスコアアップに役立つでしょう。
同時に問題集をいくつか購入し、問題を解くスピードを上げていくこと、そして正答率を上げていくことを前提とした勉強をすることをおすすめします。その他、関係する技術領域の技術書や書籍を購入する場合、文章などが自分自身と相性が良いかどうか、理解しやすい説明をしているかどうかを基準にしましょう。気に入った書籍が見つかったら著者を調べて、他に関連する技術書を執筆していないかチェックし購入すると、理解度を高めながら書籍に関する金銭的なコストの削減にもつながります。
paizaラーニングなどでプログラミングの基礎を学ぶ
ETEC(組込み技術者試験制度)のスコアアップに向けて、paizaラーニングなどでプログラミングの基礎を学ぶのもおすすめです。ソフトウェア開発に関する基礎としてもプログラミングに関する知識は重要であることが理由であり、ある程度は学んでおいた方が参考書の内容や問題文の文章を読み解きやすくなるでしょう。
もし、IT技術の基礎が身についていないことで基本的な文章も読み解けないような場合は、IPAの実施しているITパスポートや基本情報技術者試験の参考書を利用してみましょう。専門的な用語や技術の仕組みがわからない場合は、基礎の基礎から学ぶようなつもりで、簡単なところから理解を進めていくと、徐々に難しいこともわかるようになってきます。
ArduinoやRaspberry Piなどに触れてみるのもおすすめ
ETEC(組込み技術者試験制度)のスコアアップのために勉強していて、物理的なデバイスへの興味関心が高まった場合、もしくはハードウェアの説明を見ていても理解が進まない場合、ArduinoやRaspberry Piなどに触れてみるのもおすすめです。
ArduinoやRaspberry Piは子供向けのシングルボードコンピューターのようなイメージがありますが、大人でも十分に学ぶことがたくさんあるデバイスとして非常に優秀ですし、子供でも理解ができるようなドキュメントや情報がオンライン上に溢れていますのでデバイスやハードウェアに関する理解がしやすくなります。
簡単なもので言えばLEDを光らせるLチカに挑戦することで、C言語やPythonの基本を学ぶことができますし、Raspberry PiであればLinuxのインストールや基本的な使い方も体験できるようになりますので、知識や理論だけでは理解が進まない時は、物理的なデバイスに触れてみることも大事だと覚えておいてください。
関連記事
Web系・業務系・組み込み系とは?特徴と違い、IT業界の将来性をわかりやすく解説
6.まとめ
今回はETEC(組込み技術者試験制度)に関する基礎知識や詳細情報、ETEC(組込み技術者試験制度)の資格取得のメリット・デメリット、ETEC(組込み技術者試験制度)合格のための参考書の選び方や対策法についてお話ししました。
ETEC(組込み技術者試験制度)はハードウェアやデバイスの開発に関連する業界や業種および職種を目指す方にとって、大切な基礎を学べること、スコアによって自分自身の実力が可視化されることが大きな利点と言えます。ハードウェアとソフトウェアの両方に強いエンジニアになりたいとお考えであれば、合格に向けて勉強を頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。