「数学が得意で統計に興味がある」「統計について学んでデータに強くなりたい」とお考えであれば、統計検定の合格に向けて勉強してみてはいかがでしょうか。
統計に関する知識やスキルは幅広い業界や業種及び職種で役立つこと、その他のスキルと相性も良いことから実力として身につけることで将来的に役立つのは間違いありません。
今回は統計検定に関する基礎知識や詳細情報、統計検定の資格取得のメリット・デメリット、統計検定合格のための参考書の選び方や対策法についてお話しします。
目次
1.統計検定に関する基礎知識
はじめに統計検定に関する基礎知識について解説します。
統計検定とは
統計検定とは、一般財団法人 統計質保証推進協会が実施している統計に関する知識やスキルが問われる検定試験です。統計について簡単に説明すると、新しくデータを収集、もしくは既存のデータを整理して様々な手法によって分析し、その結果を客観的に判断し、データを基軸とした根拠に基づいて科学的に問題を解決していくこと、もしくは結果から何らかの意味を導き出して価値を生み出すことと言えます。
現在の情報化社会においては、日々膨大な量のデータが生じており、同時に情報の収集を行うことでしか得られないデータもあることから、統計によって現実世界の情報を数値化するためにも必要な学問でもあるのです。
そのため、統計について学ぶことは何らかのデータが生じる場所で役立つ汎用性の高いスキルが身につくという意味でもあり、データや数字に基づいた問題の発見や解決ができる人材として評価されやすくなります。
統計検定の合格で目指せるキャリア
データサイエンティスト
データアナリスト
コンサルタント
研究者
マーケティング及び営業
データベースエンジニア
上記が統計検定の合格で目指せるキャリアの一例です。業界や業種にことに必要とされる職種の一例でもあるため、自分自身の今までの経験などによって目指せる分野はさらに広がっていくでしょう。
同様に身につけている知識やスキルと統計に関する知識やスキルを組み合わせていくことで、データに強い人材としてさらなる評価を得られる可能性があります。データドリブン社会と呼ばれる現代において必要とされる人材になれるという意味でもあり、自分自身の判断においても統計のスキルは役立っていくでしょう。
「統計検定 意味ない」と言われる理由
統計検定に関する情報を収集していると、「統計検定 意味ない」というサジェストキーワードを見かけることがあるかもしれません。統計検定が国家資格ではなく民間資格であること、認可や許可のための資格ではないことが理由として推測されます。
しかし、統計検定の合格に向けて勉強していくことは決して無駄になることはありません。統計について強くなることはデータに強くなるという意味でもあるため、業界や業種問わず強みとなるスキルになるからです。統計について学び、同時に自分に興味のある知識と結びつけていくことで、自分自身の成長とともに市場価値の向上につながるということを覚えておきましょう。
2.統計検定の詳細情報
次に統計検定の詳細情報について解説します。
統計検定の詳細(1級以外共通)
試験名 | 統計検定(1級以外共通) |
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試験会場 試験日時 | 全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター ※試験会場と日時はこちらから検索して確認 |
試験形式 | CBT(Computer Based Testing)方式 |
前提資格 | 特になし |
試験結果 | 試験終了後、ディスプレイ上に表示 |
上記が統計検定の1級以外に共通する試験の詳細です。1級以外はCBT方式で受験する形になっており、テストセンターのパソコンで試験を行います。また、統計検定は種別が非常に豊富ではあるものの、どの試験においても前提として必要な資格は設定されていないのも特徴です。
そのため、過去問題に挑戦して自分自身が理解している種別においてはスキップして、実力を示せる種別から挑戦するといったこともできます。同様にデータサイエンスの分野のみ、もしくは統計調査士の分野のみ挑戦ということもできますので、自分自身のスキルセットに何が必要か判断して受験する種別を選ぶと良いでしょう。
統計検定の種別ごとの試験詳細
次に統計検定の種別ごとの試験詳細について解説します。出題範囲については主に大項目のみを引用しているため、限定種別ごとの参考元のページに掲載されている出題範囲のPDFを参照して、細かい出題範囲をチェックしてください。
1級以外のCBT試験における学割については、こちらのページにある「学割価格の対象となる学生」の項目をご参照願います。
・統計検定 4級
試験名 | 統計検定 4級 |
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出題形式 | 4~5肢選択問題 |
試験時間 | 60分 |
出題数 | 30問程度 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:5,000円 学割価格:3,500円 |
出題範囲 | 統計的問題解決の方法 データの種類 標本調査 統計グラフ データの集計 データの要約 クロス集計表(2次元の度数分布表) 時間的・空間的データ 確率の基礎 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade4/
上記が統計検定 4級の試験詳細です。統計検定の4級は統計の基礎であるデータの見方や読み方、グラフの種類、表などデータの種類や確率などの問題が出題されます。数学が苦手な方や初めて統計を学ぶ方におすすめの種別と言えるでしょう。
・統計検定 3級
試験名 | 統計検定 3級 |
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出題形式 | 4~5肢選択問題 |
試験時間 | 60分 |
出題数 | 30問程度 |
合格基準 | 100点満点で、65点以上 |
受検料 | 一般価格:6,000円 学割価格:4,000円 |
出題範囲 | データの種類 標本調査 実験 統計グラフ データの集計 時系列データ データの代表値 データの散らばり 相関と回帰 確率 確率分布 統計的な推測 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade3/
上記が統計検定 3級の試験詳細です。統計検定の3級は4級よりもさらに一歩踏み込んだデータの種類、手法、グラフ、相関と回帰、確率や確率分布などの難しい用語が出てくる種別になっています。さらに上の種別での合格を目指すためにも、難なく合格できるように勉強していくと良いでしょう。
・統計検定 2級
試験名 | 統計検定 2級 |
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出題形式 | 4~5肢選択問題 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 35問程度 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:7,000円 学割価格:5,000円 |
出題範囲 | データソース データの分布 1変数データ 2変数以上のデータ データの活用 推測のためのデータ収集法 確率モデルの導入 推測 線形モデル 活用 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade2/
上記が統計検定 2級の試験詳細です。統計検定2級は4級と3級の内容を理解している上で、さらに難しい内容が含まれるようになっています。内容的には大学の基礎課程で学ぶレベルになっていることから、この時点で数学などが苦手という方は学び直してみても良いでしょう。
・統計検定 準1級
試験名 | 統計検定 準1級 |
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出題形式 | 5肢選択問題、数値入力問題 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 25問~30問 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:8,000円 学割価格:6,000円 |
出題範囲 | 確率と確率変数 種々の確率分布 統計的推測(推定) 統計的推測(検定) マルコフ連鎖と確率過程の基礎 回帰分析 分散分析と実験計画法 標本調査法 多変量解析 時系列解析 分割表 欠測値 モデル選択 ベイズ法 シミュレーション 計算多用手法 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade1semi/
上記が統計検定 準1級の試験詳細です。2級までの知識やスキルを備えていることを前提とし、大学で統計学の基礎と応用を学ぶレベルと同等の難しさになっています。専門的に学んでいない場合はかなり難易度が高くなること、そして数値入力問題があるため自分自身で計算する必要があることから、基礎を固めるとともに、過去問題や問題集を紐解いて正解を導き出せるような勉強することが求められるでしょう。
・統計検定 1級
試験名 | 統計検定 1級 |
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試験会場 試験日時 | 札幌、東京23区内、立川、名古屋、大阪地域、福岡地域 2024年11月17日(日) 受付期間:2024年9月4日(水)10:00~2024年10月4日(金)15:00 |
試験形式 | PBT(Paper Based Testing)方式 |
出題形式 | 論述式 |
試験時間 | 「統計数理」 90分(午前) 「統計応用」 90分(午後) |
出題数 | 「統計数理」 5問出題され、受験時に3問選択 「統計応用」 下記の4つの分野があり、申込時点で1分野を選択 ・人文科学 ・社会科学 ・理工学 ・医薬生物学 その他、各分野5問出題され、受験時に3問選択 |
合否判定 | 「統計数理」、「統計応用」それぞれの試験ごとに合否を決定 |
受検料 | 統計検定1級「統計数理」:6,000円 統計検定1級「統計応用」:6,000円 ※同時受験の場合は10,000円 |
合格基準 | 「統計数理」および「統計応用(少なくとも1分野)」の合格 |
試験結果 | 2024年12月中旬に掲載 2025年1月上〜中旬に、試験結果通知書、合格者には合格証を発送 |
出題範囲 | 確率と確率変数 種々の確率分布 統計的推測(推定) 統計的推測(検定) データ解析法の考え方と各種分析手法 共通した事項 人文科学分野 社会科学分野 理工学分野 医薬生物学分野 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade1/
上記が統計検定 1級の試験詳細です。統計検定系は大学の専門課程における3、4年で学ぶレベルの難しさになっています。午前と午後の2種類の試験に合格する必要があり、どちらも論述式であることから、試験としての難易度も相当高いことが見込まれます。
そのため、基礎を固めるだけでなく、応用力や統計のあり方など考え方についても学んでおき、同時に過去問や問題集でどのような答えがされているのかをチェックした上で、自分自身で論述できるように訓練しておく必要があるでしょう。
・統計検定 統計調査士
試験名 | 統計検定 統計調査士 |
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出題形式 | 5肢選択問題 |
試験時間 | 60分 |
出題数 | 30問 |
合格基準 | 100点満点で、70点以上 |
受検料 | 一般価格:7,000円 学割価格:5,000円 |
出題範囲 | 統計の基本 ・統計の意義と役割 ・統計法規 統計調査の実際 ・統計調査の基本的知識 ・統計調査員の役割・業務 公的統計の見方と利用 ・統計の見方 ・統計データの利活用 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/tyousa/
上記が統計検定 統計調査士の試験詳細です。統計調査士は統計検定3級程度の知識に加えて、社会人として目にすることもある公的な統計情報などに関する一般的な理解が求められる内容になっています。統計の基本や統計調査に関すること、公的統計の見方や活用など、現実的なデータの取り扱い方をしっかりと学んでおく必要があるでしょう。
・統計検定 専門統計調査士
試験名 | 統計検定 専門統計調査士 |
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出題形式 | 5肢選択問題 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 40問 |
合格基準 | 100点満点で、65点以上 |
受検料 | 一般価格:10,000円 学割価格:8,000円 |
出題範囲 | 調査企画 調査票作成 標本設計と結果の推計 データの整理 調査の種類と特徴 調査手法 ・訪問調査 ・郵送調査 ・電話調査 ・インターネット調査 ・装置設置型調査 ・視聴率調査 ・スキャン調査 ・定点(観測)調査 ・パネル調査 データ利活用の手法 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/senmontyousa/
上記が統計検定 専門統計調査士の試験詳細です。専門統計調査士は統計検定の2級程度の知識に加えて、公的なデータを作成するために必要な基礎および方法に関する理解が求められます。また、統計調査士と専門統計調査士の両方に合格することで、「専門統計調査士の認定証」になっているため、アピールポイントを増やしたい場合は両方の合格を目指してみると良いでしょう。
・統計検定 データサイエンス基礎(DS基礎)
試験名 | 統計検定 データサイエンス基礎(DS基礎) |
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出題形式 | コンピュータ上で表計算ソフトExcelを使って処理した結果を基に、多肢選択や数値・文字入力で問題に答える形式 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 大問8題(大問1題当たり小問5問程度)、合計小問45問程度 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:7,000円 学割価格:5,000円 |
出題範囲 | データベース・データマネジメント データの可視化 質的データの分析 量的データの分析 確率による意思決定 時系列データの分析 テキストマイニング |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade11/
上記が統計検定 データサイエンス基礎(DS基礎)の試験詳細です。データサイエンス基礎の試験においては、データを取り扱うための知識やスキルが求められるようになっています。Excelを利用したり、数字や文字を入力する方式であるため、理論だけではなく実際にソフトウェアを扱って勉強する必要があるでしょう。他の試験と同様に過去問題や問題集に挑戦すること、ExcelやGoogleスプレッドシートなどを利用して表計算ソフトに触れておくことをおすすめします。
・統計検定 データサイエンス発展(DS発展)
試験名 | 統計検定 データサイエンス発展(DS発展) |
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出題形式 | 多肢選択問題、数値入力問題 |
試験時間 | 60分 |
出題数 | 30問程度 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:6,000円 学割価格:4,000円 |
出題範囲 | 社会におけるデータ・AI利活用 データ・AI利活用における留意事項 データリテラシー 数理基礎 デジタル情報とコンピュータの仕組み アルゴリズム基礎 データ構造とプログラミング基礎(主にPython) データハンドリング データ取得とオープンデータ 確率と確率分布 統計的推測 種々のデータ解析 データ活用実践 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade12/
上記が統計検定 データサイエンス発展(DS発展)の試験詳細です。データサイエンス発展の試験は、データサイエンス基礎に加えて、大学で学ぶ教養と同じレベルの統計やデータに関する知識が求められます。数値入力問題があるため、自分自身で答えを出す必要があること、出題範囲にAIやデータリテラシー、デジタル情報とコンピューターの仕組みなども含まれていることから、IT技術領域についても学ぶ必要があるでしょう。IT技術について疎い場合はIPAの実施するITパスポートの参考書などを読み解いて基礎を固めてみてください。
・統計検定 データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
試験名 | 統計検定 データサイエンスエキスパート(DSエキスパート) |
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出題形式 | 多肢選択問題、数値入力問題 |
試験時間 | 90分 |
出題数 | 40問程度 |
合格基準 | 100点満点で、60点以上 |
受検料 | 一般価格:8,000円 学割価格:6,000円 |
出題範囲 | 統計基礎 数学基礎 計算基礎 モデリング・AIと評価 |
参考元:https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade13/
上記が統計検定 データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)の試験詳細です。データサイエンスエキスパートは専門的な大学で計算やモデリング、統計や領域知識を学んだレベルと同程度の内容が含まれています。
統計検定のみの知識だけでは通用しない可能性もあるため、統計検定向けの参考書だけでなく、大学で利用されているような専門書や参考書なども必要になる可能性があるでしょう。まずは過去問題や問題集を紐解いて、どのような分野の知識が必要なのかを把握し、その上で足りない部分を補完していくような勉強をするのがおすすめです。
統計検定の受験者数・合格率
統計検定の2023年度の受験者数については、1級以外の検定種別の合計で24,981人、1級「統計数理」が993人、1級「統計応用」が918人と公表されています。
検定種別 | 合格率 |
---|---|
4級 | 81.8% |
3級 | 53.9% |
2級 | 49.1% |
準1級 | 35.3% |
1級「統計数理」 | 22.5% |
1級「統計応用」 | 23.3% |
統計調査士 | 64.4% |
専門統計調査士 | 71.7% |
DS基礎 | 62.3% |
DS発展 | 64.6% |
DSエキスパート | 30.0% |
上記が統計検定の2023年度における合格率です。合格率が50%を下回る2級あたりから難易度が高くなっていることが推測され、DSエキスパートも30%とかなり難しいことが予測されます。統計について初めて学ぶ場合は4級から挑戦して基礎を身につけ、段階的に上の級を目指していくと良いでしょう。
データサイエンスやエンジニア領域で統計の知識やスキルを身につけたい場合は、並行してDS(データサイエンス)の検定の出題範囲も学んでいき、基礎から順々に合格を目指していくと効率的であると同時に、自分自身の成長が実感できるのでおすすめです。
統計検定の申し込み手順
上記が統計検定の1級以外共通の申し込み手順です。1級の場合はPBT方式の試験であり、公式サイトから直接申し込む必要があるので注意しましょう。
また所持品として電卓の持ち込みが必要とされています。1級の場合はペーパーテストであるため、筆記用具が必要なことも覚えておいてください。その他の所持品については受験される種別ごとのページをチェックして確認しましょう。
統計検定の有効期限
統計検定は全種別において有効期限は設定されておりません。ただし、検定試験自体の更新やアップデートは行われていること、検定に関する知識や常識も変化していくことを考えると、統計に関する情報収集を行い自分自身で知識のアップデートをしていくことは必要と言えるでしょう。
また、統計検定は種類が豊富であるため、時間をかけて段階的に受験していく形で自分自身を成長させていくことにも役立ちます。まずは自分に適する級を調べ、1級までの合格を目指し、その他のデータサイエンスの分野などにも挑戦していくことで、統計とともにデータ分析や解析のスペシャリストとしての実力が身についていくでしょう。
統計検定の難易度
統計検定の難易度は、受験される方の統計や算数及び数学に関する実力によって大きく異なります。統計検定の1級を所持している最年少の方は、2種類ある統計検定1級の試験に中学3年の時と高校1年生の時に合格していることもあり、統計検定は実務経験や年齢はほぼ関係ないと見て間違いありません。
2023年度の統計検定1級の合格率は「統計数理」が22.5%、「統計応用」が23.3%と低く、準1級の合格率も35.3%にとどまっています。試験範囲は確率・統計やデータ解析に及び、数検やQC検定(品質管理検定)と比べても広範囲かつ深い理解が必要とされ、合格には相当の努力が求められます。こうした難度の高さは、統計の理論と実践両面での知識とスキルが試される点に起因しています。
ただし、合格のためにそれ相応の努力した結果であることが推測されるため、どれだけ集中して勉強できるか、理解するだけでなく計算によって正しい答えを導き出せるかといった部分で受験者ごとに難易度が異なってくるでしょう。
また、統計検定準1級、もしくはデータサイエンス分野の種別においては、選択式問題に加えて数値入力問題があり、1級は論述式の問題のみになっているため、答えを自分自身で記述しなければならないという部分で、さらに難易度が高いということも覚えておいてください。
統計検定の勉強時間
統計検定の勉強時間については、4級から挑戦して基礎を学びながら、1級の合格を目指すのに出題範囲や難易度で推測すると、おおよそではありますが100時間から500時間程度、統計も含めて数学の基礎的な実力によって異なります。
専門分野ごとの種別においては、検定試験の2級か準1級に合格している状態で、50時間から150時間程度が推測されます。ただし、専門分野ごとの出題範囲には統計に関連する技術的なものも含まれる場合もあり、時計は得意だが技術的な部分が苦手という場合は勉強時間は伸びるかもしれません。
勉強時間については算数や数学の得手不得手や興味関心の大きさによっても大きく異なることから、あくまでも目安としておき、まずは過去問題などを解いて自分自身がどの級から挑戦すれば良いかを確認して、その上で余裕を持った勉強計画を立てると良いでしょう。
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3.統計検定の資格取得のメリット
次に統計検定の資格取得のメリットについて解説します。
統計に関する知識やスキルを段階的に身につけられる
統計検定の資格取得のメリットとして、統計に関する知識やスキルを段階的に身につけられることが挙げられます。特に統計検定は4級から1級の他、データサイエンスや統計調査士などの種別もあるため、少しずつ学ぶことで統計とともにデータに強くなることができるのが理由です。
もともと数学や統計について興味のある方に加えて、統計について学んでデータ関連の強みを持ちたい方にもおすすめの検定試験であり、4級から挑戦していくことで合格を実感しながら、自分自身の成長につなげていくことができるのも魅力と言えるでしょう。
統計に関連する知識は相性の良いスキルが多い
統計検定の資格取得のメリットとして、統計に関連する知識は相性の良いスキルが多いことが挙げられます。エンジニア領域のスキルやマーケティング関連とも相性が良いですし、商品やサービスの開発、顧客満足度や従業員満足度の向上、その他も市場調査なども含めて、データに関連するスキルや業務に役立つということです。
そのため、自分自身が今までの経験やキャリアで得た知識やスキル、もしくはこれから身につけたいスキルとも相性が良いということでもあり、将来的なキャリア形成の土台になるのも大きなメリットと言えます。同様に自分自身がデータに基づいて判断できるようになること、普段目にする様々な情報から自分自身に有利な情報を得ることができるのも大きなメリットです。
キャリアチェンジやキャリアアップを実現しやすい
統計検定の資格取得のメリットとして、キャリアチェンジやキャリアアップを実現しやすいことが挙げられます。前述したように統計と相性の良いスキルが多いということは、様々な業界や業種へのキャリアチェンジもしやすく、同じ業界でのキャリアアップにもつながるのが理由です。
情報化社会である現在においても、まだまだデータを活用しきれていない業界や業種及び企業はあるため、コミュニケーション能力を高めることでコンサルティング業務なども担うことができれば、柔軟な働き方も手に入る可能性があります。その他にも公的なデータを活用したり、ビッグデータなどを扱えるようになったりすることでデータサイエンスなどの領域において結果を出すこともできるようになるでしょう。
4.統計検定の資格取得のデメリット
次に統計検定の資格取得のデメリットについて解説します。
合格のために必要な勉強時間や費用のコストが大きい
統計検定の資格取得のデメリットとして、合格のために必要な勉強時間や費用のコストが大きいことが挙げられます。統計検定は段階的に統計に関する知識を学ぶ種別が多い反面、一つ一つに受験していこうとすると勉強時間や受験料及び参考書などの金銭的なコストが必要になるという意味です。
そのため、すでに理解している種別においてはあえて挑戦せず、自分の理解度にあった種別から挑戦していくということも検討する必要があります。ただし、いきなり難しい種別から挑戦してしまうと、理解が追いつかずに合格できない可能性もあることから、合格できる可能性の高いものから挑戦していくことが大切です。
目指すキャリアに合わせて別の領域のスキルの習得が必要
統計検定の資格取得のデメリットとして、目指すキャリアに合わせて別の領域のスキルの習得が必要なことが挙げられます。例えばエンジニアであればIT技術の基礎やプログラミング、マーケティングや営業であれば営業力やコミュニケーション能力など、統計学に関連するもの以外のスキルが必要ということです。
また、業界や業種ごとの知識や経験、ノウハウやナレッジが必要になる場合もあります。ただし、転職や就職のタイミングも含めて、何もかもが未経験者である方よりも優遇される可能性は高いため、求人や案件に応募する場合は統計とともに自分自身のスキルセットとマッチするものを選ぶことをおすすめします。
統計学や分析の手法を知っているだけでは評価されにくい
統計検定の資格取得のデメリットとして、統計学や分析の手法を知っているだけでは評価されにくいことが挙げられます。統計学や分析の手法は実施する人によって、同じデータでも違う結果が導き出される可能性があるのが理由です。
少し言い方を変えると、統計学で何ができるかと問われた時に、分析の手法や理論を伝えるだけでは評価されません。具体的にこういったデータから、こういった結果を導き出し、このように判断しますと言ったようなことが伝えられる必要があると同時に、その他の自分自身のスキルセットと組み合わせた上でアピールできるように特訓していくと良いでしょう。
5.統計検定合格のための参考書の選び方や対策法
次に統計検定合格のための参考書の選び方や対策法について解説します。
公式サイトで紹介されている参考書や書籍を利用する
統計検定合格のために、公式サイトで紹介されている参考書や書籍から選ぶことをおすすめします。また、過去問題も掲載されているので、参考書や書籍を購入する前に自分自身がどの種別から始めるべきかチェックした上で検討するのも重要です。
同時に、その他にも参考書や専門書が欲しいと考えた場合は、参考書や書籍の著者をチェックし、自分自身が理解しやすい文章のものを選ぶようにしましょう。統計学においては理論的な部分が多く、専門用語も多いため読み進めるのが難しいです。そのため、読みやすさやわかりやすさを重視し、理解が深まったら難しい書籍に挑戦すると比較的コストが安く済むでしょう。
算数や数学の基礎を再学習するのも非常におすすめ
統計検定合格のために、算数や数学の基礎を再学習するのも非常におすすめです。また、簡単ではあるものの電卓による計算についても今一度練習しておきましょう。試験の当日になって計算のケアレスミスで間違いがないようにするためでもあります。
また、難易度の高い種別の場合は手計算ではなく、表計算ソフトを使うこともあるため、オンラインで利用できるGoogleスプレッドシートなどで基本的な扱い方を学んでおくことも大切です。統計学の理論とともに、統計学を応用や活用するための作業や業務についても理解するという意識を持ちましょう。
簡単そうでも4級から挑戦するということも大事
大学や専門学校などで統計学を学んだ方、もしくは日常的に業務で統計学を利用されている方を除けば、簡単そうでも4級から調整してじっくりと基礎を身につけていくことを大事だということも知っておきましょう。例えば小学校で四則演算から学んだように、統計学を基礎の基礎から学んでいくことで、難しい問題にも取り組めるようになるのが理由です。
その他の検定資格も含めて、どれだけ基礎が身についているかどうかが自分自身の実力になるということを忘れてはなりません。試験の合格を目指すのではなく、自分自身の成長のため、スキルアップのために学ぶということを意識し、データに強い人材として基礎を固めて、柔軟に応用できる実力が身につけられるようにしてみてください。
6.まとめ
今回は統計検定に関する基礎知識や詳細情報、統計検定の資格取得のメリット・デメリット、統計検定合格のための参考書の選び方や対策法についてお話ししました。
統計検定は正式名称だけで見ると、統計に関する資格というイメージがありますが、実際にはデータ領域全般の統計や分析、解析などの手法のほとんどを網羅する試験です。そのため、一つ一つの種別に挑戦していくことで、統計を通じてデータに強い人材になれるのは間違いありませんので、合格に向けてモチベーションを高めて頑張っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。