「データ解析に興味がある」「データサイエンスの領域で仕事がしたい」とお考えであればデータ解析士の合格に向けて勉強してみてはいかがでしょうか。
データ解析士は独自のカリキュラムを通信講座で学べるようになっており、課題の提出やフィードバックによって自分自身の成長を確認できるので非常におすすめです。
今回はデータ解析士に関する基礎知識や詳細情報、データ解析士の資格取得のメリット・デメリット、データ解析士合格のための参考書の選び方や対策法についてお話しします。
目次
1.データ解析士に関する基礎知識
はじめにデータ解析士に関する基礎知識について解説します。
データ解析士とは
データ解析士とは、一般財団法人実務教育研究所が実施している多変量解析実務講座を修了し、認定試験に合格することで得られる認定資格であり、データ解析の知識やスキルが問われます。通信講座のカリキュラムは単に教材を独学で勉強するだけでなく、郵送して課題を提出することで採点と添削が受けられるようになっており、自分の強みや弱点を理解しながら学ぶことが可能です。
約4ヶ月の通信講座の期間に加えて、延長で4ヶ月の期間を増やすことができるため、忙しい方や初めて通信講座に挑戦、もしくは資格試験の受験をする方にもおすすめの認定資格と言えます。その他にもデータ解析が分析の実務経験がある方で、自分の実力を証明したい場合にも最適な認定資格と言えるでしょう。
統計士とデータ解析士の違い
統計士とデータ解析士の違いとして、難易度の違いが挙げられます。統計士は一般財団法人実務教育研究所が実施する現代統計実務講座を修了し、認定試験に合格することで得られる認定資格であり、データ解析は分析の基礎が主なカリキュラムです。
データ解析士は統計士の基礎的な知識を身につけた上で、さらに高度なデータ解析に関する手法や技術を学ぶ講座であるため、統計やデータに関する基礎を身につけていないとかなり難易度が高くなります。そのため、数学が苦手だったり、統計やデータについて初めて学ぶ方は現代統計実務講座の受講を検討してみても良いでしょう。
データ解析士のスキルを基軸として開けるキャリア
データサイエンティスト
データエンジニア
ビジネスアナリスト
データコンサルタント
管理職
研究者
上記がデータ解析士のスキルを基軸として開けるキャリアの一例です。主にデータの分析や解析を基軸としたキャリアとの相性がよく、キャリアチェンジとともにキャリアアップが視野に入るのが特徴といえます。技術系のスキルがあればエンジニア領域でも活躍でき、マーケティングや営業に興味があればビジネス分野でも活躍することができるでしょう。
昨年はやセンシング技術の向上により、今までにない様々なデータが取得できるようになったこと、IoTによって工場の機械や農業の機械、その他の自動運転やドローンなども活用されていることから、自動化や省力化などが必要な業界や業種においても、データに強い希少な人材として重宝されることが期待できます。
2.データ解析士の詳細情報
次にデータ解析士の詳細情報について解説します。
データ解析士の詳細
資格名 | データ解析士 |
---|---|
講座名 | 多変量解析実務講座 |
受験資格 | カリキュラムの4単元の報告課題を全て基準点以上の評価 |
入学金 | 5,000円 |
受講料 | 49,500円 |
試験結果 | 試験終了後、ディスプレイ上に表示 |
参考元:https://www.jitsumu.or.jp/courselist/analyze/flow2
上記がデータ解析士の詳細です。申し込み後に届く教材のカリキュラムにおいて、課題報告で採点と添削をしてもらい、一定の基準に到達したら次の段階に進むため、着実に理解を進めながら学べる講座になっています。
4単元全てのカリキュラムを修了後、認定試験に挑戦できるようになっており、合格することでデータ解析士の資格を履歴書に記載することができます。
なお、試験自体の日時や受験場所などの詳細については公式ページに記載されていないことから、講座に申し込む前か申し込んだ後に公式ページから事務局などに問い合わせをして、詳しい内容を聞いておくことをおすすめします。
データ解析士の出題範囲
第1単元 | データ解析序説 | 1.データ解析の基礎 2.平均値と最小2乗法 3.1変数のモニタリング 4.2変数のモニタリング 5.演習解答 |
---|---|---|
第2単元 | 単回帰分析 | 1.直線の当てはめ 2.回帰に関する検定・推定 3.回帰診断と変数変換 4.種々の単回帰モデル 5.演習解答 |
第3単元 | 重回帰分析 | 1.2変数の重回帰分析(1) 2.2変数の重回帰分析(2) 3.回帰モデルの改善 4.変数選択 5.演習解答 |
第4単元 | その他の多変量解析 | 1.質的変数を含む回帰分析 2.ロジスティック回帰分析 3.主成分分析(1) 4.主成分分析(2) 5.演習解答 |
(参照:https://www.jitsumu.or.jp/courselist/analyze/curriculum2)
上記がデータ解析士の出題範囲です。これらを1単元ごとに課題の提出を行いながら、採点とアドバイスを受けて勉強を続けていく流れになります。
出題範囲的には統計検定の準1級と同等程度の内容になっており、統計検定の準1級が大学や専門学校で統計やデータ解析について学んでいる方が対象となっていることから、初めて学ばれる方にとっては通信講座のカリキュラ自体が難しく感じるかもしれません。
データに関連する実務経験がある方や大学で学んでいた方であれば、迷うことなく通信講座の申し込みを行い、認定資格の合格に向けて勉強を進めていくと良いでしょう。
データ解析士の受験者数・合格率
データ解析士の受験者数や合格率は公式に発表されていません。
おおよそではありますが、出題範囲が類似していることもあり、データ解析士と同程度の難易度である統計検定準1級の2023年度における合格率の35.3%に近い数字になる可能性があります。
検定試験や認定試験における合格率は50%を切ると難易度が高い傾向にあること、専門的な分野であればあるほど範囲は狭く、深い内容まで理解が求められることから、通信講座のカリキュラムによる勉強とともに、データ解析や統計学の基礎についてもしっかりと学んでおくことが大切です。
データ解析士の申し込み手順
公式サイトのお申し込みフォームから申し込み
コンビニ、郵便局、クレジットカードのいずれかで支払い
教材受け取り
カリキュラムと教材に従い勉強
4単元の課題が修了次第試験の申し込み
指定された日時で受験
上記がデータ解析士の申し込み手順です。4単元の課題が修了した段階で認定試験の申し込みができるようになっているため、4ヶ月及び延長して8ヶ月の期間の間に、カリキュラムの内容を把握し、課題報告をクリアする必要がある点に注意しましょう。
事前にカリキュラムの内容をチェックしていたものの、実際に届いた教材を見て難易度が高いと感じた場合は、早い段階からデータ解析や統計学の基礎を学び直して、勉強計画の再考を行うことをお勧めします。
データ解析士の有効期限
データ解析士の有効期限は特に設定されていません。そのため、一度取得すれば基本的にはずっと履歴書に記載することができます。
データ解析士の内容は、時間の計画とともにいきなり技術革新があるような知識の領域ではないものの、データ解析士の合格に向けて学んだ知識やスキルに合わせて、最新のデータ関連の技術などを組み合わせることができるようにしていくことは求められるでしょう。
データ解析士の難易度・勉強時間
データ解析士の難易度の難易度については、出題範囲的には統計検定の準1級及び2級と同等かそれ以上の内容になっており、データ関連の資格の中でも高度な統計知識とデータ解析のスキルが求められる難しい認定資格であることが推測されます。
教材のカリキュラムにおいても4ヶ月、延長して8ヶ月であるため、余裕を持った勉強計画を立てじっくりと取り組む必要があるでしょう。
おおよその勉強時間として、勉強時間としてデータに関連する実務経験がある方、もしくは大学や専門学校などで学んだ方で約4ヶ月程度、初学者は8ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。
ただし、難易度や勉強時間については受験される方のデータに関する基礎や知識によって異なることを留意しておき、あくまでも参考程度であること、自分自身の理解度によっては勉強時間が増減することがあることを覚えておいてください。
3.データ解析士の資格取得のメリット
次にデータ解析士の資格取得のメリットについて解説します。
データ解析に関する知識やスキルが身につき証明しやすい
データ解析士の資格取得のメリットとして、データ解析に関する知識やスキルが身につき証明しやすいことが挙げられます。データ解析の基礎とともに応用力が身につくようになること、カリキュラムの課題報告によって着実に成長でき、カリキュラムの修了と試験の合格によって実力が証明できるのが理由です。
通信講座という形式でありつつも、講師の方とのコミュニケーションが課題報告によって行えることも魅力と言えます。独学の場合は試験の合格でしか成果を体感することはできませんが、認定試験に挑戦する前に、どれだけ自分が成長できたか対外的なアドバイスや評価を得られることで、合格できる可能性が高まるのもメリットです。
データの解析や分析を基軸としたキャリアの選択肢が増える
データ解析士の資格取得のメリットとして、データの解析や分析を基軸としたキャリアの選択肢が増えることが挙げられます。データ解析士の知識やスキルは汎用性の高いものであるため、業界や業種及び職種を取ることがありません。そのため、データに強い人材としてキャリアチェンジやキャリアアップがしやすくなり、将来的なキャリアの選択肢が増えるのです。
また、データから新しい価値を生み出したり、活用したりするだけでなく、過去のデータから既存の商品やサービスの改善などにもつなげていくことができるようになります。その他でもマーケティングや顧客満足度、従業員満足度などもデータに基づいて改善できるようになるため、営業や人事部門、カスタマーサービスなど部門や部署を選ばないのも魅力と言えるでしょう。
データ解析の基礎が身につくことで新しいスキルの発見につながる
データ解析士の資格取得のメリットとして、データ解析の基礎が身につくことで新しいスキルの発見につながることが挙げられます。データを基軸としたスキルにどのようなものがあるかを理解できるようになるため、自分自身と相性の良い新しいスキルを発見しやすくなり、さらなる成長につなげていけるようになるということです。
AIや機械学習、データベース、マーケティング、商品開発や改善、新しいサービスの創出、過去のデータの蓄積から業務の効率化や最適化、データに基づいて課題や問題を発見し改善する力など、データに関連するスキルを発見できる可能性も期待できます。同時に、新しいスキルを身につけることで、さらに他のスキルや領域に興味を持てるようになり、自分自身の可能性をどんどん広げていけるようになるでしょう。
4.データ解析士の資格取得のデメリット
次にデータ解析士の資格取得のデメリットについて解説します。
講座のカリキュラムで学ぶ時間や受講するコストがかかる
データ解析士の資格取得のデメリットとして、講座のカリキュラムで学ぶ時間や受講するコストがかかることが挙げられます。入学金や通信講座の受講料など金銭的な費用とともに、カリキュラムが4ヶ月、課題の報告は郵送であることなどがデメリットと感じてしまう理由です。
ただし、一般的な検定試験と違い、カリキュラムの単元ごとの課題報告によって、進捗状態が理解できるようになるのは大きなメリットでもあるため、時間をかけてしっかりと実力を身につけたい場合には最適な試験であるのも間違いありません。実務経験がある方の場においても良い学び直しになりますし、初めて学ぶ方もアドバイスを受けながら、途中で諦めることなく続けられるのもメリットになります。
Excelを実行する環境の準備と使い方を学ぶ必要がある
データ解析士の資格取得のデメリットとして、Excelを実行する環境の準備と使い方を学ぶ必要があることが挙げられます。パソコンがない場合やExcelを所有していない場合は購入する必要がありますし、それぞれの使い方を学ぶための学習コストも必要になるということです。
ただし、すでにパソコンとExcelがある方であれば大きなデメリットではないこと、これから購入を検討されてる方においても、パソコンとExcelを使えるようになることは大きなメリットであることは間違いありません。特にデータ解析においては、Excelだけでなく、その他のデータ関連のソフトウェアを扱える必要があるため、パソコンを最低限使えるようにすることは必要だということも覚えておきましょう。
データ解析士の合格は実務経験の代替にはなりにくい
データ解析士の資格取得のデメリットとして、データ解析士の合格は実務経験の代替にはなりにくいことが挙げられます。実施元が実務教育研究所であり、実務に近しい理論的な部分は学べるものの、実務経験のある方の方がアドバンテージが高い可能性があるというのが理由です。
ただしこの場合においても、データ解析士の合格によって実務経験を得られる可能性は高まることから、あまりデメリットに感じなくても良い部分でもあります。同様に実務経験のある方であればキャリアアップやキャリアチェンジの可能性が広がること、初めて学ぶ方においてもデータ解析の勉強を通じて新しい可能性が広がることからも、データ解析士の認定試験に挑戦することは有意義であると覚えておいてください。
5.データ解析士合格のための参考書の選び方や対策法
次にデータ解析士合格のための参考書の選び方や対策法について解説します。
多変量解析実務講座のカリキュラムで自分の理解度をチェック
データ解析士の合格のために、まずは公式ページの多変量解析実務講座のカリキュラムで自分の理解度をチェックしましょう。各単元のカリキュラムの内容に記載されている専門用語や文章が読み解けるようであれば、通信講座の申し込みをしてみて良いでしょう。
全部は分からないけれど、データに関する基礎は身についているという方も挑戦しても良いかもしれません。カリキュラムが4ヶ月という目安であることを忘れず、日々の勉強時間の捻出やおおよその受験日なども考えておくと余裕を持って勉強計画を立てやすくなります。
難しい場合は現代統計実務講座や統計検定の4級で基礎を学ぶ
多変量解析実務講座のカリキュラムを見ても難しくてよくわからないという場合は、現代統計実務講座や統計検定の4級で基礎を学ぶことをおすすめします。難しくてよくわからない原因となるのが、基礎の部分が身についていないため文章が読めないことが主な理由であるため、最大限問題文と説明文の文章が読めるようにするということです。
データ解析士の内容は、主に理論と手法を学び、実践で通用するようになっているため、理論と手法をまずは理解する必要があります。特に同じ運営元が実施している現代統計実務講座はデータ解析士の前提資格の講座とも言っても良い内容であるため、基礎を身につけたい場合はそちらから受講した方が効率よく勉強をしていくことができるようになるでしょう。
公的機関の発表しているデータやオープンデータを見てみる
データ解析士の出題範囲をしっかりと理解できるようにするためにも、公的機関の発表しているデータやオープンデータを見てみるのもおすすめです。実際に様々な表に基づいて出力されたデータがどのようなものかを、どのような結果でどんなことが推測及び予測できるようになるのか、データを見る訓練をするのに役立ちます。
データ解析士はデータを見ることと、出力したデータから何が得られるかを考えること、そしてデータ分からデータを抽出することなどが主な役割であることから、様々なデータを見ることで学べることは非常に多いです。同時に出力されたデータをどのように活用できるかという考え方も持つ必要があるため、常日頃から目にするグラフや結果などのデータには目を通し、興味を持つようにしておきましょう。
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6.まとめ
今回はデータ解析士に関する基礎知識や詳細情報、データ解析士の資格取得のメリット・デメリット、データ解析士合格のための参考書の選び方や対策法についてお話ししました。
データ解析士は大学や専門学校などで学ぶ高度な知識が求められることから、難易度は高く希少な資格の一つであるのは間違いありません。データ解析及び分析における実力を証明するのに最適な資格ですので、データの分野で活躍したいとお考えであれば是非とも合格に向けて頑張ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。