多様な働き方が認められていく中で、フリーランスとして働くことに興味を持った方もいるのではないでしょうか。フリーランスとして仕事を続けていく場合に大切なのは、「単価」への理解です。
自分の実力や働きに見合った報酬を得るためには、単価に対する正しい認識を持つことが大切でしょう。そこで本記事では、フリーランスエンジニアの単価について相場やアップのポイントなどを解説します。
特に以下の方には、この記事をご一読していただきたいです。
これからフリーランスとして働き始めることを検討している方
自身の仕事の単価を見直し、収入を増やしたいフリーランス
他のフリーランスの単価相場を知りたいと考える現役のフリーランス
単価交渉のポイントを知りたいフリーランス
目次
1.フリーランスエンジニアの単価・手取り相場
この章では、フリーランスエンジニアの単価や手取りの相場を以下の2項目に分けてお伝えします。
フリーランスエンジニアの単価・手取り相場【言語別】
フリーランスエンジニアの単価・手取り相場【職種別】
フリーランスエンジニアの単価・手取り相場【言語別】
フリーランスボードの情報(2024年10月31日時点)からフリーランスエンジニアの単価・手取り相場を主なプログラミング言語別に一覧にすると、以下の通りです。
プログラミング言語 | 平均単価 | 平均手取り目安※ | 年収目安 |
---|---|---|---|
Scala | 79.8万円 | 63.84万円 | 958万円 |
Ruby | 79.0万円 | 63.20万円 | 948万円 |
Go言語 | 78.6万円 | 62.88万円 | 943万円 |
Kotlin | 77.3万円 | 61.84万円 | 928万円 |
R言語 | 77.1万円 | 61.68万円 | 925万円 |
Swift | 76.6万円 | 61.28万円 | 919万円 |
TypeScript | 76.5万円 | 61.20万円 | 918万円 |
Python | 74.9万円 | 59.92万円 | 899万円 |
Dart | 73.2万円 | 58.5万円 | 879万円 |
PHP | 70.1万円 | 56.08万円 | 841万円 |
JavaScript | 70.0万円 | 56.00万円 | 840万円 |
Perl | 69万円 | 55.20万円 | 828万円 |
HTML/CSS | 68.3万円 | 54.64万円 | 820万円 |
Java | 68.2万円 | 54.56万円 | 818万円 |
C言語 | 65.7万円 | 52.56万円 | 788万円 |
C# | 64.9万円 | 51.92万円 | 779万円 |
C++ | 62.1万円 | 49.6万円 | 745万円 |
COBOL | 53.6万円 | 42.88万円 | 643万円 |
ただし上記はあくまでも目安であり、実際の単価は案件ごとに異なります。
全体として扱えるエンジニアが少ない言語や需要が高い言語は、単価が高くなる傾向があると言えるでしょう。たとえば上記で言えば、扱えるエンジニアが少ないGo言語や需要が高いRubyなどが高単価になっています。
フリーランスエンジニアの単価・手取り相場【職種別】
フリーランスボードの情報(2024年10月31日時点)からフリーランスエンジニアの単価・手取り相場を主な職種別に一覧にすると、以下の通りです。
職種 | 平均単価 | 平均手取り目安※ | 年収目安 |
---|---|---|---|
ITコンサルタント | 109.6万円 | 87.68万円 | 1,315万円 |
プロジェクトマネージャー | 83.9万円 | 67.12万円 | 1,007万円 |
機械学習エンジニア | 82.8万円 | 66.24万円 | 993万円 |
AIエンジニア | 81.5万円 | 65.20万円 | 978万円 |
ブロックチェーンエンジニア | 81.0万円 | 64.80万円 | 972万円 |
データサイエンティスト | 80.9万円 | 64.72万円 | 971万円 |
フルスタックエンジニア | 79.5万円 | 63.60万円 | 954万円 |
Webディレクター | 78.7万円 | 62.96万円 | 945万円 |
クラウドエンジニア | 78.6万円 | 62.88万円 | 943万円 |
セキュリティエンジニア | 77.3万円 | 61.84万円 | 928万円 |
フロントエンドエンジニア | 76.0万円 | 60.80万円 | 912万円 |
インフラエンジニア | 74.0万円 | 59.84万円 | 888万円 |
データベースエンジニア | 73.7万円 | 58.96万円 | 884万円 |
バックエンドエンジニア | 69.6万円 | 55.68万円 | 835万円 |
サーバーサイドエンジニア | 69.6万円 | 55.68万円 | 835万円 |
ネットワークエンジニア | 69.2万円 | 55.36万円 | 830万円 |
システムエンジニア | 63.8万円 | 50.40万円 | 765万円 |
プログラマー | 57.1万円 | 45.68万円 | 685万円 |
ただし上記はあくまでも目安であり、実際の単価は案件ごとに異なります。
近年注目度が高まっているAIエンジニアや機械学習エンジニアの単価が、全体の中でも高い傾向です。また、プロジェクトマネージャーをはじめとして上流工程に主な業務を持つ専門職も、高単価の傾向があると言えるでしょう。
2.【単価別】フリーランスエンジニアに必要なスキル・経験年数目安
この章では、フリーランスエンジニアに必要なスキルと 経験年数の目安を以下の月単価別に紹介します。
月単価30万円
月単価50~60万円
月単価70~80万円
月単価100万円
ただし年数やスキルはあくまでも一般的な例であり、状況に合わせて変化する点には注意しましょう。
月単価30万円
月単価30万円の案件は、経験年数1年未満の駆け出しフリーランスエンジニアに多い案件と言えます。
テスト工程におけるバグやミスの発見、修正などが中心になるケースが多く、1つ1つの作業を丁寧に進めることで実績を作っていく姿勢がまず大切です。まだ仕事を始めたばかりのフリーランスエンジニアであれば、一般的なプロジェクトの流れを一通り把握することも重要でしょう。
月単価50~60万円
月単価50~60万円の案件に求められる実務経験は、おおむね2〜3年程度です。
システムの基本設計からテストまで、開発現場の第一線におけるひと通りのことをサポートを受けなくてもこなせるスキルが求められます。案件に必要な言語は基本的に使いこなせることや、必要に応じて指導業務もこなせることなども、この価格帯からは期待されるでしょう。
月単価70~80万円
月単価70~80万円の案件にもとめられる実務経験は、おおむね3~5年程度です。
開発現場での仕事を一人でこなすことはもちろん、より上流工程の業務経験を積むことも求められる価格帯だと言えるでしょう。自分の担当作業だけでなくプロジェクト全体を見て仕事をすることが求められます。
Webディレクターやプロジェクトリーダーのように、企画立案や提案、スケジュール管理などを行う職種が増えてくる価格帯です。
月単価100万円
月単価100万円レベルの案件に求められる実務経験は、5年以上が一般的だと考えられます。
この価格帯になるとエンジニアとしての経験が豊富で、マネジメント系の業務経験があるケースも多くなると考えられます。開発事態だけでなく、超上流工程と呼ばれるクライアントからのヒアリングや企画、そして後輩・部下への指示・指導など、あらゆる業務の遂行が求められるでしょう。
さらにコンサルタントとしての役割を兼ねるケースも増えて、よりビジネスサイドの業務に関わる機会が増えるはずです。
3.フリーランスエンジニアの単価の決め方
この章では、フリーランスエンジニアの一般的な単価の決め方を以下の3点に整理して紹介します。
扱える開発言語
経験年数・経歴
仕事内容・量
扱える開発言語
フリーランスエンジニアの単価を決める際のポイントとしてまず挙げられるのが、扱える開発言語の種類です。
プログラミング言語にはそれぞれにニーズの違いがあり、ニーズが高い言語を扱えるエンジニアは高単価を獲得できる可能性が高いといえます。そのため自分が扱える言語の市場価値を判断し、適切な価格で提案することが大切です。
たとえば、ニーズの低い言語しか扱えない中で高額な単価を提案していては、案件獲得にはなかなかつながらないでしょう。一方でニーズの高い開発言語を扱えるのであれば、相場を理解して低い単価設定にしてしまわないように注意が必要です。
経験年数・経歴
経験年数や経歴も、フリーランスエンジニアの単価を決める要素としては非常に大切です。
経験年数が浅くプロジェクト参画の経験が少ない状態では、一般的な水準より低い単価での仕事を求められるケースも多々あります。一方で経験年数が長く幅広いプロジェクトへの参画歴があれば、高単価での受注も十分に期待できるでしょう。
経験年数も経歴もすぐに手に入るものではないことから、さまざまな案件へ積極的に挑戦を続けることが大切です。
仕事内容・量
仕事の内容や分量も、フリーランスエンジニアの単価を決めるうえでもちろん重要な要素です。
フリーランスとして稼いでいくには、「どれだけ時間がかかるのか」は決して無視できません。高単価な案件でも、対応に時間がかかりすぎてしまうようだと全体的にあまり稼げないことは多々あります。
「どのぐらいのスキルが必要なのか」だけでなく「自分だったらどれくらいかかりそうか」にも注目して案件を選択できるようになると、安定して稼いでいける可能性が高まるでしょう。
4.フリーランスエンジニアが単価を上げるためのポイント
この章では、フリーランスエンジニアが単価を上げるためのポイントを以下の4つに整理して紹介します。
スキルアップする
クライアントからの信頼を勝ち取る
フリーランスエージェントを利用する
単価交渉する
スキルアップする
フリーランスエンジニアが単価を上げるためには、スキルアップすることがまず重要だと言えます。
高単価案件には高いスキルが要求されるケースがやはり多く、スキルがないエンジニアはなかなか単価を上げていけません。また、扱える言語が少ないと引き受けられる案件の幅が狭くなり、活躍のチャンスが広がっていかないでしょう。
より多くの経験をしてエンジニアとしての幅を広げてていくためには、日ごろから自己研鑽をしていく必要があります。
クライアントからの信頼を勝ち取る
フリーランスエンジニアが単価を上げていくには、クライアントからの信頼を勝ち取っていくことが必要です。
どんなにスキルや経験のあるエンジニアでも、「信頼できない」「任せても得しない」と思われていたら案件はなかなか獲得できません。スキルアップはもちろん、クライアントが期待する以上の成果につなげてクライアントの信頼を勝ち取ることが重要です。
また、連絡をすぐに返す、締め切りを守る、要求通りの仕事をするなど、当たり前と言えるようなことを徹底して守ることも、信頼獲得には欠かせません。
フリーランスエージェントを利用する
フリーランスエンジニアが単価を上げるためには、フリーランスエージェントを活用することも選択肢の1つです。
フリーランスエージェントは自分にあった案件を紹介してくれるので、希望に近い高単価案件を獲得できる可能性も高いと考えられます。案件獲得までの悩みを相談したり、さまざまなサポートを受けたりと、フリーランスの強い味方になってくれる存在です。
さまざまなフリーランスエージェントが存在していることから、比較してみると良いでしょう。
単価交渉する
案件単価を高めるために、状況次第では単価交渉をすることも大切です。
案件を依頼する側としては、できるだけ費用を抑えたいと考えることが自然でしょう。そのため、クライアントが提示する単価が必ずしも適性単価である訳ではありません。
働きに見合った報酬を得るためには、必要に応じた単価交渉を行うことが大切です。
5.フリーランスの単価交渉のポイント
ここでは、フリーランスの単価交渉のポイントを以下の2点に整理して紹介します。
タイミングが重要
単価相場を確認しておく
タイミングが重要
フリーランスの単価交渉を成功させるためにはまず、話を持ち掛けるタイミングが非常に重要です。単価アップを了承してもらうためには、一定の納得がある理由が必要だと言えます。
特別な理由もなくただ「もっと報酬が欲しい」と言っても、クライアントの説得はできないでしょう。クライアントからの印象を悪くしてしまえば、報酬が上がらないだけでなく結果的に損になってしまうことも考えられます。
単価交渉をするタイミングとしては、以下のようなものが考えられるでしょう。
依頼される業務量が増えた時
スキルアップした時
クライアントから高い評価を受けた時
特に良い仕事をしてクライアントに利益をもたらした際には、交渉を持ちかけるチャンスです。タイミングを逃さず、謙虚な姿勢で交渉に臨みましょう。
単価相場を確認しておく
現在の単価相場を確認しておくことも、単価交渉においては重要なことです。
単価相場が分からなければ、適切な提案ができません。相場よりも高額すぎる提案をしていては相手が承諾する可能性が低いでしょう。相場よりも低額であることを知らずに提案していては、たとえクライアントが承諾しても結果的に損をしてしまう恐れがあります。
開発言語のニーズには変化があり、「以前は単価が低かった言語の需要が高まり高単価になっている」ということも十分に考えられます。損をせず自分の主張をできるだけスムーズに通すために、最新の単価相場をチェックしてから臨みましょう。
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6.まとめ
フリーランスエンジニアの単価は、扱える言語や職種、経験年数、そしてスキルなどによって変化します。単価を上げるためにはスキルアップをし、クライアントからの信頼を勝ち取ることが重要でしょう。
また働きに見合った報酬を受け取るためには、タイミングよく単価交渉を行うことも大切です。
フリーランスとして活躍するために、本記事の情報をぜひご活用ください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。