WebサイトやWebアプリが多くの人たちから日常的に使われている昨今、UI・UXデザイナーは社会的な需要が高く、人気もある職業です。
UI・UXデザイナーにはさまざまな働き方があるので、自分にとっての働きやすさや希望する年収を考慮して選べます。正社員として働けば日本人の平均年収以上の年収を得やすく、生活は安定するはずです。また、フリーランスとして働く人の中には正社員以上の年収を得ている人も多くいます。
本記事では、UI・UXデザイナーの年収事情を見た上で、UI・UXデザイナーについて年収を上げるために求められるスキル、案件獲得方法、将来性、よくある質問などを解説します。
目次
1.UI・UXデザイナーの年収事情
UI・UXデザイナーの年収といっても働き方や雇用形態などによって大きく異なります。
UI・UXデザイナーの年収事情について、以下の3つの観点から解説します。
正社員の場合
アルバイトの場合
フリーランスの場合
それぞれ確認していきましょう。
正社員の場合
求人ボックスによると、正社員のUI・UXデザイナーの平均年収は621万円となっています。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2023年における日本人の平均年収は523万円です。
UI・UXデザイナーの平均年収は日本の正社員の平均年収と比べて約100万円高くなっています。平均年収が高い傾向にあるIT業界ですが、UI・UXデザイナーの平均年収はその中でも高い部類です。
アルバイトの場合
求人ボックスによると、UI・UXデザイナーのアルバイトの時給は1,302円となっています。
仮に1,302円の時給で8時間、月に20日間働いたとすると、月収は20万8320円になります。年収にすると、250万円ほどです。
年収は正社員の年収と比べると低いものの、時給1,300円は飲食店や小売店における日勤の時給と比べて高い傾向にあります。
フリーランスの場合
ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードによると、2024年11月におけるUI・UXデザイナーのフリーランス案件・求人の月額単価の平均は61.7万円となっています。
なお、UI・UXデザイナーのフリーランス案件・求人の年収の目安は740万円です。
2.年収を上げるためにUI・UXデザイナーに求められるスキル
UI・UXデザイナーとして働くからには年収を上げていきたいところです。ここでは、年収を上げるためにUI・UXデザイナーに求められるスキルを紹介します。
年収を上げるためにUI・UXデザイナーに求められるスキルとして、以下の4つが挙げられます。
様々なデザインツールを使いこなせる
ユーザーリサーチ能力とユーザーエクスペリエンスの深い理解
情報設計とナビゲーション力
高いデザイン力
それぞれ確認していきましょう。
様々なデザインツールを使いこなせる
UI・UXデザイナーはデザインをコンピュータ上で制作するため、様々なツールを使いこなせるほど仕事の幅が広がりますし、独立した働き方を実現しやすくなります。
Sketch、Adobe XD、Figmaなどはプロトタイプの作成、インターフェースやアプリのデザインを描くのに使われます。
ユーザーリサーチ能力とユーザーエクスペリエンスの深い理解
ユーザーリサーチはユーザーの行動やニーズを把握するための調査です。ユーザーが求めていることや好みを知ることでこそ、ユーザーにとって使いやすいデザインが生まれます。
AIによってUI・UXデザイナーの仕事がなくなるのではと懸念されていますが、ユーザーにとって魅力的なデザインができればオファーがとだえることはないでしょう。他のUI・UXデザイナーやAIと差別化する上でも重要なポイントです。
また、ユーザーエクスペリエンスとはWebサイトやWebアプリを使う体験のことです。ユーザーが何を求めているかを深く理解し、それに合ったデザインを考えます。
情報設計とナビゲーション力
情報設計とはWebサイトやWebアプリの情報を整理して、使いやすいように配置を行うことです。ユーザーはWebサイトやWebアプリにおいて目的のものがどこにあるのか分かりにくければストレスを感じ、場合によっては使用しなくなります。
こうした事態を防ぐためにも分かりやすい設計が大切です。
また、ユーザーが目的地にたどり着きやすいようにナビゲーションすることも大切です。
高いデザイン力
デザイン力は同業者との差別化だけでなく、ユーザー、クライアントに気に入ってもらえるかどうかにかかわる重要なポイントです。
UI・UXデザイナーには持って生まれたセンスも大切ですが、カラーやフォント、デザインの基本的な原則を理解することで魅力的なデザインを生み出しやすくなります。また、デザインは見た目のよさだけでなく、使いやすく、分かりやすいデザインにする必要があります。
3.UI・UXデザイナーの案件を獲得する方法
UI・UXデザイナーとして働き始めたばかりの人の中には案件の獲得方法が分からない人も少なくないように思います。
UI・UXデザイナーの案件を獲得する方法として、以下の3つが挙げられます。
求人サイトで探す
営業する
転職エージェントを活用する
それぞれ確認していきましょう。
求人サイトで探す
大手求人サイトやITに特化した求人サイトの中にはUI・UXデザイナーの求人を扱っているものもあります。
求人サイトによって扱う職種や対象年齢などが異なりますので、自分に合ったものを利用してください。
営業する
UI・UXデザイナーが在籍している企業に営業してみるのも1つの手です。
特に、働きたい企業があるものの、その企業が求人を出していない場合は、企業に直接問い合わせてみてもよいでしょう。書類選考や面接につながるとは限らないものの、企業の状況や応募者のスキルなどによっては話を聞いてもらえることもあります。
転職エージェントを活用する
UI・UXデザイナーを目指す人には転職エージェントの活用もおすすめです。
転職エージェントに登録後、担当者と面談をし、希望条件や希望する給与、働き方などを話します。条件に合った求人を紹介してもらえるため、仕事を探す手間が省けます。
また、自分のスキルや経歴にマッチした求人を紹介してもらえるので、現在の自分の立ち位置も把握できます。内定をもらえる見込みがある企業に応募できるのも特徴です。
転職エージェントによっては履歴書や職務経歴書の添削、模擬面接も行っています。転職経験が少ない人や採用面接に慣れていない人も安心です。
4.UI・UXデザイナーの将来性
UI・UXデザイナーの将来性はあります。
多くの企業がWebサイトやWebアプリの運営に力を入れている中で、自社のWebサイトやWebアプリを快適に利用できるインターフェースや満足度の高い体験をユーザーへ提供するために、UI・UXデザイナーに仕事を依頼する企業も多いです。
UI・UXデザイナーは将来的にも仕事がなくなることはないと思われるものの、スキルを日々高めていくことが不可欠だといえます。そのためには最新技術の活用やトレンドへの理解が必要です。
近年、ChatGPTやMid Journeyなどの生成AI技術をはじめとするAI技術やノーコードツールが進化したことで、UI・UXデザイナーが行っている仕事の一部が自動化されつつあります。例えば、レイアウト作成や基本的なデザインの生成はAIツールが担うようになりつつあり、作業をこなすだけのような仕事は以前と比べるとすでに減っています。
そのため、現在のUI・UXデザイナーは、AI技術やノーコードツールを活用しながら、戦略的なデザインプロセスやユーザーリサーチを通じて、よりユーザーが満足するWebサイトやWebアプリの設計を行うなどデザイン工程の上流により焦点を置くことが求められています。
戦略的な考え方やユーザーが満足するデザイン、さらにオリジナリティあふれるアイデアは人間だからこそ創出できるものであり、まだAI技術や自動化ツールでは代替できない領域です。多くの人の心を惹きつけるデザインができる人やマーケティングの知識を組み込める人は今後も仕事がなくなることはないはずです。
なお、今後UI・UXデザイナーが活躍する領域はWebサイトやWebアプリのみに止まらずさらに広がると考えられます。
例えば、メタバースやバーチャル空間の体験設計、AIとの共同デザインプロセス、生体インターフェースを活用した新しい操作体験のデザイン、感情解析AIを基にしたリアルタイムUXデザインなど、新たな技術領域への対応力が必要になるでしょう。
このような時代に合わせ最適なスキルセットを持つUI・UXデザイナーは、どの時代でも企業やプロジェクトにとって重要な存在であり続けるはずです。
5.UI・UXデザイナーについてよくある質問
UI・UXデザイナーに転身したい人の中にはこの仕事について疑問を抱いている人も多いと思います。ここでは、UI・UXデザイナーについてよくある質問に回答します。
UI・UXデザイナーについてよくある質問として、以下の3つが挙げられます。
未経験からUI・UXデザイナーになれますか?
UIデザイナーはやめとけって言われるのはなぜですか?
UXデザイナーになるにはどうすればいいですか?
UXデザイナーが無くなる可能性はありますか?
それぞれ確認していきましょう。
未経験からUI・UXデザイナーになれますか?
UI・UXデザイナーに未経験からなることは可能です。しかし、スキルがなければ仕事になりませんので、まずはスキルを取得する必要があります。
ツールの使い方、デザインの基本原則、ユーザーインターフェース(UI)の設計、ユーザーエクスペリエンス(UX)の基礎を押さえましょう。学習方法は書籍、オンラインのプラットフォームなどがあります。
UI・UXデザイナーに必要なスキルを押さえたら実際にデザインし、ポートフォリオとしてまとめます。
気になる求人に応募して採用されたら、実際の仕事に従事できます。
UIデザイナーはやめとけって言われるのはなぜですか?
UIデザイナーは基礎スキルを一度身につけたら終わりではなく、日々の学習が必要です。ツールやデザイン手法はWebコンテンツの発展とともに変化しているため、変化についていかなければなりません。
また、ユーザーのニーズは時代によって変わるため、ユーザーが何を求めているのか常に把握する必要があります。勉強が苦手な人やスキルアップの意欲が低い人はつらいと感じるかもしれません。
もう1つ押さえておきたいのは、UIデザイナーの業務範囲の広さです。UIデザイナーの仕事内容は明確に決まっているわけではありません。UIデザイナーの中にはフロントエンドエンジニアと同様の仕事をしている人もいます。
UXデザイナーになるにはどうすればいいですか?
UXデザイナーになるには独学、もしくはスクールに通って必要なスキルを取得します。Google UX Designプロフェッショナル認定やユニバーサルデザインコーディネーター認定資格、HTML5プロフェッショナル認定試験など仕事に役立つ資格の取得もおすすめです。
スキルを取得した後、履歴書など必要書類を用意して、希望する企業の求人に応募します。
また、UXデザイナーの中にはWebデザイナーとして働いていた人もいます。WebデザイナーからUXデザイナーへの転身はスムーズにいくことが多いです。
UXデザイナーが無くなる可能性はありますか?
UXデザイナーが無くなるという声も上がっていますが、この職業が完全になくなるとは考えにくいです。AI技術が発展し、デザインが自動でつくれるようになっても、UXデザイナーは求められ続けるでしょう。
AIがデザインしたものには修正箇所があるものも多い可能性が高く、人間にとって使いやすいという保証もありません。このため、UXデザイナーに依頼し、ユーザー目線のデザインを実現したいと考える制作者は一定数存在し続けるでしょう。
ただし、AIと同等の品質のデザインや使い手に寄り添っていないデザイン、クライアントやユーザーの意向が反映されていないデザインしか制作できないUXデザイナーは需要がなくなる可能性があります。
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6.まとめ
UI・UXデザイナーにはさまざまな働き方があり、自分のライフスタイルや家族の状況などに応じて働き方を選択できます。
UI・UXデザイナーの年収は働き方によっても異なります。自分のペースで働きたい人にはアルバイトやフリーランスがおすすめで、安定した年収を求める人には正社員がおすすめです。また、フリーランスのUI・UXデザイナーの中には正社員以上の年収を稼いでいる人もいます。経験豊富で、スキルが高い人はフリーランスもおすすめです。
UI・UXデザイナーとして高い年収を得たい人は自身のスキルアップや、給与が高い企業への転職がおすすめです。
ユーザー視点の使いやすいサービスを実現できる人には好待遇でオファーが届くこともあります。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。