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合同会社とは?株式会社との違いや個人事業主が設立するメリット、設立はやばいのかを解説

公開日:2024/11/29最終更新日:2024/11/30

働き方が多様化している昨今、会社員や公務員ではなく、個人事業主を選択する人も増えています。個人事業主として安定的な利益を得られるようになった人の中には法人化を検討する人も多いと見られます。そうした中で、株式会社や合同会社、合名会社などさまざまな種類があるため、どの形態にすればよいのか悩む人も多いでしょう。


さまざまな会社の形がある中で合同会社を選ぶ人も多くいます。合同会社とはわかりやすくいうと、出資者と経営者が同一の会社形態です。会社設立のコストが比較的安価でかつ、設立にまつわる手続きが短期間で済み、自由度の高い経営ができるのが特長です。


本記事では合同会社の概要を押さえた上で、合同会社についてメリット、やめとけといわれる理由、設立の流れなどを解説します。


1.合同会社とは

合同会社とは2006年の会社法の施行で新しく設けられた会社形態です。

合同会社はアメリカのLLC(Limited Liability Company)に似ており、出資者=経営者の持分会社となっています。


合同会社の社員とは一般的な従業員ではなく、出資者を指します。合同会社では出資した人が全員経営者であり、すべての出資者が会社の決定権をもっています。


合同会社は定款の作成は必要ですが、株式会社や一般社団法人とは異なり定款の認証を公証役場で受ける必要がありません。そのため、会社を比較的簡単に設立できます。

合同会社と株式会社の違い

合同会社とは出資者と経営者が同一の会社のことをいい、経営における柔軟性の高さも特徴です。


一方、株式会社は株式を発行し、集めた資金をもとに運営を行います。出資者は株主であり、経営者と異なることが多いです。株式会社は意思決定を行う際に株主の意向を聞く必要があるため、何かを決める際に時間を要することもあります。


株式会社と合同会社の特徴を以下の表にまとめましたので確認してみてください。

株式会社

合同会社

最低資本金

1円以上

1円以上

所有と経営

完全分離が原則

同一が原則

取締役会

任意による設置

なし

役員の任期

2年(最大10年)

なし

決算公告

必要

不要

定款

必要

公証人の認証が必要

必要

公証人の認証は不要

利益分配

出資比率による

自由に決定可能

設立費用

約25万円

約10万円

信用度

高い

低いと見られやすい

合同会社の略

合同会社を日本語で省略すると、「(同)」になります。以下が合同会社の日本語の略称の例です。

  • 正式名称:あいうえお合同会社

  • 日本語略称:あいうえお(同)

合同会社は銀行振込みの口座名称においてカタカナの略称が使われることもあります。合同会社のカタカナの略称は「(ド)」「ド)」「(ド」です。以下が合同会社のカタカナの略称の一例になります。

  • 正式名称:あいうえお合同会社

  • カタカナ略称:あいうえお(ド)

2.合同会社を設立するメリット

合同会社の設立を検討している人は、合同会社を設立するメリットを押さえておくことで、合同会社が自身のニーズに合っているのか判断しやすくなるはずです。


合同会社を設立するメリットとして、以下の5つが挙げられます。

  • 法人税の節税効果がある

  • 設立と運営費用が安い

  • 意思決定をスムーズに行える

  • 経営の自由度が高い

  • 決算を公表する必要がない

それぞれ確認していきましょう。

法人税の節税効果がある

個人事業主が合同会社を設立すると法人税が所得税の代わりに適用されます。


個人事業主は最大税率45%の超過累進課税が課されますが、法人税であれば資本金1億円以下の中小企業に適用される税率は最大23.2%です。

所得金額が大きい人にとっては合同会社を設立した方が納税の負担が軽減されます。

設立と運営費用が安い

合同会社は株式会社と比べて会社の設立時に発生する費用を抑えられるだけでなく、運営におけるランニングコストも抑えられます。会社によって異なるものの、合同会社の設立コストは株式会社の半分以下に抑えられることもあります。


また、合同会社では株式会社では必要となる決算公告費用、重任登記費用、株主総会開催費用が不要です。

意思決定をスムーズに行える

合同会社では出資者が役員として経営に携わります。このため株式会社のように株主を集めて議案の承認を待つ必要はありません。


また株式会社は出資者と経営者が別であることが多く、意見が異なるケースも多々あります。一方、合同会社は会社の所有者と経営者が一致しているため意見が大きくズレるようなことはあまりありません。

経営の自由度が高い

合同会社には株主はおらず、経営の意思決定は経営者間で行うことが可能です。組織設計や利益分配についても比較的自由に決定できます。


また、定款内容の自由度は株式会社よりも高く、各事情に応じた定款を作成することも可能です。

決算を公表する必要がない

合同会社には決算公告の義務がありません。一方、株式会社は株主や債権者に会社の決算状況を公開する必要があり、以下の方法で決算公告を毎年行います。

  • 国の機関紙である官報に掲載する

  • 日刊の新聞に掲載する

  • 自社、信用調査会社などのWebサイトなどに掲載する

合同会社は上記を行う必要がなく、決算公告を掲載するのにかかる各種コストを省けます。

3.合同会社はやばい・やめとけといわれる理由

さまざまなメリットがある合同会社ですが、合同会社は「やめとけ」「やばい」と言われることもあるようにデメリットもあります。


合同会社がやめとけといわれる理由として、以下の4つが挙げられます。

  • 社会的信用が低く、取引先に不安を与える可能性がある

  • 代表者に権限が集中し、ワンマン経営に陥りがち

  • 資金調達の手段が限られる

  • 社員同士で利益配分する際に揉めやすい

それぞれ確認していきましょう。

社会的信用が低く見られやすく、取引先に不安を与える可能性がある

合同会社は2006年5月における会社法施行で新しく設立されたため、社会的に広く認知されていない傾向にあります。

e-Stat 政府統計の総合窓口の調査によると、合同会社と株式会社の設立件数は以下の表のように推移しています。

年度

合同会社設立件数

株式会社設立件数

2019年

30,566

87,871

2020年

33,236

85,688

2021年

37,072

95,222

2022年

37,127

92,371

2023年

40,751

100,669

(参照:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003206210)


上表をみると近年、合同会社は増加傾向にあるものの、合同会社の約2.5倍設立されており株式会社のイメージが日本では強いのが現状です。このため企業や担当者によっては合同会社に不安を抱くことも少なからずあります。


先入観から取引を躊躇されないようにするには、自社が信頼できる会社であることをきちんと説明したり、実績や事業内容を詳しく説明したりすることが求められます。

代表者に権限が集中し、ワンマン経営に陥りがち

合同会社に従業員がいる場合、もしくは従業員の雇用を将来的に考えている場合は、代表者に権限が集中しないように注意する必要があります。


合同会社は代表権を持つ代表社員を設立時に決定するのが一般的です。他の社員の意見を聞かず、経営を行う人が代表社員になった場合、ワンマン経営に陥る可能性もあります。


また、合同会社には株式会社における株主総会のようなものはありません。こうしたことからも、独断専行に陥りやすく、代表社員のワンマンに陥りやすいと懸念されます。

資金調達の手段が限られる

合同会社は資金調達の手段が限られるため、場合によっては資金調達を行えないこともあります。合同会社は金融機関から融資を受けたり、自治体の助成金や国の補助金などを利用したりしますが、融資や助成金を必ず受けられるとは限りません。特に、設立間もない会社は断られやすいです。


なお、合同会社は株式会社のように株式による資金調達を行うことはできません。

社員同士で利益配分する際に揉めやすい

合同会社では出資比率ではなく、利益配分を定款によって自由に決められます技術力やこれまでの実績なども考慮して柔軟に利益配分を決められるのは合同会社ならではの利点であるものの、この柔軟さゆえに社員同士で利益配分について揉めることがあります。


人によっては利益配分の基準や配分方法が不公平に感じることもあるかもしれません。

利益配分する際に揉めないようにするには、定款を定める際に各社員から合意を得たり、後で揉めないようにあらかじめ決め事をしておくことをおすすめします。

4.合同会社設立の流れ

合同会社を設立するためには各種手続きを済ませる必要があります。


合同会社の設立の流れは以下になります。

  • 会社概要の策定

  • 定款作成・登記

  • 設立後の各種手続き

それぞれ確認していきましょう。

会社概要の策定

まずは会社設立にあたって必要な基本情報を決定します。会社概要の策定では主に以下のことを決めます。

  • 会社名

  • 代表/出資金

  • 事業の目的

  • 資本金/決算 

定款作成・登記

定款作成や設立登記の手続き、資金の払い込みを行います。

  • 法人用の印鑑を準備する

  • 定款を作成する

  • 資本金を払込む

  • 法務局へ書類を提出する

設立後の各種手続き

  • 年金事務所での健康保険・厚生年金の加入手続き(従業員を雇用する場合)

  • 労働基準監督署での労災保険の届け出(従業員を雇用する場合)

  • 税務署、都道府県税事務所での法人設立届出書や青色申告承認申請書の提出

  • 銀行口座の開設

5.合同会社の資金調達方法

合同会社は株式会社と比べて資金調達方法が限られているものの、資金調達するための方法はいくつかあります。


合同会社の資金調達方法として、主に以下の5つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫から融資を受ける

  • 民間銀行から融資を受ける

  • 自治体の制度融資を利用する

  • 信用保証協会保証付融資を受ける

  • 事業者向けローンのを利用する

それぞれ確認していきましょう。

日本政策金融公庫から融資を受ける

日本政策金融公庫とは中小企業や起業家の支援を行っている機関です。銀行などの金融機関で断られた人であっても融資を受けられる可能性があります。


創業融資制度は事業開始後の税務申告2期分を終えていない人が対象の制度です。無担保・無承認で融資を受けられ、利率は通常よりも0.65%引き下げとなります。合同会社の経営者にもおすすめできます。


日本政策公庫は自己資金が融資額の1/10以上確保できていれば、利用できるケースが多いです。

民間銀行から融資を受ける

民間銀行から融資を受けるのはやや難易度が高く、信用力や金額によっては審査にクリアできないこともあります。株式会社よりも融資を受けにくい傾向にあることに留意しておく必要があります。


オンラインで融資について相談できる銀行もありますので、気になる人は相談してみるとよいでしょう。

なお、民間銀行の融資の年率は1.0~3.0%が目安といわれています。

自治体の制度融資を利用する

自治体の中には信用保証協会と連携し、融資サービスを提供している自治体もあります。


信用保証協会は自治体と連携することで、中小企業や小規模事業者が融資を受けるハードルを下げています。自治体が協力することで、利用者は審査をクリアしやすくなるだけでなく、低い金利で資金を調達することが可能です。


ただし、制度融資は銀行融資よりも実際の借入までに時間を要するだけでなく、日本政策金融公庫、ゆうちょ銀行、農業協同組合での利用はできません。


なお制度融資の内容は自治体によって異なります。担当窓口で相談してみてください。

信用保証協会保証付融資を受ける

信用保証協会保証付融資は信用保証協会が証人となる中小企業、小規模事業者を対象とした融資制度です。

保証人が付くため社会的信用を得にくい合同会社も融資を受けやすくなります。また、取引している金融機関のプロパー融資と保証付融資を併用することで、融資枠を広げることも可能です。


ただし、信用保証協会保証付融資を受けるには保証料の支払が必要になります。また、保証の対象になる融資も限られています。

事業者向けローンのを利用する

事業者向けローンは銀行融資などよりも手軽に利用できると一般的にいわれています。不動産などの担保を用意しなくても融資を受けられ、なおかつ第三者による保証も必要ありません。


ただし、事業者向けのローンは金融機関などの融資よりも金利が高めに設定されている傾向にあります。金利は金額によって変動することが多いため、契約前に確認するようにしてください。


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6.まとめ

近年、起業する人や個人事業主として働く人が増えています。会社を設立するにあたってどの形態の会社にしようか悩んでいる人は多いと思います。こうした人たちにおすすめできる選択肢の1つとして、合同会社が挙げられます。合同会社は会社設立を比較的容易に行え、設立と運営費用が安いのが特徴です。また、意思決定をスムーズに行える、経営の自由度が高いといったメリットもあります。


ただし、合同会社にはデメリットもあります。取引先によっては信頼を得にくかったり、資金調達がうまくいかなかったりすることもあります。


合同会社の設立を検討している人はメリットとデメリットを比べて考えてみてください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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