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Djangoとは?Pythonフレームワーク「Flask」との違いや入門のためのインストール方法、使い方を解説

公開日:2024/12/19最終更新日:2025/01/04

Webアプリケーション開発を効率よく行いたいと考えている開発者にとって、Django(ジャンゴ)は非常に強力なフレームワークです。Pythonで書かれたオープンソースのWebフレームワークで、スピーディーで安全な開発を実現するために数多くの機能を備えています。特にDjangoは開発者の負担を軽減し、複雑なWebアプリケーションを簡単に構築できるため、多くの企業や個人開発者に愛されています。この記事では、Djangoとは何かをわかりやすく解説し、その特徴やインストール方法や使い方までを解説します。

1.Djangoとは?

Djangoは、Pythonで書かれたオープンソースのWebフレームワークです。特に、シンプルで迅速に高機能なWebサイトやアプリケーションを構築できることから、開発者に非常に人気があります。Djangoは、開発者が効率よく、かつ安全にアプリケーションを作成できるよう、たくさんの機能が標準で組み込まれています。


Djangoは、主に「MVC(Model-View-Controller)」パターンに基づいており、データベースと連携するための強力なツールや、セキュリティ対策、ユーザー認証機能、管理画面などを自動的に生成する仕組みを提供します。そのため、Djangoを使えば、少ないコードで強力なWebアプリケーションを構築できるため、開発時間の短縮とコスト削減が可能になります。


このフレームワークは、スケーラビリティやセキュリティの面でも優れており、大規模なプロジェクトにも対応できる柔軟性を持っています。そのため、企業のWebサイトや大規模なサービス、さらにはAPIバックエンドの開発にも広く利用されています。

Djangoの定義

Webアプリケーションを効率的に開発するためのツールとライブラリを提供し、特にデータベース駆動型のWebサイトやアプリケーションの構築を容易にします。Djangoは、開発者が煩雑な作業を減らし、Webアプリケーションを迅速に開発できるように設計されています。

Djangoの誕生と歴史

Djangoは2003年、アメリカの新聞社である「Lawrence Journal-World」の開発チームによって作られました。当時、新聞のオンラインコンテンツを管理するための効率的なシステムが求められ、Djangoはその要件を満たすために開発されました。


2005年にオープンソースとして公開され、その後急速に普及し、現在ではPythonで最も人気のあるWebフレームワークの1つとなっています。

Djangoの主な特徴

Djangoの主な特徴は下記の通りです。

  • 迅速な開発:Djangoは、既に多くの機能を標準で提供しています。開発者はゼロからシステムを作成する必要がなく、すぐにプロジェクトを立ち上げることができます。

  • セキュリティ対策:Djangoはセキュリティに対する配慮が非常に強く、CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)攻撃やSQLインジェクション攻撃、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃などを防止するための機能が標準で備わっています。

  • スケーラビリティDjangoはスケーラブルで、大規模なWebアプリケーションにも対応可能です。ユーザー数が増加しても安定したパフォーマンスを保ちます。

  • DRY(Don’t Repeat Yourself)原則:Djangoは重複するコードを排除し、再利用性の高いコードを書くことを推奨しています。この原則によって保守性や開発効率が向上します。

  • 完全なフレームワーク:DjangoはWeb開発に必要な多くの機能(URLルーティング・データベース接続・セッション管理・認証機能など)を標準で提供しており、外部ライブラリを大きく依存することなく開発を進められます。

Djangoでできること

Djangoは、Webアプリケーションの構築を迅速かつ効率的に行えます。具体的に、Djangoでできることは下記の通りです。

  • 高速なWebアプリケーション開発

    開発スピードを重視したフレームワークであるため、定型的な作業を自動化する多くの機能を提供しています。

  • 簡単にデータベース操作

    Djangoはデータベース操作を簡単にするための機能を搭載しています。ORMという仕組みを使ってデータベースとの連携をPythonのコードで簡潔に表現可能です。

  • ユーザー認証とセキュリティ対策

    Webアプリケーションへの代表的な攻撃に対して自動的に対策を行います。ユーザー認証や権限管理機能も標準で提供しており、ログイン機能やユーザーグループの管理、パスワードのハッシュ化などセキュリティの高い認証システムを簡単に実装可能です。

  • RESTful APIの作成

    Django REST frameworkを使うことで、RESTful APIを簡単に構築できます。モバイルアプリやフロントエンドフレームワーク(ReactやVue.jsなど)と連携したアプリケーションをスムーズに開発でき、マイクロサービスアーキテクチャにも対応可能です。

  • レスポンシブなWebアプリケーション開発

    Django自体がバックエンド部分を担当し、フロントエンドにはBootstrapやTailwind CSSなどのフレームワークを組み合わせることで、モバイルファーストで使いやすいWebアプリケーションを開発できます。

2.Djangoフレームワークを選ぶ理由

数多くのPythonフレームワークの中から、Djangoを選ぶ理由とは何でしょうか。ここではDjangoフレームワークを選ぶ理由を解説します。

初心者でも習得しやすい

Djangoは、Web開発初心者にも学びやすいフレームワークです。その理由は、非常に豊富で分かりやすいドキュメントが用意されていること、またPython自体がシンプルで読みやすい言語であることにあります。


Djangoの公式サイトやチュートリアルは非常に親切で、実際のアプリケーション作成手順に沿って学べるため、最初のステップから自信を持って進めることができます。

ドキュメントとコミュニティが充実

Djangoの最大の強みの一つが、その充実したドキュメントと活発なコミュニティです。公式ドキュメントは初心者向けのチュートリアルから、上級者向けの詳細なリファレンスまで豊富に揃っており、問題解決に必要な情報をすぐに得られます。


また、Djangoには世界中に多くの開発者がいるため、質問をすればフォーラムやStack Overflowなどで迅速に解答を得ることができます。

セキュリティ性が高い

Djangoはセキュリティに強いフレームワークです。多くのWebアプリケーションで問題となるセキュリティの脆弱性(XSSやSQLインジェクション)を防ぐための仕組みが標準で組み込まれています。


またDjangoはセキュリティの脅威を常に監視しており、定期的にアップデートが行われるため、開発者は最新のセキュリティ対策を簡単に取り入れることができます。

スケーラビリティが高い

Djangoは少人数のプロジェクトから、大規模なプロジェクトまで対応できる高いスケーラビリティを持っています。


例えば、Djangoは分散型のデータベースシステムをサポートしており、システムの負荷が増しても容易にスケールアップが可能です。そのため、ユーザー数が急増した場合でもパフォーマンスを保つことができます。

3.【入門用】Djangoのインストール

入門者向けにDjangoのインストール方法からプロジェクトの作成、アプリケーション作成までを解説します。

開発環境の構築

Djangoのインストールには、Pythonの環境が必要です。


まず、Pythonをインストールした後、仮想環境を作成してその中にDjangoをインストールするのが一般的な方法です。仮想環境を使うことで、依存関係をプロジェクトごとに分けて管理できるため、他のプロジェクトとの干渉を避けることができます。

# 仮想環境の作成

python3 -m venv myenv


# 仮想環境をアクティベート

source myenv/bin/activate  # Linux/Mac

myenv\Scripts\activate.bat  # Windows


# Djangoのインストール

pip install django

プロジェクトの作成

Djangoをインストールした後、次にプロジェクトを作成します。以下のコマンドを実行すると、Djangoの基本的な構造を持つプロジェクトが作成されます。

django-admin startproject myproject

このコマンドを実行するとmyprojectという名前のディレクトリが作成され、その中にsettings.pyやurls.pyなど、Djangoのプロジェクトに必要な基本的なファイルが生成されます。

# プロジェクトディレクトリへ移動

cd myproject

最初のアプリケーション作成

次に、プロジェクト内にアプリケーションを作成します。Djangoでは、プロジェクト内に複数のアプリケーションを作成し、それぞれが特定の機能を担当します。

# アプリケーションの作成

python manage.py startapp myapp

このコマンドを実行するとmyappというアプリケーションが作成され、その中にビューやモデル、URL設定を行うためのファイルが生成されます。

4.DjangoでのWebアプリケーション開発の流れ

最初のDjangoアプリケーション作成ができたら、Webアプリケーション開発の流れを理解しておきましょう。ルーティングやビュー、データベースの活用などの基本的な使い方について解説します。

URLルーティングとビューの作成

Djangoでは、URLパターンとビューを組み合わせて、Webページの表示を制御します。urls.pyでURLパターンを設定し、ビュー関数でそのURLに対するレスポンスを返します。

# urls.py

from django.urls import path

from . import views


urlpatterns = [

    path('', views.index, name='index'),

]


# views.py

from django.shortcuts import render


def index(request):

    context = {'username': '田中 太郎'}

    return render(request, 'index.html', context)

テンプレートエンジンの使用

Djangoには、HTMLテンプレートを生成するための強力なテンプレートエンジンが組み込まれています。テンプレートでは、Pythonコードを埋め込んで動的にコンテンツを生成することができます。

<!-- index.html -->

<h1>Welcome, {{ username }}!</h1>

データベースの活用

DjangoはORM(Object-Relational Mapping)を利用して、データベースとのやり取りを簡単にします。モデルを定義すると、Djangoが自動的にテーブルを作成し、データベース操作を行えるようになります。

# models.py

from django.db import models


class Post(models.Model):

    title = models.CharField(max_length=100)

    content = models.TextField()


# マイグレーションを実行

python manage.py makemigrations

python manage.py migrate

フォームの取り扱い

Djangoでは、フォーム処理も非常に簡単に行えます。forms.pyでフォームを定義し、views.pyでそのフォームを表示し、送信されたデータを処理します。

# forms.py

from django import forms


class ContactForm(forms.Form):

    name = forms.CharField(max_length=100)

    email = forms.EmailField()

5.Djangoと他のフレームワークとの違い

Djangoと並んで、Pythonには数多くのフレームワークがあります。中でもFlaskやNode.jsと比べられることが多いでしょう。フレームワークは、それぞれ違うところがありプロジェクトの性質にあわせて採用することが重要です。

Flaskとの違い

Flaskは、Djangoと同じくPythonのWebフレームワークですが、より軽量で柔軟性が高いです。Flaskは「マイクロフレームワーク」として、必要な機能を自分で選んで追加するスタイルです。対してDjangoは「フルスタックフレームワーク」として、多くの機能を標準で提供しています。

Node.jsとの違い

Node.jsは、JavaScriptでサーバサイドのアプリケーションを作成するためのプラットフォームです。DjangoがPythonベースであるのに対し、Node.jsは非同期処理に強みがあり、リアルタイムアプリケーションの開発に優れています。Djangoは比較的同期的なWebアプリケーション開発に適しています。


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6.Djangoの将来性

2024年現在、Djangoは世界中で広く使用されています。Pythonフレームワークの中でも人気は上位に位置しています。Stack Overflowの2024年の調査によると、Djangoは人気のWebフレームワークの1つとして挙げられています。


また、Djangoは長期的なサポート(LTS)リリースが存在し、活発な開発コミュニティによって定期的にアップデートが行われるなど、安定性や拡張性の面でも魅力的な選択肢となっています。


近年ではAIや機械学習の分野でPythonの人気が上昇していますが、Djangoの将来性にも大きな影響を与えています。Djangoは機械学習モデルをWebアプリケーションに統合する際の強力なバッグエンドフレームワークとして機能するためです。


さらに、Djangoは多数のサードパーティパッケージやRESTフレームワークとの組み合わせで、MLモデルのデプロイや可視化ツールの統合が容易になるなど、データサイエンスやAI/MLプロジェクトでの導入・拡張が比較的スムーズに行えます。これにより、DjangoはAI時代でも需要があると考えられます。


また、将来性を考える上でDjangoを扱うエンジニアの年収も重要な要素です。

フリーランスボードに掲載されているDjangoのフリーランス案件・求人の年収目安は886万円(※2024年12月時点)と高めであることから将来性の高さが伺えます。


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7.まとめ

本記事ではDjangoの基本からその特徴、インストール方法、Webアプリケーション開発の流れそして他のフレームワークとの違いについて詳しく解説しました。


DjangoとはPythonで書かれた強力なWebフレームワークで、迅速で効率的なWebアプリケーション開発を支援するツールとライブラリを提供します。誕生から現在に至るまで、その強力な機能と高い安全性により、Webアプリケーション開発のスタンダードな選択肢となっています。


次にDjangoを選ぶ理由として、初心者にも学びやすく、充実したドキュメントと活発なコミュニティが支えとなっている点が挙げられます。またセキュリティ対策が標準で組み込まれており、スケーラビリティも高く、どのような規模のプロジェクトでも対応可能です。


Djangoは初心者にも優しく、高機能でスケーラブルなWebアプリケーションを開発するための理想的なフレームワークであり、その将来性も非常に明るいといえます。

本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.Djangoとは?

Djangoの定義

Djangoの誕生と歴史

Djangoの主な特徴

Djangoでできること

2.Djangoフレームワークを選ぶ理由

初心者でも習得しやすい

ドキュメントとコミュニティが充実

セキュリティ性が高い

スケーラビリティが高い

3.【入門用】Djangoのインストール

開発環境の構築

プロジェクトの作成

最初のアプリケーション作成

4.DjangoでのWebアプリケーション開発の流れ

URLルーティングとビューの作成

テンプレートエンジンの使用

データベースの活用

フォームの取り扱い

5.Djangoと他のフレームワークとの違い

Flaskとの違い

Node.jsとの違い

6.Djangoの将来性

7.まとめ