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Tensorflowとは?将来性基本の使い方、画像認識方法などサンプルコード付で解説

公開日:2024/12/29最終更新日:2025/01/01

機械学習や人工知能(AI)の分野において、多くの企業やエンジニアが注目しているライブラリが TensorFlow です。Googleが開発したオープンソースのライブラリであり、その高い性能と拡張性から、データサイエンスやAI関連のプロジェクトに欠かせないツールとなっています。この記事では、「TensorFlowとは何か?」という基本的な部分から、その使い方や関連する技術まで、初心者にも分かりやすく解説していきます。


1.TensorFlowとは?

TensorFlow は、Googleによって開発された機械学習および深層学習のためのオープンソースライブラリです。概要や注目されている理由について解説します。

TensorFlowの概要

主にニューラルネットワークのトレーニングや推論に使用されます。もともとは、Googleが社内で使用するために作成されたツールですが、その高い性能と汎用性から、世界中の開発者や研究者が利用するようになりました。


TensorFlowの名称は、「テンソル(Tensor)」と「フロー(Flow)」を組み合わせたもので、これは「多次元配列(テンソル)の流れ」を意味します。テンソルは、データの基本的な構造単位であり、データを計算するための基本的なオブジェクトです。TensorFlowは、このテンソルを使って効率的に計算を行い、大規模な機械学習モデルを訓練することを可能にします。

TensorFlowが注目される理由

TensorFlowが注目される理由は下記の3つです。

  • 高いスケーラビリティ

    TensorFlowは、単一のコンピュータから大規模な分散システムまで、あらゆる規模の計算に対応しています。このため、企業の大規模なデータセンターやクラウド環境でも利用されています。

  • 豊富なツールとライブラリ

    TensorFlowは、モデル構築や学習、デプロイメントなどのためのさまざまなツールやライブラリを提供しており、ユーザーが自分のニーズに合わせたシステムを簡単に構築できます。

  • サポートするプラットフォームの広さ

    TensorFlowは、モバイル端末やデスクトップ、クラウド環境、さらにはエッジデバイスにも対応しています。このため、開発者は多様なデバイス向けに機械学習モデルを展開できます。

2.TensorFlowの特徴と利点

TensorFlowがどのような特徴をもつのかや、その特徴にどのような利点があるのかについて解説します。

TensorFlowの特徴

TensorFlowの特徴は、下記の3つです。

  • 機械学習の全工程をサポート

    TensorFlowは、データの前処理、モデルの訓練、予測、評価、デプロイまで、機械学習の全てのステップをサポートします。この包括的なサポートにより、初心者でもスムーズに開発を進めることができます。

  • 柔軟なモデル設計

    TensorFlowは、単純なニューラルネットワークから複雑な深層学習モデルまで、多種多様なモデルを設計・実装できます。これにより、幅広い問題に対応することが可能です。

  • グラフベースの計算

    TensorFlowは計算グラフを使って、データフローを効率的に表現します。このアーキテクチャにより、並列処理や分散処理が可能になり、大規模な計算を高速に行えるという特徴があります。

TensorFlowの利点

機械学習に特化したTensorFlowの利点は下記の3つです。

  • 性能の最適化

    TensorFlowは、GPUやTPUを活用することで、計算速度を大幅に向上させることができます。これにより、大規模なデータセットや複雑なモデルでも高速な処理が可能になります。

  • 大規模なコミュニティとサポート

    TensorFlowはオープンソースのプロジェクトであり、世界中の開発者や研究者がコミュニティに参加しています。このため、豊富なリソース(ドキュメント、チュートリアル、Q&Aサイト)が揃っており、初心者でも学びやすい環境が整っています。

  • 高い移植性

    TensorFlowで開発したモデルは、PC、モバイル、Webなど、さまざまなプラットフォームにデプロイ可能です。これにより、企業は一貫したエコシステムを構築できます。

3.TensorFlowでできること

TensorFlowの公式サイトで紹介されている事例をもとに、TensorFlowでできることについて解説します。

画像認識

TensorFlowは、Convolutional Neural Networks(CNN)を使用することで、画像から特徴を抽出し、分類を行うことができます。例えば、医療画像解析や顔認識、物体検出などに応用されています。

  • MRI画像の識別

    TensorFlowを使用して脳のMRI検査中に特定の構造を識別するための、トレーニングを行い、検査のスピードと信頼性を向上させます。

  • 網膜のOCT画像上での疾患検出

    網膜のOCT画像上での疾患の分類やセグメンテーションを行い、疾患の分類と画像上での境界病変の情報を提供しています。

自然言語処理(NLP)

TensorFlowは自然言語処理(NLP)分野でも活用されています。テキスト分類や機械翻訳、文書生成など、さまざまな言語関連のタスクに適用できます。特に「TensorFlow Text」や「TensorFlow Hub」を活用することで、NLPモデルの構築が容易になります。

  • 購入者と販売者のエクスペリエンス改善

    Google Cloud ML上のTensorFlowを使用して自然言語理解による機械学習モデルを構築しました。このモデルによって販売者と購入者のエクスペリエンスの改善ができるようになりました。

予測分析

TensorFlowは、予測分析にも適しています。金融市場の予測や在庫管理、気象予測など、時間に依存するデータを扱う分野で活用されています。

  • 衛星画像データの抽出および分析情報の提供

    都市計画のための地表変化のモニタリングや違反建築の防止に役立てられています。

  • 最先端の不正検出

    TensorFlowや転移学習、生成モデルを利用して一時的に変化する複雑な不正パターンを予測しています。不正による不承認の精度を高めつつ正当なユーザーの識別精度も向上させています。

4.TensorFlowの使い方(Pythonでの基本操作)

TensorFlowの概要や特徴を理解した上で、これからTensorFlowを使いたいと考えている人に向けてTensorFlowの使い方について解説します。

Pythonとの親和性

TensorFlowは、主にPython言語と組み合わせて使用されます。Pythonはシンプルで読みやすいコードが書けるため、AI開発や機械学習の分野で非常に人気が高い言語です。また、TensorFlow自体もPythonで記述されており、Pythonライブラリとの親和性が高いため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。

簡単なサンプルコード例

以下は、TensorFlowを使ってシンプルな線形回帰モデルを作成するコード例です。

import tensorflow as tf

import numpy as np

import matplotlib.pyplot as plt


# データの生成

x_data = np.random.rand(100).astype(np.float32)

y_data = 3 * x_data + 2


# モデルの構築

W = tf.Variable(np.random.randn(), name="weight")

b = tf.Variable(np.random.randn(), name="bias")


y_pred = W * x_data + b


# 損失関数

loss = tf.reduce_mean(tf.square(y_pred - y_data))


# 最適化

optimizer = tf.optimizers.SGD(learning_rate=0.1)


# 学習ループ

for epoch in range(1000):

    with tf.GradientTape() as tape:

        y_pred = W * x_data + b

        loss = tf.reduce_mean(tf.square(y_pred - y_data))

    # 勾配の計算

    grads = tape.gradient(loss, [W, b])

    # 勾配の適用(パラメータの更新)

    optimizer.apply_gradients(zip(grads, [W, b]))


    # ロギング

    if epoch % 100 == 0:

        print(f"Epoch {epoch}: W = {W.numpy()}, b = {b.numpy()}, Loss = {loss.numpy()}")

このコードでは、線形回帰という簡単なモデルを作成しています。TensorFlowを使うことで、モデルの作成、損失関数の設定、最適化を効率的に行うことができます。


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5.Kerasとの違いと連携

TensorFlowは、Kerasと比較されることも多いでしょう。Kerasはもともと独立したライブラリでしたが、2019年のTensorFlow 2.0のリリースによってTensorFlowと統合されています。 Kerasの概要とTensorFlowとの関係性について解説します。

Kerasとは?

Kerasは、TensorFlowの上で動作する高レベルなニューラルネットワークAPIであり、モデルの構築や学習をシンプルに行うためのツールです。もともとは独立したライブラリでしたが、現在はTensorFlowに統合され、TensorFlowの一部として提供されています。


Kerasを使用すると、深層学習モデルを簡単に定義し、訓練・評価することができます。複雑な計算を自分で実装する必要がなく、シンプルで直感的なコードで深層学習の実装が可能です。

TensorFlowとKerasの連携

TensorFlow内に組み込まれているKerasを使うと、さらに便利な機能を活用できます。例えば、モデルの層(レイヤー)を簡単に追加したり、学習の進捗を追跡するためのコールバック機能を活用することができます。

Kerasを使うことで、モデルの構築が一段と簡単になり、TensorFlowの強力な機能を活用しつつ、直感的にプログラミングが可能です。

6.TensorFlowとPyTorchの違い

次に、PyTorchの違いについて解説します。PyTorchは、TensorFlowとは異なるアプローチをとっている機械学習ライブラリです。

PyTorchとは?

PyTorchは、Facebookが開発した機械学習ライブラリであり、TensorFlowとは異なるアプローチをとっています。特に動的計算グラフを採用している点が特徴で、実行時に計算グラフを構築するため、柔軟性が高いとされています。

TensorFlowとPyTorchの選び方

どちらを選ぶべきかは、プロジェクトや個人の好みによります。以下のポイントを参考にしてください。

  • TensorFlow

    大規模なデータセットや分散処理を必要とする場合に適しています。また、モバイルやWebでのデプロイに強みがあります。

  • PyTorch

    実験的な研究やプロトタイピングを行う際に便利です。動的計算グラフの柔軟性を活かしたい場合におすすめです。

7.TensorFlowを使った画像認識の実装方法

TensorFlowを使うことで、画像認識などの実践的なアプリケーションを簡単に開発できます。例えば、Convolutional Neural Network(CNN)を用いた画像分類モデルを作成することができます。

from tensorflow.keras import layers, models


model = models.Sequential([

    layers.Conv2D(32, (3, 3), activation='relu', input_shape=(64, 64, 3)),

    layers.MaxPooling2D((2, 2)),

    layers.Conv2D(64, (3, 3), activation='relu'),

    layers.MaxPooling2D((2, 2)),

    layers.Flatten(),

    layers.Dense(64, activation='relu'),

    layers.Dense(10, activation='softmax')

])

このコードは、画像認識のためのCNNモデルの簡単な例です。TensorFlowを使うことで、複雑な画像認識のモデルも短いコードで実装できます。

8.TensorFlowの入門者向けリソース

TensorFlowを学ぶためには、公式ドキュメントやチュートリアルが非常に役立ちます。特に、Googleが提供する無料のオンラインコースや、YouTubeでのチュートリアルなどは、初心者にも分かりやすく説明されています。

これらを活用して、ステップバイステップで学習を進めていきましょう。

9.TensorFlowの将来と開発終了の噂

TensorFlowは、PyTorchとシェアを競っている状況であり、TensorFlowは「開発終了するのでは?」という噂もあります。しかしこれは事実ではありません。TensorFlowとPyTorchのシェアを比較しながらその真相と将来性について解説します。

開発終了の真相

インターネット上で「TensorFlowの開発が終了するのでは?」という噂が流れたことがありますが、これは事実ではありません。GoogleはTensorFlowの開発を継続しており、これからも新しい機能の追加や改善が行われる予定です。


しかし、Googleトレンドで過去5年のTensorFlowとPyTorchの人気の動向をみてみると2024年現在では、PyTorchの方が人気の傾向であるようです。

ただ、重要なのは人気のフレームワークを選択することではなくプロジェクトや目的に合わせたものを選ぶことです。例えば、研究目的でカスタムレイヤーを多用するのであればPyTorchが魅力的でしょう。


一方で、大規模なモデルをプロダクション環境で運用するならTensorFlowの安定性が最適です。

今後の将来性

TensorFlowは、Googleが開発したオープンソースの機械学習ライブラリであり、AIや機械学習の分野で非常に重要な役割を果たしています。今後もさまざまな領域で活躍することが予想されます。特に、エッジコンピューティングやモバイルデバイス向けの最適化が進むことで、さらに多くのシーンで利用されるようになるでしょう。


また、TensorFlow Hubと呼ばれるプラットフォームでは、学習済みモデルを共有し、再利用することができます。これにより、開発者は独自のモデルを構築する手間を省き、既存のモデルをカスタマイズすることで、より迅速にアプリケーションを開発することができます。


さらに、TensorFlowは活発なコミュニティによって支えられており、豊富なドキュメント、チュートリアル、フォーラムなどが提供されています。そのため、初心者でも比較的容易に学習することができます。


次に平均年収の観点から将来性を解説します。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の結果」によると、システムエンジニアの平均年収は557万円です。

一方でフリーランスボードに掲載されているTensorFlowを扱う案件・求人の年収目安は1,012万円です。倍近くの差があり、需要の高さが伺えます。しかし求人の件数は比較的少なめであるため、自分にあった求人を見つけるのは少し困難かもしれません。


TensorFlowは、今後もAIや機械学習分野において中心的な役割を果たし、様々な分野で応用されていくことが期待されます。TensorFlowのスキルを習得することは、キャリアアップの大きな武器となるでしょう。


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10.まとめ

TensorFlowは、AIや機械学習において強力なツールであり、その柔軟性とスケーラビリティにより、さまざまな分野で利用されています。この記事で紹介した内容を参考に、まずは基礎から学び、実際のプロジェクトに活用していきましょう。


TensorFlowを学ぶことで、将来的に多くのAI関連のプロジェクトで活躍できるスキルを身につけることができます。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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