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ノーコード開発とは?メリット・デメリット、ローコードとの違い、ツールなど解説

公開日:2025/01/24最終更新日:2025/01/31

システムやアプリに関するプログラミングなどの専門知識を少ないままで、開発を行うことができる技術が「ノーコード(ツール)」です。

本記事では学習などのコストが低く、業務の効率化を図れるため、あらゆる企業で注目を集めているノーコード開発について紹介していきます。


1.ノーコード開発とは

ノーコード開発

ノーコードとは、プログラミングで「ソースコード」を記述するコーディングという作業をなくした開発手法のことです。


通常はPythonやJavaなどのプログラミング言語を駆使して、専門のプログラマーが呪文のようなソースコードを記述する必要があります。しかし、ノーコードではあらかじめ用意されている機能を持ったパーツをツールの画面上で組み合わせていくことで開発が可能です。


アメリカではGAFA(Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple)が発展を先導する形となっており、日本でもその影響を受けて多くの企業で導入が検討されています。


簡単な操作で覚えることも少ないため、IT部門でなくとも低コストでのシステムやアプリの開発が行え、人材不足の解消と業務の効率化に対する期待が大きいです。

ローコード開発

ノーコードと間違われやすい手法に「ローコード」があります。


これらの違いはノーコードは「ソースコードなしの開発手法」で、ローコードは「ソースコードを最小限にする開発手法」という点です。ローコードでは、最小限のプログラミングを必要とするため、専門知識も必要になりますが、その代わりにプログラミング言語によっては対応する環境(OSなど)の幅が広がります。

ノーコード開発が注目されている理由

ノーコード開発が注目されている理由は以下の通りです。

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やテレワークの導入

  • 需要に対するコスト不足

  • プラットフォームの充実

それぞれの内容について解説していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やテレワークの導入

まず、注目すべきなのが各企業でのDX推進とテレワークの導入です。


以前は紙や印鑑で管理していた書類や対面での会議、営業などもDX推進でオンライン化が進んでいます。それに加えて、コロナ禍のテレワークの導入により、オンライン化とデジタル化の必要性が増したのです。


基本業務はビジネスチャットやWeb会議、スケジュール管理などができる「SaaS(Software as a Service)」の導入により、解決することができました。しかし、各企業の独自業務に対しては専門の知識とスキルでシステムやアプリの開発が必要です。

そこでIT技術がなくともノーコード開発が有効な解決法として認知されはじめました。

需要に対するコスト不足

次に注目されたのが、前述の需要に対する開発や人材などのコスト不足です。また、システム開発に関われる人材がいたとしても、業務システム開発には以下のような課題もあります。

  • システム化する業務知識

  • システム開発の時間や金額的なコスト

  • 自社システムに対する先行投資リスク

これらの問題を解決する手段として、注目されたのがノーコード開発です。

システム化したい業務を普段から行っている人員で開発でき、学習や開発に対するコストを低くできるなどの可能性があることが主な背景になります。

プラットフォームの充実

最後がプラットフォームの充実です。ノーコード開発の需要が高まるにつれて様々な企業からプラットフォームが提供されるようになりました。

有名なプラットフォームは以下の通りです。

  • Microsoftの「Microsoft Power Apps」

  • Googleの「Google AppSheet」

  • Amazonの「Amazon Honeycode」

  • サイボウズの「kintone」

MicrosoftやGoogle、Amazonは自社サービスとの連携、サイボウズはモバイル環境への対応などのそれぞれに特徴を持っています。他にも各種OSやブラウザ、IoTなどさまざまな分野に対応したプラットフォームも登場しており、プログラミングによるシステム開発に違い範囲での活用が可能です。


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2.ノーコード開発のメリット

ノーコード開発を活用するにあたってのメリットについて紹介していきます。将来的に行う学習や導入という視点で確認しましょう。

プログラミングスキルが不要

プログラミングの専門的なスキルが不要なのが代表的なメリットになります。もちろん、開発の基本である論理的にシステムやアプリの処理内容を考える能力は必要です。しかし、プログラミングスキルを一から身に着けることに比べれば、格段に楽になります。

開発ではイメージを具現化しやすい

通常のシステム開発では機能や処理を実現するためにはソースコードという特殊な記述が必要です。ノーコード開発ではすでに機能が用意されており、処理も画面上に機能を持ったパーツを配置していくだけといった直感的に開発を進められます。


また、従来のシステム開発では操作画面などを外部の企業やIT部署の担当者にイメージを伝えることが必要です。しかし、ノーコード開発では実際に使用する部署での開発が可能なため、部署内のイメージを形にしやすくなります。

開発コストの削減と人材不足の解消

通常のシステム開発では簡単にまとめると以下のような工程が必要です。

  1. 要件定義

  2. 設計

  3. プログラミング

  4. テスト・修正

  5. リリース

上記の中でも「要件定義」「設計」では実際にシステムを使用する部署の要望を細かくヒアリングし、実現する必要があります。また、「プログラミング」以降の作業にはプログラミング以外の周辺機器や環境に対する専門的な知識を持った人材が必要です。


対して、ノーコード開発の場合は以下のような工程になります

  1. 要件定義・設計

  2. ノーコードツールでの実装

  3. テスト・修正

  4. リリース

まず、初めの工程である「要件定義・設計」ですが、使用する部署が自分たちのニーズに合わせて考えるため、大幅な削減が可能です。次の「ノーコードツールでの実装」以降の作業では開発ツールの使用方法以外にプログラミングのような専門知識はほぼ必要としないため、非IT人材も活躍できます。

修正や改善も簡単

システム構築の修正や改善も配置した機能を持つパーツの変更や移動などをドラッグアンドドロップといった簡単操作で可能です。新規プロジェクトやデジタル化の移行などでは業務内容の変更や改善はよく発生します。


通常の開発では再度担当者との相談や追加のコストを必要としますが、ノーコード開発ではその部署内のみで修正や改善が可能になるのも利点です。

3.ノーコード開発のデメリット

前章で魅力的なメリットについて解説しましたが、本章ではデメリットについて解説していきます。

開発の自由度や性能の制限

すでに準備されている機能のみを使用しての開発になるため、問題となるのが自由度の制限です。プログラミングであれば、処理の効率化などによる処理速度や機能の改善ができますが、ノーコード開発では決まった命令を決まった時間で実行することしかできません。


そこで前述のローコード開発という選択肢もありますが、こちらには最低限のプログラミングスキルが必要です。ノーコード開発の導入の際は「ノーコード」「ローコード」「従来の開発」のそれぞれで実現可能な処理とかかるコストをしっかりと検討しましょう。

プラットフォームへの依存

ノーコード開発では専用プラットフォームの利用が不可欠です。そのため、他の環境への移行や流用を行う際、使用するプラットフォームに機能がなければ作り直しが発生します。また、各プラットフォームで実現可能な処理やデザインが異なることもあるため、開発可能な処理や機能が制限されることも欠点です。


それ以外にも「利用料金の値上げ」「サービスの終了時の対応」などプラットフォームへの依存によるさまざまなデメリットが存在します。

国産の製品が少ない

ノーコード開発のプラットフォームは前述にもあるように「Microsoft」「Google」「Amazon」などの海外産がほとんどです。そのため、英語の製品説明書や参考資料はあっても、日本語の資料がない場合があります。今後、日本の普及状況によっては日本語対応もあり得ますが、現状では説明書や資料を理解するための英語力が必要です。

セキュリティリスクがある

通常のシステム開発では、「専用のソースコード」「他のシステムとの連携」「環境や運用」などの自由度があるため、設計の際にセキュリティ脆弱性への対策ができます。


対して、ノーコード開発では前述にもあるように、「処理」「対応環境」「連携可能なシステム」などが制限された状態です。その自由度の低さとツールへの依存により、セキュリティ面の強化にも限界があります。


個人情報や金融関係、機密情報などの重要情報を扱う場合には、ツールやプラットフォームの特性をしっかりと理解した上でセキュリティ対策が必須です。

4.ノーコード開発ツール・プラットフォームの選び方

ノーコード開発ツール・プラットフォームの選定を行う際に考慮すべき事項は以下のようになります。

  1. 利用用途

  2. 料金

  3. 対応環境

  4. 導入形式

  5. サポート体制とマニュアル

各項目に関する解説をもとに選ぶことが大切です。

利用用途

ノーコード開発ツール・プラットフォームには多種類の開発に使用できるものもありますが、基本的にはWebアプリやECサイトなどの用途に限定されています。

開発の種類は以下の通りです。

  • プロダクト開発:Webアプリやネイティブアプリなどの顧客サービス開発

  • 業務システム開発:単純作業や作業時間の削減などの業務効率化を目的として社内システムの開発

  • Webサイト制作:製品や企業に関するWebサイトの制作

  • ECサイト開発:商品ページ、カート、決済などの機能を備えたECサイトの開発

開発するシステムに合わせたツールの選定を行わないと、機能の不足や環境への不適合が起こる可能性があります。また、開発の種類を決めた後に複数のツールで実現可能な機能を比較するのも大切です。

料金

ノーコード開発ツールには無料体験期間や体験版が用意されている場合があります。本格的な導入の前に一度検討してみると良いでしょう。また、使用するアカウント数や初期費用の有無など、ツールによって料金プランには違いがあります。1アカウントで1000円未満もあれば、10000円程もあるなどさまざまです。


機能不足または過剰なツールを選ばないように費用対効果を分析して、検討しましょう。

対応環境

まず、考慮すべきなのが開発できるアプリやツールが対応している環境です。PCとモバイルの両方の環境に対応するものもあれば、PCに限定されているものもあります。利用したい環境にあったツールを選定することが大切です。

導入形式

ノーコード開発の導入形式には「クラウド」「オンプレミス」があります。

オンプレミスは、自社のサーバーへツールのインストールが必要です。その代わり、社内管理のため、セキュリティ面が安心でカスタマイズ性も高いのが特徴になります。欠点としては、自社で使用環境の構築と保守が必要です。


クラウドは、サービス提供側がサーバーを用意してくれるため、サーバーの準備が必要ありません。初期投資やメンテナンスなどのコストを削減できるのが特徴です。しかし、オンプレミスに比べセキュリティやカスタマイズ性の低さなどがあげられます。

サポート体制とマニュアル

導入を検討するツールのサポート体制とマニュアルにも注意です。導入の際はもちろん、導入後のサポート体制はあるか、マニュアルはわかりやすいものが提供されているかなどはツールの活用を考える上で重要なポイントになります。


また、前述の通り海外の会社が開発したツールもほとんどで、日本語でのサポート体制やマニュアルがないことが多いです。

使用する作業員のスキルも考慮することで効率的な開発の一助となるでしょう。

5.ノーコード開発の将来性

業務の効率化や改善と、柔軟な変化への対応が求められるこれからの時代において、ノーコード開発の需要はさらに高まるでしょう。

さらに短いサイクルで開発を行い、市場や業務環境の変化に合わせて迅速に機能を追加・修正できるメリットは、ビジネス競争力の向上にも直結するでしょう。


ノーコード開発の将来性は「内製化」と「アジャイル開発」に深く関係しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の要となる「システムの迅速な開発と導入」を目指す企業は、外注から内製化への移行を強めていますが、IT人材の不足が課題となっていました。


そこで、IT専門知識を持たない従業員でも開発やメンテナンスが可能なノーコード開発が注目を集めています。さらに、ノーコード開発は画面上でのドラッグアンドドロップ操作による素早い仕様変更が容易であり、変化の激しいビジネス環境におけるアジャイル開発との相性が優れています。


予測が困難な状況においても、短期間で繰り返し機能を更新できるため、業務効率化と競争力向上の両面で大きな効果が期待できます。このことから、より柔軟な対応を可能にするノーコード開発の需要は今後ますます高まっていくと考えられます。


また、内製化によって社内にノウハウが蓄積されることも重要な利点です。


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6.まとめ

プログラミングを必要としないノーコード開発はスキルに左右されずに人材を確保して開発が可能です。その代わり、限られた条件下での開発を求められます。

欲しいアプリやシステムはノーコードでの開発が可能なのか、ノーコード開発によって得られるメリットとデメリットは釣り合っているのかなどをしっかりと精査しましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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