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住宅ローン控除とは?2024年改正点・控除の条件・確定申告のための必要書類・記入方法など解説

公開日:2025/02/28最終更新日:2025/02/28

住宅ローンはマイホームの新築・省エネ改修・バリアフリー化など特定のリフォームを行う際に利用できる融資です。住宅ローンを活用して住宅を取得すると住宅ローン控除の適用により、所得税や住民税の税額控除を受けることが可能です。


ただし住宅ローン控除を受けるためには、一定の適用条件を満たしたうえで初年度に確定申告を行う必要があります。住宅ローンを契約しただけでは、税金の控除は受けられないので注意が必要です。


そこで本記事では住宅ローン控除の申請手続きや、確定申告時に必要な書類などについて詳しくご紹介します。


目次

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれます)は住宅ローンを活用して新築・住宅の取得・増改築を行った人が、所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。この控除はその年の課税所得金額(通常その年(1月1日から12月31日)の総所得金額から、納税者の個別の状況に基づく所得控除を差し引いた後の金額)を基に算出された所得税額から差し引かれる「税額控除」の一つです。


住宅ローン控除の控除額は、基本的に住宅ローンの年末残高に基づいて決定されます。たとえば新築の場合、ローンの年末残高の0.7%に相当する金額を最大13年間にわたり所得税や住民税から差し引くことができます。

新築・買取再販住宅の控除率およびいつまでか(適用期間)

基本的に控除率は0.7%、税額控除の適用期間は13年間です。


住宅の性能やその他の条件に基づく借入限度額(住宅ローン控除で控除を適用できる最大の借入額を意味します。限度額を超える部分には控除が適用されません。)は、基本的に以下の通りです。例外もありますので後ほど解説します。

住宅の種類

2022年・2023年入居

2024年・2025年入居

長期優良住宅・低炭素住宅

5,000万円

4,500万円

ZEH基準を満たす省エネ住宅

4,500万円

3,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

3,000万円

その他の住宅

3,000万円

0円

なお新築や買取再販住宅における「その他の住宅」とは長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅のいずれにも該当しない、一般的な住宅のことを指します。これは、マンションでも戸建てでも同様です。


住宅ローン控除の対象となる住宅が新築等の場合、上記の通り住宅の性能に応じて借入限度額が異なります。

中古住宅の控除率およびいつまでか(適用期間)

基本的に控除率は0.7%、税額控除の適用期間は10年間です。住宅の性能などによる借入限度額は次の通りです。

住宅の種類

2022年・2023年入居

2024年・2025年入居

長期優良住宅・低炭素住宅

3,000万円

3,000万円

ZEH基準を満たす省エネ住宅

3,000万円

3,000万円

省エネ基準適合住宅

3,000万円

3,000万円

その他の住宅

2,000万円

2,000万円

このように、住宅の性能によって借入限度額が決まります。

2022年(令和4年)度税制改正による変更点

住宅ローン控除が大幅に変更されたのは令和4年度(2022年)の税制改正です。主な変更点として、2021年以前に入居した場合と比べて控除率が1%から0.7%に引き下げられたことが挙げられます。


住宅ローン控除は所得税から控除されますが、もし所得税で控除しきれなかった場合は住民税から一部控除を受けることも可能です。令和4年分からは住民税からの控除額の上限が引き下げられ、原則として9万7,500円または前年課税所得の5%のいずれか低い金額が原則となります。

2.2024年1月施行の住宅ローン減税の変更点

住宅ローン控除については2024年から借入限度額の引き下げや、省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅が適用外になることがすでに決まっていました。しかし2024年の税制改正では、子育て世帯や若者夫婦世帯への支援が強化されることになりました。

それでは2024年1月からの主な変更点について、詳しく見ていきましょう。

省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅は控除対象外に

「その他の住宅」を購入・建築する場合は基本的に控除対象外ですが、「2023年12月31日までに建築確認を受けている」または「2024年6月30日までに建築が完了している」住宅については住宅ローン減税の控除対象となる借入限度額が、3,000万円から2,000万円に引き下げられます。


また住宅ローン減税の控除期間が、13年から10年に短縮されます。


特に注意すべきポイントとして、適用要件があります。建築確認が2024年以降になったり、建築完了が2024年6月30日以降になったりすると住宅ローン減税の適用対象外となってしまいます。


注文住宅は建売住宅やマンションに比べて工期が長くなる可能性があるため、建築確認のタイミングや建築完了日には十分注意しましょう。

子育て世帯や若年夫婦世帯への控除が強化

2024年度の税制改正では子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、住宅ローン減税の控除が強化されました。対象となる世帯の条件

  • 子育て世帯: 19歳未満の子どもがいる世帯

  • 若者夫婦世帯: 夫婦のどちらかが40歳未満の世帯

これらの世帯は、他の世帯に比べて住宅ローンの借入限度額が高く設定されています。この改正は「頭金をあまり用意せずに住宅を購入したい」「手元の現金をなるべく残したい」と考える子育て世帯や若者夫婦世帯にとって、大きなメリットとなります。


ただし借入限度額の優遇を受けられるのは、新築または買取再販住宅で省エネ基準を満たしている住宅に限られます。省エネ基準を満たさない住宅や中古住宅に対してはこの優遇措置は適用されませんので、注意が必要です。

新築住宅の床面積要件が40㎡以上に緩和される措置を延長

住宅ローン控除の条件の一つに「床面積が50㎡以上」である必要があるという規定がありますが新築住宅においては合計所得金額が1,000万円以下の人が借入を行う場合、床面積が「40㎡以上」に緩和される措置が以前から存在していました。


この措置は当初2023年末までの適用とされていましたが、2024年度の税制改正により建築確認の期限が2024年末までに延長されることとなりました。


この変更により住宅ローン控除が適用される対象が広がるため、一人暮らしや二人暮らし用の住宅を購入する場合でも所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。

3.住宅ローン控除(減税)で知っておきたいポイント

この章では住宅ローン控除について改めて確認しておきたいポイントについて解説します。

税額から直接控除される

住宅ローン控除は、納めるべき所得税から直接差し引かれる「税額控除」です。


所得税はまず総所得金額から各種控除を引いて課税所得金額を算出し、その金額に税率をかけて計算されます。その結果計算された税額を全額納めるのが基本ですが、住宅ローン控除を受けることでその税額が軽減されます。


税額控除は社会保険料控除や生命保険料控除といった所得控除よりも減税効果が大きいのが特徴です。控除額の詳細は所得額や年末時点でのローン残高を基に、確定申告で決定されます。

所得税で控除しきれなかった分は住民税から控除される

住宅ローン控除額が所得税額を超える場合、超えた分は翌年の住民税から控除されます。


たとえば住宅ローン控除で21万円の減税があり所得税が19万円だった場合、残りの2万円は翌年の住民税から差し引かれます。ただし住民税から控除できる額は、課税所得金額の5%または最大9.75万円までです。


所得税に関して住宅ローン控除の申告を済ませていれば、住民税の控除を受けるために別途手続きをする必要はありません。住民税にも控除がある点は、住宅購入者にとって大きな利点です。

控除期間は最長13年

住宅ローン控除は、一定の性能基準を満たす新築住宅に対しては最長13年間の控除が受けられます。それ以外の新築住宅や中古住宅の場合でも、最大10年間の控除が適用されます。


ただし所得や床面積など住宅ローン控除の要件を満たさない場合、控除対象にはなりませんので注意が必要です。

4.住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除を適用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件は、購入する住宅が新築か中古かまたは増改築などのリフォームによるものかによって異なります。


2024年以降、新たに住宅ローン控除を受ける場合の各条件について見ていきましょう。

新築住宅の場合の適用条件

新築住宅を購入する場合、その住宅が一定の省エネ基準を満たしていることが求められます。さらに主に次の条件を満たす必要があります。

  • 減税を受ける本人が、住宅の引渡し日または工事完了から6ヵ月以内に実際に居住すること

  • 特別控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること

  • 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上で、その半分以上が自身の居住用であること※ただし、合計所得金額が1,000万円以下で、2024年末までに建築確認を受けた新築住宅の場合、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満でも適用されます

  • 対象住宅に対して、10年以上の返済期間を持つ割賦償還方式のローンがあること など

また売買契約書と登記簿に記載された床面積には異なる計算方法があるため、住宅ローン控除を利用する際には登記簿に記載されている床面積が基準となることに留意する必要があります。

買取再販住宅の場合の適用条件

買取再販住宅の場合には新築住宅の条件に加えて主に次の要件も満たす必要があります。

  • 住宅を宅地建物取引業者から取得していること

  • 宅地建物取引業者が住宅を購入し、リフォームを行い再販するまでが2年以内であること

  • 住宅の取得時点で、新築から10年以上経過していること

  • 住宅の価格に対して、リフォーム工事費用が20%以上を占めること など

買取再販住宅を購入して住宅ローン控除を受けるには、リフォーム内容や工事費用に関する細かな条件をクリアする必要があります。買取再販住宅の購入を検討する際は、住宅ローン控除の条件に適合しているかを販売業者に事前に確認しておきましょう。

中古住宅の場合の適用条件

中古住宅の場合には新築住宅の条件に加えて、主に現行の耐震基準を満たしていることなどが必要です。

リフォーム(増改築)を行う場合の適用条件

リフォームや増築の場合には新築住宅の条件に加え、例えば次のような工事が行われていることが必要です。

  • 増改築や建築基準法に基づく大規模な修繕または大規模な模様替え(壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれか1つ以上)

  • マンションの専有部分で床・階段または壁の過半数を対象とした修繕や模様替えの工事

  • 一定のバリアフリー改修工事

  • 一定の省エネ改修工事 など

またこれらの工事の費用は100万円以上でなければならず、工事ごとに金額が判断されるためリフォームを複数回に分けて実施する場合は注意が必要です。


リフォームや増築に関する条件は複雑で、新築や中古住宅の購入時と比べて気をつけるべき点が多くあります。住宅ローン控除を利用するために自宅のリフォームを行う際は、専門家に相談することも検討が必要かもしれません。

5.住宅ローン減税の対象となるローンの条件を確認しよう

住宅ローン控除には前述した条件のほかにも、ローンに関する適用要件があります。これらの条件を全て満たす必要があるため、しっかりと確認しておくことが重要です。

控除対象となる住宅ローンの要件

住宅ローン控除を受けるためには合計所得金額が2,000万円以下であり、返済期間が10年以上の割賦償還方式によるローンであることに加えて次の条件も満たす必要があります。


まず住宅ローン控除の対象となる借入金等は、住宅の新築・取得・増改築等のためのものでありかつ住宅の取得等に直接必要な資金である必要があります。


この借入金等には住宅の新築や取得(増改築等は除きます。)と同時に取得するその住宅の敷地(「敷地」とは住宅の用に供する土地やその土地上の権利を指します)を購入するための資金も含まれます。


ただしその年の12月31日時点で建物に対して住宅ローン控除の対象となる借入金等が残っていない場合、敷地に関する借入金等があったとしてもそれらは控除の対象外とみなされます。


また借り入れ元が例えば以下であることも必要です。

例)銀行・農協・信用金庫・信用組合・住宅金融支援機構・地方公共団体・各種公務員共済組合 など


なお親族・知人・自身が役員を務める企業や親族が経営する会社からの借入金は対象外となります。

他の特例との併用時の注意点

これまでの条件を満たしていても、他の特例との関係で住宅ローン控除が適用されない場合もあります。


例えば住宅に関連する所得税控除には特定居住用財産の買換え特例や3,000万円特別控除がありこれらを適用した場合、原則として住宅ローン控除は利用できません。また住宅ローン控除は、課税される所得税があることが前提です。


住宅に関連する税制度は複雑であるため、不明点があれば専門家に相談するのが良いでしょう。

6.住宅ローン控除の申請手続きの手順

次に、住宅ローン控除の申請手続きの流れについて確認していきましょう。

初年度(1年目)は確定申告が必要

住宅ローン控除を初めて利用する場合、確定申告が必要です。初年度は年末調整で控除を受けることができないため、注意が必要です。確定申告を行う際には確定申告書や住宅ローンの計算明細書など、いくつかの書類を準備することが求められます。

2年目以降は年末調整で対応可能

給与所得者の場合、住宅ローン控除は2年目以降は年末調整を通じて申請が可能です。この場合、年末調整の際には以下の書類を会社に提出する必要があります。

  • 住宅借入金等特別控除申告書兼計算明細書(税務署から送付される)

  • 住宅取得資金に関する借入金の年末残高等証明書(金融機関から送付される)

個人事業主は2年目以降も確定申告が必須

会社員が住宅ローン控除を受ける場合、初年度は確定申告が求められますが2年目以降は勤務先での年末調整を通じて控除を受けることができます。


一方個人事業主の場合、年末調整が行われないため2年目以降も引き続き確定申告を通じて控除を受けることになります。

7.住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は?

住宅ローン控除を初めて利用するには確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書を提出することに加え、控除の種類によって必要な書類を添付する必要があります。


必要な書類は新築・中古住宅や増改築など、場合によって異なりますので、この章で共通の書類を挙げておきます。

  • 確定申告書

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額計算明細書

  • 本人確認書類の写し

  • 建物・土地の登記事項証明書

  • 建物・土地の不動産売買契約書(または請負契約書)の写し

  • 源泉徴収票

  • 住宅ローン年末残高等証明書

確定申告書

住宅ローン控除を受けるためには、必要な情報を記入した確定申告書を提出する必要があります。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、住宅ローン控除を適用するための金額計算を行う書類です。この明細書は住宅の性能に関係なく、すべての住宅ローン控除を申請する人が提出する必要があります。


書類には取得した住宅の詳細(取得日、面積、価格など)や住宅ローンの残高などの情報を記入します。この明細書は確定申告書と一緒に提出します。

本人確認書類のコピー

確定申告を行う際には、本人確認書類としてマイナンバーカードなどのコピーを提出する必要があります。

建物・土地の登記事項証明書

建物・土地の登記事項証明書とは、法務局などで発行される登記簿のことです。この書類には、住宅の取得日や面積などの情報が記載されています。


通常建物・土地の登記事項証明書の提出が求められますが「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に不動産番号を記入することで、提出を省略することが可能です。

不動産売買契約書(請負契約書)の写し

住宅の取得日や取得価格などが記載された、建物・土地の不動産売買契約書(または請負契約書)のコピーを確定申告書に添付します。

源泉徴収票

給与所得がある場合、源泉徴収票を準備します。これは確定申告書の給与所得欄を記入する際に必要ですが、税務署への提出は不要です。

住宅ローンの年末残高証明書

住宅ローンの年末残高等証明書は、銀行などの融資機関から送付されてきます。これも確定申告書に添付して提出する必要があります。

8.住宅ローン控除を申請する際の確定申告書の記入方法

住宅ローン控除を利用するためには、初年度に確定申告を行う必要があります。「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に必要事項を記入し、申告を完了させましょう。

新築や購入した住宅に関する記載事項

(出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r06/14.pdf)


(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の「新築又は購入した家屋等に係る事項」欄に、入居日を居住開始年月日として記入しましょう。


取得対価の額は契約書に記載されています。建物に関しては消費税込みの金額を記入し、土地については消費税が非課税であるため土地本体価格のみを記入する点に注意が必要です。


総(床)面積は登記事項証明書を基に記入して居住部分の(床)面積欄には事務所や店舗として使用している部分がなければ、総(床)面積と同じ数値を記入します。

住宅や土地の購入費用の記入方法

(出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r06/14.pdf)


「家屋や土地等の取得対価の額」の「あなたの持分に係る取得対価の額等」については、共有者がいない場合には取得対価の額と同じ金額を記入します。


次に「居住用部分の家屋または土地等に係る住宅借入金等の年末残高」の項目で「新築、購入および増改築等に関連する住宅借入金等の年末残高」は、住宅取得資金に関する借入金の年末残高証明書を参照して記入します。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の記載ポイント

「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に住宅の購入額やローン残高など必要な情報を記入し、そこから住宅ローン控除額を算出します。その後、算出された控除額は確定申告書の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」欄に転記します。


さらに翌年以降に年末調整で控除を受ける場合は、書類の一番下にある「控除証明書の交付を要しない場合」の欄に丸を付けないよう注意しましょう。


丸を付けると税務署から控除証明書が発行されず、年末調整で控除を受けられなくなります。

9.住宅ローン控除の申告書の提出方法

確定申告書の提出方法には、次の3つの方法があります。

  • 税務署に直接持参する

  • 税務署に郵送する

  • e-Taxを利用して電子申告する

それぞれの方法について詳しく説明します。

税務署へ直接提出する場合

確定申告期間中には、税務署内に専用の窓口が設置されます。管轄の税務署に直接持参する場合、担当者が記載内容や不備を確認してくれるというメリットがあります。


ただし、窓口で対応を受けることができるのは開庁時間内のみです。さらに確定申告期間中は窓口が非常に混雑するため、長時間待たされることもありますので注意が必要です。


提出だけの場合は、税務署の時間外収受箱を利用して24時間投函することが可能です。

郵送で税務署に送付する場合

郵送で提出する場合は、住所地などの所轄税務署または業務センターに送付します。確定申告書は信書に該当するため、「郵便物」や「信書便物」として発送します。郵送による確定申告書の提出日は、消印の日付が基準となります。


郵送のメリットは税務署に出向く手間が省け、時間を有効に使える点です。しかし書類の紛失や未着のトラブルを避けるため、簡易書留など追跡可能な方法で送付することをお勧めします。


不備があった場合は再提出が必要となり、手続きが遅れる可能性があるのがデメリットです。

e-Taxを利用したオンライン申請方法

e-Taxは、パソコンやスマートフォンを使って24時間いつでも利用できる電子申告システムです。従来の方法と異なり1月上旬から申告を開始でき、納税も一度に完了することができます。また、還付が速いという点も大きなメリットです。


住宅ローン控除に関する必要書類は郵送や窓口への提出だけでなく、イメージデータ(PDF)として送信することも可能です。提出した書類は電子データとして保存され、翌年以降の申告時に過去の内容を簡単に参照できます。


e-Taxは確定申告の効率化に役立ちますが、デメリットとしては事前登録や対応機材の準備が必要なことが挙げられます。e-Taxを利用するためにはインターネット環境や対応端末を整えなければならず、さらにマイナンバーカードが必要です。


マイナンバーカードを持っていない場合は、カードを取得するか税務署でe-Tax用のIDとパスワードを事前に発行してもらう必要があります。

10.住宅ローン減税を受ける際のポイント

住宅ローン控除を受ける際は、次の4つのポイントに注意しましょう。

2年目以降も継続して手続きが必要

住宅ローン控除を受けるには、毎年手続きを行う必要があります。


初年度は必ず確定申告が必要ですが、2年目以降は個人事業主は引き続き確定申告です。会社員であれば勤務先での年末調整で対応できます。手続きを忘れてしまうと控除が受けられなくなるため、毎年忘れずに行いましょう。期限があるので、申告漏れに気付いたら早めに税務署に相談することをおすすめします。

住宅ローンの借り換え時も控除を適用可能

住宅ローンを借り換えた場合でも、一定の条件を満たせば引き続き住宅ローン控除を受けられます。


条件として借り換えは元の住宅ローンを返済する目的であることなど、控除の適用要件を満たす必要があります。ただし、返済期間を短縮すると控除の対象外となる可能性があるため注意が必要です。


また、借り換えを行っても控除の適用期間が延長されることはありません。金利や条件の良い住宅ローンへの借り換えを検討する際は、住宅ローン控除が引き続き適用されるかどうかも考慮するようにしましょう。

最大控除額が全額控除されるとは限らない

住宅ローン控除で還付される金額は、住宅ローンの借入残高・収入・納税額によって変わります。控除には最大限度額が設けられていますが、納めた所得税や住民税を超えて控除されることはありません。


控除額は、次の3つの金額のうち最も少ないものが適用されます。

(A) 各年末時点の住宅ローン借入残高 × 0.7%

(B) 年間の最大控除額

(C) 所得税と住民税を合わせた控除対象税額(所得税+住民税)

ふるさと納税を併用すると控除効果が下がることも

住宅ローン控除とふるさと納税の併用は可能です。しかし気を付けて取り組まなければ、住宅ローン控除を最大限活用できないケースがあります。


ふるさと納税は応援したい自治体に寄付することで、所得税や翌年の住民税が控除される仕組みです。ふるさと納税の控除を受ける際には「ワンストップ制度」か「確定申告」にて、手続きを行います。


ワンストップ制度で申告する場合は寄付額全額が住民税から控除されますが、確定申告を行う場合は所得税から控除されてしまうのです。ふるさと納税によって所得税額が減ると、住宅ローン控除で適用される控除額に影響することがあります。


住宅ローン控除を受けながらふるさと納税を考えている方は、控除限度額に影響が出ないよう事前にシミュレーションしておきましょう。


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11.まとめ

住宅ローン控除は住宅ローンを利用してマイホームの購入や新築、増改築などを行った際に税金の一部が控除される制度です。一定の要件を満たしていれば、新築住宅の場合は最長13年間にわたり所得税や住民税の控除を受けることが可能です。


控除を受けるためには、購入や建築した翌年に確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で手続きが済むので、初年度は確定申告を忘れないようにしましょう。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

新築・買取再販住宅の控除率およびいつまでか(適用期間)

中古住宅の控除率およびいつまでか(適用期間)

2022年(令和4年)度税制改正による変更点

2.2024年1月施行の住宅ローン減税の変更点

省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅は控除対象外に

子育て世帯や若年夫婦世帯への控除が強化

新築住宅の床面積要件が40㎡以上に緩和される措置を延長

3.住宅ローン控除(減税)で知っておきたいポイント

税額から直接控除される

所得税で控除しきれなかった分は住民税から控除される

控除期間は最長13年

4.住宅ローン控除を受けるための条件

新築住宅の場合の適用条件

買取再販住宅の場合の適用条件

中古住宅の場合の適用条件

リフォーム(増改築)を行う場合の適用条件

5.住宅ローン減税の対象となるローンの条件を確認しよう

控除対象となる住宅ローンの要件

他の特例との併用時の注意点

6.住宅ローン控除の申請手続きの手順

初年度(1年目)は確定申告が必要

2年目以降は年末調整で対応可能

個人事業主は2年目以降も確定申告が必須

7.住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は?

確定申告書

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

本人確認書類のコピー

建物・土地の登記事項証明書

不動産売買契約書(請負契約書)の写し

源泉徴収票

住宅ローンの年末残高証明書

8.住宅ローン控除を申請する際の確定申告書の記入方法

新築や購入した住宅に関する記載事項

住宅や土地の購入費用の記入方法

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の記載ポイント

9.住宅ローン控除の申告書の提出方法

税務署へ直接提出する場合

郵送で税務署に送付する場合

e-Taxを利用したオンライン申請方法

10.住宅ローン減税を受ける際のポイント

2年目以降も継続して手続きが必要

住宅ローンの借り換え時も控除を適用可能

最大控除額が全額控除されるとは限らない

ふるさと納税を併用すると控除効果が下がることも

11.まとめ