「3C分析でどんな結果が得られるのか」「ビジネスで3C分析を活用したい」とお考えではありませんか。
3C分析は、ビジネスマーケティング分野における分析手法のフレームワークの一つであり、適切に活用することで客観的なデータの収集や分析と活用を実現することができます。
本記事では、企業や組織の営業及びマーケティングの担当者の方、もしくはフリーランスの方が3C分析を活用してビジネスで役立てていただくために、3C分析に関する基本的な知識とともに、関連する分析手法、具体的なテンプレートや注意点などについてお話します。
目次
1.3C分析とは
3C分析とは、企業や組織における事業活動において、最も重要な3つの要素に属する情報を収集し、数字化や数値化によって定量的な優劣を見極め、定性的な分析を行うことで判断の材料とする手法を指します。
主観的ではなく客観的に分析を行い、その結果に対しても第三者的な立場で精査していくことで、企業や組織に属する人間の価値観などに左右されず正常な判断をするための考え方や仕組みとも言えるでしょう。
企業や組織とは人間の集まりであり、常に同じ方向を向いて業務を行っていることから、企業理念に基づいた考え方や思考に陥りがちです。そのため、良い数字はより大きく見えますし、悪い数字は小さく見えてしまうこともあります。結果として良い部分ばかりを見てしまうことで、課題や問題が見えなくなり、改善ができなくなってしまうということです。
まさに3C分析が必要とされる状況でもあり、3C分析によって、今まで可視化されなかった課題や問題の発見を実現し、改善に向けて行動が取れるようになります。
3C分析の読み方・意味
3C分析の読み方は、「さんしーぶんせき」もしくは「すりーしーぶんせき」と読みます。3Cの意味は市場や顧客を意味するCustomer、競合他社を意味するCompetitor、そして自社を意味するCompanyの頭文字が3Cで表現できる分析手法であるという名付けです。
3Cはビジネスにおける要素の中でも、外部である他社、内部である自社、そして利益となる市場や顧客という最も大きな枠組みによる分類でもあり、それぞれの要素の中で必要な情報を分析することが、企業や組織における事業活動においての重要な判断材料として必要とされます。
そのため、3C分析を考慮しない経営判断や新しいマーケティングの実施、または新商品や新サービスの開発はデータに基づかない行動として、明るい結果が得られない可能性もあると言えるのです。
3C分析のフレームワークを構成する要素
次に3C分析を構成する3つの要素が、フレームワークとしてどのように関係性を持ち、どのようなデータの収集を行うのかといった視点で解説いたします。
市場・顧客(Customer)
市場・顧客の要素では、市場の規模、市場のシェア、市場価値など市場に関する項目とともに、顧客満足度や顧客の購買行動、顧客の属性などが分類される項目になります。市場の部分については民間や公的機関の公開されているデータに基づいて情報収集を行う必要があるでしょう。
顧客については、既に自社の顧客としてデータがある場合はそのまま活用できますし、競合他社や潜在的な顧客層などの情報においては、外部の情報源を頼りに情報収集を行う必要があります。
自社の場合はある程度正確なデータは得られるものの、外部のデータは十分な精査を行う必要があることを忘れてはなりません。
競合(Competitor)
競合の要素では、競合他社、ライバル企業などの企業規模、ブランド力、ブランドイメージ、資本力、従業員数、その他にも売り上げや利益、商品やサービスの数などの情報が分類される項目になります。
競合の項目においては、数字でアピールすることで効果があるものは公開されている場合もありますが、全ての情報が公開されていると限らず、情報収集するのがとても大変です。
また、競合他社とは商品やサービスの性質、そしてペルソナやターゲットの競合度が高い場合において、顧客の奪い合いや潜在的な顧客層からの新規顧客獲得の競争なども考えられるため、情報収集や得られたデータは慎重に扱う必要があります。
また、競合他社やライバル企業という言い方をしていたとしても、本質的には同じ業界や業種を盛り上げていく仲間としての協力関係でもある点も考慮する必要があるでしょう。
自社(Company)
自社の要素では、顧客の情報やデータと同様に情報の収集はしやすいものの、第三者的に数字やデータを扱いにくいということをあらかじめ認識しておく必要があります。今までの数字の取り扱い方が当たり前もしくは常識になっていることで、数字に対する見方が固定化されてしまっている可能性があるということです。
強みだけでなく弱みも分析する対象となっている理由でもあり、得意とすることだけでなく苦手な部分も把握し、乗り越えることでさらなる成長につなげていくという意味合いもあります。
また、数字で現れているのに経営陣や管理職と現場との考え方の違いなどによって、可視化されても解決できない問題においても、3C分析の対象として精査していくことで、解決や改善に向けた取り組みができるようになっていくでしょう。
3C分析の目的
次に3C分析が実際にどのような目的に基づいて利用されるのか、どのように役立つのかという視点で解説します。
自社の強みや弱みなどの把握
3C分析の目的の一つとして、自社の強みや弱みなどの把握が挙げられます。企業や組織は人の集まりであるため、強みや得意とする部分はさらによく見ようとしてしまいますが、弱みや苦手な部分は直視できなかったり、解決を後回しにしてしまうので注意しなくてはなりません。
また、競合との格差が強みではどうしても乗り越えられない場合においても、弱みを解決することで簡単に解決できる可能性もあります。データに基づいて客観的かつ冷静に判断していくことで、今までの現実をしっかりと見つめて、理想ではなく着実に結果が出る対策や改善案を受け入れるようになるでしょう。
KSF(成功要因)の可視化
3C分析の目的として、KSF(成功要因)の可視化も大切な要素と言えます。企業や組織における事業活動において、失敗した原因よりも「なぜ成功したのか」が把握できないことがあります。例えば、突然爆発的にヒットした商品があり、なぜ売れたのかわからないままですと、企業や組織として安定的で継続的な利益を得ることはできません。
すなわち、成功要因であるKSFを可視化することができれば、新しいプロジェクトや事業活動を成功させることができるようになるということです。現実問題として新商品を発売したのに売り上げの伸びに悩んでしまうと、期待していた売上や利益が得られず、企業が傾く可能性もあります。3C分析が重視される理由でもあり、事業の存続のためにも必要不可欠な分析手法と言えるのです。
客観的な判断材料の収集
3C分析の目的として、客観的な判断材料の収集も挙げられます。事業活動において日々生じる数字のデータは、本来は事業活動を行うために必要な情報の集まりです。
例えば、商品が1つ売れた、商品を1つ入庫した、商品を1つ発送したといった数字の流れは業務に必要な情報と言えます。そのため3C分析によって日々蓄積されていくデータを、本来の使い道とは異なる方法で活用することで、客観的な判断材料が収集できるようになるのです。
客観的な判断材料としては、本来の事業活動では気づくことができなかった顧客のニーズ、対象としていなかったペルソナやターゲットの属性、商品やサービスの性質とは関係ないように思える顧客層の抽出などが挙げられます。
その他にも特定の地域にのみ、もしくは特定の性別や年齢のみになぜか売り上げが伸びているような場合などの客観的な判断材料が得られることで、新たな商品やサービスの開発にもつながり、ニーズに合致した商品の創出によって新しい利益が得られるようになるのです。
3C分析の具体的な活用事例
次に3C分析が具体的にどのように活用されるのか、目的や調査対象と出力されるデータの活用事例について簡単に説明します。
自社と競合他社の競争力の比較
3C分析の具体的な活用事例として、自社と競合他社の競争力の比較が挙げられます。この場合の競争力の比較とは、どちらかの優劣を数字的に明確にしておくことで、自社が改善できる要所の把握、または他社の良いところを上手に学ぶことに役立つのです。同時に負けている要素だけでなく、数字的に勝っている様子をさらに伸ばすことにも役立ちます。
そもそも競合他社とは、完全に一致はしなくても同じようなターゲットおよびペルソナを対象としており、分母となる潜在的な顧客層も同じです。そのため、競合他社の強みになっている部分は自社の強みにすることもできる可能性があります。
また、競合他社の弱みは自社の弱みになる可能性もあるため、あらかじめ対策をしておくことでマイナスな要因を防ぐことにもつながるということです。
商品やサービスの質や価値の評価
3C分析の具体的な活用事例として、商品やサービスの質や価値の評価が挙げられます。企業や組織に属する一員としては、盲目的とは言いませんが自社の商品は最高だと思っているのが一般的と言えるでしょう。そのため、実際には顧客が感じてるような不満、もしくは改善すべき要素などが顕在化しにくくなってしまうことがあります。
3C分析によって、自社における商品やサービスの価値に対する評価だけでなく、競合他社との差、顧客の本音、顧客の本当の声などが把握できるようになり、課題や問題を解決していくことで、商品やサービスの価値の向上につながるということです。
同時にメーカーやブランドとしての信頼感や安心感の向上も期待できるようになり、顧客満足度の向上とともに企業間競争力の格差の是正にもつながっていくようになります。
マーケティングの効果測定や改善
3C分析の具体的な活用事例として、マーケティングの効果測定や改善が挙げられます。前述した成功要因の可視化と同様に、マーケティングや広報活動におけるコストとパフォーマンスの計測を明確にすることで、広告効果の最大化、マーケティングでの成功確率を高めるということです。もちろん、成功している場合はさらなる成功に向けて改善を繰り返していくことも重要と言えます。
マーケティングの効果測定や改善には、数字に基づいた根拠が必要です。ただし、数字を眺めているだけでは改善の要素を見つけることはできず、そのために3C分析によって定量的なデータの把握、そして定性的な情報の把握と改善に向けた検討ができるようになります。
検討の段階では推測や予測も含まれますが、過去の事実に基づいたデータが基軸となることで、根拠となる数字をもとに正解に近しい行動が取れるようになるのです。
経営戦略の立案や意思決定の根拠
3C分析の具体的な活用事例として、経営戦略の立案や意思決定の根拠が挙げられます。経営戦略の立案や意思決定においては、経営者の主観や感情が入り込んでしまう可能性が非常に高いです。
そのため、冷静に判断するための客観的なデータとして、3C分析の結果が必要になります。経営者としても数字に基づいたデータによる分析結果であれば、自分の思惑や気持ちを優先することなく、冷静に判断できるようになるということです。
ただし、3C分析の結果が経営戦略の立案や意思決定の根拠として有用ではあるものの、単一的な結果のみで判断するべきではないということも知っておく必要があります。もちろん、経営者や管理職の方であれば当然のことと言えますが、多角的に情報を見ること、様々な情報から一つの選択肢を選ぶようにすることなども重要だと覚えておきましょう。
2.3C分析に関連する分析手法
次に3C分析だけでなく、その他の分析手法で多角的に状況を判断できるようにするためにも、3C分析に関連する分析手法の中でも代表的なものを4つご紹介します。
4C分析
CustomerValue:顧客価値
Cost:コスト(金銭的な負担)
Communication:コミュニケーション
Convenience:利便性
上記が4C分析のフレームワークとなる要素です。企業目線ではなく、顧客の目線で分析する手法であり、企業がブランドやメーカーとして見落としがちな要素を把握するための分析手法と言えます。4C分析は企業が自ら構築しているブランドイメージと、現実的に顧客が感じているブランドイメージの差を把握できるようになるということです。
分析結果に基づいて、顧客目線での不満や問題を改善していくことで、顧客にリーチするための手段の立案、ブランドイメージの向上や顧客満足度の向上が期待できるマーケティング施策ができるようになります。
6C分析
CustomerValue:顧客価値
Cost:コスト(金銭的な負担)
Communication:コミュニケーション
Convenience:利便性
Channel:チャネル(顧客との接点)
Community:コミュニティ(顧客同士のつながり)
上記が6C分析のフレームワークとなる要素です。4C分析の要素に加えてチャネルとコミュニティの要素が増えています。チャネルとは顧客と商品やサービスが出会った接点、コミュニティとはSNSや口コミなど顧客同士のつながりであり、顧客目線をさらに深掘りする時に役立つ要素です。
顧客との関係性をさらに向上させるためにはどのようなチャネルを構築していくべきか、同じく顧客同士の広まりから認知拡大を増大させるには、どのような取り組みをしていくべきかといった視点でマーケティング戦略を立案できるようになります。
SWOT分析
Strengths:強み
Weaknesses:弱み
Opportunities:機会
Threats:脅威
上記がSWOT分析のフレームワークの要素です。強みと弱みは内部である自社の要因、機会と脅威は外部である競合他社や市場および環境などの要因を指します。SWOT分析は3C分析で得られた結果やデータをさらに深く分析、もしくは情報を整理するのに役立ち、課題や問題となる部分が内部である自社で解決できるのか、外部であるため解決できない問題なのか明確にすることが可能です。
同時に内部である強みや弱みを明確に評価し、外部の機会や脅威に対応するためには何が必要かをマーケティング戦略の材料として得られるようになるでしょう。
4P分析
Product:製品
Price:価格
Place:流通
Promotion:プロモーション
上記が4P分析のフレームワークとなる要素です。4P分析は様々な媒体で広報やマーケティングを行うマーケティングミックスの施策の立案や検討を行う時に用いられます。3C分析やSWOT分析によって得られた分析結果に基づいて、具体的なマーケティング行動に移るための分析と言えるでしょう。
そのため、収集する情報についてもより現実的で明確な数字に基づいていること、定性的であっても根拠があることなどが求められます。4P分析は分析の結果に基づいて成功させること、もしくは改善していくことなど、ポジティブな方向への変化させるための行動を検討し、実行に移す根拠を得るために役立つ分析手法であると言えるでしょう。
3.3C分析のやり方の大まかな流れとテンプレート見本
次にフリーランスの方の現状や営業もしくはマーケティング担当の方が実際に3C分析を行うために、3C分析のやり方と具体的な手順をご紹介するとともに、テンプレートの項目、すなわち調査対象として何を含めるべきかの一例を交えて解説します。
3C分析のやり方の大まかな流れ
目的の明確化
調査対象の決定
調査方法の選択
調査の実施
データの整理・整頓
データの分析
分析結果の解釈
戦略・計画の策定
実行と評価
継続的な見直し
上記が3C分析のやり方の大まかな流れの一例です。後述する調査対象のテンプレートの見本については、2つ目と3つ目の決定と選択の項目で段階的に見極めていきます。目的に応じて必要な調査対象が異なること、自社以外の項目は必ずしも正確な数字が得られない可能性があることも、あらかじめ考慮しておく必要があるでしょう。
市場や競合の公開されているようなデータは正確性が高いですが、競合他社の内部の情報まで全てを知ることはできません。同じく顧客についても自社の所有しているデータは参照できるとしても、アンケートなどで得られる結果が必ずしも本心や正確な数字であるかは担保できないことを留意しておく必要があります。
また、調査対象としてご紹介している項目が、必ずしも定量的なものを示しているわけではなく、項目ごとに数値化やデータ化できるものを調査対象として情報収集をしていくというイメージでご参照ください。なお調査対象の下の空白は記入欄のイメージです。
新規事業参入の調査対象
市場・顧客:Customer | 競合:Competitor | 自社:Company |
---|---|---|
未充足ニーズ 市場規模 成長率・成長予測 市場トレンド ターゲット顧客 | 競合の差別化要因 競合の参入障壁 競合の未参入領域 競合の事業規模 競合の戦略 | 自社の強み 自社の弱み 新規事業の目的 新規事業に必要な資源 新規事業のリスク |
上記は新規事業参入をイメージした場合の調査対象のテンプレート見本です。
空白の部分に記入するのは、それぞれの調査対象で得られた定量的な数字のデータ、文章による定性的な評価などが挙げられます。新規事業参入における課題や問題を抽出するとともに、現状の把握と将来的な予測をするための判断材料となる情報やデータが必要です。
市場や顧客の項目においては、公的機関も含めて公開されているデータを調査対象として数字を集めていくと良いでしょう。競合他社の場合はアピールのために公開しているようなデータ、もしくは企業として公開しなければならないデータから情報を収集を行います。自社の場合は様々な項目を前もって分類しておき、すぐに抽出できるようにしておくと良いでしょう。
新規事業参入の場合は市場がどれだけ成長しているか、競合の総数はどれぐらいか、競合のシェアの獲得率はどれくらいかなども予測する必要があるでしょう。その上で自社の強みやブランド力を生かして、どれだけ成長できるかを予測し、挑戦していくかを判断する必要があります。
新規顧客獲得の調査対象
市場・顧客:Customer | 競合:Competitor | 自社:Company |
---|---|---|
ターゲット顧客のインサイト 顧客の購買プロセス 顧客接点 ターゲット顧客の属性 | 競合の顧客獲得戦略 競合の顧客獲得コスト 競合のブランドイメージ | 提供価値 顧客獲得チャネル 顧客獲得コスト 自社のブランドイメージ |
上記は新規顧客獲得をイメージした場合の調査対象のテンプレート見本です。
新規顧客獲得は新規事業参入に近い経営戦略の一つではあるものの、項目的には異なった数字データや定性的な情報を集めていく必要があります。すでに何らかの商品及びサービスで他社が顧客を獲得している状態に飛び込んで行くことになるため、念入りな調査と競合と衝突しすぎないことも計算する必要があるでしょう。
同じく双方のブランドイメージを大幅に毀損するようなことは、将来的なことを考えるとあまりおすすめできません。海外においてはファーストフードのブランド同士が、お互いを挑発するような広告戦略で注目を集めることもありますが、あくまでもプロレスのようなもので実質的には相乗効果を狙ったものだと理解しておく必要があります。
また、分析結果によっては、商品やサービスの方向性は同じようなものでも、ペルソナやターゲットの部分で違いを見せることで、競合他社が獲得できていない潜在的な顧客層を獲得していくというような戦略も考えることができるでしょう。
既存顧客の維持及び育成の調査対象
市場・顧客:Customer | 競合:Competitor | 自社:Company |
---|---|---|
顧客ロイヤリティ 顧客満足度 顧客ライフサイクル 顧客属性 顧客購買履歴 | 競合の顧客維持戦略 競合の顧客維持率 競合の顧客満足度 | 顧客関係性 顧客維持施策 顧客維持コスト 顧客対応品質 |
上記は既存顧客の維持及び育成をイメージした場合の調査対象のテンプレート見本です。
既存顧客の維持及び育成の場合は、競合他社の動向を把握するためのデータも必要ではあるものの、基本的には自社と顧客に関するデータの情報収集が必須と言えるでしょう。特に自社におけるデータはすでに可視化されているはずなのに、課題や問題が抽出できていない可能性があるため、さらなる精査と分析が必要になる可能性が高いです。
また、ある程度状況の把握と改善が進んでいる場合、顧客満足度の向上が見込めない、有効的な施策が生まれないといったようなことも考えられます。そういった状況下においても、客観的な視点で判断することを教えないこと、自社に属しているからこそ可視化しているのに見えない課題や問題があるのではないかという考え方を持つことをおすすめします。
4.3C分析を行う際の注意点
次に企業や組織における実務担当者の方、もしくはフリーランスの方が3C分析で分析を行う際に何を気をつけるべきか、どのように結果を出力し、出力された結果に対してどう判断すべきかといった視点でいくつか注意点をご紹介します。
過去の事実を示す数字を収集する
3C分析を行う際の注意点として、過去の事実を示す数字を収集することが挙げられます。過去の事実を示す数字とは、購入数や購入金額、商品ごとの販売数、時系列ごとの売上、広告費や諸経費も含めて、売上を達成するまでに関連する数字で表せるものです。
また、自社で収集できる数字データが正確だからといって、客観性が欠けた状態で数字の大小による優劣を判断しないように注意しなくてはなりません。自社以外の数字についても同様であり、数字が大きいから正解数字が少ないから不正解というような判断をしないように注意してください。
データは一次情報に絞り込む
3C分析を行う際の注意点として、データは一次情報に絞り込むことが挙げられます。一次情報とは自社の数字データ、他社の企業として公開されているデータ、もしくは公的機関が発表しているデータなど、信頼性が高い情報源が発表している数字です。
特に企業や組織としてビジネスの戦略やマーケティングに活用する根拠となる数字が、信頼性の低い情報源からの数字データであった場合、データとしての信頼性にかけるため、根拠が揺らいでしまうということを理解しておく必要があります。
データの種類や分類を定期的に見直す
3C分析を行う際の注意点として、データの種類や分類を定期的に見直すことが挙げられます。常に同じようなデータの種類や分類のみで分析を行っていると、よほどの大きな数字の変化がない限り有用性の高い分析結果が得られないのが理由です。また、同じようなデータばかり扱っていると偏りが生じてしまう可能性もあること、データの外部の情報が得られないことで、結果としてバイアスと偏りの両方が生じてしまうことも考えられます。
分析のために情報収集によって得られるデータには限りがありますが、データ同士の組み合わせ方、時系列での切り取り方、もしくは集計やデータの整理の仕方を変えながら、他の分析手法と組み合わせつつ多角的に分析と解析、そして判断ができるようにしておくと良いでしょう。
第三者的な目線での分析が重要
3C分析を行う際の注意点として、第三者的な目線での分析が重要なことが挙げられます。例えば自社のデータを自社に属する担当者が閲覧する場合、どうしても企業に属する一員としてのバイアスや偏った考え方が入り込んでしまいます。
例えば、新商品の売れ行きのデータが伸び悩んでいるとして、企業に属する一員としてはこれから伸びるといったような主観が入り込むかもしれません。客観性を保つためにも一人の方に担当させるだけでなく、複数の方、もしくは部門や部署を超えてデータの確認や精査を行う人を確保した方が良いでしょう。
分析の手順及び根拠と結果の共有
3C分析を行う際の注意点として、分析の手順及び根拠と結果の共有が挙げられます。特に分析の手順と根拠の共有は重要であり、データの選択や手順の変更とともに、別の分析手法を利用する際にも明確にしておかなくてはなりません。どのデータで、どんな分析をして、どんな結果が出たのかということ自体を記録しておくということです。
分析によって得られた結果についても同様であり、誰がどのように分析した結果であるのかを明確にしておき、客観的であるのか、主観的な要素が入り込んでいないかを精査する必要があります。分析によって得られたデータを元に様々な検討を行い、企業や組織における事業活動がより良い方向に進んでいくように、データを有効活用できる環境の構築も進めることが大切です。
5.3C分析に関するよくある質問
最後に3C分析に関するよくある質問として、メリットやデメリット、定性的なデータの扱い方、誰でも同じ結果が出るのかなど、素朴な疑問と回答をご紹介します。
3C分析のメリットやデメリットは何ですか?
3C分析のメリットは基本的には過去の事実に基づいたデータが根拠となるため、分析する方や活用する方の主観が入り込まず、客観的に現状の数字や状況が把握できることです。自社の商品やサービスの強みとなる部分をさらに伸ばしたり、弱みである部分や他社との競争に負けている部分の改善に役立ちます。
企業や組織に属する一員ですと、様々なデータを都合よく解釈したり、主観や個人的な感情で謝った判断をしたりする可能性がありますが、3C分析の結果を判断材料にすることでそれらを排除することにつながるということです。
3C分析のデメリットは収集したデータによっては、必ずしも現状や事実を把握できるとは限らないことです。例えば、顧客や従業員にアンケートを出した場合、それぞれ任意で項目に答えてくれる可能性はあるものの、本音や本心とは異なる選択をする可能性もあります。同様に特定の年齢層や性別などの属性におけるバイアスや偏りのあるデータを取り扱う場合においても注意が必要であり、データに基づいているからと鵜呑みにしないことも重要であると言えます。
感情などの定性的なデータはどのように扱うんですか?
顧客やユーザーの率直な気持ちである感情を含めた文章などのデータはとても大切です。ただし、定性的なデータであることから定量的に分析することができません。そのため、アンケートなどの段階から項目をいくつか提示すること、そして項目ごとに得られた結果を数値として扱う手法が一般的です。
また、アンケートの後半によくある自由文章においては、その時のアンケートの趣旨に基づいたものを抽出したり、明らかに関係ないものは弾いたりすることもあります。
3C分析は誰でも同じ結果が出る手法ですか?
3C分析は同じデータを利用したとしても、分析する人やタイミングによっては異なる結果が出力される可能性があります。また、結果そのものを活用する人の受け止め方次第で、活用した結果がポジティブなものになるか、ネガティブなものになるかも別れるため注意が必要です。
そのため、データの分析や結果の活用時の判断を1人に任せないようにすること、複数人でチェックチェックを行う、個人の主観が入り込まないようにすることが求められます。3C分析はあくまでも現状の把握を行うということを忘れず、現状を都合よく解釈するためのデータを出力する分析手法ではないということを覚えておいてください。
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6.まとめ
3C分析を上手に活用することで、フリーランスの方など個人であれば自分自身、営業やマーケティング担当者の方であれば企業や組織の実体像などが可視化できるようになります。数値に基づいた客観的な事実が効果測定の結果でもあり、しっかりと受け止めることでより良い改善につなげることが可能となるでしょう。
ビジネス的には順調であるものの、数字の伸び率が落ちてきた、もしくは何が原因かわからずに成長曲線がネガティブな方向に向いているというような状況の把握と改善にもつながりますので、主観的にならず、客観的であることを心がけながら、情報収集と3C分析によるデータの分析を行ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。