顧客とさまざまな方法で接点を持てるようになった現代において、「デジタルマーケター」のようなマーケティングの専門家の需要は高まっています。特にデジタルの媒体を活用したマーケティングは、今後も多くの企業で重要視されると予想されるでしょう。そのためこれからマーケティング関係の仕事に就きたいと考えている方は、デジタルマーケターの道を本格的に検討してみるのがおすすめです。
本記事では、デジタルマーケターの基本や就職・転職方法、必要なスキルなどを解説します。デジタルマーケターおよびデジタルマーケティングに興味があるのなら、ぜひ詳細を確認してみてください。
目次
1.デジタルマーケターとは?
デジタルマーケターを目指すのなら、デジタルマーケターとはどんな職業なのか理解することが重要です。以下では、デジタルマーケターの基本について解説します。
デジタル領域のマーケティングを行う職業
デジタルマーケターとは、WebサイトやSNSなどのデジタル媒体を利用したマーケティングを担当する職業です。デジタルに属するあらゆる媒体を活用し、企業が求めるマーケティング効果を引き出すのが、デジタルマーケターの主な役割だと言えるでしょう。
マーケティングに関する知識はもちろん、AIやビッグデータを有効活用する能力、目標に合わせて適切な戦略を構築するスキルなどが求められる職業です。多くの人がスマートフォンを所有するようになった現代では、誰でも簡単にデジタル空間に接触できます。
「NTTドコモ モバイル社会研究所の調査」によると、携帯電話所有者のスマートフォン比率は2024年1月では97%にものぼります。また、総務省の「令和3年 情報通信白書」でも、情報通信機器の世帯保有率は9割を超えています。スマートフォンに関しては、8割を超える世帯が保有していると発表しています。
これらの結果から、企業側も積極的にデジタル領域を活用し、ユーザーに有益な情報提供や商品紹介、ブランディングなどを行うことが求められているのです。そういった企業のニーズを満たせる職業の1つとして、デジタルマーケターに注目が集まっています。
デジタルマーケターとWebマーケターの違い
デジタルマーケターとWebマーケターは、どちらもデジタル領域におけるマーケティングを担当するという特徴があるため、同一視されるケースもあります。しかし、デジタルマーケターはデジタルマーケティング全般の業務を担当する一方で、WebマーケターはWebマーケティングに特化している点で違いがあります。
WebマーケティングとはWebサイト上で行われるマーケティング手法を指し、ユーザーが求めるコンテンツや情報の提供などを行います。デジタルマーケターもWebマーケティングを担当し、専門家としてさまざまな戦略を考案します。
しかし、デジタルマーケターの仕事はWeb関係だけに留まらず、その他にも幅広い領域をカバーしているのが特徴です。
そのためデジタルマーケターを目指すのなら、Webマーケティングの知識を確保しつつ、別のデジタルマーケティングについても学ぶ必要があるでしょう。
デジタルマーケターの年収や将来性
求人ボックスの「デジタルマーケティング関連の仕事の年収」を参考にすると、正社員の平均年収は434万円です。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」における正社員の平均年収は530万円であるため、低い数値です。
一方で、あくまで「デジタルマーケティング関連の仕事」であるため、デジタルマーケターの年収が低いとは限りません。専門家として高いスキルや豊富な実績があれば、企業から高く評価されて高収入を実現できる可能性もあるでしょう。
では、フリーランスでのマーケターの年収を見てみましょう。
フリーランス求人・案件を取り扱っている「フリーランスボード」はデジタルマーケターの月額平均単価が77.5万円であり、年収に換算すると930万円です。また、類似する職種であるWebマーケターの月額平均単価は79.4万円であり、年収に換算すると953万円です。
正社員のデジタルマーケターと比較すると約2.1倍の差があり、高年収を獲得する場合、フリーランスになることをおすすめします。
デジタルマーケターは将来性においても、期待できる職業だと考えられます。
Statistaが発表した「Digital advertising spending worldwide from 2021 to 2027」では、2021年に約4,650億ドル規模だった世界的なデジタル広告支出は2024年には約6,450億ドルへと成長すると予測されており、デジタルマーケティング市場は今後も拡大し続けていきます。
上記を考慮すると、スマートフォンをはじめとしたデジタル媒体は普及し、多くのユーザーがデジタルマーケティングの対象になっています。デジタルマーケティングで継続的なアプローチを行うことで、利益の追求だけでなく企業ブランディングなどにもつながるため、デジタルマーケターは会社の未来に大きく貢献できる可能性があるでしょう。
さらにデジタル媒体はAIを軸にさらに発展していくとも予想できます。
具体的にはAIや機械学習を活用したマーケティングオートメーションや高度なデータ分析技術の進歩により、パーソナライズされた顧客体験の提供や戦略的なターゲティングが可能となっています。
これらの技術的進歩は、デジタルマーケターが専門的スキルを発揮できる新たな領域を生み出し、その市場価値を一段と高めています。こうした環境変化を踏まえると、今後もデジタルマーケターの需要は高まると考えられます。
デジタルマーケターのキャリアパス
デジタルマーケターに興味があるのなら、就職後のキャリアパスまで考えておくのがポイントです。以下では、デジタルマーケターのキャリアパスについて解説します。
スペシャリストとして働く
デジタルマーケターは、スペシャリストとして働くのがキャリアの1つです。デジタルマーケティングの分野で専門スキルを活かし、事業に貢献する方法が考えられるでしょう。スペシャリストとして働く際には、変化し続けるニーズや新しいツールや手法を学びながら、最先端の知識・技術を習得・維持することが重要です。
マネージャーやディレクターとして働く
マネージャーやディレクターとして働くのも、デジタルマーケターのキャリアパスとなります。実務経験を積んでリーダーとしてチームを引っ張る能力を育むことで、プロジェクトを統括するマネージャーやディレクター職へのキャリアが開かれます。新規の事業計画の立案や開発プロジェクトの進行など、企業にとって重要な役割を担える役職も目指せます。
デジタルマーケティングのコンサルタント
デジタルマーケティングのプロとして、コンサルタントの仕事をするのもデジタルマーケターが検討できるキャリアパスです。デジタルマーケティングを始めたい企業に外部からアドバイスをしたり、プロジェクトの立案や指揮を取ったりといったことが仕事になります。
フリーランスのコンサルタントとして、多くの企業と仕事をする将来も考えられるでしょう。
2.デジタルマーケターになるには?
デジタルマーケターになるには、必要な知識を学んで就職・転職を行うことが基本的なフローとなります。以下では、デジタルマーケターになるための流れについて解説します。
デジタルマーケティングに関する知識を学ぶ
デジタルマーケターになるには、デジタルマーケティングに関する知識は必須です。デジタルマーケティングの専門家としての活躍に期待されるため、豊富な知識は必要不可欠となるでしょう。そのためデジタルマーケターを目指すのなら、まずデジタルマーケティングに関する知識の習得が先決となります。
デジタルマーケティングを学ぶ際には、インターネットや書籍を使って独学で勉強するのも1つの方法です。その他、セミナーや勉強会に参加したり、専門学校やスクールに通ったりすることでも、デジタルマーケティングについての知識を得られます。
既に働いている社会人も、自分に合った勉強方法を見つけることで、デジタルマーケティングへの転職を叶えられます。
デジタルマーケターの案件・求人に応募する
デジタルマーケターとして活動できるスキルを身につけたら、実際に企業の案件・求人に応募します。経歴や能力を見込まれて採用につながれば、実際にデジタルマーケターの業務を開始できます。デジタルマーケターへの就職・転職を成功させるには、自分にマッチした求人を探し出し、最適な自己アピールを行うことがポイントです。
転職エージェントなどを活用し、デジタルマーケターの仕事の紹介や面接対策のフォローなどを任せるのがおすすめです。新卒からデジタルマーケターを目指す際には、これまでにどんなことを学んだのか、実際にどんなことができるのかを言語化し、将来性を含めて評価されることが重要です。
フリーランスとしての活動も考えられる
デジタルマーケターになる際には、フリーランスとして活動するのも1つの方法です。デジタルマーケティングに関するフリーランス向けの案件・求人もあるため、スキルや経歴次第では独立して働くことも考えられます。
フリーランスの案件・求人には、「リモートOK」など働きやすさを考慮したものもあるので、正社員以外の労働スタイルに興味がある方には特におすすめです。
3.デジタルマーケティングの種類
デジタルマーケターとして働くには、デジタルマーケティングに関するさまざまな知識が必要です。以下では、デジタルマーケティングの主な種類とそれぞれの特徴を解説します。
Webマーケティング
Webマーケティングとは、Web上の媒体を通して行われるマーケティング活動です。例えばWebサイトやWebサービスへの集客を行ったり、商品の売上アップにつながる施策を実行したりします。具体的には、以下の作業がWebマーケティングの仕事に該当します。
Webサイトの運営
SEOの最適化
広告の展開 など
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、各種SNSを利用したマーケティング活動を指します。X(旧Twitter)やInstagram、LINEやYouTubeなど、あらゆるSNSがマーケティングを行う対象になります。
SNSには拡散力があるため、有益な情報や注目度の高いコンテンツを投稿できれば、多くのユーザーにアプローチが可能です。例えばSNSマーケティングでは、以下の業務を行います。
SNSアカウントの運営
SNS広告の活用
インフルエンサーを使ったマーケティング戦略の立案 など
アプリマーケティング
アプリマーケティングとは、自社企業が開発したアプリを使ったマーケティング手法です。オリジナルアプリを開発してユーザーに活用してもらい、自社のサービス・商品の継続利用を促すことなどが目的になります。
アプリマーケティングでは、以下の業務を担当するケースが考えられます。
アプリの開発
開発したアプリの宣伝
機能の追加や最適化 など
メールマーケティング
メールマーケティングとは、メールサービスを活用したマーケティングの方法です。複数のユーザーに向けて一斉送信を行うメルマガや、特定の個人に対してリーチするOne To Oneメールなどがあります。
SNSやチャットが普及している現代でも、メールの有用性は健在です。例えば以下の方法によって、メールマーケティングの効果を引き出せる可能性があるでしょう。
メールの文章作成
目的に合わせたメールの活用(リターゲティングメール・ステップメール・リマインドメールなど)
メールによる効果測定と施策の改善 など
4.デジタルマーケターの主な仕事内容
デジタルマーケターは、上記で紹介した各マーケティング手法を活用しつつ、さまざまな仕事を担当します。以下では、デジタルマーケターの主な仕事内容について解説します。
デジタルマーケティングの基本戦略の立案
デジタルマーケターは、デジタルマーケティングの基本戦略を立案して社内で共有することが仕事の1つです。企業が抱えている課題解決や目標達成に必要な戦略を考えて、具体的な施策として実行するための準備を進めます。
デジタルマーケターが1人で考えるのではなく、複数人でチームを組んでプロジェクトを進行させるケースもあります。そのため自分の意見や戦略の有用性を周囲に理解してもらえるように、プレゼンの練習をしておくのがおすすめです。
フリーランスのデジタルマーケターの場合、クライアントとの話し合い・ヒアリングを通して戦略を決定する流れも考えられます。
ターゲットの選定やマーケティング手法の選択
デジタルマーケティングの基本戦略が固まったら、続いてターゲットの選定やマーケティング手法の選択に移行します。マーケティングを通してどのような層にアプローチしたいのか、どんな効果を引き出したいのかなど、具体的な目標を決めます。KPIを設定し、目標となる数値を明確にすることもポイントです。
課題の内容や目標によって、最適なターゲットやマーケティング手法は変わります。複数の戦略パターンを用意し、話し合いながら具体的な施策を練っていくことも考えられます。ターゲットの選定やマーケティング手法の選択に関しては、基本戦略の立案と並行して行うことも可能です。
デジタルマーケティングの実行
基本となる戦略が定まったら、実際にデジタルマーケティングを実行します。WebマーケティングであればWebサイトの運営や宣伝活動、SNSマーケティングならSNSアカウントを使った情報発信やメディアとのやりとりなどを行います。
事前に作業の流れと従業員ごとの役割を決めておくことで、スムーズにデジタルマーケティングを進行できます。
成果分析
デジタルマーケティングを実施し、ある程度の時間が経過したら、成果分析を行います。目標とする数値を達成できているか、想定外の問題が発生していないかなどを確認し、必要に応じて戦略の見直しなどで対処します。
成果分析の際には、「なぜその結果になったのか」を把握するための、原因を追求することが重要です。仮に高い成果を出せても、その理由が分からなければ、継続してデジタルマーケティングで結果を出していくのは難しいでしょう。さまざまな角度から分析を行い、成果につながった要因を洗い出していくのが大切です。
5.デジタルマーケターに求められるスキル
デジタルマーケターとして働く際には、多くのスキルが求められます。以下では、デジタルマーケターに必要とされる主なスキルについて紹介します。
マーケティングに関係する知識全般
デジタルマーケターには、マーケティングに関係する幅広い知識が求められます。先に紹介したマーケティング方法を参考に、可能な限り多くの知識を学ぶことが重要となるでしょう。
デジタルマーケティング全般に関する知識を確保しつつ、特定の分野に特化して勉強を進めることも考えられます。その場合にはデジタルマーケターから、WebマーケターやSNSマーケターなどの専門職にキャリアを変えていくことも可能です。
専用ツールを活用する知識
デジタルマーケターは、専門ツールを使って仕事を行うこともあります。例えばHubSpotなど各種マーケティング活動の自動化ができるMAツールや、TableauなどAIを活用したビッグデータの利用など、デジタルマーケターはさまざまな便利ツールを使いこなすことも求められます。
事前に必要なツールに触れて使い方を学び、業務で利用できるように備えておくと良いでしょう。
コミュニケーション能力
デジタルマーケターが担当するプロジェクトは、チームで対応するケースがあります。戦略の立案者という立場から、従業員に指示を出したり問題解決に必要な対処を行ったりすることもあるでしょう。
その際に上手くコミュニケーションが取れないと、無駄に時間がかかって余計なトラブルを招く可能性があります。スケジュール通りに業務を進められなくなることも懸念されるので、デジタルマーケターを目指すのならコミュニケーション能力を向上させることも重要です。
デジタルマーケターに必要な資格は?
デジタルマーケターとして働く際に、必須となる資格はありません。一方で、取得しておくことで就職・転職が有利になる資格はいくつかあります。
例えば以下の資格の取得が、デジタルマーケターとして評価されるきっかけになり得るでしょう。
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Google広告認定資格 など
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7.まとめ
デジタルマーケターは、デジタルマーケティングの専門家として高く評価されています。デジタル領域でのマーケティングはあらゆる企業で重要な施策になり得るため、今後も専門知識を持つデジタルマーケターの需要は高まると予想されるでしょう。
デジタルマーケターをはじめとしたデジタルマーケティングの職業に興味があるのなら、この機会に基本的な仕事内容や必要なスキルをぜひ確認してみてください。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。