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IT業界の客先常駐はやばい?やめといた方がいい?派遣との違いやメリットデメリットなど解説

公開日:2025/03/08最終更新日:2025/03/11

IT業界に就職・転職する場合、「客先常駐」という方法で働く可能性があります。お客様のオフィスに直接出社して仕事をする客先常駐は、IT業界特有の働き方です。さまざまなメリット・デメリットがあるため、IT業界で働くのなら客先常駐の特徴について理解を深めておくのがおすすめです。


本記事では、客先常駐の基本やメリット・デメリット、「客先常駐がない企業の特徴」などについて解説します。客先常駐での働き方に不安を覚えている人や、IT人材としてのキャリアアップを目指している人は、ぜひ参考にしてください。


1.IT業界における客先常駐の特徴

IT業界では、「客先常駐」と呼ばれる労働スタイルが働き方の1つとして定着しています。入社するIT企業によっては、最初から客先常駐で働くこともあるでしょう。以下では、IT業界における客先常駐の基本情報・特徴について解説します。

客先常駐とは顧客の現場に直接出向く働き方

客先常駐とは、顧客であるクライアントの現場に直接出向き、その企業のオフィスで仕事をする働き方です。自分を採用した会社にはほとんど出社せず、主にクライアント企業の職場で作業を行います。終業後もそのまま退社するため、自社に立ち寄る機会はあまりありません。


客先常駐で働く場合、毎日クライアント企業に出社して仕事を開始します。休日や就業時間もクライアント企業に合わせることになるため、さまざまな労働形態を経験することになるでしょう。

客先常駐と派遣の違い

客先常駐と派遣の違いは、「雇用形態」にあります。客先常駐で働く際には、正社員として雇用されたうえで、クライアント企業の職場に常駐します。


一方で派遣の場合には、派遣契約を結んだうえで、派遣先の企業で仕事をするのが基本です。派遣契約の場合には契約期間が満了となると、雇用契約も終了します。


一方で、客先常駐の場合には、そのまま正社員の雇用契約が継続する点が大きな違いです。


また、派遣契約の場合、派遣先であるクライアント企業に指揮命令権があるため、直接指示を受けることが可能です。客先常駐の場合には指揮命令権が自分を雇用している企業側にあるので、所属している会社からの指示を受ける必要があります。

客先常駐とSESの違い

SESとは、「準委任契約」という契約方法で働く方法を指します。IT技術者をクライアント企業に派遣する形になりますが、雇用関係はあくまで所属している企業との間に発生するのが特徴です。


つまりSESも客先常駐と同様に、IT企業に雇用された状態でクライアント企業に派遣されることになります。指揮命令権もSES企業にあるため、客先常駐の働き方と類似点が多いです。


一方で客先常駐とSESは、「自社開発案件の有無」で違いがあります。SESはITエンジニアを労働力として派遣し、クライアント企業のプロジェクトに参画するのが基本です。そのため自社開発の案件は、少ない傾向にあると言われています。客先常駐の場合には、SESと違って自社開発案件で出向するケースもあります。

客先常駐の最新動向

客先常駐の仕事は、コロナ禍によって大きく変容しているのが現状です。コロナ禍によって出社が難しくなった結果、リモートワークによる働き方が広く普及しました。フルリモートで働くケースもあるため、従来の業務を自宅にいながら行える可能性もあるでしょう。


リモートワークが浸透している一方で、客先常駐の働き方が完全になくなってしまうこともないと予想されています。IT人材は慢性的に不足しているため、ITエンジニアを雇用している企業から戦力を補強する方法は、今後も高い需要を示す可能性があります。


また、今後は客先常駐の定義そのものが変わる可能性も考えられます。例えばクライアント企業の職場に直接出向くだけでなく、リモートワークで顧客の業務に参加することも、客先常駐の1つとして数えられるようになるかもしれません。

2.客先常駐が「やばい」「やめとけ」と言われる理由

客先常駐は、ときに「やばい」「やめとけ」といったネガティブな言葉とともに語られます。以下からは、客先常駐が「やばい」「やめとけ」と言われる理由について解説します。

労働環境の変化が激しい

客先常駐で働く場合、出向するクライアント企業の開発環境に適応することから始める必要があります。しかし、客先常駐は契約が終了すると別の職場に移動となるため、せっかく環境に適応できても、そのノウハウを活かし続けるのが難しくなるでしょう。


慣れない環境下ではストレスが溜まったり、思うように仕事ができず成果が出せなかったりすることもあり得ます。常駐先ごとのルールに合わせる必要もあるので、自分に合わない職場にアサインされると、仕事に集中できなくなることも懸念されます。クライアント企業ごとに労働環境の変化が大きくなる点は、客先常駐が「やばい」「やめとけ」と言われる理由の1つです。

未経験の業務を任されることもある

客先常駐で働く際には、未経験の業務を任されることもあります。スキルやノウハウが身についていない状態では、業務が停滞してしまう可能性もあるでしょう。クライアント企業は基本的に、派遣されたITエンジニアを即戦力として扱います。そのため研修などの支援が行われない可能性があり、知識・技術不足に悩まされることも懸念されます。


仮に未経験の業務を担当することになった場合、自主的に勉強をしてスキル不足を補うことが求められます。プライベートの時間を削らなければならないケースも考えられるため、「やばい」「やめとけ」と言われる理由になり得るでしょう。

孤独や不安を感じやすい

客先常駐では、自分1人だけが派遣されるケースもあります。孤独や不安を感じやすくなり、ストレスによる心理的な負担が大きくなる可能性もあるでしょう。


周囲と一から人間関係を構築しなければならないため、コミュニケーションが苦手な人はより大きな負担を感じるかもしれません。さらに先の解説通り客先常駐は期間が終わると別の職場に移動するため、仮に良好な人間関係が作れてもリセットされてしまう点が悩みになり得ます。

客先常駐にも楽しいと感じられる要素・やりがいはある?

上記のようにさまざまな理由から「やばい」「やめとけ」と言われる客先常駐ですが、楽しいと感じられる瞬間もあります。クライアント企業の期待に応える働きができたり、自分の活躍で問題を解決できたりしたときには、楽しさとやりがいを感じることができるでしょう。


また、職場環境が大きく変わるということは、さまざまな働き方を経験してノウハウを蓄積できるということでもあります。スキルアップや自信の獲得につなげられることから、自分自身の成長に楽しいという感情を見出すことも可能です。


職場が変わるたびに人間関係を積極的に構築できれば、それは自分だけの大切な人脈になります。確立した人脈はITフリーランスエンジニアとして独立する際に、仕事を受注するきっかけにもなるでしょう。将来的に個人で働くことを考えている人は、客先常駐の機会を利用して人脈作りに励むのもおすすめです。

3.客先常駐で働く際のメリット

客先常駐で働くことには、多くのメリットがあります。以下では、客先常駐での働き方で得られるメリットについて解説します。

安定した収入が得られる

客先常駐で働くITエンジニアは、仕事が途切れずに継続しやすいと言われています。そのため派遣やフリーランスなどと比べて、収入が安定しやすい可能性がある点はメリットです。


IT人材の需要は高く、あらゆる業界でそのスキルが必要とされています。将来性も高いと判断できるため、長期的に安定した収入を確保したい場合には魅力的な働き方となるでしょう。

多種多様な業務経験を積める

多種多様な職場で新しい業務経験を積める点も、客先常駐ならではのメリットです。自分の得意な領域だけでなく、新たなスキル獲得につながる業務も経験できる可能性があるため、ITエンジニアとしてのキャリアアップにつなげられるでしょう。


一方で、労働環境が大きく変わることは、心理的な負担にもなり得ます。無理をして身体を壊さないように、心身のケアを意識して働くのも重要です。

未経験からでも働きやすい

客先常駐は、未経験エンジニアでも働きやすい点がメリットです。下流工程を担当する場合には、特別なスキルがなくても業務対応ができる可能性があります。


これからITエンジニアとして経験を積んでいきたい人にとって、客先常駐はメリットの多い現場になるでしょう。IT業界以外から転職を考えている場合にも、客先常駐で働ける企業を選ぶことで、未経験から徐々にスキルアップしていくことが可能です。

4.客先常駐で働く際のデメリット

客先常駐で働く場合にはメリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが大切です。以下では、客先常駐の主なデメリットについて解説します。

顧客のそばで働くためプレッシャーを感じやすい

客先常駐はクライアント企業のオフィスで働くことになるため、常に顧客から評価される立場となります。そのため些細な言動にも気を遣ったり、早く仕事で成果を出そうとして焦ったりすることもあるでしょう。顧客のそばで働くというプレッシャーに耐えなければならない点は、客先常駐のデメリットだと言えます。


また、ITエンジニアとしての評価を実際に決定するのは、普段職場にいない自社の上司です。そのため毎日努力を続けていても、クライアント企業がその点をきちんと報告してくれない場合、昇進や昇給につながりづらい点も懸念されます。

上流工程の経験を積みづらい

客先常駐で働く場合、上流工程の仕事を経験しづらい可能性もあります。プロジェクトの方針や目的を決める上流工程は、基本的にクライアント企業が行います。


客先常駐のITエンジニアは決まったプロジェクトを実現するための労働力として、プログラミングなどの下流工程を任されるのが基本となるでしょう。そのため上流工程を通してスキルアップするのが、難しくなる可能性がある点がデメリットになります。

会社への帰属意識が薄くなる

客先常駐で働く際には、ほとんどの労働時間をクライアント企業で過ごすことになります。その結果、自社企業への帰属意識が薄くなり、仕事へのモチベーション低下などのデメリットにつながる可能性もあります。「会社に貢献したい」「自社の役に立つIT人材になりたい」といった目標がある人は、客先常駐での働き方に向いていない可能性も考慮すべきでしょう。


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5.客先常駐がない企業を見分ける方法

客先常駐での働き方に苦手意識を感じる場合には、自社のオフィスで仕事ができる企業に就職・転職する必要があるでしょう。以下では、客先常駐がないIT企業を見分ける方法について解説します。

客先常駐がない企業の特徴

客先常駐がないIT企業には、以下のような特徴があります。

  • 事業内容に「SES事業」「エンジニア派遣」「ITアウトソーシング」などの記載がない

  • 勤務地や勤務時間がきちんと決まっている

  • 従業員数に見合った広さのオフィスがある

  • 自社サービスを展開している

  • 中小企業との取引実績がある

  • 社内で仕事をしている写真・動画などが公開されている など

上記のような特徴を持つ企業の場合、客先常駐がない企業である可能性があります。事前に企業情報を収集し、社内で働ける環境が整っているかチェックすると良いでしょう。

新卒は客先常駐なしの企業の方が良い?

新卒のITエンジニアに対して、「客先常駐はやめとけ」と言われるケースがあります。ITエンジニアとしてのスキルやノウハウが身についていない状態で、周囲のフォローが期待できない客先常駐で働くことにリスクを覚えることもあるでしょう。


一方で、新卒の段階から客先常駐で多くの職場を経験できれば、その後のキャリアに良い影響を与えられる可能性もあります。新卒のうちはある程度のミスも許容されるため、積極的に行動して失敗から学ぶのも1つの働き方となるでしょう。


また、常駐先ではさまざまな先輩エンジニアと出会えるため、交流を図ることで有益なアドバイスを得られる可能性もあります。新卒のうちから広い人脈を作ることで、その後ITフリーランスエンジニアとして独立しやすくなるメリットもあるでしょう。


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6.まとめ

IT業界では、クライアント企業の職場に常駐する「客先常駐」という働き方が一般的なものとなっています。客先常駐にはメリット・デメリットの両方があるため、さまざまな視点からみて自分の求める働き方とマッチしているか、この機会にぜひ考えてみてください。


客先常駐で得た経験や人脈を活用して、ITフリーランスエンジニアとして独立することも検討できます。「フリーランスボード」ではITフリーランスエンジニア向けの案件・求人を簡単に検索できるため、自分のやりたい仕事をスムーズに見つけられます。


フリーランスの働き方に興味があるのなら、これをきっかけに「フリーランスボード」から気になる案件・求人を探してみてはいかがでしょうか。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.IT業界における客先常駐の特徴

客先常駐とは顧客の現場に直接出向く働き方

客先常駐と派遣の違い

客先常駐とSESの違い

客先常駐の最新動向

2.客先常駐が「やばい」「やめとけ」と言われる理由

労働環境の変化が激しい

未経験の業務を任されることもある

孤独や不安を感じやすい

客先常駐にも楽しいと感じられる要素・やりがいはある?

3.客先常駐で働く際のメリット

安定した収入が得られる

多種多様な業務経験を積める

未経験からでも働きやすい

4.客先常駐で働く際のデメリット

顧客のそばで働くためプレッシャーを感じやすい

上流工程の経験を積みづらい

会社への帰属意識が薄くなる

5.客先常駐がない企業を見分ける方法

客先常駐がない企業の特徴

新卒は客先常駐なしの企業の方が良い?

6.まとめ