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SESとは?やめとけと言われる理由や契約形態の特徴、SEとの違い、働くメリットなどわかりやすく解説

公開日:2025/02/19最終更新日:2025/02/19

ITエンジニアとして働く際には、さまざまな労働スタイルが考えられます。1つの企業に正社員として勤めるだけでなく、SES企業と契約して仕事をすることも可能です。SESならではのビジネスモデルは、ITエンジニアに多くのメリットがあるため、今後のキャリア形成に良い影響を与える可能性があります。


SES企業と仕事をするのなら、「SESとはどんな労働形態なのか」「ITエンジニアにどんなメリット・デメリットがあるのか」「どのように案件・求人を探すのか」といったポイントを、事前に確認しておくのが重要です。


本記事では、SESとはどんな企業・労働形態なのか、わかりやすく解説します。基本的な部分から紹介するので、SESでの仕事に興味があるのならぜひチェックしてください。


1.SESとは?

SESの仕事をするのなら、そもそも「SESとは何か?」という基本を把握することが重要です。以下では、SESの基本情報について解説します。

System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称

SESとは、「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の頭文字を取った略称です。IT業界での契約形態の1つであり、必要に応じてエンジニアを労働力として提供しています。


基本的にはSES企業がクライアントからの依頼を受けて、最適なエンジニアをアサインします。エンジニアは与えられた業務をこなして、契約時に決めた報酬を受け取るのが、SESにおける仕事の流れです。

SES市場の動向

結果から言うと、IT業界全体が成長しているため、相対的にIT市場と深い繋がりがあるSES市場の需要も高まっていくと考えられるでしょう。ではその理由を見ていきましょう。


矢野経済研究所は「デジタル人材関連サービス市場に関する調査を実施(2024年)」で、IT人材派遣・人材紹介サービスなどの市場を調査したデータを公開しています。

2022年度のデジタル人材育成・研修サービス、デジタル人材(IT技術者)派遣サービス、デジタル人材紹介サービスの3市場を合計した「デジタル人材関連サービスの市場規模」は、前年度比10.8%増の1兆1,754億円となっています。


この伸び率の背景には、企業のDX推進の動きや、リスキリングなどによる人材育成の普及、デジタル人材の確保のためのアウトソーシング需要の向上などが関係していると考えられます。また、AI技術やビッグデータの需要拡大によって、新しい知識・技術を持つ人材が必要になっていることも関係しているでしょう。


また、IT専門調査会社IDC Japan株式会社は、国内ITサービス市場予測で2023年から2028年までの年間平均成長率(CAGR)が6.2%で成長し、2028年には8兆8,201億円に達するとしています。

SESとSE・派遣・SIerの違い

SESは、SE・派遣・SIerなどと比較されることが多いです。しかし、それぞれはまったく異なるものであり、具体的には以下のようなものとして説明されます。

SE

SEは「システムエンジニア」の略称で、IT関連業務における上流工程などを担当する職種を指します。SESのように契約形態ではないため、そもそも比較対象になり得ません。

派遣

SES契約とは、「指揮命令権がどこにあるのか」という点で違いがあります。SESの場合にはベンダー側に、派遣契約の場合にはクライアント(派遣先)に指揮命令権が与えられます。また、派遣元の企業に直接雇用される「常用型派遣」の場合、労働者派遣法の対象となります。

SIer

システムインテグレーター(System Integrator)の略称で、システム開発業務を請け負う企業のことを指します。外部から労働力を得るのではなく、自社の持つリソースを活用して開発・企画・運用などを行います。


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2.SESの働き方・仕事内容の特徴

SES企業で仕事をするのなら、働き方(契約形態)・仕事内容・案件の探し方などを確認しておくのがおすすめです。以下では、SESにおける基本的な働き方や仕事内容について解説します。

SES企業とエンジニアの契約形態

SES企業で働く場合、エンジニアは一般的に「準委任契約」と呼ばれる契約形態を結びます。エンジニアに対する指揮命令権はSES企業にあり、報酬は働いた時間に対して支払われます。契約時間内に必要な業務を終わらせて、自分の役割を全うするのが、SESエンジニアの主な仕事だと言えるでしょう。


準委任契約の他にも、エンジニアは「請負契約」などの契約形態で働くことが可能です。請負契約の場合には成果物に対して報酬が支払われるため、SESでの業務とは異なり仕事を最後まで完了させる必要があります。


フリーランスエンジニアとして活動する場合には、請負契約でクライアントと契約し、成果物を納品する仕事を担うケースもあります。

SES企業におけるエンジニアの仕事内容

SES企業で働く場合、エンジニアは基本的にクライアントが求める成果を引き出すために、自身のスキルや経験を活かして仕事をすることになります。具体的な仕事内容はプロジェクトやクライアント側の要望によって変わるため、可能な限り幅広い業務に対応できるスキルを持っているとスムーズに立ち回れるでしょう。


SESで働く際に任せられる業務は多種多様ですが、例えば以下のような仕事内容が考えられます。

  • 開発業務全般(要件定義、設計、プログラミング、テスト、バグの発見・処理など)

  • 技術的なサポート(トラブルシューティング、ユーザートレーニング)

  • プロジェクト全体の運営・管理(リソース管理、タスクの割り当てなど)

  • ドキュメント作成(プロジェクトで使用する要件定義書、設計書、マニュアルなどの作成)

  • リサーチ(市場動向、技術動向、新しいテクノロジーなどのリサーチと具体的な提案) など

上記の他、システムエンジニアやネットワークエンジニアなど、職種ごとに仕事が割り振られるケースもあります。いずれの職種でも、専門スキルや豊富な経験が求められることが想定されるでしょう。

SES案件・求人の探し方・交渉のポイント

SES案件・求人を探す際には、転職エージェントや専門のマッチングツール・サービスを使う方法があります。


転職エージェントに登録することで、キャリアコンサルタントと相談しながら、自分の希望に合ったSES企業の案件・求人を探すことが可能です。転職エージェントなら、企業の情報や仕事の内容を事前にきちんと確認できるため、仕事を請け負ってからミスマッチに気づくリスクを減らせるのが魅力です。


SES専門のマッチングツール・サービスを利用することでも、多くの案件・求人を見つけられます。例えば「SESクラウド」「ITなびSES」などのサービスを使うことで、SES企業の案件・求人に絞り込んで探せます。もちろん、SES企業の案件・求人は、一般的なエンジニア向け転職サービスでも見つけられます。


SES案件・求人で働く際には、企業と単価交渉をすることも考えられます。単価交渉を行うのなら、基本的に普段から仕事への貢献度が高く、素行が良いことが求められます。SES企業から見て、手放したくないエンジニアになることが、単価交渉を成功させるポイントになるでしょう。


また、SESエンジニアとして働く場合、さまざまな職種の業務を請け負う可能性があります。自身のスキルや得意な分野などを考慮してアサインされるのが基本となるため、知識と技術を磨いて対応できる領域を広げていくことで企業での価値が高め、単価交渉を有利に運ぶのも1つの方法です。

「SESはやめとけ」と言われる理由は?

SESを検索する際のサジェストには、「やめとけ」というネガティブな言葉が候補として挙げられることがあります。実際にSESを経験したエンジニアが「やめとけ」と警告しているケースもあるため、その背景をきちんと理解しておくことは大切です。


例えばSESを「やめとけ」という理由には、以下のような内容が含まれます。

  • 客先常駐が大変

  • スキル不足で悩むことがある

  • 思うような案件に出会えない(運要素が強い)

  • 契約が途中で切られることがある

  • 評価基準に不満がある

  • 給料がなかなか上がらない など

上記のような理由から、SESは「やめとけ」という声があがっているようです。しかし、上記の問題は必ずしもすべてのSES企業、および案件・求人に当てはまるわけではありません。そのため最初から「SES=ダメ」という先入観を持つのではなく、積極的にチャレンジして、問題に直面したらその都度対処法を考えることが大切です。

3.SESで働くメリット

SES企業で働くことには、多くのメリットがあります。以下では、SESの案件・求人で仕事をするメリットについて解説します。

さまざまな現場で経験を積める

SES企業は、幅広い業界からの依頼を受け付けています。そのためSESエンジニアは、あらゆる業界・業種のプロジェクトに参画でき、多種多様な経験を積める点が大きなメリットです。契約期間が終了すれば、また別の業界のプロジェクトに参画できるため、短期間で多くの経験を通してスキルアップを目指せます。


特定の業界で働いた経験は、今後のキャリア形成に活かせる可能性があるため、エンジニアとしての将来に良い影響を与えるでしょう。

大手企業・優良企業で働ける

SES企業によっては、大手企業・優良企業を多数クライアントとして契約しているケースがあります。大手企業や優良企業の職場環境や、働き方を身をもって知れる点も、エンジニアからするとメリットになるでしょう。


大手企業は大規模なプロジェクトを立ち上げることもあり、そこに自分が参画できれば、スキルアップやエンジニアとしての自信をつけることにつなげられます。実績としても扱えるため、転職活動時やフリーランスエンジニアになったときなどに、アピールポイントとして活用することも考えられるでしょう。

人脈作りのきっかけになる

SES企業の案件・求人を請け負って働く場合、多くの現場で仕事をすることになります。それぞれの現場で新しい人間関係を構築できれば、エンジニアとしての人脈を広げるきっかけにもできるでしょう。


SES案件・求人で作った人脈を活用することで、転職を有利に運んだり、フリーランスになってから仕事を回してもらったりと、多くのメリットにつなげられる可能性があります。短期間の契約でもその後のことを考えて、なるべく現場では良好な人間関係を構築するように努めると良いでしょう。

4.SESで働くデメリット

SES企業で仕事を続ける場合、デメリットについても把握しておく必要があります。以下では、SES企業の案件・求人におけるデメリットの部分について解説します。

最後までプロジェクトに携われない

SES企業でエンジニアとして働く場合、最後までプロジェクトに携われない可能性があります。最初から短期間での契約になっている場合、最終的に自分の仕事がどうなったのか、プロジェクトがどのように進展したのか分からないこともあるでしょう。


人によっては達成感を得られず、不完全燃焼な気分に悩まされる可能性があります。また、案件・求人によっては自分の対応する仕事の説明だけが行われ、プロジェクトの全体像までは知らされないケースも考えられます。


「自分の仕事は本当に必要なのか?」と悩み、モチベーションが低下する可能性がある点は、SESの仕事におけるデメリットだと言えるでしょう。

希望通りの仕事ができるとは限らない

SES企業で働く場合、必ずしも自分の希望する内容の案件・求人を受けられるとは限りません。希望していない業務内容だとしても、企業からアサインされたのなら、対応しなければなりません。そういった希望しない案件・求人が続くと、次第にやる気が低下して学習意欲などにも悪影響を与えることが懸念されます。


また、プロジェクトに途中から参画することもあるSES案件・求人は、下流工程の仕事が多い傾向があると言われています。そのため上流工程の仕事でスキルを磨きたい人は、SESの仕事内容に不満を覚えやすいかもしれません。


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5.未経験でもSESで働ける?

SESでエンジニアとして働きたいけれど、「未経験からでも参画できる仕事があるのか気になっている」人もいるでしょう。そこで以下では、未経験からSESで働けるのか解説します。

SESは未経験でも働きやすい

SESは、比較的未経験のエンジニアでも働きやすい環境だと言えます。経験や学歴に関係なく応募できるケースもあるため、別業種からITエンジニアを目指したい人にとっては、SESが良いキャリアアップの機会になり得るでしょう。IT人材の不足はSES業界にも影響しているため、未経験でも積極的に採用していることがあります。まずは未経験歓迎の案件・求人を検索し、具体的な雇用条件などを調べてみましょう。

未経験から始めるにはまず最低限のスキルを学ぶ

未経験からSESでエンジニアを始めるのなら、あらかじめ最低限のスキルは確保しておく必要があります。未経験エンジニアに対して学習機会を提供している企業や、実務経験が少ないエンジニア向けの案件・求人を紹介してくれる企業などがあるため、スキル面が完璧でなくても仕事ができる可能性はあります。


しかし、それでもエンジニアとして基本となるプログラミングスキルや関連知識は必須になるため、隙間時間を使った独学やプログラミングスクールなどの勉強を通して、自主的に学ぶことを意識するのが重要です。


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6.まとめ

SESは「System Engineering Service」の略称で、エンジニアとの契約における1つの方法として広まっています。SESでの契約ならではのメリットがあるため、上手く活用できればエンジニアとしてのキャリア形成につなげられるでしょう。この機会にSESの基本を確認し、今後の働き方における選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。


SESエンジニアだけでなく、フリーランスエンジニアとして働くのも1つの方法です。個人事業主として自由に仕事ができるフリーランスエンジニアは、人手不足に悩まされるIT業界で高い注目を得ています。


フリーランスボード」では、フリーランスエンジニア向けの案件・求人を簡単に検索できます。気になる企業の仕事をまとめてチェックできるため、自分の希望に合った職場をスムーズに見つけられるでしょう。フリーランスという働き方に興味があるのなら、ぜひ「フリーランスボード」を利用してみてください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.SESとは?

System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称

SES市場の動向

SESとSE・派遣・SIerの違い

2.SESの働き方・仕事内容の特徴

SES企業とエンジニアの契約形態

SES企業におけるエンジニアの仕事内容

SES案件・求人の探し方・交渉のポイント

「SESはやめとけ」と言われる理由は?

3.SESで働くメリット

さまざまな現場で経験を積める

大手企業・優良企業で働ける

人脈作りのきっかけになる

4.SESで働くデメリット

最後までプロジェクトに携われない

希望通りの仕事ができるとは限らない

5.未経験でもSESで働ける?

SESは未経験でも働きやすい

未経験から始めるにはまず最低限のスキルを学ぶ

6.まとめ