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LCMとは?PC-LCM、ITAMなど類似手法との違い、導入のデメリット、導入時のポイントを解説

公開日:2025/04/15最終更新日:2025/04/16

「LCMについて詳しく知りたい」「LCMの手法や考え方を取り入れたい」とお考えではありませんか。


LCMはIT資産の導入から廃棄までを最適に管理する手法や考え方であり、適切に導入することで様々な恩恵を得ることができます。


本記事では、LCMに興味をお持ちの方のために、LCMの基本から、類似手法との違い、導入のメリットやデメリット、そして具体的な導入ポイントについてお話しします。

1.LCMに関する前提知識

はじめにLCMについて理解を深めていただくために、LCMに関する前提知識について解説します。

LCMとは

LCMとは、Life Cycle Management:ライフサイクルマネジメントの略称であり、ハードウェアやソフトウェア、アプリケーションやサービスなど、IT資産の調達、導入、運用、保守、更新、そして最終的な廃棄や契約終了及び契約解除に至るまでの全工程を最適化しながら管理する手法や考え方を指します。


企業や組織においてIT資産は様々な部門や部署で必要であり、必要に応じて購入はするものの保守や更新はおろそかになりがちです。特に物理的なデバイスにおいては、長く使い続けることができるため、スペックが物足りなかったり、OSのサポート期限が切れていても使い続けたりすることがあり、作業効率の低下やセキュリティ面での脆弱性などのデメリットがあります。


LCMの手法や考え方を導入することで、業務効率化やセキュリティ性の向上など、事業活動の基礎ともいえる作業体制の部分をしっかりと確立することができるようになるのです。

LCMサービスとは

LCMサービスとは、IT資産のライフサイクル全般、もしくは一部を外部の専門業者に委託するサービスです。

  • IT資産の選定・調達

  • 導入・設定

  • 運用・ヘルプデスク

  • 保守・更新

  • セキュリティ対策・アップデート

  • 余剰IT資産管理の選別

  • 廃棄・リサイクル

上記はLCMサービスの一例であり、多岐にわたる業務を代行または支援します。企業や組織、または個人事業主やフリーランスの方が、ライフサイクルマネジメントを気にすることなく、適切な性能を備えるIT資産を活用しながらコア業務に集中できるようになるのです。


LCMサービスを利用することで、専門的な知識やリソースを持たない場合でも、効率的かつ安全なIT資産管理が可能であり、不要なコストの肥大化やセキュリティリスクを防ぐことにつながります。

PC-LCMとは

PC-LCMとは、LCMの中でも特にPC(パソコン)に焦点を当てた管理手法やサービスを指します。企業や組織において、多数のPCの導入、運用、保守、セキュリティ対策、廃棄などを効率的に行うために特化した考え方です。

  • 運用プロセスの標準化やマニュアル化

  • 物理的デバイスとソフトウェアの管理

  • オンラインサービスの管理

  • セキュリティポリシーの適用

  • リモートによるデバイス操作

上記は機能の一例ですが、これらの機能によってPC環境全体の最適化を図ります。LCMサービスでも同等の機能が備わっていることがあり、LCMの導入する際の指標とも言える機能です。


PC-LCMの手法や考え方は、PCの調達から廃棄までの各段階におけるコスト削減、未使用のパソコンの把握、ソフトウェアの購入済みのライセンス管理、サブスクリプションの課金管理などによって、過剰なIT資産への投資を削減できるようになるのです。


その他にもリモートでのソフトウェアのインストールやセキュリティ設定を行うことで、セキュリティレベルの維持・向上、ユーザーサポートの効率化などが実現します。

2.LCMに類似する手法との違い

次にLCMと比較検討していただくために、LCMに類似する手法との違いについて解説します。

ITAMとの違い

ITAMとは、IT Asset Managementの略称であり、日本語ではIT資産管理を意味します。ハードウェア、ソフトウェア、ライセンスなどの企業や組織内のIT資産を特定、追跡、管理する手法です。ITAMの主な目的は、資産の可視化、コンプライアンスの確保、コストの最適化、リスクの軽減です。


LCMとITAMの違いは、ITAMは主にIT資産の現状の把握と管理、可視化に焦点を当てるのに対し、LCMはIT資産の導入から廃棄までの全ライフサイクルを通して最適化を行うことにあります。そのため、ITAMはLCMの手法や考え方の一部として捉えることができ、より詳細な管理や可視化が必要な場合に合わせて導入を検討しても良い手法と言えるでしょう。

ITOMとの違い

ITOMとは、IT Operations Managementの略称であり、日本語ではIT運用管理を意味します。企業や組織におけるITインフラストラクチャとサービスの日常的な運用と保守に焦点を当てており、システムの監視、インシデント管理、問題管理、変更管理、パフォーマンス管理などを基軸とする管理手法です。


LCMとITOMは、どちらもIT環境の効率性と安定性を高めることを目的としていますが、ITOMは主にITシステムの日々の安定稼働を重視していること、LCMはIT資産のライフサイクル全体を通しての最適化を目指すことが違いと言えるでしょう。


ITOMはITAMと同様にLCMの一部として捉えることができ、特にオンラインサービスや24時間稼働するシステムなどを運営している場合に詳細な管理ができる手法と言えます。

情報資産管理との違い

情報資産管理とは、組織が保有する価値のあるデータ、文書、知的財産などの情報を適切に保護し、活用するための手法や考え方です。具体的には情報の分類、アクセス制御、セキュリティ対策、バックアップ、保管などが挙げられます。


LCMと情報資産管理は、どちらも組織の重要な資産を管理するという点で共通していますが、情報資産管理の場合は主にデータを対象としていること、LCMの場合は物理的なデバイスも含めたIT資産を対象としていることが大きな違いと言えるでしょう。


そのため、LCMと情報資産管理は類似する手法や考え方ではあるものの、「モノ」を含めたIT資産の管理はLCM、「データ」を基準とする場合は情報資産管理で詳細に管理するように、それぞれの手法を区別して取り入れていくことでさらに効果的になります。

3.LCMの手法や考え方を導入するメリット

次にLCMが必要とされる理由となるLCMの手法や考え方を導入するメリットについて解説します。

コスト効率の向上

LCMのメリットとして、過剰な物理的なデバイス購入の削減、ソフトウェアやサブスクリプションの適切な課金が実現し、適切にIT資産を配置できるようになり、IT資産に関するコスト効率の向上が期待できることが挙げられます。


未使用のハードウェアの可視化によって、無駄に新しいハードウェアを購入することを防いだり、購入済みのソフトウェアや課金済みのサブスクリプションを増やさずに済むのが理由です。


また、一定のサイクルでデバイスを切り替えていくことで、突発的な故障の修理費用や利用できないことによるダウンタイムも軽減できます。不要になったIT資産を適切なタイミングで処分・リサイクルすることで、IT資産の価値が低下しすぎることを防ぎ、少額でも売却による収益を得ることも可能であり、処分にかかる費用も削減できることもメリットと言えます。

業務効率と生産性の向上

LCMのメリットとして、一定のサイクルで物理的なデバイスを更新したり、適切なソフトウェアに課金したりすることで業務効率と生産性が向上することが挙げられます。適切なスペックのIT資産を導入し、定期的なメンテナンスやアップデートを行うことで、動作の遅延やフリーズなどのトラブルを減らし、スムーズで快適な業務ができるようになるのが理由です。


また、LCMによって適切に管理されたIT環境を提供することで、従業員はどのデバイスを使っても同じように業務に取り組むことができ、全体の作業効率の向上も期待できます。計画的な更新により、老朽化したIT資産によるパフォーマンス低下を防ぎ、常に最新のテクノロジーを活用できる環境を提供することで、従業員のモチベーション向上や不満の解消にも繋がり、従業員満足度の向上も期待できるようになるでしょう。

セキュリティとリスク管理の強化

LCMのメリットとして、適切なセキュリティポリシーの設定、OSやソフトウェアを常に最新の状態を維持することで、セキュリティとリスク管理の強化ができることが挙げられます。導入段階から適切なセキュリティ設定により、初期段階での脆弱性が排除され、運用段階では、OSやソフトウェアの定期的なアップデート、セキュリティパッチの適用、ウイルス対策ソフトの導入・更新などを徹底することで安全な作業環境を構築できるのが理由です。


またリモート管理、アクセス権限の適切な管理、データの暗号化、不正アクセスの監視、不要なデバイスの接続の禁止などの対策もLCMの重要な要素と言えます。従業員が意図せずセキュリティリスクを発生させないようにすることで、組織全体の情報資産を守り、事業活動におけるリスクを最小限に抑えることができるようになるのです。

4.LCMの手法や考え方を導入するデメリット

次にLCMのメリットだけでなくデメリットを知りたい方のために、LCMの手法や考え方を導入するデメリットについて解説します。

導入コストと管理の負担

LCMのデメリットとして、新しい手法や仕組みを取り入れるための導入コストと継続的な管理の負担が生じることが挙げられます。規模によってはLCMを効率的に運用するための専用のソフトウェアやツールの導入費用、既存のIT環境との連携設定、そして、LCMを有効活用するための学習コストや時間及び労力などが必要になるのが理由です。


また、IT資産の情報を常に最新の状態に保つための管理作業が必要であり、定期的な棚卸し、購入・廃棄や売却の管理、ライセンスやサブスプリクションの把握と管理、セキュリティ状況の監視などが含まれ、業界や業種によっては選任の人材の配置や新たに雇い入れる必要もあるでしょう。


これらの導入コストと管理にかかる負担は増大する傾向にあるため、導入にあたっては費用対効果を慎重に検討することが求められます。

管理や手続きの煩雑化

LCMのデメリットとして、ハードウェアやソフトウェアに関する管理や手続きの煩雑化してしまうことが挙げられます。LCMを組織全体に適用し、厳格な管理体制を構築しようとすると、IT資産の調達、導入、変更、廃棄といった各段階において、多くの承認プロセスや記録管理など、今までにない管理のための手続きが必要になるのが理由です。


LCMによって業務効率化に繋がる一方で、急な変更や例外的な対応が必要な場合に柔軟性が損ねられ、業務の遅延を招くことも考えられます。また、就業規則の変更、詳細な管理ルールやガイドラインを策定など、従業員に周知徹底するための時間と労力も必要です。


管理項目が増えることで、現場の担当者にとっては、煩雑な入力作業や報告業務が増加し、本来のコアな業務に集中しにくくなる可能性も考慮することも留意する必要があるでしょう。柔軟に対応できるように定期的なルールの変更なども前向きに検討する必要があります。

外部委託時の情報管理リスク

LCMのデメリットとして、外部委託時に企業や組織として利用しているデバイスやソフトウェアなどが知られてしまうことで情報管理のリスクが発生することが挙げられます。


LCMの運用を外部に委託するもしくは外部サービスを利用する場合など、自社のIT資産に関する情報やデータの一部もしくは全部が外部の事業者の管理下に置かれることになり、情報管理に関するリスクが発生する可能性があります。


委託先のセキュリティ対策が不十分であった場合、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティインシデントが発生するリスクを完全に排除することはできません。委託先が遠隔地にある場合など、コミュニケーションの遅延や意思疎通の齟齬が生じることもあり、結果として管理業務の効率性が低下する可能性もあります。


外部サービスの利用を検討する段階で、委託先のセキュリティ体制、実績、契約内容などを慎重に評価し、信頼できる事業者を選ぶことが大切です。

5.LCMの手法や考え方を導入する際のポイント

次にLCMの導入に前向きの方のために、LCMの手法や考え方を導入する際のポイントについて解説します。

目的と範囲を明確にする

LCMを導入する際のポイントとして、業務効率の向上、コスト削減、セキュリティの強化など、目的と範囲を明確にすることが挙げられます。同様にLCMの適用範囲を明確にするために、管理対象とするIT資産ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器、クラウドサービスなどの種類、LCMを適用する業務プロセスなどを把握し、具体的に範囲を決めていきましょう。


目的と範囲が曖昧なまま導入を進めてしまうと、期待した効果が得られなかったり、管理が複雑化してかえって手間が増えてしまったりする可能性があるので注意が必要です。そのため、トップダウンで進めるのではなく、現場の従業員、部門や部署の管理職と協議し、共通認識を持った上で、明確な目的と範囲を設定することを意識し、実務で働く方の視線を重視するとLCMの効果を最大限に発揮できるようになるでしょう。

現状分析と課題の把握

LCMを導入する際のポイントとして、セキュリティリスク、パソコンの性能不足、余剰パソコン、サブスクリプションの課金など、現状分析と課題の把握をすることが挙げられます。現在、どのようなIT資産をどれだけ保有しているのか、それぞれの利用状況、契約状況、サポート期限などを洗い出すことから始めると良いでしょう。


また、運用においては、コストの無駄、セキュリティリスク、業務効率の低下の把握、管理体制においては、資産管理台帳がない、更新プロセスが不明確などの問題点を特定して改善することも大切です。


現状分析をしっかりと行うことで、LCM導入後の運営時においても解決すべき課題が明確になり、具体的な対策を立てやすくなります。課題や問題が曖昧なまま、もしくは改善されないまま運用を続けてしまうと、的外れな対策を講じてしまい、期待した効果が得られない可能性があることを覚えておきましょう。

段階的な導入と継続的な見直し

LCMを導入する際のポイントとして、業務に支障が出ないようにするため、もしくは過度な投資を避けるため、段階的な導入と継続的な見直しを行うことが挙げられます。従業員の混乱や業務の支障を防ぐためにも、一部の部門や特定の種類のIT資産を対象に試験的な導入を行って検証していくことが大切です。


試験導入の結果を踏まえ、改善点を見つけ出し、本格的な導入範囲を徐々に拡大していくことで、リスクを抑えながら、従業員の学習段階における業務の遅延などを発生させず、着実にLCMを浸透させることができます。


また、LCMの導入は一度完了したら終わりではなく、定期的にLCMの運用状況や効果を評価し、変化に合わせてプロセスやルールを見直していく継続的で柔軟な改善が必要です。PDCAサイクルを回すように、課題や問題の把握と改善を繰り返すことで、LCMの効果を最大限に発揮し、変化に柔軟に対応できる管理体制を構築できるようになるでしょう。

6.LCMに関するよくある質問

最後にLCMについて興味がお持ちの方が疑問に感じる点について、よくある質問として3つご紹介します。

LCMは個人でも役立ちますか?

LCMの手法や考え方は、フリーランスや個人事業主など、個人のIT資産管理においても役立ちます。計画的に購入時期や買い替え時期を検討することで、無駄な出費を抑えたり、常に快適な環境でパソコンやスマートフォンなどのデバイスを利用したりすることが可能です。


さらに、不要になったデバイスを適切なタイミングで処分することで、下取り価格や中古販売時の金額アップなどの利点もあります。同時にデータのバックアップやセキュリティ対策をライフサイクル全体で意識することで、大切な情報を守ることができます。サブスクリプションの定期的な見直しなども、無駄なコストの削減になるのでおすすめです。

LCMサービスを導入する目安は?

LCMサービスの導入を検討する目安は、管理するIT資産の規模や複雑さ、そしてIT管理にかけられるリソースによって異なります。管理するPCやサーバー、ネットワーク機器などのIT資産の数が多く、自社での管理が煩雑になっている場合は前向きに検討してみても良いでしょう。


同様にIT資産の導入、運用、保守、廃棄などに専門的な知識やリソースを持つ人材が不足しており、かつIT資産の管理にかかるコストを削減したいと考えている場合もおすすめです。その他にもセキュリティリスクを低減し、コンプライアンスを遵守する必要性を強く感じている場合も導入した方が良いでしょう。

LCMサービスを比較検討するポイントは?

LCMサービスを比較検討するポイントとして、自社のニーズに合ったサービス内容を提供しているか、信頼できる実績を持っているか、情報セキュリティ対策が十分に施されているか、サポート体制が充実しているかなどが挙げられます。


現在利用しているITシステムやツールとの連携が可能かも重要なポイントと言えるでしょう。同時に導入や運用時のコスト、費用対効果なども検討材料としておき、不要な機能やサービスに費用を支払っていないかどうかなども加味しながら選ぶことが大切です。


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7.まとめ

本記事では、LCMに興味をお持ちの方、LCMの手法や考え方を導入したいとお考えの方のために、LCMについての様々な情報をお話しました。


LCMの手法や考え方は、個人事業主やフリーランス、企業や組織など、事業活動の規模によらず役立つことが期待できます。それぞれの規模に合わせて必要となる考え方やサービスを導入し、ビジネスにおける事業活動の業務効率化やコスト最適化を実現してみてください。


最後までお読みいただきありがとうございました。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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目次

1.LCMに関する前提知識

LCMとは

LCMサービスとは

PC-LCMとは

2.LCMに類似する手法との違い

ITAMとの違い

ITOMとの違い

情報資産管理との違い

3.LCMの手法や考え方を導入するメリット

コスト効率の向上

業務効率と生産性の向上

セキュリティとリスク管理の強化

4.LCMの手法や考え方を導入するデメリット

導入コストと管理の負担

管理や手続きの煩雑化

外部委託時の情報管理リスク

5.LCMの手法や考え方を導入する際のポイント

目的と範囲を明確にする

現状分析と課題の把握

段階的な導入と継続的な見直し

6.LCMに関するよくある質問

LCMは個人でも役立ちますか?

LCMサービスを導入する目安は?

LCMサービスを比較検討するポイントは?

7.まとめ