国外で働く海外エンジニアになることには、さまざまな魅力・メリットがあります。賃金の仕組みや働き方など、国内のエンジニアとは異なる点があるため、海外を拠点に活躍する方が合っているという人もいるでしょう。海外での仕事経験はその後のキャリアパスにも良い影響を与えるため、将来の選択肢を増やす結果につながる可能性もあります。
しかし、国外に出て働くと、ときに厳しい現実と直面することもあります。事前にエンジニアの海外案件の詳細や海外移住する場合のおすすめの国、必要なスキルなどを確認しておくことが重要です。
本記事では「海外エンジニアになるには、どんな準備が必要になるのか」という基本から、就職するメリット・デメリットなどを解説します。海外でエンジニアとして働くことに興味があるのなら、ぜひ詳細を確認してみてください。
目次
1.海外エンジニアの特徴
海外エンジニアを目指すのなら、国内エンジニアとは異なる特徴について理解を深めておくことが重要です。海外独自の文化や考え方を把握し、環境に合わせて働くことで活躍の機会を得やすくなるでしょう。
以下では、海外エンジニアの特徴や働き方・考え方の違いについて解説します。
海外エンジニアの特徴①時間の考え方が違う
海外エンジニアに転職して働く際には、「時間」に対する考え方や捉え方の違いに慣れることが重要です。一般的に日本は仕事において、時間を守ることがとても重視されていると認識されています。
一方で海外の場合、国によっては仕事でも時間にルーズな人がいるケースがあります。仕事が残っていても残業をしないで帰宅したり、納期が近くても普段の生活を優先したりする海外エンジニアもいると言われています。
日本と比べて時間に対する考え方や捉え方が穏やかな点は、海外エンジニアとして働く際に意識しておくべきポイントの1つです。もちろん仕事の質は重要視されているため、ただサボっているだけのエンジニアは評価を下げる要因になるため注意しましょう。
海外エンジニアの特徴②賃金や昇給制度も異なる
海外エンジニアは、賃金の仕組みや昇給制度の詳細も国内エンジニアとは異なります。海外では勤続年数や年齢は考慮せず、実績を軸に評価が行われ、賃金を決める方法が採用されています。
実績や能力次第で早い段階から収入アップを狙える点は、海外エンジニアとして働く際の魅力になるでしょう。
一方で、実力が足りず仕事で成果が出せないと、収入が下がったり雇用関係を打ち切られたりする可能性もあります。年功序列で安定した収入を得やすい日本の環境とは、根本的な部分から仕組みが違うことは理解しておきましょう。
海外エンジニアの特徴③個人を尊重した働き方が基本
海外の企業では、個人の生活や考え方を尊重することが主流になっていることがあります。
例えば休日出勤や残業はせず、プライベートの時間を重視することが当たり前になっている働き方ができます。仕事以外の時間を何に使うのかはエンジニアの自由であり、職場の飲み会や労働時間外のレクリエーションなどへの参加を強制させることは少ないでしょう。
また、プライベートで重要なイベントがある場合、休日申請を受理してもらいやすい点も特徴です。ワークライフバランスを取りやすい点も、海外エンジニアの特徴として挙げられます。
2.海外エンジニアになるには?
海外エンジニアになるには、事前に就職・転職するための具体的な方法を把握しておく必要があります。まずは国内のリモート案件から実績を積んだり、海外移住して生活を一変したりなど、さまざまなパターンが考えられます。以下では、海外エンジニアになるにはどんな方法があるのか解説します。
現地の海外企業に転職する
海外エンジニアになるには、現地の海外企業に転職するのが1つの方法です。日系企業であれば社内に日本人の従業員がいるケースもあり、初めての海外生活で困ったことや悩みを相談できるなどのメリットに期待できます。日本語でコミュニケーションが取れる可能性がある点も、現地の日系企業に就職・転職するメリットになるでしょう。
そのほか、現地の海外ローカル企業に就職・転職する方法もあります。こちらは日本人の従業員がいないこともあるため、基本的に英語でのコミュニケーションが求められます。そのため仕事が厳しいと感じるシーンもありますが、海外の人材と交流することで自身の成長につながるきっかけを得られたり、言語能力をスムーズに上達させられたりといったメリットにも期待できるでしょう。
日系企業から海外の支社に出向する
海外に支社を持つ日系企業に就職・転職し、国内で実績を重ねてから海外に出向する方法もあります。言語能力やスキルの高さが認められれば、海外支社への異動が叶う可能性があります。国内でスキルアップをしつつ海外エンジニアを目指せるため、焦らずじっくりと成長していける点が魅力です。
海外支社への出向の場合、日本での福利厚生や労働条件がそのまま適用される点も特徴になります。慣れた労働環境で仕事ができるため、海外独自の働き方に悩む時間が減少する可能性があるでしょう。
ビザの取得や住居探しも会社がサポートしてくれることがあるので、スムーズに海外生活を始められるのも魅力です。一方で、会社の辞令であるため、働く国や期間を自分で選ぶことはできません。
エンジニア向けの海外案件を探す
海外エンジニアになるには、フリーランスとして働きつつ、海外案件を探す方法もあります。フリーランス向けのエージェントを使ったり、クラウドソーシングサービスを活用したりすることで、海外企業からの案件・求人を獲得できる可能性があります。
リモートで対応できる案件・求人を優先して選ぶことで、日本にいながら海外の仕事経験を積めるのもメリットです。 その他、SNSやITエンジニアとしての人脈を活用し、海外案件を紹介してもらうのも1つの方法となります。
いきなり海外に行って仕事をすることに躊躇いがあるのなら、まずは国内でできる仕事から始めてみると良いでしょう。
エンジニアが海外移住するのにおすすめの国は?
エンジニアとして新天地を求めて海外移住をする際には、さまざまな国が選択肢に挙げられます。事前にどんな目的で移住するのか、自分がどのような国の文化に興味があるのかを明確にし、新生活の準備をすることが重要です。
移住先の国を決めたら、文化の違いや法律など生活に関することを調べましょう。SNSなどを使い、実際に海外移住している人の発信をチェックするのも1つの方法です。
海外エンジニアとして移住する場合、以下の要素がそろっている国・地域を選ぶのがおすすめです。
英語が生活のなかで一般的に使われているか
物価が高すぎない
インフラが整備されているか
エンジニアの仕事が多い
日本から近い など
上記の要素を満たしている国なら、ある程度安定した海外生活を過ごせる可能性があります。例えばフィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどが移住先の候補になるでしょう。現地の雰囲気や生活環境を調べるために、短期滞在して実際にその国を体験したうえで移住先を決めるのもおすすめです。
3.海外エンジニアに転職するメリット
海外エンジニアに転職することには、さまざまなメリットがあります。既に海外勤務経験があり、キャリア形成に活かしたい人も、改めてメリットを振り返ることで今後の働き方を考えるきっかけになるでしょう。以下では、海外エンジニアに転職する主なメリットについて解説します。
高収入を実現できる可能性がある
海外エンジニアに転職する場合、高収入を得られるようになる可能性があります。ヒューマンリソシア株式会社が行った「世界のITエンジニアの給与を独自集計」によると、ITエンジニアの給与額1位はスイス、2位はアメリカ、3位はイスラエルという結果になっています。(USドルベースで集計)日本は26位となっているため、まだまだ伸び代があると考えることもできます。
給与の増減率を見てみると、前年からもっとも増加したのがチェコであり、以降はカメルーン、コスタリカと続きます。中南米や東ヨーロッパの国々が、増加傾向にある点が注目となっています。
一方で、同調査によると日本は前年比で5.9%の減少となり、増加率は72カ国中58位という結果になっています。円安の影響や物価の違いなどもあり、単純な比較はできませんが、円ベースでも0.4%増という結果になっているため、日本のITエンジニアの収入は世界的に見てやや低めと判断することになるでしょう。
これらの結果から、海外でエンジニアに転職することで、国内にいたときよりも収入が上がる可能性があると考えられるでしょう。
(引用元:世界のITエンジニアの給与を独自集計)
プログラミングスキルをそのまま海外でも活かせる
国内で学んだプログラミングスキルは、海外エンジニアの職場でもそのまま活かせます。ITエンジニアにとって、プログラミングスキルは共通言語です。
海外の文化や労働環境に合わせて新しいプログラミング言語を覚えなくても良いので、これまでの経験を活かした仕事ができる点はメリットになるでしょう。
もちろん、海外企業で必要とされるプログラミング言語を使えるスキルは必須となります。「TIOBE」が発表した2025年4月の人気プログラミングランキングを参考にすると、順位は以下のようになっています。
順位(2025年4月時点) | プログラミング言語 |
---|---|
1位 | Python |
2位 | C++ |
3位 | C言語 |
4位 | Java |
5位 | C# |
(引用元:TIOBE)
海外エンジニアとしてのキャリアパスが広がる
海外エンジニアとして実績を積んでいくことで、その後のキャリアパスが広がる点もメリットの1つです。海外で働いた経験は他の国でも高く評価されることがあり、さまざまな地域で仕事をするきっかけになり得ます。1つの国に拘らず、世界のあらゆる場所で働けるIT人材を目指すことも可能です。
また、海外エンジニアに転職して活躍した実績は、日本国内でも評価されるでしょう。特に海外と取引をしている日本企業では、グローバルに活躍できる海外エンジニアの需要は高いと考えられます。海外のクライアントとの交渉や外国人エンジニアの育成など、マネジメント関係の仕事を中心としたキャリアパスも選択肢に入れられるでしょう。
4.海外エンジニアに転職するデメリット
海外エンジニアに転職する場合、メリットだけでなくデメリットも把握しておく必要があります。以下では、海外エンジニアならではのメリットや働く際の注意点を解説します。
海外のエンジニア求人を探すのが難しい
海外のエンジニア求人を探すのが難しい点は、デメリットの1つになります。現地で直接雇用されることを目指す場合、生活を成り立たせつつ仕事探しをしなければなりません。安定した収入が得られない可能性も懸念されるため、案件・求人を見つける前に帰国を余儀なくされることもあるでしょう。
英語でのコミュニケーションに壁がある
海外のエンジニアに転職して働く場合、基本的に英語でコミュニケーションを取る必要があります。日常生活だけでなく、職場でも英語でのやり取りが求められるため、スムーズに会話ができるように勉強しておく必要があるでしょう。IT業界ならではの用語を英語で理解し、意思疎通に支障が出ないように備えるのもポイントです。
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5.海外エンジニアとして働くのは厳しい?
海外エンジニアに転職する際には、「厳しい」と評価されることもあります。なぜ海外エンジニアの仕事が厳しいと言われるのか、以下で理由を解説します。
ビザの取得条件が国によって異なる
ビザの取得条件が国によって異なるため、そもそも海外で働くことのハードルが高い点が「厳しい」と言われる理由の1つです。海外エンジニアとしてその国で長期的に働くには、就労ビザの取得が必須です。しかし、就労条件は国によって変わるため、思った形で仕事ができない可能性もあります。例えば日本での就労実績や語学力などが、ビザ取得の条件として設定されているケースがあります。
特別な学位なしでは厳しい?
海外エンジニアに転職して働く際には、学位が求められるケースもあります。就労ビザの取得条件に学位が含まれている場合、それなりの実績が求められるでしょう。一方で、先の通りビザの取得条件は国によって変わるため、学位が不要な国なら他の条件を満たすことで海外エンジニアとして働き始められる可能性があります。
治安や医療の問題に注意
海外で生活するのなら、治安や医療に関する課題は事前に確認しておく必要があります。国によっては治安が不安定で、スリなどの被害に遭う可能性も懸念されます。
また、医療費が高額になる国もあるため、万が一のケガや病気の際には、生活に支障が出るケースも想定しておかなければならないでしょう。日本と同じ感覚でいると危険なパターンもあり得るので、しっかりと対策をしたうえで海外エンジニアに転職する準備をするのがポイントです。
6.海外エンジニアに必要なスキル
海外エンジニアに転職するには、現地で仕事をするためのスキル習得が必要です。具体的にどのようなスキルが必要になるのか、以下で詳しく解説します。
英語をはじめとした語学力
海外エンジニアに転職して活躍を目指すのなら、英語をはじめとした語学力は必須となります。日本語だけで海外エンジニアの仕事をこなすのは困難なので、まずは英語を勉強して日常会話が問題なくできるレベルを目指しましょう。
日常会話ができるようになったら、実際にITエンジニアの仕事で英語を使い、スムーズにコミュニケーションが取れるように練習します。日本の企業で外国人エンジニアと一緒に働くなど、実践形式で学んでいく方法がおすすめです。
余裕があるのならドイツ語やフランス語などを学び、働ける職場を広げていくのも1つの方法となります。
海外文化への理解
海外文化への理解を深めることも、海外エンジニアへの転職時には必要となります。日本の働き方や考え方をそのまま海外の職場に持ち込むと、周囲と上手く打ち解けられなくなる可能性もあるでしょう。現地のビジネス環境に合わせることを意識して、柔軟な働き方・考え方を実践していくのも重要です。
エンジニアの実務経験
エンジニアとしての実務経験は、海外エンジニアに転職する際にも重要視されます。海外エンジニアの求人・案件では、未経験者を対象外としているケースも多くあります。即戦力を求める海外企業で働くためにも、日本でエンジニア業務を経験し、実践的な能力を高めておく必要があるでしょう。
将来的に海外エンジニアを目指すのなら、先に解説した海外に支社を持つ日系企業に就職・転職し、エンジニア経験を十分に積んでからキャリア形成を行うのがおすすめです。もしくはフリーランスのITエンジニアとして独立し、国内の案件・求人に参画してスキルアップに励むのも1つの方法となります。
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7.まとめ
海外エンジニアに転職して働くことは、自身の市場価値を高めて、グローバルな職場で仕事ができるキャリアを形成するきっかけになります。国際的なプロジェクトに参画した経験を活かすことで、海外・国内のどちらでも活躍できるITエンジニアを目指すことも可能です。この機会に海外エンジニアになる方法や必要なスキルなどを確認し、具体的な行動に移る準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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