フリーランスに興味を抱いている人の中には「フリーランスは年収1000万円稼げるのか?」「フリーランスは会社員よりも稼げるのか?」などといった疑問を抱いている人は多くいると思います。
フリーランスとして働く人の中には年収1000万円以上稼ぐ人や会社員時代よりも多くの収入を稼ぐ人もいますが、経済的に厳しい状況にある人も少なくないのが現実です。フリーランスは働き方が自由、収入をアップしやすいなどのメリットがあるものの、すべての人におすすめできる働き方ではありません。
本記事では、フリーランスの平均年収や年収1000万円以上稼ぐフリーランスの割合、年収1000万円稼ぐフリーランス の税金事情などについて解説します。
目次
1.フリーランスの平均年収
内閣官房新しい資本主義実現会議事務局、公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁による「令和4年度フリーランス実態調査結果」では、フリーランスの年収事情について明らかにされています。
同調査によると、フリーランスの1年間の収入は以下のようになります。
100万円未満 | 14.1% |
100~200万円未満 | 12.6% |
200~300万円未満 | 12.7% |
300~400万円未満 | 12.6% |
400~500万円未満 | 9.5% |
500~600万円未満 | 6.9% |
600~700万円未満 | 4.2% |
700~800万円未満 | 3.3% |
800~900万円未満 | 2.0% |
900~1000万円未満 | 2.1% |
1000万円以上 | 3.4% |
わからない・答えたくない | 16.4% |
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001151783.pdf
1年間の収入が100万円未満と回答した人がもっとも多く、400万円未満と回答した人が全体の半数を超える結果です。
フリーランスの平均年収は仕事に充てる時間や業種などによって異なるため算出は容易ではありません。参考までに、リクルートワークス研究所の調査では本業フリーランスの平均年収は約299万円となっています。
2.年収1000万円以上稼ぐフリーランスの割合
前述の調査によると、年収1000万円のフリーランスは全体の3.4%です。
年収1000万円を1つの目標にしている人は多くいますが、年収1000万円稼ぐことはいずれの雇用形態でも容易ではありません。
このことは、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」にもうかがえ、年収1000万円以上の人は全体の5.5%(男性:8.6%、女性:1.4%)にとどまっています。
フリーランスは年収1000万円稼ぐハードルが高いというよりも、年収1000万円は専門職や資格職、あるいは大手企業在籍などではない限り働き方を問わず難しいといえます。
3.フリーランスとして稼ぎやすい職業
フリーランスと一括りにしても、さまざまな職業に従事している人たちがいます。職業によって年収は大きく異なるため、フリーランスとして高年収を目指したい人は稼ぎやすい職業を選ぶとよいです。
フリーランスとして稼ぎやすい職業として、以下の3つが挙げられます。
エンジニア・技術開発系
コンサルティング系
クリエイティブ・Web・フォト系
それぞれ確認していきましょう。
エンジニア・技術開発系
フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によると、エンジニア・技術開発系のうち77%が年収400万円を超えています。フリーランスにとって年収400万円を超えるのは1つのハードルですが、エンジニアであればこのハードルを比較的超えやすいと考えられます。
なお、フリーランスボードの月額単価を年ベースで算出したところ、フリーランスエンジニアの平均年収は約858万円となりました。(2024年8月時点)フリーランスエンジニアの年収の詳細を参照すると、最高年収が3,840万円です。
コンサルティング系
コンサルティング系の年収は他の職業と比べて高い傾向にあり、大手企業や外資系企業であれば30代、40代で年収1000万円以上も現実的といわれています。
フリーランスにおいてもコンサルティング系の年収は高く、「フリーランス白書2023」では76.1%が年収400万円以上と回答しています。
フリーランスボード上でコンサルタントの月額単価を見てみると平均単価109.6万円、年収換算すると平均年収1,315万円となります。フリーランスのコンサルタントは1,000万円を大きく超えることができるでしょう。
フリーのコンサルタントとして働く人の中には大手企業でコンサルティング経験を積み、独立した人も多くいます。こうした人たちは大手企業の社員としての安定や年収を捨てて独立しているため、フリーランスとして上記の平均年収以上の利益を得ている人もいると思われます。
クリエイティブ・Web・フォト系
クリエイティブ・Web・フォト系はフリーランスの中で比較的年収が高い傾向にあります。クリエイティブ・Web・フォト系にはWebデザイナー、Webマーケター、フォトグラファーなどが含まれます。
これらの職業はWeb社会といわれる昨今、社会的ニーズが高く、案件が充実しています。個人事業主や企業の担当者の中には、フリーランスへの仕事の依頼を検討する人は多いと見られます。
フリーランスボード上でデザイナーの月額単価を見てみると平均単価71.1万円、年収換算すると平均年収853万円となります。
平均年収ではフリーランスとして1,000万円を超えていませんが、高単価の案件を受注することにより、1,000万円を超えることは十分に可能でしょう。
4.年収1000万円稼ぐフリーランス の税金事情とは
年収1000万円のフリーランスの手取り額は658.5万円程度になります。フリーランスは会社員と同様に税金や社会保険料を支払わなければならないため、収入のすべてが手元に残るわけではありません。
フリーランスが支払う税金、社会保険料には以下のものがあります。
税金
所得税
住民税
個人事業税
消費税
社会保険料
国民年金保険料
国民健康保険料
介護保険料(40~64歳の国民のみ)
上記の金額を合算すると、350万円程度になります。
なお、年収1000万円の会社員の手取り額は750万円前後といわれています。
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5.フリーランスとして働くメリット
近年、若者からも人気を集めているフリーランスですが、フリーランスとして働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
実力次第で収入は青天井
自分のペースで働ける
稼ぎたい金額によって仕事を調整できる
それぞれ確認していきましょう。
実力次第で収入は青天井
会社員の場合、実力がある人であっても収入が無限にアップするわけではありません。成果報酬制の企業であれば自分のスキル次第で年収を青天井にアップできるかもしれませんが、そうした企業は限られています。
一方、実力があるフリーランスであれば経験年数を問わずに収入をアップできます。例えば、実務経験が1年に満たない人であってもその分野と相性が合えば、毎月のように収入を大きく上げていくことも可能です。
自分のペースで働ける
フリーランスの魅力として、自分のペースで働けることが挙げられます。案件や契約企業によって異なりますが、期日までに納品すればよい仕事が多いため、働く時間や場所にしばられることはありません。
例えば、午前中は家事や介護をして、昼食後から夕方まで仕事をする、日中は家事をして深夜に仕事をするといったことも可能です。
また、フリーランスであれば月の半分は仕事に専念し、もう半分は休むという働き方ができることも多いです。
稼ぎたい金額によって仕事を調整できる
フリーランスの年収は仕事量によってほぼ決まります。例えば、受注した仕事が少なければプライベートの時間を多くとれますが、収入は少なくなります。
育児や介護が忙しい時期は仕事を少なめに受注し、働ける時間が多い時期は仕事を多めに受注して稼ぐことも可能です。
6.フリーランスが年収1000万円を目指す方法
年収1000万円以上稼ぐことはいずれの職業においても簡単ではありませんが、フリーランスが年収1000万円を目指すにはどのような方法があるのでしょうか。
フリーランスが年収1000万円を目指す方法として、以下の5つが挙げられます。
単価が高い案件を受ける
スキルを高める
幅広い業務に対応できるように複数のスキルを磨く
青色申告を選択する
税金や節税を理解する
それぞれ確認していきましょう。
単価が高い案件を受ける
フリーランスが効率よく稼ぐ方法として、単価が高い案件の受注があります。例えば、エンジニアの場合、同程度の時間がかかる開発案件であれば5万円の案件よりも、10万円の案件の方が稼げるのは明らかです。
単価が高い案件を受注するには豊富な経験や高いスキルが求められることがほとんどです。また、単価が高い案件は多くの優秀な人たちが応募すると見込まれるため、複数の中から選んでもらえるだけの実績や自己PRが必要になります。
スキルを高める
スキルの高いフリーランスはクライアントを満足させられるため、仕事を継続して受注しやすくなります。仕事を継続して受注できれば案件探しの手間が省ける他、仕事がない期間ができるのを回避できます。
フリーランスは仕事をしなければ収入は発生しないため、案件を絶やさないことも稼ぐための秘訣です。
自分のスキルを日々磨くと同時に、市場のニーズを把握してクライアントが何を求めているのか察する力を養う必要があります。
幅広い業務に対応できるように複数のスキルを磨く
できることが限られていると選べる仕事が限られてしまいます。例えば、システム開発しかできないエンジニアであれば、開発案件しか受注できません。開発案件が少ない時期や応募者が多くて受注につながらない時期は、仕事が途絶えることもあるでしょう。
例えばシステム開発に加えて、ライティングスキルがあるエンジニアであれば開発業務だけではなく、ライティング業務にも応募できます。複数のスキルを掛け合わせ他の人と差別化をはかるだけで受注率は上がり、複数の収入源を得られるようになります。
フリーランスの中にはエンジニア×ライター、エンジニア×講師、Webマーケター×ライターなど、複数スキルを持っていることで多方面で活躍している人が多くいます。
青色申告を選択する
フリーランスは確定申告を毎年行わなければなりません。確定申告には青色申告と白色申告があります。青色申告は白色申告よりも帳簿が複雑ですが、税制面で優遇されます。
手元に多くのお金を残したい人は、個人事業主として開業届を税務署に提出する際、青色申告承認申請書をあわせて提出することをおすすめします。最大65万円の青色申告特別控除が受けられる、青色事業専従者給与を必要経費にできるなどのメリットがあります。
青色申告承認申請書の書き方は国税庁の公式サイトやフリーランスを対象とした各種サイトで確認できます。なお、青色申告承認申請書は郵送での提出も可能です。
税金や節税を理解する
会社員として働いている人の中には所得税など各種税金の支払いは在籍企業が行っています。しかし、フリーランスは毎年確定申告を行い、自分で納税しなければなりません。
フリーランスが納める税金には所得税、復興特別所得税、住民税といった会社員も支払っている税金の他、国民健康保険料、固定資産税、個人事業税などフリーランス特有のものがあります。
フリーランスは年間の所得を報酬額から経費などを差し引いて自分で計算します。経費には仕事で利用するために購入したもの、通信費、交通費、在宅ワーカーであれば家賃や光熱費の一部などが含まれます。
1年間に稼いだ金額から経費を差し引くと所得が下がるため納税時の金銭的な負担が軽減されます。一方で経費を差し引くことを忘れてしまうと、必要以上の納税額になることもあります。
また、フリーランスの確定申告には青色申告と白色申告があります。青色申告は帳簿が複式簿記で複雑ですが、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
この控除を受けることで、税金の支払額が軽減されることもあります。
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7.まとめ
フリーランスにはメリットとデメリットがあるため、その両方を理解しておく必要があります。フリーランスは自分のスキルや仕事量で収入を短期間で大幅に伸ばすことも可能です。
また、年収1000万円稼いでいる人もいます。しかし、フリーランスは収入が不安定である他、各種税金の支払いもあるため、思い描いていたような生活水準に満たないケースも珍しくありません。
フリーランスとして安定的な収入を得るには高いスキルや専門的な知識の他、営業力、コミュニケーション力なども重要です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。