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MBaaSとは|MBaaSの代表的サービス比較や主な機能、メリット・デメリットを解説

公開日:2025/04/19最終更新日:2025/04/26

モバイル機器が活用されるシーンが多くなっている現代においては、モバイルアプリ開発において役立つ「MBaaS(エムバース)」のニーズが拡大しています。MBaaSを活用すればアプリ開発において重要なバックエンドの構築にかかる負担が大きく削減され、プロジェクト全体への好影響が期待できるでしょう。


そこで本記事では、MBaaSの特徴や主な機能、メリット・デメリット、そして代表的なMBaaSサービスを紹介します。


特に以下の方には、この記事をご一読していただきたいです。

  • モバイルアプリのバックエンド構築を迅速化や開発効率向上を目的としたフリーランスエンジニア

  • 初期投資を抑えながらスケーラブルなサービス展開を目指す個人事業主

  • 最新クラウド技術を活用し安定したアプリ運用を実現したいITプロフェッショナル

  • MBaaSの特徴や基本的な機能について簡単に情報収集をしたい方


1.MBaaS(エムバース)とは

MBaaS(エムバース)とは「Mobile Backend as a Service」の略であり、モバイル向けアプリの開発や利用に必要な機能をAPIで呼び出せるクラウドサービスのことです。


そもそも「BaaS(バース)」とは、Webやアプリに必要なバックエンド機能をクラウドで提供するサービスを指します。そのためMBaaSは、「モバイルに特化したBaaS」と位置付けられるでしょう。


モバイルデバイスで頻繁に利用される汎用的な機能をクラウド上から簡単に呼び出せるため、サーバー開発や運用が不要でバックエンド機能を比較的容易に実装できます。


2010年代前半ごろのアメリカで使用されるようになったと言われており、開発にかかるコストや期間を大きく減らせることから日本国内でも注目されるようになりました。

2.MBaaSで活用できる代表的な機能

この章では、MBaaSで活用できる代表的な機能として以下の6点について解説します。

  • 認証基盤

  • データベース

  • ストレージ

  • メール通知・プッシュ通知

  • 位置情報連携

  • 外部サービスとの連携

認証基盤

MBaaSで活用できる機能としてまず挙げられるのが、認証基盤です。


ユーザーの認証に使用する機能であり、デバイスに関わらず一定以上のセキュリティ性が確保された仕組みをクラウドから利用できます。例えば以下のようなユーザー情報の管理がMBaaSを利用することで簡単に行えます。

  • 会員登録

  • 情報の更新・削除

  • ログイン・ログアウト など

さまざまなサービスにおいて、ユーザー情報の適切かつ効率的な管理は不可欠です。またMBaaSを導入することで、ユーザー間でのデータ共有も容易になります。

データベース

MBaaSでは、モバイルアプリやサービスで利用するデータの保存や管理も行えます。


NoSQLのデータベースを基本としており、高い処理速度が魅力です。クライアントや機能別にデータベースを用意する必要がなくなり、操作もシンプルになります。また、データ単位・クラス単位でのアクセス制限設定もMBaaSによって可能です。

ストレージ

MBaaSで活用できる機能としては、ストレージ機能も挙げられます。


テキストや画像、音楽などさまざまな種類のファイルを、MBaaSの活用によって保存できます。またファイルの登録だけでなく、更新や削除の機能もあります。さまざまな形式のバイナリデータを扱う点が特徴的であり、セキュリティ性が確保されたクラウドストレージとして利用できるでしょう。

メール通知・プッシュ通知

MBaaSではメール通知やプッシュ通知といった、システムの変化をクライアント機器へ通知する機能も搭載されています。


プッシュ通知機能の実装には通常多くのコストがかかりますが、MBaaSを活用することでAPIを呼び出して簡単に使えるようになります。また、ユーザーのプッシュ通知に関する利用状況の確認も、MBaaSであれば可能です。

位置情報連携

位置情報連携機能も、MBaaSに搭載されているものの1つです。


デバイスに搭載されているGPSのデータを取得し、保存・管理し、アプリに組み込めます。また先ほど紹介したプッシュ通知と組み合わせることで、店舗の付近に来たユーザーに対して情報提供することも可能です。

外部サービスとの連携

MBaaSにおいて利用できる機能としては、外部サービスとの連携も重要です。


X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSと連携し、アプリから投稿や各種サービスへのアクセス、閲覧などを行えます。例えばユーザーが所有しているSNSのアカウントを利用してログインできる機能も、MBaaSを活用すれば実装可能です。


ユーザー登録を行う手間が省けるため、SNSへ登録するハードルを下げることが期待できます。

3.MBaaSを利用するメリット

この章では、MBaaSを利用するメリットを以下の4点に整理して解説します。

  • 開発期間を短縮できる

  • コストカットにつながる

  • サーバー設計・運用・保守の労力をカットできる

  • セキュリティが確保されている

開発期間を短縮できる

MBaaSを利用するメリットとしてまず挙げられるのが、開発期間を短縮できる点です。


MBaaSを活用することでバックエンドの開発作業や管理作業が不要になることから、開発期間の短縮につながります。バックエンド機能には複雑な処理が求められるケースも多々あり、開発には高度な技術が必要です。そのためバックエンドの開発工程を省略できれば、プロジェクト全体において非常に大きな効果をもたらします。


バックエンドの開発や保守にかける時間や人員などのリソースを、フロントエンドやそのほかのコア業務に充てることが可能です。そのためMBaaSを活用することで、成果物のクオリティを確保しつつ効率的な開発が期待できるでしょう。

コストカットにつながる

MBaaSを活用するメリットとしては、コストカット効果も考えられます。


アプリのバックエンドを動作させるには、サーバーやネットワーク環境を用意しなくてはいけません。しかしクラウドサービスであるMBaaSを活用することで、自前でインターネット環境を用意する必要がなくなります。


サーバー構築に必要なリソースを削減することで、プロジェクト全体のコストカットにつながるでしょう。

サーバー設計・運用・保守の労力をカットできる

MBaaSを活用することで、サーバーの設計・運用・保守にかかる労力を削減できます。


MBaaSを導入すれば、サーバーの運用や保守はサービス運営側に任せることが可能です。サーバー周りを自社で管理しようとすれば、サーバーエンジニアやインフラエンジニアなどを用意しなくてはいけません。


MBaaSの料金負担は発生しますが、運用・保守にかかるリソースを削減できる点は大きなメリットだと考えられます。SEだけでシステム管理を行うことも、MBaaSを活用すれば十分に可能です。

セキュリティが確保されている

MBaaSを導入するメリットとしては、セキュリティ性能の高さも欠かせないポイントです。


MBaaSにはさまざまなサービスが存在しますが、大手・人気サービスを活用すればセキュリティは一定レベルを確保されていると想定できるでしょう。バックエンド開発におけるセキュリティ対策を利用者側が行う必要がなく、セキュリティリスクを減らせる点は大きなメリットです。

4.MBaaS利用おけるデメリット

この章では、MBaaSを利用するデメリットを以下の2点に整理して解説します。

  • サービスへの依存

  • 情報管理に関する懸念

サービスへの依存

MBaaS利用のデメリットとしてまず挙げられるのが、選択したサービスにどうしても一定の依存をしなくてはならない点です。


新たに利用したい機能があったとしても、利用しているサービスが導入していない機能であれば追加できません。また、突然利用料金が上がっても、そのサービスを利用し続けたいのであれば必然的にコストアップを受け入れる必要があります。


さらに最悪の場合、サービス自体が突然終了してしまうことも考えられます。値上げやサービス終了などのリスクも念頭に置き、MBaaSを利用する必要があるでしょう。

情報管理に関する懸念

MBaaSを利用するにあたっては、情報管理に関する懸念も伴います。


プロジェクトに関する情報の一部をサービス運営者と共有することになるため、情報管理リスクについても一定の認識が必要です。ただし、大手サービスであれば一定のセキュリティ対策はとられていると考えられます。


そこで情報管理の点で問題になると想定されるのが、顧客の反応です。自らの情報を外部のサーバーと共有することに対して抵抗感を持つ顧客が出てくることも想定しておかなくてはいけません。

5.代表的なMBaaS4選

この章では、代表的なMBaaSとして以下について解説します。

  • AWS Amplify(Amazon)

  • Azure Mobile Apps(Microsoft)

  • Firebase(Google)

  • AppPot

  • ニフクラ mobile backend(サービス終了)

AWS Amplify(Amazon)

AWS Amplifyは、AWS(Amazon Web Services)が運営しているMBaaSプラットフォームです。


AWSバックエンドにアプリ接続をすることで、AWSのサービスを活用したアプリ構築やモニタリングを行えます。AWSを既に利用しているユーザーであれば、AWS Amplifyを活用してのシステム構築が可能です。

Azure Mobile Apps(Microsoft)

Azure Mobile Appsは、Microsoft Azureが提供しているMBaaSサービスです。


元々は「Web Apps」として運営していましたが、現在はAzure Mobile Appsになっています。Microsoft製品との親和性が高く連携しやすいことから、幅広いユーザーにおすすめできるMBaaSと言えるでしょう。

Firebase(Google)

Firebaseは、Googleが運営しているMBaaSです。


Google製品・サービスとの親和性が高く、多くの機能が搭載されている点が特徴的です。通常のMBaaSと同様にバックエンド機能が搭載されているだけでなく、GoogleアナリティクスもFirebaseから提供されています。


特にAndroid向けのアプリを開発するなら、Firebaseの使用は魅力的な選択肢だと言えるでしょう。

AppPot

AppPotは、NCDC株式会社が提供しているMBaaSです。


AppPotでは、MBaaSに加えてMEAP(Mobile Enterprise Application Platform)機能も搭載されている点が特徴的です。国内企業向けアプリの開発において、親和性が高い機能が数多くあります。クライアント側の開発コストを抑えるには、AppPotはおすすめです。

ニフクラ mobile backend(サービス終了)

人気のMBaaSとしてはニフクラ mobile backendも定番でしたが、こちらは2025年4月現在サービスを終了しています。数々の有名・人気サービス開発に活用されていた人気MBaaSでしたが、現在では利用できない点に注意が必要です。


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6.まとめ

MBaaSとは、モバイル向けアプリの開発や利用に必要なバックエンド機能を簡単に利用できるクラウドサービスです。認証基盤やプッシュ通知などさまざまな機能が搭載されており、活用することで開発コストや期間の削減が期待できます。


情報管理への懸念について言われることもありますが、信頼できるサービスを利用することでセキュリティ性もしっかりと確保可能です。今回ご紹介した人気サービスもご参考にしていただき、自社やプロジェクトに合ったMBaaSを探してみてください。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。


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この記事の監修者

笠間 慎

大学卒業後、人材紹介会社にコンサルタントとして従事。フリーランスとして独立。その後、フリーランス案件サイト「フリーランススタート」の立ち上げに編集長兼ライターとして参画し、月間30万人が利用する人気メディアへと成長させる。 2024年より、フリーランスボード編集長に就任。自身の経験を元に、フリーランスの活躍を支援する情報を発信している。

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目次

1.MBaaS(エムバース)とは

2.MBaaSで活用できる代表的な機能

認証基盤

データベース

ストレージ

メール通知・プッシュ通知

位置情報連携

外部サービスとの連携

3.MBaaSを利用するメリット

開発期間を短縮できる

コストカットにつながる

サーバー設計・運用・保守の労力をカットできる

セキュリティが確保されている

4.MBaaS利用おけるデメリット

サービスへの依存

情報管理に関する懸念

5.代表的なMBaaS4選

AWS Amplify(Amazon)

Azure Mobile Apps(Microsoft)

Firebase(Google)

AppPot

ニフクラ mobile backend(サービス終了)

6.まとめ